下請法

2017年5月23日 (火)

下請法と中小企業庁

最近、事情があって(通常は公取に聞くのですが)、とある依頼者のために、中小企業庁に下請法の質問をすることがありました。

依頼者は匿名ではあるものの、具体的な事情(大して複雑なはなしでもありません)も包み隠さず説明したうえでの質問だったのですが、某H.S.下請代金法担当課長補佐(中小企業庁事業環境部取引課)から、回答を拒否されてしまいました。

とくに、2回電話したうちの最初の電話での回答は、

「立入検査で具体的な問題が発生したなどというのでない限り、個別の案件についてはいちいち回答しない」

という、信じられないような回答でした。

そんなことはないだろう、公取でも中企庁でも、いくらでも回答してもらっている、といっても、

「(具体的な案件にいちいち答えないのは)当たり前でしょう」

「そっちのほうがおかしい」

と、まったく取り付く島もない感じでした。

そこで2度目の電話で、下請法テキストの最後の頁に、

「~ご相談やご質問は、全国の相談窓口までお気軽にどうぞ。~」

と書いたうえで中企庁の窓口の連絡先も載ってるじゃないかといって、再度食い下がったのですが、やっぱり同じような回答でした。

当該課長補佐の論理では、「明確なルールがないというのが回答」だということらしいのですが、同じことだと思います。

あと、

「紙に書いたようなルールがないので、明確な回答はできない」

←紙に書いたものがあったらこっちもきかないよcoldsweats01

「ルールが明確でない以上、下請法の適用があるという前提で対応するのが望ましい」

←法律論を聞いているんだよangry

という、お役人様らしい迷言も多々ありました。

さらには、

「どうしても下請法の条件を守れない事情でもあるんですか?」

「支払いが60日超えて90日とかなんて、長すぎますよね?」

「守れない事情がないなら、守ったらいいんじゃないんですか?」

といった具合で、まったく理屈の話になりませんでした。

下請法が適用されると取引記録(5条書類)を2年間保存しないといけないとか、下請事業者の名簿を準備しなくちゃいけないとか、いろいろ面倒なことがあることをご存じないのでしょうか。

当該担当課長補佐が、

「具体的な事実関係がわからないと回答できない」

とおっしゃるので、(それまでかなり詳細に事実関係を説明していましたので)では今まで説明した以上にどんな事情が必要なんですかと尋ねたら、

実際に下請事業者にどのような被害が及んでいるのか、といったような事情です

とおっしゃいました。

そんなのは下請法適用の有無とは何の関係もないのは明らかなのですが、万事こんな具合ですから、「この人、何にもわかってないんだなぁ」と思って、回答をもらうことはあきらめました。

こんなわけのわからないことをいう人が所轄官庁の実質的な責任者をやっているというのが、日本の下請法実務の現状です。

ただ中企庁の名誉のために一言いうと、いろいろ聞くところによれば、どれくらいていねいに回答してくれるのかは担当者によるそうです。

わたしも別の中企庁の担当者に聞いたときは、普通に答えてくれました。

そういう意味で、今の担当課長補佐は、たんに「はずれ」なのかもしれません。

もしどうしても、正式な回答でなくてもいいから、(公取ではなく)中企庁の見解が知りたいんだということがあったら、下請法テキストの最後の頁に載っている最寄りの経済産業局に問い合わせたほうがいいと思います。

そちらのほうが、はるかに下請法のことが分かっている担当者が出てくれるので、少なくとも議論がかみ合います。

ちなみに、私は基本的に、当局に問い合わせるのには消極的で、お客さんにもあまり勧めません。

いろいろ理由はありますが、担当者によって、けっこう言うことが変わるからです。

なので、「聞いてもいいけど、あてにしない」というのが正解かもしれません。

役所によっては配属直後の新米が電話質問の回答をやらされるそうなので、信頼性にも疑問がつくことが少なくありません。

だいぶ昔に、特許庁に質問した時に、質問にいたる前段階のところで、

「ライセンス契約は登録しないと効力がないでしょう?」

といわれ、ひっくり返りそうになったことがあります。

たぶん、通常実施権の登録制度と混同されていたのでしょう(平成23年改正による通常実施権の当然対抗制度の導入前の話でした)。

その点、消費者庁では任期付弁護士の方が回答してくれたりすることがあったのですが(消費税転嫁法関係)、あれはよかったですね。

ほんとうに、法律論として、話がかみ合いました。

もっともっと、弁護士資格者が役所にも増えたらいいのになと思います。

あと、当局に質問する場合は、質問する側も、相当勉強していないと、まちがった回答を引き出してしまいがちなので、自信がない場合は弁護士に頼むべきです。

とくに当局の担当者もよくわかっていない場合、わけのわからないことになります。

今まで公取に下請法の質問をしたときは、きちんと答えてくれていたし、議論してもかみあっていました。

融通が利かない結論には納得いかないことはありましたが、それは下請法がそういう法律なので、ある程度仕方がないです。

今回、中企庁と公取でこうも対応が違うのかと思い知らされ、公取がとても立派で誠実な役所に思えました。

私はこれまで、中小企業保護法である下請法は、競争法当局である公取委から切り離して、中企庁の専管にすべきだと考えていましたが、考えを改めました。

中企庁だけに下請法をまかせきったのでは、えらいことになりそうです。

(ちなみに当該課長補佐にも、「公取には問い合わせたのですか?」と聞かれましたので、あまり中企庁が主体的に下請法を解釈運用していこうという姿勢は今でもあまりないのだなと感じました。)

役所とのクローズなやり取りをオープンにするのは多分これがはじめてですし、あまり好きではないのですが、それでも、これは公益にかかわることだ(納税者たる国民が知っておくべきことだ)と考え、率直に書かせていただきました。

今回のことは、あくまで担当者個人の個性の問題であって(それも困るのですが・・・)、中企庁の組織の問題ではないことを祈りたいと思います。

もし、今回のような対応が中企庁のスタンダードなら、下請法テキストに、

「~ご相談やご質問は、全国の相談窓口までお気軽にどうぞ。~」

なんて書かなればいいし、もし書くなら、中企庁の直通番号は載せなければいいのにと思います。

これでは、明らかに看板倒れです。改善を望みます。

【5月25日追記】

本日、中小企業庁のかたから、上記の不適切な対応へのお詫びと、質問への明確な回答をいただきました。ありがとうございました。

2017年4月 4日 (火)

トンネル会社規制の「相当部分」は何の相当部分か

トンネル会社規制に関する下請法2条9項では、

A社(本来の親事業者)→B社(トンネル会社)→C社(下請事業者)

という想定で補足しながら引用すると、

「〔①〕事業者〔=A社〕から役員の任免、業務の執行又は存立について支配を受け、

かつ、

〔②〕その事業者〔=A社〕から製造委託等を受ける法人たる事業者〔=B社〕が、

〔③〕その製造委託等に係る製造、修理、作成又は提供の行為の全部又は相当部分について再委託をする場合・・・において、

再委託を受ける事業者〔=C社〕が、・・・当該事業者〔=A社〕から直接製造委託等を受けるものとすれば前項各号〔=下請事業者の定義規定〕のいずれかに該当することとなる事業者であるときは、

