下請法

2020年7月12日 (日)

不可抗力により成果物が納入できなかった場合の下請代金の支払い義務

コロナ禍で下請事業者が原材料や部品を調達できないなど、下請事業者の不可抗力(※)で製造委託等の成果物を親事業者に納入できない場合に、親事業者は、それでもなお下請代金を支払う義務を負うでしょうか。

(※なお、新型コロナが原因だからといって常に不可抗力になるわけではなく、法務省のサイトでは、「新型コロナウイルス感染症の影響で,商品を仕入れることができなくなった場合の留意事項について」として、

「商品を仕入れて顧客に売却する契約を締結していたところ,商品を仕入れることができなくなり,顧客に契約どおり商品を引き渡すことができなくなった場合には,契約上の義務を履行することができなかったことの責任(債務不履行責任)として,相手方に対する損害賠償義務等を負うこととなります。

もっとも,新型コロナウイルスの影響があったために債務者に帰責事由がないと評価される場合には,その責任を負いません。帰責事由の有無の判断は事案ごとに判断されるものであり,一概にはいえませんが,個々の契約の性質,目的,締結に至る経緯等の諸事情や社会通念を勘案して判断されます。」

と説明されており、ケースバイケースの判断ということになっていますが、まあコロナがこれだけ世界中で騒動になれば不可抗力であることが多いでしょうし、日本企業は基本的にまじめなので自分の怠慢を不可抗力だと言い張ることも少ないでしょうから、以下では一応、コロナは不可抗力であるという前提で説明します。)

この点については、下請代金を支払う義務はないと考えてよいでしょう。

下請法4条1項3号では、

「下請事業者の責に帰すべき理由がないのに、下請代金の額を減ずること」

が親事業者の禁止行為とされています。

これを文字通り読むと、「下請事業者の責に帰すべき理由がない〔=不可抗力〕のに、下請代金の額を減ずること」はできず、代金の減額ができないのなら当然、代金全額の支払い拒否(=100%減額)もできない、ということになりそうです。

ですが、目的物の納品を受けていないのに代金だけは支払わないといけないなんて、どう考えても非常識でしょう。

そんなことを下請法が強制しているとはとうてい思えません。

(もちろん、契約で不可抗力なら代金支払義務はあると定めておけばできるのでしょうが、実務上、下請事業者にそこまで有利な契約があるはずもなく、特に特約がない場合にも代金全額の支払いを下請法が強制するのか、というのがここでの問題です。)

実際、令和元年版下請法テキストp52では、

「「下請事業者の責に帰すべき理由」があるとして,下請代金の額を減ずることが認められるのは,具体的には,以下の場合に限られる。

(ア) 下請事業者の責め〔ママ〕に帰すべき理由(瑕疵の存在,納期遅れ等)があるとして,受領拒否又は返品することが本法違反とならない場合に,受領拒否又は返品をして,その給付に係る下請代金の額を減ずるとき。〔以下省略〕」

とされており、「瑕疵の存在」や「納期遅れ」が、当然に「下請事業者の責に帰すべき理由」にあたることを前提にしているとしか読めない解説がされています。

つまり、不可抗力による瑕疵や不可抗力による納期遅れを「下請事業者の責に帰すべき理由」にあたらないという解釈なのであれば、この部分は、

「下請事業者の責に帰すべき理由(下請事業者の過失による瑕疵の存在、下請事業者の過失による納期遅れ等)」

とでもしたはずであり、何も限定を付けずに「瑕疵の存在、納期遅れ等」を下請事業者の責に帰すべき理由の例として挙げている以上、瑕疵や納期遅れは例外なく「下請事業者の責に帰すべき理由」にあたると考えるほかないと思います。

このように、瑕疵や納期遅れという外形的によって下請事業者の責に帰すべき理由かどうかを決定するのは、形式的に解釈すべき下請法の趣旨にも合ったものだと思います。

もし瑕疵や納期遅れ(その極端な例としての納入不履行)があったにもかかわらず、さらに下請事業者の過失の有無を判断しなければならないとすると、公正取引委員会が過失の有無という民法上のきわめて微妙な判断をしなければならないことになり、実務上、とうてい無理です。

公正取引委員会と交渉した私の過去の経験からですが、公正取引委員会の下請法の運用をしている人たちは、民法上、どの時点で申し込みの意思表示があって、どの時点で承諾の意思表示があったのかすらまともに認定できない(する気がない)くらい、民法に無頓着な人たちなので、そういう人たちが民法上の過失の有無を判断するつもりがあるとはとうてい思えませんし、おそらくその能力もないと思います。

というわけで、下請法上は、瑕疵や納期遅れがあれば当然に下請事業者に責に帰すべき理由があったことになると考えて差し支えないと思われます。

とすると、仮にコロナの不可抗力のために原材料や部品が調達できないために下請事業者が委託物を納入できない場合も「責に帰すべき理由」があり、親事業者は代金を支払う必要はないと考えられます。

ちなみに公正取引委員会から公表されている「新型コロナウイルス感染症拡大に関連する下請取引Q&A」でも、この、コロナによる原材料調達不能という、もっともありそうな事例についてまったく触れられていません。

このQ&Aをみればわかりますが、全体的に(いつもながら)とても下請事業者寄りの説明がなされています。

それにもかかわらず下請事業者が最も困りそうな、しかもコロナで典型的にありそうな、原材料調達不能の場合についてなにも触れていないということは、公正取引委員会としても、「コロナで原材料が調達できないために製造委託物を納品できない場合には、親事業者は、納品を受けなくても代金は全額支払う義務がある」などとは、はなから考えていない(論点になるとすら気づいていない)というべきでしょう。

ふつうの経済状況では、不可抗力による納入不能なんてまず問題にならないのですが、今回のコロナのような異常事態があると、こんなところに隠れた論点があることがわかる、という例だと思います。

2020年6月17日 (水)

下請法の自発的申出制度(下請法リニエンシー)は義務ではありません。

今年も毎年恒例の下請法書面調査の季節がやってきました。

ところで、とある依頼者の方から質問を受けてなるほどと思ったのですが、下請法の親事業者向け書面調査票の最後には、

「※ 下請法違反行為の自発的申出について(本調査の回答には同封しないでください。)

公正取引委員会では,下請法違反行為を自発的に申し出た親事業者の取扱いについて公表しています。詳細は,公正取引委員会のウェブサイト「https://www.jftc.go.jp/shitauke/shitauke_tetsuduki/081217.html」を御覧ください。

この自発的申出を行う際には,自発的申出書を作成し,本調査の回答とは別に「下請取引調査室企画調整係」宛に提出してください。」

という記載があります。

これって、「自発的申出書は書面調査の回答書には同封しないで」といっているだけなのですが、読みようによっては、書面調査回答の一環として、自発的申出をしないといけないように読めないでしょうか?