この法律の適用については、再委託をする事業者〔=B社〕は親事業者と、再委託を受ける事業者〔=C社〕は下請事業者とみなす。」

と規定されています。

さて、ここで問題は、③の

「その製造委託等に係る製造、修理、作成又は提供の行為の全部又は相当部分

というのが、何の「全部又は相当部分」なのか、つまり、

「その製造委託等に係る製造、修理、作成又は提供の行為」

とは何なのか、さらに突きつめて言えば、「その製造委託等」の

「そ」

とは何を指すのか、という問題です。

考え方としては、

①A社がB社に委託する製造委託等を、全部まとめて考える

②A社がB社に委託する製造委託等を、商品ごとにまとめて考える

③A社がB社に委託する製造委託等を、個別の発注ごとに考える

というものが考えられそうです。

(①と②は何を基準に「まとめ」るのかが問題となりますが、あとで説明します。)

この問題については下請法講習テキストをみても、

「(イ) 親会社からの下請取引の全部又は相当部分について再委託する場合(例えば,親会社から受けた委託の額又は量の50%以上を再委託」

と説明してあるくらいで(平成28年11月版15頁)、「なんとなく①(全部まとめる)かなあ」と思えるくらいで、決定打に欠けます。

しかも、条文を文字通りに読むと、③(個別の発注ごとに見る)も、ありえなくはないようにもみえます。

ですが、わたしは①(全部まとめる)が正しいと考えています。

というのは、それが、トンネル会社規制の趣旨(脱法行為の禁止)からすれば、いちばん素直だからです。

(というか、当たり前すぎて論点となりうることすら、誰も気づいていないかもしれない、というレベルの問題かもしれません。)

条文の文言上も、そんなに無理はないと思われます。

なのでこの説(①.全部まとめて考える)では、

「そ」=A社がB社に委託したすべて(の製造委託等)

とよむわけです。

たとえば粕渕他編著『下請法の実務(第3版)』p73でも、

「例えば、介在する事業者が、一定期間に部品100個の製造委託を10件受け、そのうち6件について再委託するような場合や、

同一部品1000個の製造委託を受け、そのうち600個を再委託するような場合は、

介在する事業者が受けた製造委託等の6割を再委託しているのであるから、

『相当部分』を再委託したものと評価されることとなる」

というように、「一定期間」でまとめることを想定した説明がなされているので、少なくとも③(個別発注ごとに考える)はありえないことになりそうです。

ちょっと悩ましいのは、それに続けて、

「また、介在する事業者が単価の異なる複数の種類の部品1000個の製造委託を一の発注で受けたような場合は、個数で判断することは困難であるから、金額に見積もって50%に達するか否かを判断することになろう。」

と、「一の発注」ごと、つまり個別の発注ごとに過半数かどうかをみるような説明がされている点です。

しかしこれは、A社とB社の間にその1件の発注しかなかったような場合を想定して説明しているとみるべきで、複数の発注をまとめるべきかどうかというここでの問題とは無関係である、と読むべきでしょう。

なお当たり前ですが、粕渕編ではB社が1000個を受注してそのうち600個を再委託する、というような例で説明されていますが、もちろん、B社が受注した製造委託の工程の一部を再委託するような場合も、トンネル会社規制が及びます。

たとえば、A社がB社に完成品1000個の製造を発注し、B社がC社に、その完成品のためユニット1000個を発注し(完成品1個に1ユニットを使う)、そのユニットの下請代金が完成品の下請代金の過半数であれば、トンネル会社規制にひっかかります。

というのは、条文上、

「その製造委託等に係る製造、修理、作成又は提供の行為の全部又は相当部分」

とされていて、「行為」の相当部分かどうかが問題だからです。

さて、①(全部まとめる)と、②(商品ごとにまとめる)では、どちらを取るべきでしょうか。

この問題については、

池田毅「連載講座 下請法の実務に明るい弁護士による「ケーススタディ下請法」 第3回 下請法の適用範囲②」公正取引788号54頁

という論文が、論点を、

「(ⅰ)A〔=トンネル会社〕は複数の商品を発注しているところ、その全体に対する愛帷幄の割合をみるべきか、それとも個別の商品ごとに再委託の割合が50%以上となるかをみるべきか」(55頁)

という問題と位置づけたうえで、

「たとえばメーカーブランド品(NB品)とプライベートブランド品(PB品)を同一の事業者から購入している場合に、これらが同一発注で注文されることもあるが、

前者については下請法は適用されないが、後者については下請法が適用される。

このように下請法の適否が商品ごとに判断されることからすれば、・・・商品ごとに〔50%以上の再委託の〕基準の該当性を評価すべきように思われる。」

と論じられています。

しかし、この理屈はおかしいと思います。

NB品に下請法が適用されず、PB品に適用されない理由は、たんに、NB品は製造委託に該当せず(と言っていいかどうかも疑問ですが、それは措きます)、PB品は製造委託に該当するからでしょう。

それはいいのですが、このような、

「下請法の適否が商品ごとに判断される」(→あたりまえ)

ということから、

商品ごとに〔50%以上の再委託の〕基準の該当性を評価すべき」

という結論には、論理的にはつながらないと思います。

つまり、

「下請法の適否が商品ごとに判断される」(→あたりまえ)

ということからは、

「下請法の適用される取引であっても、個別に考える」

という結論も、

「下請法の適用される取引は、まとめて考える」

という結論も、まったく同様に導くことが可能です。

別の切り口からいうと、NB商品とPB商品を1つの発注書で発注してもPB商品にだけ下請法が適用されるのは、「下請法の適否が商品ごとに判断される」からであるというよりも、製造委託に該当するところのPB商品に下請法が適用されるから、に過ぎません(あたりまえすぎて、自分でも何を言っているのかわからなくなりそうですが)。

つまり、「下請法の適否が商品ごとに判断される」というルールからは、下請法対象取引はまとめるか、個別に考えるかという問題の答えは出ない(論理的な関係がない)わけです。

下請法上あたりまえ(当然の前提)のことから、特定の結論を導くのは無理があります。

(ちなみに、2条9項の条文も、

「・・・その事業者〔=A社〕から製造委託等を受ける法人たる事業者〔=B社〕が、その製造委託等に係る製造、修理、作成又は提供の行為の全部又は相当部分について再委託をする場合」

とされているので、A社からB社への発注も、B社からC社への発注も、どちらも下請法の対象である製造委託等である必要があります。)

それに、たとえば10種類の商品を再委託しているうちの1種類でも過半数にいくとトンネル会社になるとすれば、1種類でも丸投げすると、(その種類についてだけではありますが)トンネル会社となってしまい、厳しすぎるでしょう。

公取の先例である東陶メンテナンスに対する勧告の担当者解説をみると、

「東陶メンテナンスは、東陶機器から委託を受けた東陶製品に係る無償修理を自社で行うほか、当該修理の約8割を全国各都道府県に所在するサービス代行店・・・に委託している。」(公正取引670号58頁)

ということで、「無償修理」は一種類だったから全体で8割だと判断したともいえますが(ぜんぶまとめて8割であればいいと当然のように考えていた可能性も高いですが)、仮に、修理の内容にいろいろあったとしても、きっとぜんぶまとめて1つと見たのだろうと思います。

というのは、ここでの「東陶機器」には、「温泉洗浄便座、水栓、衛生陶器等」(p57)と、いろいろなものがあったようであり、そうすると、それぞれ別の修理だと評価できた可能性もあったわけで(便座と水栓の修理は別物っぽい)、それを何の断りもなくひとまとめにしている以上、やはり、商品や役務の内容ごとに区々に区切っている考え方はとられていないと思われるのです。

もう一つ例をあげると、

辻吉彦『詳解下請代金支払遅延等防止法(改訂版)』

では、公取委発表資料(平成3年6月6日発表「平成2年度における下請法の運用状況及び下請代金の支払状況」)のなかに、「トンネル会社の支払遅延」として、

「・・・当該子会社〔トンネル会社〕は、・・・E社〔ほんらいの親事業者〕から受けた製造委託の約60パーセントを他の事業者に再委託していることから下請法2条5項〔現行9項〕の規定により親事業者とみなされる、いわゆるトンネル会社に該当する・・・」(p34)

という記述があることが紹介されており、ここでも、委託を受けたすべての製造委託を基準にみている様子がうかがえます。

ところが、さらに悩ましいことをいっているのが、

小倉正夫(公取委事務局取引部下請課長)「わかりやすい下請法(2)-下請法の適用範囲-」公正取引393号15頁

で、そこでは、トンネル会社の判断基準は、

「イ 相当部分を他の事業者に再委託するについての相当部分とは、特定の製造委託又は修理委託の額又は量の50%以上であること」

と解説されていることです。

この、「特定の」というのがまさに商品ごとという意味ではないか?というようにも(見ようと思えば)みえてくるわけですが、この「特定の」には、深い意味はないと割り切るほかないでしょう。

この論文でも「特定の」の意味については何ら深掘りされておらず、言いっぱなしです。

きっと深い考えもなく、筆が滑ったのでしょう。

国会議事録も見てみましたが、あいにく条文の解釈のような細かい話はありませんでした。

トンネル会社規制は昭和40年改正で社会党の提案で入ったものなのですが、そこでの議論は、

昭和40年2月16日の中小企業政策審議会の下請小委員会の中間答申でトンネル会社の問題については、『今後、さらに実態把握につとめ、法改正の必要があるか否かについて検討すべき」とされているが、それでは生ぬるい!

といったものばかりが目立ちます。

唯一、条文の解釈論の参考になりそうなのは、昭和40年5月12日参議院商工委員会(議事録35号)の影山衛司中小企業庁次長の答弁です。

大半は社会党からの「生ぬるい」「実態解明してからとかいうのは勉強不足だ」という突き上げに対する釈明ですが、その中で、

「・・・また〔トンネル会社の〕規定のしかたがやはり非常にむずかしいわけでございます。

社会党のほうの改正案にございますような「資本的又は人的関係において支配を受けており、」というような規定をいたしても、それでは資本的に何%持っておればこれが支配関係にあるかというようなことになりますと、かりに五〇%ときめますと、これは四九%だということになりまして、なかなか脱法を防ぐこともむずかしいというようなことでございます。」

という発言があります。

まあこのくらいしか議論されていないわけですし、全体の議論のトーンとしては、脱法(下請法の資本金要件をかいくぐる)を防ぐという発想は国会の議論でも色濃く出ています。

そうすると、商品ごとにとらえて1個でも過半ならトンネル会社だというのは、やっぱり厳しすぎると思います。

当局もそこまで厳しいことは言っていないようですし、私はそれでいい(①の全部まとめる説が妥当)と思います。

では全部まとめるとして、どの範囲でまとめるか(具体的にはどの期間でまとめるか)という問題があります。

さすがに、トンネル会社ができてからの全部の取引をまとめるというのは、(それでも運用は回っていくのかもしれませんが)法解釈としてかなりためらわれます。

この点について前記池田論文では、

「ある一定の期間(たとえば毎月末締め)には、その当該支払対象期間についての再委託の割合によりトンネル会社規制の適否を判断するのが妥当」(p55)

という考え方が示され、なので、繁忙期だけ5割以上になる場合でも、その繁忙期についてはトンネル会社規制がおよぶ、とされています。

これはこれで一つの考え方ですが、私はこの点についても、そこまで厳しく言わなくてもいいんじゃないかと思います。

あえていえば、過去1年くらいさかのぼって50%以上でなければいいんじゃないでしょうか。

もしそれよりも近い時期に再委託が急に増えたりとか言った事情があるなら、ケースバイケースで柔軟に考えるというのでいいのでしょう。

いずれにせよ、はっきりした基準はありませんし、トンネル会社規制というのはそれくらいおおらかな解釈で回っていくんだと思います。

ともあれ、こういう細かい議論をあえて論文に書いてもらうのは、議論の蓄積のためにはとても貴重なことであり、その意味で池田論文は貴重だと思います。

当たり障りのないことだけ書いてたのでは、本当に知りたいことは何も書かれていない、ということになりかねません。

2016年12月28日 (水)

改正下請法運用基準の疑問点

改正下請法運用基準のなかで、5-2の、量産終了後の補給品に関する買いたたきの事例がおかしいんじゃないかということは11月22日の記事で書きましたが、もうひとつ気になる記述があります。

改正運用基準5-3(4)では、

「(4) 親事業者は,原材料費が高騰している状況において,

集中購買に参加できない下請事業者が従来の製品単価のままでは対応できないとして下請事業者の調達した材料費の増加分を製品単価へ反映するよう親事業者に求めたにもかかわらず,

下請事業者と十分な協議をすることなく,

材料費の価格変動は大手メーカーの支給材価格(集中購買価格)の変動と同じ動きにするという条件を一方的に押し付け,

単価を据え置くことにより,通常の対価を大幅に下回る下請代金の額を定めた。」

という例が買いたたきとされています。

しかし、これは競争というものを無視した、非常に問題のある設例だと思います。

このような行為が買いたたきになるなら、集中購買に参加できない中小企業に対してだけ、発注者は高い価格を設定してあげなければならなくなります。

しかし、集中購買に参加できる大企業も参加できない中小企業も同じ市場で競争しているはずであり、両者で区別しなければならない(中小企業に下駄をはかせなければならない)理由は見当たりません。

もし設問での発注者が、たまたま中小企業だけに発注していたとしても、潜在的にはいつでも大企業への発注に切り替えることはできるのですから、同じことです。

この設例が許されるとしたら、当該発注者にとっては、大企業に発注することが何らかの理由で不可能である、という場合だけでしょう。

価格競争力のない企業はたとえ中小企業であっても市場から消えていくのが競争というものであり、この設例は競争の基本を無視しています。

この設例でも、他の買いたたきの設例と同様に、最後のところで、

「通常の対価を大幅に下回る下請代金の額を定めた」

というしばりがかかっていますが、この設例に限って言えば、そもそも「通常の対価」として何をイメージしているのか、さっぱりわかりません。

(ところで、買いたたきの設例ですべて「通常の対価を大幅に下回る下請代金の額を定めた」という一節をこっそり入れて、形式的には法律違反の運用基準でないという体裁を繕いつつ、実は多くの企業がその部分は読み飛ばして「対価を据え置くだけで下請法違反になるんだ」と誤解するように仕向ける、というのは、実に小役人的で、たいへん姑息なやり方だと思います。)