とくに、書面調査に回答する過程で違反が見つかった企業は回答書で「違反あり」にチェックをするわけで、そのチェックをしたあとに「自発的申出を行う際には、自発的申出書を作成し・・・提出して下さい」と締められていれば、提出しなきゃいけないと考えるのはもっともなことだと思います。(チェックしただけで何もしないのが気持ち悪い。)

たしかに、「自発的」という言葉はありますし、「・・・行う際には」なので、「行う」ことが義務ではないということが読み取れるのですが、最後に、「・・・提出して下さい。」と書かれてあるので、自発的申出制度を知らない人が初めて見ると、さも提出することを要請されているようにも読めると思われす。

せめてこれが、「・・・提出することができます。」なら、違った捉えられ方もするのでしょうけれど、お役所に「提出して下さい。」と言われたら、提出するもんだ、と思うのが人情のような気もします。

実は私も最近似たような経験をして、とある場所で講義をする準備をしているときに、主催者から求められた提出書類の中に「過去の予防接種の記録の提出をお願いします。」と書いてあり(もちろんコロナが理由です)、なんでそんなプライバシーにかかわることを出さないといけないのかと抗議の電話をしたら、案の定といいますか、「あくまで『お願い』ということです。」という回答でした。

でも、普通の社会人が「提出をお願いします」と言うのを読んだら、提出しなけりゃいけないものだと思うのではないでしょうか?

やっぱりこういうときは、「あくまで任意です」と明記すべきでしょう。

そういう意味で、「提出して下さい」というだけなのは、ちょっと配慮が足りないと思います。

しかも書面調査の質問票の中にこれを書かれると、受け取る側はどういう立場に置かれるのかを想像しないといけません。

つまり、親事業者が質問票に回答するために社内調査をして違反が見つかってしまい、「違反あり」と書面調査に回答せざるをえない状況になって、さてどうしようか、という状況に置かれるわけです。

その状態で「自発的申出を行う際には・・・提出して下さい。」という一文を読めば、(どうせ「違反あり」で回答するのだから)「自発的申出しなきゃ」と思ってしまうわけです。

この点が、独禁法のリニエンシーでは通常公取委の調査を受けていない状態で申立の是非が検討される(もちろん立入検査前の平時の話です)のと、決定的に異なります。

そもそも、下請法の自発的申出制度とは、下請法違反を発見した事業者が自発的に公取委に違反事実を申告した場合には正式処分である勧告がなされない、という制度です。

独禁法のリニエンシーにならって作られた制度ですが、独禁法のリニエンシーが法律上定められた制度で、課徴金の減免率まで法律で定まっているのに対し、下請法の自発的申出制度は、あくまで公取委の運用にすぎません。

この自発的申出制度はかなり活発に用いられていて、

(令和2年5月27日)令和元年度における下請法の運用状況及び企業間取引の公正化への取組

によると、令和元年度は78件の申出がなされたとのことです。

注目すべきはそのうち「勧告相当案件数」がたった2件で、残り76件は、もともと勧告にならない軽微な案件(せいぜい指導)だったということです。

この「勧告相当案件」というのは、ざっくりいえば、おおむね1000万円を超える代金減額のことです。

1000万円という基準は、独禁法弁護士は言うまでもなく企業法務の担当者の間では公然の秘密とすらいえないほどの公知の事実で、最近は公取委出身の弁護士さんも堂々と、

「過去の勧告事例からは、下請事業者が被った不利益の合計額がおおむね1000万円以上となる事案において、勧告がなされる傾向にあることが読み取れる。」(公正取引794号61頁)

と書かれるようになったので、わたしも気兼ねなくいろいろな場所でお話ししています。

以前はこの1000万円というのはかなり絶対的な基準で、1000万円切るか切らないかで公取委との攻防があったりしました。

最近1000万円を切る案件でも勧告がでたときには、この業界ではちょっと話題になったものです。(平成31年4月23日森永製菓に958万2853円減額で勧告)

なので、少額の違反なら勧告にならないことは明らかなのに、どうしてわざわざ自主的申出をする企業がこんなにたくさんあるのか、不思議でなりませんでした。

というのは、自主的申出は、公取委の説明を見てもらえばわかりますが、違反の是正をしたりとか、結構たいへんで、それこそ勧告前提の正式調査を受けたときの負担とどっこいどっこいです。

どうせ自主的申出をしてもしなくても指導止まりの案件なら、結論は変わらず、自主的申出の手続の負担だけが残るわけです。

以上のような自主的申出の制度と勧告基準の意味がわかってれば76件も申請があるのは不可解だし、そもそも自主的申出の制度を知っている人なら少額の違反で申し出ることはないだろう、と思っていました。

そこで、ひょっとしたらこれが原因かも、と思ったのが、冒頭の、調査票の記載です。

これをみて、書面調査の一環として、もし違反が見つかったら自主的申出をするものだと勘違いして申出をする企業が、それなりにいるのではないでしょうか?

そうでなかったら、そもそも下請法の自主的申出なんてマイナーな制度を知っていること自体が不思議です。

ひょっとしたら、下請法にあまり詳しくない弁護士さんの中には、「違反が見つかったら自主的申出をするもんです」というアドバイスをしている人がいるのかもしれませんし、中には弁護士に相談もせず、調査票の「自発的申出書を作成し・・・提出して下さい。」という記載を見て、提出するもんなんだと思って提出した人も、結構いるのではないか、という気がします。

最近のコロナの10万円給付の申請書で、チェック欄にチェックすると申請を放棄したことになってしまうという問題がありましたが、ちょっと似てますね。

あれは、放棄する人は申請書を出さなければいいだけの話なのに、申請書を出しているのに放棄する(=受け取るつもりがないのに申請書を出す)なんていうチェック欄が、一般的な感覚からずれているために起きる問題だと思います。(家族の一部だけ放棄するというのも常識的に考えにくい。)

やっぱり、素直な感覚からずれた記載はこういう誤解を招くわけで、調査票の下請法の自発的申出についても、「・・・提出できます。」とするとか、もっといえば、この記載自体なくすべきでしょう。

そして、万が一書面調査の回答書に自発的申出書が同封されてきたら(まあこの「・・・提出して下さい。」の記載をなくせば、回答に同封する人なんてほとんどいないと思いますが)、それはそれとして受理すればいいだけなのではないでしょうか?