もし「通常の対価」が、

集中購買に参加できない企業が供給できる通常の対価

のようなものをイメージしているとしたら、

集中購買に参加できない企業のみを供給者とする市場

を観念しているということであり、競争の実態を完全に無視しているといわざるをえません。

もしそうではなくて、「通常の価格」が、集中購買に参加できる企業もできない企業も含めた市場を観念しているなら、価格は安い方に収れんしていくでしょうから、集中購買に参加できる企業の水準まで下げることを要求したとしても買いたたきになるはずがありません。

このように、この設例はいったいどのような競争状況をイメージしているのか、まったく見えてきません。

きわめて特殊な前提(例えば前述のように何らかの事情でこの発注者は集中購買に参加している企業からは調達できない、など)を置けば、この設例が正しい場合もあるのかもしれませんが、そのような特殊な場合にしか成り立たない(つまり、実際には適用される場面のない)設例を運用基準に載せるというのは、誤解を招くことはなはだしいと思います。

いったい、この改正を担当した公取委の担当者は、競争というものが分かっているのでしょうか?

ところで、運用基準をこのように批判的に検討しておくことは、とても重要だと思います。

なぜなら、理論的に根拠が薄弱な運用基準は実際には発動されないからです。

そういう観点からみると、同じように羅列されている設例のなかで、どれが本当にやばそうで、どれがリップサービスなのか、濃淡がつけられます。

こんな運用基準が出てしまうのでは、企業の側にも、運用基準を見る目が必要になるでしょう。(運用基準というのは、誰が見ても正しく理解できるものでないといけないと思うのですが・・・)

公取委には、競争政策の担い手としての誇りを持った運用を期待したいと思います。

2016年11月22日 (火)

平成28年下請法講習テキストの変更点

平成28年の下請法講習テキストに、買いたたきの例として、

「自動車部品の製造を下請事業者に委託しているB社は、当該部品の量産が終了し、補修用としてわずかに発注するだけで発注数量が大幅に減少しているにもかかわらず、単価を見直すことなく、一方的に量産時の大量発注を前提とした単価により下請代金の額を定めていた。」

というのが追加されました(p57)。

しかし私は、これは行き過ぎというか、少なくとも買いたたきの典型例としてテキストに載せるのはいかがなものかと思います。

(なお似たような例が、現在パブコメ中の運用基準改正案にもあります。)

テキストのその前の従前からある例で、

「産業用機械の部品の製造を下請事業者に委託しているA社は、下請事業者に2,000個発注することを前提として下請代金の単価について交渉し合意したところ、実際には300個しか発注しなかったのに2000個発注することを前提とした単価を適用した。」

というのがありますが、これならわかります。

というのは、部品を作るには金型の作成やら何やら固定費がかかるわけで、2000個で固定費を回収するつもりだったのに300個しか発注しないとなったら、それは下請が怒るのは当然です。

でも今回追加された設例では、そのようなことが一般的にいえるのでしょうか?

「量産が終了」しているわけですから、いちおう固定費は回収されているはずです。

もし最低生産ロット数にも大幅に満たないような個数を発注する(たとえば一度工場のラインを動かしたら最低でも1000個できてしまうのに10個しか発注しない)、というような場合ならわかりますが、世の中、そのような場合ばかりではないのではないでしょうか。

少なくとも、上記の「2000個発注の予定が300個発注」の例に比べれば、新たに加えられた例は非常に限界があいまいというか、そもそもどのような場合が買いたたきになるのかがきわめてわかりにくくなってしまったといわざるをえません。

それは結局、新たな設例に確固とした理論的裏付けがないためです。

少なくとも新しい設例は、前述のような、最低生産ロット数にもみたない発注の場合を想定していることを明記するなりすべきでしょう。

設例では、たんに従来から「大幅に」発注数量が減っているだけで違法になる、としか読み取れません。

でも大量生産が終わってるならふつうは金型など生産設備の減価償却も終わっているはずで、最低生産ロットの問題さえなければむしろ原価は安くなっている可能性すらあります。

親事業者は下請テキストの場当たり的な修正に振り回されることなく、実質的な違法性がどこにあるのかをよく考えて、最終的には、

「同種又は類似の内容の給付に対し通常支払われる対価に比し著しく低い」

かどうかが買いたたきの要件であることを心にとどめて、事案に応じた適切な判断をしてくことが必要だと思います。

運用基準改正案をみても買いたたきの例が大幅に追加されていますし、どうも、安倍政権のデフレ対策を下請法を通じておこなうというにおいがプンプンします。

下請法はほんらい独禁法の優越的地位の濫用を簡易迅速に処理するための法律で、だからこそ適用対象も資本金額などで割り切っているわけですが、買いたたきにこのような極めて実質的な(ケースバイケースの)判断を要する行為類型にこのような設例が加えられると、同じことを下請事業者以外に対してやったら優越的地位の濫用にもなるのではないかということが当然に問題になるわけです。

もともと買いたたき規制は市場競争への露骨な介入であるわけですから、謙抑的に運用されるべきで、実際、これまではそのようにされていました。

最近の公取の動きを見ていると、ほんとうに、そのようなタガが外れてしまった感じがします。(しかも正式な勧告ではなく注意ですますところが、たちが悪いです。)

競争当局としての誇りはどこにいってしまったのでしょうか。

2016年10月 5日 (水)

テレビ局と検索エンジンと「業として」の有償性

平成27年11月版の下請法講習テキストp19に、

「Q16: 放送番組に使用する番組のタイトルCG,BGM等の音響データの作成は情報成果物作成委託に該当するとのことだが,これらについては,プロダクションの担当者が放送局に来て,ディレクターの指示のままに作業をする場合には,情報成果物作成委託には該当しないと考えてよいか。」

「A: 放送局がプロダクションに委託する業務の内容が,放送局においてディレクターの指示のままに作業をすることというものであれば,それは情報成果物作成委託でなく,放送局が専ら自ら用いる役務の委託であることから,本法の対象とはならない(情報成果物作成委託にも役務提供委託にも該当しない。)。

なお,それが労働者派遣法の対象となるような場合には,本法の対象とはならない。」

というQ&Aがあります。

この考え方自体、そんなこと言いきって大丈夫かという疑問がないではないのですが(指示のまま作業するといっても、プロダクションの担当者のスキルや専門性が反映されることがあるのではないか?)、今回それはひとまず措いて、設問の本筋とは違うところでちょっと疑問があります。

それは何かといえば、情報成果物作成委託の類型1は、

「情報成果物を業として提供している事業者が,その情報成果物の作成の行為の全部又は一部を他の事業者に委託する場合」

という場合ですが、下請法運用基準の役務提供委託に関する説明(第2-4(2))では、

「『業として行う提供の目的たる役務』のうち『業として行う提供』とは、

反復継続的に社会通念上事業の遂行とみることができる程度に行っている提供のことをいい、純粋に無償の提供であればこれに当たらない。」

と、有償でなければならないことが明記されています。

そうすると、放送局の放送は、地上波なら無償なのですから、タイトルCGを番組で使って視聴者に提供しても無償の提供なので、「業として」にあたらないのではないか?という疑問がわきます。