役所の事務処理の便宜のためにこんな誤解を招く記載をするのは、どうかと思います。

親事業者のみなさんは今まさに回答準備中と思われるので、注意喚起したく、書かせて頂きました。

2020年1月 7日 (火)

ギグワークと下請法(と、ついでに消費税転嫁法)

最近東京ではよく見かけるようになったウーバー・イーツのような、アプリで単発の仕事を受けるような働き方をギグ(gig)ワークというらしいですが、ギグ・ワーカーも事業者なので、業務の内容によっては下請法の適用がありうるので注意が必要です。

たとえば、ある会社(ウーバー・ジャパン)が、レストランから配達を受託し、その配達業務を個人事業者に再委託すると、下請法上の役務提供委託にあたります。

つまり、下請法4条2項では、

「「役務提供委託」とは、

事業者〔=Uber〕が

業として行う提供の目的たる役務〔=料理の配達〕の提供の行為の全部又は一部を

他の事業者〔=ギグ・ワーカー〕に委託すること

(建設業(建設業法(昭和二十四年法律第百号)第二条第二項に規定する建設業をいう。以下この項において同じ。)を営む者が業として請け負う建設工事(同条第一項に規定する建設工事をいう。)の全部又は一部を他の建設業を営む者に請け負わせることを除く。)

をいう。」

とされており、これにあたります。

下請事業者が個人事業者の場合には発注者側の資本金は1000万円超で下請法の対象になります(下請法2条7項4号)。

ギグ・ワーカーは労働者ではなく労働法上の保護がおよばないことが問題視されていますが、下請法は逆に事業者を保護する法律なので、この点は問題なくクリアーされます。

下請法が適用されると、3条書面(発注書)を直ちに交付しないといけなかったり(メールも可)、下請事業者の名簿を管理しないといけなかったり、公取委の書面調査を受けたりと、いろいろと大変です。

でも下請法以上に気をつけないといけないのが、消費税転嫁法かもしれません。

というのは、消費税転嫁法では、相手方が個人事業者の場合には、発注者の資本金額を問わず、違反になるからです。

そのため、外国会社(にかぎりませんが)が日本子会社の資本金を小さくして下請法の適用をまぬがれることはできますが、消費税転嫁法の適用をまぬがれることはできません。

もし、ギグ・ワーカーへの委託手数料を税込で定めていたりすると、消費税増税時に手数料をみなおさないと必然的に買いたたきになります。

実際、消費税転嫁法では、この手の、個人事業者(塾講師など)に対する委託料を税込でさだめていたために買いたたきになってしまった例が非常に多いです。

事業者の方で、心当たりのある方は、注意をしましょう。

(※なお、もちろんこの記事は、ウーバーが下請法違反や消費税転嫁法違反をしているという趣旨ではありません。)

2019年12月13日 (金)

既往の支払遅延に対する勧告

下請法4条1項2号では、

「下請代金をその支払期日の経過後なお支払わないこと」

が、支払遅延として禁じられています。

支払遅延に対する勧告は、7条1項で、

「公正取引委員会は、親事業者が第四条第一項・・・第二号・・・に掲げる行為をしていると認めるときは、

その親事業者に対し、・・・その下請代金若しくはその下請代金及び第四条の二の規定による遅延利息を支払い、・・・その他必要な措置をとるべきことを勧告するものとする。」

とされています。

そして、過去に支払遅延があった(つまり、遅れたけど、そのあと満額払った)ことが判明した場合(既往の支払遅延)には、勧告は出ません。

というのは、前述のように4条1項2号では、違反行為が、

「下請代金をその支払期日の経過後なお支払わないこと」

というように現在進行形で規定されており、これを受けて7条1項でも、

「親事業者が第四条第一項・・・第二号・・・に掲げる行為をしていると認めるときは、」

と、「支払わない」という行為を「している」とき、つまり、支払わないという行為が続いているときにかぎって勧告を出せると明記されているからです。

別の言い方をすると、遅れたけどそのあと支払った、という場合は、「支払期日の経過後なお支払わない」のではなく、「支払期日の経過後支払った」ということになり、違反状態はないことになります。

そして勧告についても、遅れたけれどそのあと支払った場合は、

「第4条第1項第2号に掲げる行為〔支払遅延〕をしている

にはあたらず(「支払わない」(4条1項2号)のではなく、遅れたとはいえ既に支払済みなので)、勧告は出ないことになります。

7条1項をみると、

「その下請代金若しくはその下請代金及び第四条の二の規定による遅延利息を支払」

うべきことを勧告するとされているので、元本だけではなくて遅延利息も支払わないと遅延利息の支払のためだけに勧告がでるのではないか、と一瞬思いますが、そうではありません。

7条1項はあくまで、支払遅延を現に「している」場合には、その、遅延「している」下請代金について、元本と利息を支払うように勧告できるという規定であり、元本のほうを(たとえ遅れてでも)支払ってしまえば、支払遅延を現に「している」ことにはならず、そもそも7条1項の要件を満たさないため、遅延利息の支払も勧告されません。

つまり、遅れても支払ってしまえば一切勧告はでません。

この点については、鈴木満『〔改訂版〕新下請法マニュアル』223頁に、

「第7条第1項では、・・・第2号(下請代金の支払遅延の禁止)・・・に違反している場合の勧告を定めている。

すなわち、・・・支払遅延をしているときは下請代金と遅延利息の支払を・・・勧告することとされている。」

とされているのも、同趣旨と思われます。

しかしだからといって4条の2の遅延損害金請求権自体がなくなってしまうわけではなく、もし訴訟を起こせば遅延損害金の支払も命じられると考えられます。

なお、すでに終わった違反行為に対する勧告は7条2項で、

「公正取引委員会は、

親事業者が第四条第一項第三号から第六号〔3号減額、4号返品、5号買いたたき、6号購入利用強制〕までに掲げる行為をしたと認めるときは、

その親事業者に対し、速やかにその減じた額を支払い、その下請事業者の給付に係る物を再び引き取り、その下請代金の額を引き上げ、又はその購入させた物を引き取るべきことその他必要な措置

をとるべきことを勧告するものとする。」

と、別途さだめられています。

どの違反行為かによって既往の行為が勧告対象になったりならなかったりするのは立法論としてはあまり合理性はないと思いますが、ともかく現在の条文と公取委の運用はこのようになっています。

2019年12月11日 (水)

納期の前倒しと不当な給付内容の変更再論

だいぶ以前に、納期を前倒しすることは不当な給付内容の変更(下請法4条2項4号)にあたらないのではないか、と書いたことがあります

理由は、納期は給付の「内容」ではないから、ということです。

ところが、その後に出た、2018(平成30)年11月27日付の公取委と経産省連名の親事業者代表者宛「下請取引の適正化について」という文書では、

「(11) 不当な給付内容の変更・やり直しの禁止

・ 下請事業者に責任がないのに、発注内容の変更(納期の前倒しや納期変更を伴わない追加作業などを含む。)を行い、又は下請事業者から物品等を受領した後(役務提供委託の場合は役務の提供後)にやり直しをさせることにより、下請事業者の利益を不当に害すること。(下請法第4条第2項第4号)」

というふうに、発注内容の変更に納期の前倒しも含まれる、と明記されています。

このように明記されているからには、行政解釈はそうなのだといわざるをえないですが、いろいろ考えてみてもやっぱりこの解釈は(ありえないとまではいえないものの)これまでの公取のさまざまな解釈・文献と整合性がない(つまり、まちがい)と思います。

実は白状すると、わたしも以前この点についてブログで書く前までは、納期を後ろ倒しにすれば受領拒否だし、前倒しにすれば不当な変更だ、と単純に考えていました。

(もちろん、受領拒否は4条1項なので即違法であるのに対して、不当な給付内容の変更は2項なので下請事業者の利益を不当に害する場合にのみ違法、という大きな違いはありますが。)