考えられる理屈としては、地上波放送でもテレビ局は広告主から収益を得ているのだから「純粋に無償」とはいえない、というのが考えられますが、心情的には理解できるものの、運用基準の説明では、

「業として行う提供の目的たる役務」

の説明として、

「純粋に無償の提供であればこれに当たらない」

といっているのですから、「提供」(←当然、視聴者への提供のことでしょう)が無償かどうかを問題にしているのであって、つまりは、提供の相手方からお金を採るかどうかを問題にしているのであって、提供の相手方からお金は取らないけれどほかの第三者からお金を取る場合を、

「有償の提供」

と解釈するのは、相当無理があるように思われます。

つまり「有償の提供」というのは、提供の相手方からお金を取らない提供のことではないのか、ということです。

無償の提供は業としての提供に当たらないことが表れているテキストのQ&Aとして、p18に、

「Q11: 景品の製造を委託した場合も本法の対象となるか。」

「A: いわゆる景品は,商品に添付されて提供される場合,有償で提供している商品の一部として提供がなされているため製造委託(類型1)に該当する。また,純粋に無償で提供している景品であっても,自家使用物品として当該景品を自社で業として製造している場合には,製造委託(類型4)に該当する。」

というのもあります。

でもこのQ11をみても、やはり景品提供の相手方から実質的にお金を取っている(本体商品の代金として取っている)から有償なのだ、とは読めても、まったく異なる第三者からお金を取っても有償と解釈するのだとは読めないと思います。

さらに言えば、

テレビ番組制作の取引に関する実態調査報告書

でも、

放送コンテンツの製作取引適正化に関するガイドライン

でも、テレビ局と番組制作会社との間の取引に下請法が適用されることは、当然の前提にされています。

(実態調査報告書のときに何か議論があったのか、ぜひ公取委の人に聞いてみたいところです。)

ですが、もし第三者からお金を取るのも有償の提供だとすると、たとえば、ある商店街が、町内のお祭りのときに、自己の店舗にお客さんを呼びこむために団扇(うちわ)を通行人にただで配ることを企画して下請に製造委託したときに、その団扇の費用の一部に充てるために、ある都市銀行の広告を団扇に載せて、その広告代をその都市銀行から徴収したら、その団扇の提供も「有償」の提供になってしまいそうな気がします。

それはいくらなんでも非常識でしょう。

(「非常識」といいましたが、もっと考えてみると、団扇代の一部に充てるくらいなら可愛らしいものですが、団扇代を超える広告料を都市銀行から取って商店街に利益が出たりすると、テレビ局とどこが違うのか、という気もしてきます。)

ですが他方で、民放の地上波放送が無料だからといって、「純粋に無償」だというのは、かなり引っかかるのも事実です。

(NHKなら問題なく有償なのでしょうけれど。)

民放の地上波放送を「純粋に無償の提供」というのは心情的に抵抗があるとしたら、では、インターネットの検索エンジンは「純粋に無償の提供」なのでしょうか?

われながら理屈ではうまく説明できませんが、インターネットの検索エンジンのほうがまだ、「純粋に無償の提供」というのに抵抗感はないような気がします。

いずれにせよ、テレビ局(NHKを除く)の放送をすべて「純粋に無償の提供」として、番組の一部を構成する映像や音声の下請がすべて下請法の対象外というのはさすがに受けいれがたい結論だと思いますので、結論としては、下請法の対象と解するのでしょう。

実際には、テレビ局は自分でもタイトルCGは作っているでしょうから、情報成果物作成委託の類型3(自家使用の情報成果物)に該当することが多いので、実際には問題ないのかもしれませんが、では自社で作っていないときにはテレビ局と制作会社の取引は下請法の対象外と割り切ってもいいのかというと、なかなかそういうわけにもいかないでしょう。

しかしそもそも、「業として」が有償のものに限るとは下請法には書いていないのですから、運用基準のほうを改正すべきではないでしょうか。

運用基準制定時は商品役務の提供の相手方以外からお金を取る(相手方からはお金を取らない)ビジネスはテレビやラジオくらいだったかもしれませんが、インターネット時代にはいろいろなビジネスが出てくるでしょうから、時代に合わない運用基準はこまめに改正すべきだと思います。

2016年8月29日 (月)

本日日経朝刊の下請法の記事について

8月29日日経朝刊法務面に、

「下請法違反監視強まる 公取委、指導最多『買いたたき』に的」

という記事があります。

その中で、

「発注企業が調達先を分散し、この部品メーカーの納入量は年々減ったのに、単価は据え置かれたままだった。

こうしたケースについて、下請法に詳しい村田恭介弁護士は、『大量発注を前提とした単価に据え置くことは、同法違反の買いたたきに該当しうる』と話す。」

という記述があります。

この村田弁護士のコメント自体は下請法テキストにも同じことが書いてあるので、それ自体は問題ないのですが、そのような考え方が、

「発注企業が調達先を分散し、この部品メーカーの納入量は年々減ったのに、単価は据え置かれたままだった」

という、世の中で普通にいくらでもありそうなケースに適用があるというのは、いくらなんでも厳しすぎると思います。

本当に村田弁護士は、このようなケースに該当するルールとしてこのようなコメントをされたのでしょうか?

(まあ、文末が「うる」なので、たんに可能性を言っているだけだととらえれば、間違いではないのですが、それを言い出すと、

「植村幸也は2020年東京オリンピックで金メダルを取りうる」

というのも間違いではないわけで、この記事をさらっと読んだ読者は大いに誤解するのではないかという気がします。)

この、大量発注を前提にした見積額をそのまま少量発注に適用するというのは、今まで想定されていたのは、たとえば1万個発注する前提で見積もりを出したのに1000個しか発注されなくて、でも同じ金額が適用された、というような極端な場合だったと思います。

(1万個→1000個、というのが、例として適切な割合かは議論のありうるところでしょうが、要するに、固定費が到底回収できないような少量発注だから買いたたきになる、ということです。)

それが、納入量が、「年々減った」、たとえば毎年10%ずつ減ったとして、5年目(1年目の1×0.9^4≒66%(もし毎年20%ずつ減ったら5年目で1年目の41%)になったくらいで買いたたきになるものでしょうか?

この設例では、「価格は据え置かれたままだった」ということになっていますが、同じような例で価格も毎年5%ずつくらい下げさせているものも、とくにこのデフレのご時世ですから、世の中ではいくらでもあるのではないでしょうか。

さらに設例では、「発注企業が調達先を分散」したのが納入量が減った原因ということになっていますが、もっと世の中で普通にありそうな、たんに発注企業の完成品の需要が年々減ったので下請への部品発注量も年々減った、という場合でも買いたたきになるのでしょうか?

親事業者側の事情(調達先を分散したか、完成品の売れ行きが悪いか、など)は、買いたたきの判断には影響しないはずなので(買いたたきの要件は、「同種又は類似の内容の給付に対し通常支払われる対価に比し著しく低い下請代金の額を不当に定めること」ですが、この「不当に」に親事業者の完成品の売れ行きが悪いことを含めて読むのは、下請法のこれまでの解釈からして相当無理があります)、親事業者の完成品の需要が年々減った場合にも、買いたたきになると解さざるをえないのではないでしょうか?