というのは、そういう説明をいろいろなところで聞いていましたし、結論に強く異論を唱えるほどのことでもないのでさして違和感も感じなかったからです。

ところがあるとき元公取の弁護士さんから、納期は給付の「内容」ではないのだから納期を前倒ししても給付内容の変更にはあたらないのだと当然のように説明を受け、目からうろこが落ちる思いがし、それで、前回の記事を書いたのでした。

その理屈は前回の記事にほぼ尽きているのでご覧いただければと思いますが、一番決定的なのは、下請法テキストp82に、

「「下請事業者の給付の内容を変更させること」とは,給付の受領前に,3条書面に記載されている給付の内容を変更し,当初委託した内容とは異なる作業を行わせることである。」

とはっきり書いてあることです。(引用部分は令和元年版からですが、この部分は以前から変わっていません。)

ここでいう「3条書面に記載されている給付の内容」というのは、どう考えても、3条書面規則1条2号の、

「二 製造委託、修理委託、情報成果物作成委託又は役務提供委託(以下「製造委託等」という。)をした日、下請事業者の給付(役務提供委託の場合は、提供される役務。以下同じ。)の内容並びにその給付を受領する期日(役務提供委託の場合は、下請事業者が委託を受けた役務を提供する期日(期間を定めて提供を委託するものにあっては、当該期間))及び場所」

にいうところの、「給付・・・の内容」をさしているといわざるをえず、3条書面規則でも「給付・・・の内容」とその次の「受領する期日」は分けて書いてあるので、「給付・・・の内容」には納期(「受領する期日」)は含まれない、と読むほかないと思うのです。

さらに付け加えれば、納期の前倒しや後ろ倒しではないかと議論のあったジャストインタイムについての下請法テキストの解説(Q52)では、

「・・・納入指示カードによる変更により,納入日が遅れたり,納入日ごとの納入数量が少なくなる場合には,それにより下請事業者に費用(保管費用,運送費用等の増加分)が発生したときにそれを全額負担しなければ,受領拒否又は不当な給付内容の変更として問題となる。」

と解説されています。

(ちなみにこのQ52は、受領拒否の項目にあります。)

ここで、「納入日が遅れたり」するのは納期の後ろ倒しであって受領拒否が問題にされていることがわかります。

さらに、納期の後ろ倒しにより保管費用が発生する場合には保管費用を負担させること(納期の後ろ倒しという行為自体ではなく!)が不当な給付内容の変更にあたりうる、と説明されていることがわかります。

テキストではさらに続けて、

「また,納入指示カードによる変更により,納入日が遅れ,下請代金の支払が遅くなることが考えられるが,それが納入時期の微調整にとどまる場合・・・には,ジャスト・イン・タイム生産方式においてやむを得ないものとしてこれを認めている。」

と説明されていて、ここでも、納期が遅くなった場合の問題(支払遅延の可能性)について言及しているだけです。

さらに続けて、

「なお,製品仕様の変更等親事業者側の一方的都合による発注内容の変更若しくは発注の取消し又は生産の打切り等の場合には,下請事業者が既に完成している製品全てを受領しなければ,受領拒否として問題となり,仕掛品の作成費用や部品代を含む下請事業者に発生した費用を全額負担しなければ,不当な給付内容の変更として問題となる。」

と解説されていますが、ここでも問題になっているのは、受領拒否や、発注取消という内容変更だけです。

このように、納期の微調整があることから当然前倒しも後ろ倒しもあるはずのジャストインタイムですら、前倒しに相当する行為についてはなんら言及されていないのです。

このことからも、当時の公取が、納期の前倒し自体は給付「内容」の変更であるとは考えていなかったことがうかがわれます。

したがって、前掲「下請取引の適正化について」は、公取委の従来の解釈を変更したものと考えざるをえません。

(それにしては、下請テキストに何の変更もないのが不可解なところですが、このテキストは法律解釈としてはあまりレベルが高くないので、まあこんなもんだろうと思います。)

ともあれ、行政解釈はこういうことなので、大半の事業者はこれにしたがうのでしょう(争われる方は、前回の記事と上記の説明をご参考になさって下さい。)

ですが、では納期の前倒しはぜったいにできないのか、というと、そんなことはまったくありません。

納期の前倒しが給付内容の変更にあたるとしても、下請法テキストp83の解説では、

「給付内容の変更又はやり直しのために必要な費用を親事業者が負担するなどにより,下請事業者の利益を不当に害しないと認められる場合には,不当な給付内容の変更及び不当なやり直しの問題とはならない。」

とされているからです。

つまり、納期前倒しのために必要になった費用を親事業者が負担すれば違反にならないのです。

たとえば、もし急に納期の前倒しを依頼して従業員を残業させないといけなくなったとか、原材料を外国から空輸しなければならなくなったとか、追加の費用がかかったのなら、これを支払う必要がありますし、逆に言えば、追加費用を支払えば変更はしていいのです。

ですから、納期を前倒ししたけどとくに下請事業者に追加の費用が発生していないのなら、違反になるはずがありません。

この点は、前掲の「下請取引の適正化について」でも、なんら変更はなされていないものと思われます。

よって、納期の前倒しは下請法により一律に禁じられているのだという解説がもしあれば、それはあきらかに間違いです。

2019年11月26日 (火)

有償支給原材料の対価の手形による支払と早期決済

下請法4条2項1号では、

「自己に対する給付に必要な半製品、部品、附属品又は原材料(以下「原材料等」という。)を自己から購入させた場合に、

下請事業者の責めに帰すべき理由がないのに、

当該原材料等を用いる給付に対する下請代金の支払期日より早い時期に、

支払うべき下請代金の額から当該原材料等の対価の全部若しくは一部を控除し、又は当該原材料等の対価の全部若しくは一部を支払わせること」

によって下請事業者の利益を不当に害してはならないとされています。

いわゆる、有償支給原材料等の早期決済禁止の規定です。

要するに、親事業者は、有償支給材の代金を、その支給材を使った給付についての下請代金を支払うのよりも早く回収してはいけない、ということです。

では、親事業者が下請事業者に有償支給原材料の代金を手形で支払わせる場合、手形の満期日が下請代金支払日以後であればいいのでしょうか。

それとも、(下請事業者による)手形の振出日が(親事業者による)下請代金支払日以後でなければならないのでしょうか。

結論としては、満期日が下請代金支払日以後であればいい(振出日は下請代金支払日よりも前でもいい)と考えられています。

有償支給材の規定は下請事業者の資金繰りを苦しくしないための規定ですから、手形の決済(満期日)よりも前に下請代金が回収できていればいいはずであり、これは常識的な結論であるといえます。

公取委職員による文献(公正取引委員会事務局前取引部下請課長、現審判官〔執筆当時〕小倉正夫「わかりやすい下請法(10)-親事業者の義務・8-」公正取引408号(1984年)40頁、45頁)でも、