というわけで、わたしはこの記事の設例はかなり問題だと思っています(ちょっと煽りすぎです)。

この記事によれば、

「平成14年度以降、『買いたたき』(で公取委が指導した件数)が急増。

15年度の指導は631件と2年前の7倍強となり、違反件数全体を押し上げている。」

ということなので、ここ最近で指導のレベルでは買いたたきの執行が強化されたのかもしれませんが、もし、「納入量が年々減った」というくらいで指導しているとしたら、市場経済への露骨な介入です。

もしそんなことを本気でやっているとしたら、当事務所の長澤弁護士が同記事で、

「特に製造業は調達のグローバル化が進んでいる。下請法の厳格な運用を嫌って外資系企業が発注を減らしたり、国内の大企業が海外調達を加速したりすれば元も子もない」

とコメントしているとおりの懸念が生じるでしょう。

これは予想ですが、納入量が「年々減った」場合に勧告までいくのは、ちょっと考えられなくて、今後もせいぜい指導どまりだと思います。

過去の事例でも買いたたきで勧告になったのは、かなり特殊な事例です。納入量(納入金額ではありません)が「年々減った」くらいで据え置きが買いたたきで勧告になるとはとうてい思えません。

そもそも買いたたきの指導の中には、明らかに違法となるようなものはほとんどないと想像されますが、そのような、明らかに違法とはいえないような指導に対してどのような対応をとるかは、それぞれの親事業者の考え方次第だと思います。

ただ、親事業者の側も、そういう指導もありうることを想定して、発注量が減っても据え置くことの正当性を裏付ける資料を準備しておいたほうがよいかもしれません。

それと、公取委も、独立行政委員会なのですから、あまり政府の意向で運用方針を大きく変えるのはいかがなものかと思います。

公取委が独立行政委員会であるのは、政府からの独立性を保つためなのではなかったのでしょうか。

べつに今の日本で競争政策が政府から独立していなければならないとは思いませんが、委員会方式は、

意思決定が遅くなるとか、

大臣庁の大臣にくらべて委員長がリーダーシップを取りにくいとか、

委員のポストが財務省の天下り先になるとか、

いろいろデメリットもあるわけで、政府べったりの組織なら独立行政委員会である必要はないのではないかという気がします。

2016年4月 6日 (水)

下請法5条書類規則の脱字!

5条書類規則(「下請代金支払遅延等防止法第五条の書類又は電磁的記録の作成及び保存に関する規則(平成十五年十二月十一日公正取引委員会規則第八号)」)の1条1項2号は、政府法令データによると、

「製造委託、修理委託、情報成果物作成委託又は役務提供委託(以下「製造委託等」という。)をした日、下請事業者の給付(役務提供委託の場合は、役務の提供。以下同じ。)の内容及びその給付を受領する期日(役務提供委託の場合は、下請事業者がその委託を受けた役務の提供をする期日(期間を定めて提供を委託するものにあっては、当該期間)、並びに受領した給付の内容及びその給付を受領した日(役務提供委託の場合は、下請事業者からその役務が提供された日(期間を定めて提供されたものにあっては、当該期間))」

となっています。

でもこれ、よ~くみると、括弧閉じ(「 )」)が、一つ抜けているみたいです。わかりますか?

正しくは、

「製造委託、修理委託、情報成果物作成委託又は役務提供委託(以下「製造委託等」という。)をした日、下請事業者の給付(役務提供委託の場合は、役務の提供。以下同じ。)の内容及びその給付を受領する期日(役務提供委託の場合は、下請事業者がその委託を受けた役務の提供をする期日(期間を定めて提供を委託するものにあっては、当該期間)、並びに受領した給付の内容及びその給付を受領した日(役務提供委託の場合は、下請事業者からその役務が提供された日(期間を定めて提供されたものにあっては、当該期間))」

ですね。

見やすく改行をいれると、

「製造委託、修理委託、情報成果物作成委託又は役務提供委託(以下「製造委託等」という。)をした日、

下請事業者の給付(役務提供委託の場合は、役務の提供。以下同じ。)の内容

及び

その給付を受領する期日

(役務提供委託の場合は、下請事業者がその委託を受けた役務の提供をする期日(期間を定めて提供を委託するものにあっては、当該期間)

並びに

受領した給付の内容

及び

その給付を受領した日

(役務提供委託の場合は、下請事業者からその役務が提供された日(期間を定めて提供されたものにあっては、当該期間))」

です。

下請テキストも、黄色い六法も、全部同じでした。

だいぶ以前に企業結合届出規則の誤字を指摘したこともあるのですが、こちらは、一応論理的には成り立つものでした。

でも今回の5条書類規則のは、明らかに脱字です。

こういうことって、あるのですね。

2015年7月26日 (日)

村上他編著『条解独占禁止法』の連続して提供する役務の支払期日の起算点に関する説明

下請法運用基準では、

「・ 下請代金の額の支払は、下請事業者と協議の上、月単位で設定される締切対象期間の末日までに提供した役務に対して行われることがあらかじめ合意され、その旨が三条書面に明記されていること。

・ 3条書面において当該期間の下請代金の額が明記されていること、又は下請代金の具体的な金額を定めることとなる算定方式(役務の種類・量当たりの単価があらかじめ定められている場合に限る。)が明記されていること。

・ 下請事業者が連続して提供する役務が同種のものであること。」

という3つの要件が満たされている場合には、月単位で設定した締切対象期間の末日に連続した役務が提供されたと扱ってよい(それを支払期日の起算点にしてよい)と書いてあります。

これに対して、村上他編著『条解独占禁止法』p918では、2つめの要件について、

「②3条書面に当該機関の下請代金の額(算定方法も可)が明記されていること」

と説明されています。

しかし、これは端折りすぎではないでしょうか。

下請法運用指針によれば、下請法上認められている下請代金の額の算定方法は、

「下請代金の額の算定の根拠となる事項が確定すれば、具体的な金額が自動的に確定することとなるものでなければなら(ない)」

ものの、単価が定められている必要は必ずしもなく、たとえば、

「原材料費等が外的な要因により変動し、これに連動して下請代金の額が変動する場合」

でも、算定方法の記載が認められるわけです。

その他の例は、

「プログラム作成委託において、プログラム作成に従事した技術者の技術水準によってあらかじめ定められている時間単価及び実績作業時間に応じて下請代金の総額が支払われる場合」

で、最後がまさに、

「一定期間を定めた役務提供であって、当該期間における提供する役務の種類及び量に応じて下請代金の額が支払われる場合(ただし、提供する役務の種類及び量当たりの単価があらかじめ定められている場合に限る。)」

です。

しかも、2つめの例では単価は「時間単価」であるのに対して、3つめの例では単価は「種類及び量当たりの単価」で、わざわざ書き分けられています。

それなのに、たんに「算定方法も可」と書いたのでは、誤解が生じかねません。

とくに、下請法講習テキストには、労賃単価(役務の単位量当たりの単価ではありません)、原材料単価、為替相場、など様々なパラメーターが例示されており、許される算定方法の記載例がたくさん書いてあるのですから(平成26年11月版ではp25)、下請法を知っている人ほど、これらの多様な算定方法が認められるのだという誤解をしかねないと思います。

たしかに運用指針の例はあくまで例に過ぎないわけで、これ以外はだめだといっているわけではありませんし、そもそも指針に過ぎず法律ではないわけですから、これが絶対的な下請法解釈というわけでもないのですが、実務的には、一定の配慮をしなければならないのが現実です。

実務家向けのコンメンタールが、それを無視するのはいかがなものでしょうか。

もしたんに端折っているだけなら、せめて脚注なりで運用指針の該当箇所に言及するのが親切というものではないかと思います。

反対にもし万が一執筆者が、

「役務の種類・量当たりの単価があらかじめ定められている場合に限らず、あらゆる算定方法が認められるべきだ」

と考えて書いているなら、なおのこと、運用指針に言及したうえで、きちんと自説の根拠を示すべきだと思います。

2015年7月25日 (土)

役務の提供完了報告書と情報成果物作成委託

調査レポートのような報告書は情報成果物の典型で、下請法の適用がありえます。

親事業者が他者から作成を請け負ったレポートを再委託する場合には類型2ですし、親事業者が自己使用するためのレポートの作成を委託する場合には、親事業者自身が同種のレポートを作成しているときに限り、類型3で下請法の適用があります。

ここまでは基本中の基本ですね。

では、役務提供委託に際して、役務の完了報告書を提出させた場合、それ自体独立した情報成果物作成委託になるのでしょうか。

たとえば、分かりやすい自己使用役務の例でいうと、ビルのオーナーがトイレの清掃を清掃業者に委託しているとして、清掃業者が清掃を完了して完了報告書を清掃業者から受け取った場合、常識的に考えて、清掃の委託の部分はオーナーが自己のためにした役務の委託ですから下請法の対象外ですが(自己のためにする役務は下請法の対象外です。これも基本です)、作業の完了報告書の部分だけを取り出して、情報成果物作成委託に該当する、といわれることはないのか(オーナー自身が同種の報告書を業として作成していることが前提ですが)、というのが、ここでの問題です。

やはり、そのような役務提供に付随した報告書は、情報成果物作成委託には該当しないと考えるのが常識的でしょう。

では条文をチェックしてみましょう。

まず、清掃の完了報告書も、「文字・・・により構成されるもの」(下請法2条6項3号)に該当するので、それ自体は情報成果物であるといわざるをえないでしょう。

次に、下請法2条3項では、情報成果物作成委託の類型3を、

「〔親〕事業者が

その使用する情報成果物の作成を業として行う場合に

その情報成果物の作成の行為の全部又は一部を

他の事業者に委託すること」

と定義しています。

1つには、清掃の完了報告書のようなものは、親事業者が「使用する」とはいえない、という解釈が思い浮かびます。

つまり、清掃の完了報告書は、清掃業者が自己の債務の履行を立証するために提出するものであって、親事業者がこれを使用するために受け取るものではない、という解釈です。

しかし、たとえば内閣法制局法令用語研究会編『法律用語辞典』(有斐閣)では、「使用」は、

「普通には、その物の有する機能性質によって定まる用方、すなわち、本来の用方に従って消費し、又はそのまま使うこと」

と説明されており、清掃の完了報告書は清掃が完了したことの記録として用いるのが本来の用法そのものですから、これを「使用」に該当しないというのは無理があるでしょう。

(ちなみに、同書の「用方」というのは、一瞬、「用法」の誤記かと思いましたが、同書では『用方(ようほう)』も、

「物の自然的性格に即した本来の経済的目的に合する使用方法。・・・なお、物の用い方、使用の方法という意味では『用法』が用いられる。」

と、きちんと定義されて載っています。さすが法制局、誤記などするはずがありません!)

なので、たとえば親事業者が自社オフィスの清掃を完了したら社内報告書を作成することを業としていた場合には、その社内報告書は、「その使用する」情報成果物であるといわざるをえないと思います。

次に考えられるのは、「委託」していない、という解釈です。

下請法には、「製造委託」や「役務提供委託」といった用語の定義はあるのですが、「委託」という言葉の定義はありません。

一応、下請法運用基準では、

「なお、この法律で『委託』とは、事業者が、他の事業者に対し、給付に係る仕様、内容等を指定して物品等の製造(加工を含む。)若しくは修理、情報成果物の作成又は役務の提供を依頼することをいう。」

という説明がありますが、「仕様、内容等を指定」しているか否かが「委託」か否か(たとえばたんなる売買か)にかかわってくるのは製造委託くらいで、その他の役務提供委託や情報成果物作成委託は基本的にみな「一品もの」なので、この定義の「仕様、内容等を指定」で清掃の完了報告書の範囲を絞るのはちょっと無理でしょう(清掃の完了報告書とはいえ、内容は「一品もの」なわけですし)。

では、「依頼」していない、という解釈は可能でしょうか。

つまり、清掃の完了報告書は清掃業者が自己の債務の弁済を立証するために作成しているのであって、発注者からは「依頼」していない、という理屈です。

この理屈が成り立つ場合も確かにあるでしょう。

でもそういう、清掃業者が自発的に報告書を提出してくる場合には、完了報告書の発注もないわけですから、下請法の適用がないのは当然で、むしろ問題になるのは、契約書で報告書の提出を義務付けているような場合です。

では、契約書で清掃の完了報告書の提出を義務付けている場合にも、「依頼」に該当しないと解することは可能でしょうか。

そこで再度、前出の『法律用語辞典』を見てみると、「委託」は、

「一般に、法律行為又は事実行為を他人又は他の機関に依頼すること」

と説明されています。

私には、この「委託」の定義は、本来、本人がやるべき、あるいはやってもよいような法律行為や事実行為を、あえて他人にやらせる、というニュアンスを含んでいるようにみえます。

実際、「委託」は、「委ねる」、「託す」ということですから、本来本人がやることが予定されているはずです。

とすると、清掃の完了報告書のようなものは、どう転んでも発注者が作成することは不可能、といいますか、発注者がまったく同じ内容の報告書を作っても意味がないわけで、作業を行った本人である清掃業者が作成してこそ意味がある、と思うのです。

とすると、日本語本来の「委託」の意味を尊重して、また、運用指針の「依頼」にそのような意味も込めることとして、仮に契約書で完了報告書の提出を義務付けていても、それは本来下請事業者がやるべきことであって、本来発注者がやるべきことを「依頼」しているものではない、と考えることにしたいと思います。

ちなみに下請法講習テキストにも作業の完了報告書を単独の役務提供委託とみないことをうかがわせる記載がいくつかあります。

たとえば、p42のQ67では、(情報成果物作成委託関係)というくくりの中で、

「プログラムの作成委託において,給付の内容を確認するため,プログラムの納品に併せて下請事業者に最低限の証拠資料(単体テスト結果報告書等)を提出させることとし,プログラムの納品時に証拠資料の提出がない場合には,証拠資料の提出後にプログラムを受領したこととしたいがよいか。」

という設問に対して、

「あらかじめ親事業者と下請事業者との間で,親事業者が支配下においたプログラムが一定の水準を満たしていることを確認した時点で給付を受領したこととすることを合意しており,プログラムの納品に併せて当該確認を行うための証拠資料の提出を求めている場合において,証拠資料の提出が遅れた場合に,証拠資料の提出後にプログラムを受領したこととしても問題はない(ただし,3条書面に記載した納期日にプログラムが親事業者の支配下にある場合には,内容の確認が終了していなくても3条書面上の納期日が支払期日の起算日となる。)。