「有償支給原材料等代金の決済方法として下請事業者に約束手形を振り出させることは認められますか。」

との設問に対して、

「決済を手形で行うことは、親事業者にとっては代金の回収を確実にする、下請事業者にとっては資金繰りを少しでも楽にする等の理由があると思われますが、

この場合であっても親事業者は下請事業者の利益を不当に害することのないよう

当該手形の満期を有償支給原材料等を使用した製品に係る下請代金の支払期日以降とすることが必要となります」

というように、手形の満期が下請代金支払日以降であればよいと説明されています。

条文の解釈としては、そもそも手形の場合は満期に決済することが「支払わせる」(4条2項1項)なのだ、という解釈もあり得ないではないですが、下請法では一般に、下請代金の支払を手形ですることも認められていて、その場合、支払日は振出日であるとされていることからすると、有償支給材代金の場合も同様に振出日が支払日と解するのが自然と思われるので、この(満期決済が支払だという)解釈は、やや無理があります。

やはり、振出が支払であり、そのため、下請代金支払よりも前に有償支給材代金支払のために手形を振り出させると形式的には4条2項1号に該当するけれども、満期が下請代金支払以後であれば、2項柱書の、「下請事業者の利益を不当に害し」にあたらない、と整理するのが妥当でしょう。

前掲小倉解説も、「下請事業者の利益を不当に害することのないよう」というように、この問題が不当に害するかどうかの問題であることを前提にしているものといえます。

下請法テキストなどでは、下請事業者による有償支給原材料の代金支払が親事業者による下請代金支払よりも先だと常に下請法違反となるかのような説明がされていますが、この手形のケースをはじめ、実際には、下請事業者の利益を不当に害していないのでOKだといえる場合がそれなりにあったりします。

2019年8月 7日 (水)

下請代金の「減額」の意味

下請法4条1項3号では、下請代金の減額(下請事業者の責に帰すべき理由がないのに、下請代金の額を減ずること)が禁じられています。
この点については下請法テキスト(平成30年11月版)52頁では、
 
「親事業者が,下請事業者の責めに帰すべき理由がないのに,発注時に定めた下請代金の額を減ずることを禁止するものであり,「歩引き」や「リベート」等の減額の名目,方法,金額の多少を問わず,発注後いつの時点で減じても本法違反となる。」
 
と説明されています。
 
ここでは、減額の「名目、方法、金額の多少」は問わないとされていますが、これだけでは何が減額になるのか実ははっきりしません。
 
「下請代金の額を減ずること」ということの意味が、簡単そうで実は複雑だからです。
 
たとえば、親事業者と下請事業者との間に下請取引とは別のまっとうな取引があって、その取引の代金を支払うべき親事業者が当該代金額をたまたま同時期にあった下請代金債務と相殺することは、何の問題もありません。
 
たとえば、有償支給原材料等の早期決済の禁止では、早期決済に該当しないかぎり、有償支給原材料代金を下請代金額から「控除」することが、4条2項1号の規定上明文で認められています。
 
これを条文に照らして説明すると、有償支給原材料の対価を下請代金から「控除」しても、それは別の取引の代金を支払わせているだけで下請代金はいっさいいじっておらず、よって、「下請代金の額を減ずる」ことにはあたらない、ということなのでしょう。
 
ほかの取引の代金を支払わせただけで、下請代金は全額耳を揃えて払っている、という理屈です。
 
でも、別取引の代金を下請代金から控除して支払わせるというのがすべて「減額」にあたらないと言い切ってしまうのも(少なくとも公取委の運用を前提にすると)問題です。
 
というのは、そういう説明をすると、テキストに載っている減額の典型例である「協賛金」(p52)名目の減額の場合ですら、きちんと「協賛金提供契約書」があれば、減額にあたらなくなってしまうからです。
 
「物流及び情報システム使用料」(p52)なんて、きちんと「物流及び情報システム使用契約」があって、下請事業者による親事業者のシステム利用の実態があれば、下請代金の減額というのは無理だと思います。
 
おそらくポイントは、下請契約とは別の、「まっとうな」契約があるかどうか、でしょう。
 
「まっとうな」というのは、下請事業者が利益を得ている実態がある、という意味です。
 
おそらくこれまで減額とされたもので、たとえば「手数料」(p52)名目のものは、親事業者から下請事業者に対するサービス(「手数」)の提供の実態がなかった、ということなのだと思われます。
 
その観点からみると、テキストにあげられている名目のうち、
 
「歩引き」「リベート」「一括値引き」「基本割戻金」「協賛店値引」「協力値引き」「決算」「原価低減」「コストダウン協力金」「仕入歩引」「特別価格協力金」「不良品歩引き」「分引き」「値引き」
 
などは、その名前からして下請代金自体を減らす趣旨であることがあきらかなので、おそらくその名目どおりの契約書があっても、減額になるでしょう。
 
これに対して、
 
「本部手数料」「管理料」「手数料」「物流及び情報システム使用料」「物流手数料」「品質管理指導料」
 
は、もしこれらの名目が示唆するような、本部のサービス、管理サービス、何らかのサービス(「手数」)、物流及び情報システム提供サービス、物流サービス、品質管理指導サービスが親事業者から下請事業者に提供されている場合には、減らした分はこれらサービス提供の対価であって、下請代金の額を減じたわけではない、といえそうです。
 
ただおそらく実際には、これらの名目できちんと(まっとうに)サービスが提供されていることが少ない、ということなのでしょう。
 
あるいは、なんらかの「サービス」が提供されていても、
 
「そんなものはほんらい発注者が自分の負担でやるべきものであって、下請事業者に提供した「サービス」とはいえない」
 
と公取委に一蹴されてしまうかもしれません(たとえば、請求書処理手数料とか)。
 
以上に対して、あきらかな下請代金減額の趣旨でもなく、まっとうなサービスが提供されているわけでもない、という中間的なもの(あるいは、よく意味がわからないもの)として、
 
「一時金」「オープン新店」「協賛金」「協定販売促進費」「協力金」「協力費」「販売奨励金」「販売協力金」「年間」「割引料」
 
があります。
 
しかしこれらは、仮にきちんと契約があっても、下請事業者が一方的に金銭的負担を負うものであり、(形式的には下請代金自体を減らすというにはやや難があるものの)不合理な内容であるとして、あるいは、実質的には下請代金を減らしているものとして、減額にあたるとされるのだと思います。
 
あと、「支払手数料」というのがありますが、これは、親事業者が支払処理をしたことの手数料という意味でしょうが、支払処理をするのは支払者(親事業者)の当然の義務であってそれについて対価を請求できるようなものではない、ということで、やはり、契約書や支払処理業務の実態があっても、代金減額とされそうです。
 