なお,この場合には,委託した給付の内容に証拠資料の提出を含むこととし3条書面にその旨記載して発注するとともに,証拠資料の作成の対価を含んだ下請代金の額を下請事業者との十分な協議の上で設定して発注する必要がある。」

と回答されています。

(なお、内容は同じなので上記引用は平成18年11月版のテキストからコピペしました。コピペできない設定のPDF版が多いので、後日の便宜のため、18年版を貼り付けておきます。)

「1811koushuu_text.pdf」をダウンロード

この設問からは、証拠資料としての報告書自体を情報成果物とみていることはうかがわれず、あくまでプログラムの作成が情報成果物作成委託だととらえられているようにみえます。

そうでなければ、報告書自体の納期(?)とか、報告書自体の対価(?)とかが必要になるはずです。

「委託した給付の内容に証拠資料の提出を含むこととし」、とか「証拠資料の作成の対価を含んだ下請代金」を定めろとか、報告書自体、委託の対象といっているようにも読めるのが気持ち悪いですが、そこは、「きっとそこまで深く考えてはいないだろう」ということで、目をつむりましょう。

3条書面に書けというのもとても気持ち悪いですが、これも、報告書自体を発注対象とするなら、報告書自体の納期を書かないといけないはずで、そこまでのことはこの回答からはやはり読み取れないと思います。

他の例としては、p43のQ70では、(役務提供委託関係)のくくりの中で、

「Q69: 運送委託において,下請事業者からの配達報告が届いた時点を『役務を提供した日』としてよいか。

A: 『役務を提供した日』とは,当該役務が完了した日であり,報告書の届いた日ではない。」

というのがあり、ここでも、役務の完了報告書それ自体が情報成果物であるという観点からの分析はありません。

と、いうわけで、役務のたんなる完了報告書を作成させることは、独立した情報成果物作成委託とはみない、ということでかまわないと思います。

2015年5月28日 (木)

村上他編著『条解独占禁止法』の代金減額に関する気になる記述

村上他編著『条解独占禁止法』p920の、下請代金の減額が許される「下請事業者の責に帰すべき理由」の説明で、

「『下請事業者の責に帰すべき理由』があるとして、下請代金の額を減じることができるのは、具体的には、次の場合〔注・瑕疵がある場合など〕に限定される。」

としています。

ここまでは、「次の場合」の①~③も含め、下請法講習テキストの記述と同じなので問題ないのですが、問題なのは、それに続けて、村上『条解』では、

したがって、下請事業者と下請代金の減額を行うことについてあらかじめ約束ができているような場合でも、その特約を理由にして下請代金の減額を行うことは許されない。

と解説されているところです。(この部分は下請講習テキストにはありません。

(なお、以下、当初合意が3条書面に記載されていても減額は認められないという趣旨と思われるので、以下でもその前提です。)

しかし、実際にはそんなことはありません。

昨日このブログでも書いたように、公取委や中小企業庁の数多くの文献で、当初合意があるのに減額が認められない場合として、「下請事業者に責任がない」という要件が、必ず入っています。

そして、そこでの当初合意の存在を前提に「責任」があるとして減額できる場合というのは、けっして、上記①~③の場合に限定する趣旨ではありません。

といか、①から③は、当初合意の存在を前提としたものではありません。

というのは、①から③は、

① 下請事業者の責めに帰すべき理由(瑕疵の存在、納期遅れ等)があるとして、受領拒否、返品した場合に、その給付に係る下請代金の額を減じるとき

② 下請事業者の責めに帰すべき理由があるとして、受領拒否、返品できるのに、そうしないで、親事業者自ら手直しをした場合に、手直しに要した費用を減じるとき

③ 瑕疵等の存在又は納期遅れによる商品価値の低下が明らかな場合に、客観的に相当と認めらる額を減じるとき

ですが、これらの理由はその内容に対応する当初合意があろうがなかろうが減額できることがあきらかであり、ということは、①~③は同じ内容の当初合意の存在を想定したものではないことがあきらかだからです。

というわけで、講習テキストの(ア)~(ウ)(村上『条解』では①~③に相当)の記述は、あくまで、当初合意がなくても(当初合意の有無にかかわらず)「下請事業者の責に帰すべき理由」として認められるのは、この3つに限られる、といっているだけなのです。

「あらかじめ〔つまり、発注時点で〕約束ができている」ということは、「責に帰すべき理由」とは異質なものだと思います。

(ただ、「あらかじめ」であっても減額は認められない、というのを条文のどの文言にひっかけるかというのは、難しい問題です。というのは、下請講習テキストでは、代金減額というのは、発注後、事後的に減額することだと説明されているからです。

このように、下請法は文言がおろそかにされている法律なのですが、しかしだからこそ、われわれ弁護士は、わずかな論理的矛盾もゆるさない厳密な解釈を心がける必要があると思います。)

そういう異質なもの(当初合意)に関する解釈論を、①~③に限定されることを理由に認められないと説明してしまうと、たとえば同書のその次の、「ボリュームディスカウント等合理的理由に基づく割戻金」が認められる理由の説明に窮してしまいます。

百歩譲って、もし当初合意の話をここに入れるなら、せめて、

「したがって、下請事業者と下請代金の減額を行うことについてあらかじめ約束ができているような場合でも、『下請事業者の責に帰すべき理由』があるとして代金減額することは認められない

と書くと、論理的整合性は保たれるでしょう。

しかし、そうすると、当初合意と帰責理由という異質なものが一緒くたになっていることがますます目立ってしまい、読者の混乱を招きそうです。

つまり、このような修正を読んだ読者は、

「ほかの理由による減額は認められるのか?」

という疑問を持つか(ボリュームディスカウント等、認められます)、あるいは、

「当初合意と帰責理由は別問題から、あたりまえじゃん(何か深い意味でもあるのかな?)」

と思うでしょう。

これに対して、現状の『条解』の該当部分を読んだ読者、とくに、弁護士のようなプロでない読者は、

「そうか。下請事業者と下請代金の減額を行うことについてあらかじめ約束ができているような場合でも、その特約を理由にして下請代金の減額を行うことは(①~③の場合を除いて)許されないんだな。」

と素直に誤解するでしょう。(はっきりそう書いてあるのですから、そうとしか読みようがありません。)

村上『条解』の下請法の部分は基本的に下請法講習テキストに依拠しているのですが(p893に明記されています)、最初に上記「したがって・・・」以下をみたとき私は、

「んんん???(そんなことないだろう。講習テキストにそんなこと書いてあったっけ?)」

と思ってしまいました。

やはり、講習テキストそのままの部分とそれ以外の著者独自の見解の部分は、きちんと分けた方がよいのではないでしょうか。

著作権法32条の引用の要件の問題はさておき、コンメンタールとしての使い勝手や信頼性の面からも、その方が良かったと思います。

それから、やはり他人が書いた文章に加筆するときは、こういう思わぬところでミスが起こりがちなので、怖いですね。私も(こういう「加筆」はやったことはありませんが、将来「補訂」とかはするかもしれないので)気を付けたいと思います。

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