実はこのように、減額か否かをわけるのは、控除相当額の発生根拠なのだと思います。
 
その意味で、テキストp52で、
 
「減額の名目,方法,金額の多少を問わず」
といっているのは、 実はあたりまえで、あまり意味がありません。
 
まとめると、
 
①実質が下請代金自体を減らす趣旨のもの→違法
 
②下請契約とは別のまっとうな商品役務の提供の対価分を控除するもの→適法
 
(ただし実務では「まっとう」でないことが多い。たとえば下請代金の一定のパーセンテージを控除するような場合、「まっとうな商品役務の提供の対価」がそのように計算されるわけがないので、通常は「まっとう」でないと認定されるか、①と認定される)
 
下請契約とは別に、対価関係にある商品役務を提供することなく一方的に金銭負担を求めるもの→あきらかに違法
 
ということなんだろうと思います。
 
つまり、減額は合意があっても違法で形式的に判断されるといいながら、実際には、けっこう実質的な判断が欠かせない(まっとうな合意ならむしろ減額にあたらないのが当然)、ということです。
 
ところが公取委の事件解説などを見ると、少なくともその字面からは、まっとうな商品役務の対価(②)でも控除できないかに読める解説がよくされています。
 
たとえば公正取引823号60頁(柿本に対する勧告の解説)では、
 
「・・・下請法第4条第1項第3号は、親事業者が、下請事業者の責めに帰すべき理由がないのに、発注時に定めた下請代金の額を減ずることを禁止しており、
 
名目、方法、金額の多少を問わず、また、
 
本件のように親事業者と下請事業者との間であらかじめ文書又は口頭による合意があったとしても
 
下請事業者の責めに帰すべき理由がない限り、下請代金の額を減ずる場合は下請法違反となる。」
 
と解説されています。
 
しかしこれを文字どおりに読むなら、まっとうな契約(たとえば原材料有償支給契約)があっても下請代金と相殺したら違反になると読めてしまいます。
 
もちろんそれはおかしいわけで、実際には、まっとうな契約かどうかが当然に(暗黙の内に)判断されていて、まっとうでないから違法だ、としているのです。
 
そして柿本の事件は、「販売協力金」として下請代金の一定率(1~5%)を引いていた、というものだったので、まっとうな(=下請事業者が対価を支払うべき商品役務の提供が親事業者によってなされている)契約でないことがあきらかでした。
 
もっといえば、下請代金自体を減額する趣旨だった(①)ということなのでしょう。
 
上の担当官解説は下請法テキストのままで、下請法の執行では下請法テキストが金科玉条ですので、こういう解説になるのはしょうがないんだろうなあと思いますが、きちんと論理的に説明すると、この解説はあやまりです。
 
でも、「まっとう」かどうかをいちいち判断しないといけないとはっきり書くと事業者が「まっとうな契約だ」と反論しだしてたいへんなので、そこは理由では書かないことにして、解説ではあたかも、まっとうな合意があってもだめであるかのような書きぶりになっているわけです。
 
でも中には、まっとうな契約かどうかにかかわらず、あらかじめ合意があってもぜったいにだめなのだと本気で信じている公取担当者もいるかもしれません。
 
これは、下請テキストが金科玉条であるだけにやっかいですが、そういうひとには「ちゃんと自分の頭で理屈を考えてね」というしかありません。
 
このような「まっとうな」契約かどうかでひょっとしたら微妙だったかもしれないのが、2012(平成24)年9月25日の日本生活協同組合連合会に対する勧告です。
 
この事件では生協連合会がいろいろな名目で減額しており、そのうち多くは下請代金の一定割合を差し引くあきらかな減額(上記①)だったり、一方的な金銭負担をもとめるもの(上記③)だったのですが、なかには、微妙なものもありました。
 
たとえば、勧告の、
 
個々の会員からの発注数量を事前に下請事業者に連絡する場合があるところ,
 
下請事業者に対し,
 
生産支援情報」として,
 
会員に対する納入数量を記載した書面のファクシミリによる送信枚数に一定額を乗じて得た額を負担するよう要請し,
 
この要請に応じた下請事業者について,平成22年9月から平成24年4月までの間,当該金額を,下請代金の額から差し引き又は別途支払わせていた。」
 
というのは、「生活支援情報」がまっとうな情報提供だったら、代金としてもファックス1枚あたりというサービスの従量制であったことからすると、まっとうな契約だったかもしれません。
 
何が微妙かというと、
 
「個々の会員〔=単位生協〕からの発注数量を事前に下請事業者に連絡する場合があるところ」
 
という部分だと思います。 
 
もしこの情報提供が、下請事業者が取引をするうえで絶対に必要なものだったら、発注数量を知らせるなんて発注者としてあたりまえのことなので、それを「サービス」と称して下請事業者に負担させるのは「まっとうな」サービスとはいえないと思います。
 
でも勧告では、「連絡する場合がある」なんですね。
 
つまり、受発注に必ず必要な情報は別途提供されていることがうかがわれ、ここでの「生活支援情報」は、あくまでオプション的なものであることがわかります。
 
そのようなオプション的なものであって、下請事業者の同意もあり、しかも内容がきちんと有益なものであったりしたら、これは「まっとうな」サービスだと言えたんではないかと思います。
 
ほかには、
 
「自らが作成する販促物の作成費用を確保するため,
 
下請事業者に対し,
 
「販促ツール作成費用」として,
 
一定額を負担するよう要請し,この要請に応じた下請事業者について,平成22年9月から平成24年4月までの間,当該金額を,下請代金の額から差し引き又は別途支払わせていた。 」
 
というのがあります。
 
この「販促ツール作成費用」がもし、当該下請事業者の商品の販促ツールを作成する費用だったら、むしろ「まっとうな」契約であることがあきらかだと思います。
 
でもその額の定め方が「一定額」ということなので、たぶん、そういう、自己(下請事業者)の商品の販促ツール作成費用だったのではなくて、生協の販促ツール費用の全額または一部の額を適当に下請事業者にわりふっていたんではないかと思います。
 
このように、ほんらいはいろいろと実質的な判断がなされていたはずなのですが、ざんねんなことに、担当官解説(公正取引750号73頁)では、
 
「日本生協連は、これらの名目による減額を行うに当たり、いずれにおいても、事前に下請事業者から合意を得ていたが、
 
下請法においては、
 
仮に親事業者と下請事業者との間で事前に合意があったとしても
 
下請事業者の責めに帰すべき理由がないのに、発注時に定めた下請代金の額を減ずる行為は、
 
下請法第4条第1項第3号(下請代金の減額の禁止)の規定に違反する減額として問題となる。」
 
と、合意の内実はとわないかのような紋切り型の説明がなされています。
 
事案の解決としてはこれでよかったのかもしれませんが、これではまっとうなサービスの対価ももらえないと誤解され、下請代金と相殺すると減額になるので別途支払わせる必要がある、なんていう、とんでもないアドバイスをする弁護士さんが出てくるかもしれません。
 
(まあそれでも、「まっとう」かどうか微妙な場合には、わたしも「相殺よりは別途支払のほうがリスクは低いんじゃないですかねぇ」くらいのアドバイスはするかもしれません💦)
 
比較的最近の事件でこの点をかなり詳細に解説した担当官解説のある事件として、2018(平成30)年3月26日のサトープリンティングに対する勧告があります。
 
この事件では、「生産システム利用料」「通信回線利用料」「パソコン利用料」等さまざまな名目で減額がなされているのですが、同事件の担当官解説(公正取引812号71頁)では、
 
「生産システム利用料」(発注数量等のデータを送信する発注者の発注システムの開発費・保守改修費等について一定額を毎月下請代金枯らさし引いていたもの)
 
については、
 
「発注業務・・・は、本来、親事業者の責任において行うべきもの」
 
という理由で減額にあたるとされ、
 
「通信回線利用料」(発注システム利用にあたり自社と下請とを専用で結ぶネットワークの接続に必要な費用)
 
については、
 
「・・・一般的なインターネット回線ではなく、加入した者のみが交信できる特定のネットワーク利用に係る費用であり、サトープリンティングが下請事業者に対し、発注する行為にのみ使用されるものであった。」
 
「このため、『通信回線利用料』は、下請法第3条第1項で発注書面の交付義務を負う親事業者であるサトープリンティングが負担すべきものである。」
 
という理由で減額にあたるとされ、
 
「パソコン利用料」(発注データを下請事業者が受信するためのパソコンについて自社が指定した機器を下請事業者に貸与し、当該利用料を下請代金から指しい引いていたもの)
 
については、
 
「これらのパソコン・・・は、発注システムを稼働させるためだけに利用されているもので、サトープリンティングが下請事業者に対して発注する委託業務の実施にのみ必要となる機器類であることから、当該機器類の利用に係る費用は、親事業者であるサトープリンティングが負担すべきものである。」
 
という理由で減額にあたるとされました。
 
このように、親事業者がほんらい負担すべきものだという理由を詳細に認定していることからもわかるように、反対に、下請事業者が当然負担すべきものなら減額にあたらないことになるはずです。
 
ところが同担当官解説では、代金減額がみとめられるのは、給付の瑕疵や納期遅れなど「下請事業者の責めに帰すべき理由」がある場合にかぎられ、上記各利用料はこれにあたらないので違法だ、と説明されています。
 
でも、瑕疵や納期遅れにあたらないなら減額だというなら、手数料の性質をほんらい親事業者が負担すべきものだという必要もないはずで、この説明はまったく支離滅裂だといわざるをえません。
 
長年続いている説明とはいえ、いいかげん、きちんと事実をありのままに伝えるべきだと思います。
 
また、このブログが一部の誤解を解く助けになればと思います。

2019年7月 3日 (水)

下請法の「業として」の講習テキストの変遷

だいぶ以前に、下請法講習テキストの「業として」の説明が変わったことについて書いたのですが、昨年の平成30年版でまた変わったので、これまでの経緯をまとめておきます。

平成25年版p9では、修理委託の類型2の説明で、「業として行う場合」という意味について、

「・・・自家使用する物品の修理を反復継続的に社会通念上、事業の遂行とみることができる程度に行っている場合に、その物品の修理の一部を他の事業者に委託する場合をいう」

と説明されていました。

他の法律での「業として」の解釈とも整合する、オーソドックスな解釈だと思います。

これが平成26年版p8では、

①「・・・社内に修理部門を設けるなど業務の遂行とみることができる程度に行っている場合・・・をいう。」

②「他方、修理に必要な技術を持った作業員が必要に応じ修理に当たるような場合・・・は該当しない。」

というように、「部門」などがないと「業として」にはあたらず、そのため、「必要に応じて」やるのでは「業として」にはあたらない、と大きく解釈が変更されました。

これが平成27年版p8、28年版p8、29年版p8でも、ほぼ維持されました。

ところが平成30年版p8では少し変わって、①が、

「事業者が,「その使用する物品の修理を業として行う場合」,つまり,他の事業者から請け負うのではなく,自家使用する物品の修理を反復継続的に行っており,社会通念上,事業の遂行とみることができる場合に,その物品の修理の行為の一部を他の事業者に委託することをいう。

例えば,自社の工場で使用している機械類,設備機械に付属する配線・配管等の修理を社内に部門を設けて行っている場合は,「その使用する物品の修理を業として行う場合」に該当する。」

というように、少していねいになったのはいいのですが、②が、

「一方,修理を行うことができる設備があったり,修理に必要な技術を持った作業員がいたとしても,他の事業者に委託している修理と同種の修理を行っていない場合は,「その使用する物品の修理を業として行う場合」に該当しない。」

と、再度大きく変更されました。

つまり、平成29年版までは、「必要に応じて」やるだけなら「業として」にはあたらないと明記されていたのですが、平成30年版では、

「他の事業者に委託している修理と同種の修理を行っていない場合は,「その使用する物品の修理を業として行う場合」に該当しない

と、同種事業を行っていない場合には「業として行う場合」にあたらない、という、いわばあたりまえのことしかいわなくなりました。

でもこれって考えてみると、「同種の修理を行っていない」なら、「業として」かどうか問うまでもなく、そもそも「行う」に該当しないわけですから、ほんとうに無意味な記載になってしまったといわざるをえません。

この変更をどうみるかはなやましいですが、基本的には、解釈の変更はないとみていいでしょう。

「社内に部門を設けて」という部分は生きているからです。

なので、「必要に応じて」やるだけなら、やはり社内に部門は設けていないので、「業として」にあたらないと考えていいと思います。

というわけで、平成30年版のこの部分の改正は、意味不明です。なんでこんな修正をしたのでしょう???

 

2019年3月 8日 (金)

有償支給材の早期決済と資材代金調達利息の支払

NBLの連載を書籍化した
 
鎌田明編著『はじめて学ぶ下請法』
 
という本があります。
 
『下請法の実務』や下請法講習テキストが、古い考え方に接ぎ木をしながら改訂を続けているために根本的に叙述の仕方が古い(説明が理論的でない)のですが、それに対してこの本は、さすがに新しいだけあって、説明が現代的で頭にすっと入ってきます。
 
ですが、ちょっと気になる記述があります。
 
同書p135の有償支給材の早期決済の説明において、A〔発注者〕がB〔下請事業者〕に原材料を有償支給して加工を委託する事例をあげながら、
 
「B〔下請事業者〕が金融機関から融資を受けて先払いをしなければならない資材の対価を支払っていたような場合には、Bが負担していた利子相当額の支払い等も認められることになろう。」
 
と解説されています。
 
しかし、これは行き過ぎだと思います。
 
いったいどんな根拠があって、そのような利子相当額の支払いが認められるのでしょうか?
 
民法をみても、商法をみても、そのような利息相当額の支払いを根拠づける条文はありません。
 
当事者間に合意がなくても認められる利息についての規定としては民事商事の法定利率の規定がありますが、たとえば民法404条では、
 
利息を生ずべき債権について別段の意思表示がないときは、その利率は、年五分とする。」
 
としているだけであって、5%の利息が認められるのは「利息を生ずべき債権」であることが前提です。
 
利息を生ずべき債権かどうかは特約や法律の規定(民法575条2項の売買代金の利息)によって決まり、金銭消費貸借ですら、当然には利息は発生しません(民法587条、590条参照)。
 
ただし商人間の消費貸借では年6%の利息を支払う必要があります(商法513条、514条)。
 
でも、「下請事業者が有償支給材を早期決済するために融資を受けたときには融資の利息相当額を支払う」みたいな規定は、どこにもありません。
 
もちろん当事者間に合意もないわけですから、そんな利息相当額の請求権なんて、私法上認められるはずがないのです。
 
下請法違反は公序良俗(民法90条)違反だから請求が認められる、というのも無理です。
 
まず、下請法違反のすべてが当然に公序良俗違反になるわけではないですし、仮に公序良俗違反になっても、公序良俗違反の法律行為の効果は無効になるだけなので、積極的な請求権が発生するわけではありません。
 
たとえば、早期決済の合意が無効だとしたら、弁済期の合意の部分が無効になって、弁済期が下請代金の支払時期まで当然に延ばされる、ということはあるかもしれません。
 
ですがだからといって、下請代金の支払時期よりも前に現に有償支給材の代金を支払ったからといって、その早く支払った分の利息を下請事業者が請求できる(積極的な請求権が生じる)わけではないでしょう(公序良俗は「無効」にすぎないので)。
 
まして、有償支給材代金支払いのための銀行融資の利息なんて、認められるわけがありません。
 
ほかに考えられるとしたら、民法709条の不法行為や703条の不当利得でしょうが、下請法違反が当然に不法行為や不当利得になるわけでもないでしょう。
 
ここのハードルを越えるのは非常に高い(たぶん無理)わけです。
 
それなのに、何の説明もなく当然に、「利子相当額の支払も認められる」といってしまうなんて驚きです。
 
こんなこと、法学部生でもわかります。
 
ということで、公取委の下請法の運用をしている人が、いかに民法を知らないか、これをみるとよくわかります。
 
最近、有償支給材の早期決済をした会社が、早期決済期間について、有償支給材代金の利息相当額を商事法定利率6%で下請事業者に払い戻すよう指導を受けていた事例を目にしました。
 
きっと、下請代金の支払いが遅れたら6%の利息を払うんだから、有償支給材代金を早くもらいすぎたなら利息相当額を払い戻す義務があるんだ、という単純な発想でしょう。
 
でも民法をみても商法をみても、弁済期より早く代金を受け取ったら利息相当額を代金から引かなきゃいけないなんていいう規定はありません。
 
というわけで、上記書籍の記述は誤りですし、公取委はこの運用を直ちにやめるべきです。
 
民法の分かっていない人には、こんな大学生にするような説明からしないといけないので困ります。

公取委に出向中の弁護士のみなさん、下請取引調査室の人たちに、民法を教えてあげてください。
 
あるいは公取委職員のみなさんは、出向してきている弁護士さんに聞いてみてください。

2019年2月15日 (金)

下請法に司法審査が及ばないことの恐ろしさ

下請法のよくないところの一つに、公取委の判断に司法審査が及ばないことがあげられます。
 
というのは、公取委の出す勧告は、いわゆる行政指導に過ぎず、それ自体強制力がないため、勧告を取り消す訴訟を提起することができないからです。
 
条文で確認すると、勧告についてはまず下請法7条1項で、
 
「公正取引委員会は、親事業者が第四条第一項第一号〔受領拒否〕、
 
第二号〔支払遅延〕又は
 
第七号〔報復措置〕
 
に掲げる行為をしていると認めるときは、
 
その親事業者に対し、
 
速やかにその下請事業者の給付を受領し、
 
その下請代金若しくはその下請代金及び第四条の二の規定による遅延利息を支払い、又は
 
その不利益な取扱いをやめるべきことその他必要な措置
 
をとるべきことを勧告するものとする。」
 
と定められています。ほかの違反類型は2項、3項で定めています。
 
そして勧告の効力については8条で、
 
「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和二十二年法律第五十四号)第二十条〔不公正な取引方法に対する排除措置命令〕
 
及び
 
第二十条の六〔優越的地位の濫用に対する課徴金納付命令〕
 
の規定は、
 
公正取引委員会が前条第一項から第三項までの規定による勧告をした場合において、
 
親事業者がその勧告に従つたときに限り、
 
親事業者のその勧告に係る行為については、適用しない。」
 
とされています。
 
つまり、勧告に任意にしたがう限り独禁法の優越的地位の濫用で処分されることはない、ということです。
 
これ以外に勧告の効力についての規定はありません。
 
たとえば勧告に違反した場合に罰金が科せられるというような規定はありません。
 
これが、勧告は行政指導に過ぎない、という根拠です。
 
なので、勧告それ自体の取り消しを裁判所に求めることはできず、勧告は司法審査の対象にならない、ということになります。
 
そこで、勧告に不服のある事業者は勧告に従わない、という選択肢しかありません。
 
ですが、そうすると次に起こりうるのは公取委による優越的地位濫用の審査です。
 
その結果、「下請法違反はあったけれど、優越的地位の濫用はなかった」という結論になるかもしれません(もしそうなら、そもそも審査が開始されないかもしれません)。
 
それなら、なにも処分なし、なのでいいかというとそういうことでもなくて、勧告がでたという事実は残ります。
 
当然、公取委のホームページや年次報告にも、そのまま残るでしょう。
 
あるいは、審査の結果、優越的地位濫用が認められる、ということもあるかもしれません。
 
ところが、そのときに、優越的地位の濫用で受けた排除措置命令や課徴金納付命令に不服だと言っても、下請法の論点はどこにも出てこないのです(優越的地位の濫用で命令が出ているので当然です)。
 
当然、排除措置命令や課徴金納付命令の取り消し訴訟を起こしても、下請法の論点を争う余地はありません。
 
たとえば、有償支給材の早期決済の禁止に違反したとして勧告を受けた場合、その勧告に不服があっても、裁判で争点になるのは優越的地位の濫用が成立するかどうかだけ、です。
 
そして、たんに有償支給材の決済が製造委託商品の決済より早かったというだけで「濫用」になるというのはかなり無理があるので、優越的地位の濫用は成立しない可能性が高いと言えます。
 
処分されないんだからそれでよさそうなものですが、問題は、公取委が独禁法の調査の対象を広げてくる可能性があることです。
 
もし事業者が勧告に不服で「したがいません」といえば、公取委は、そんな前例を残したくないでしょうから、何が何でも優越的地位の濫用で摘発しようとするでしょう。
 
そのときに、調査の対象を当初の勧告対象行為に絞らなければならないというような(刑訴法で言えば訴因変更の限界のような)制限は、法律上、なにもありません。
 
そうすると、事業者としては、自社のどこをつつかれても優越的地位の濫用にあたる行為はないという自信がない限り、勧告に従わないという選択肢をすることを躊躇することになると思われます。
 
そして、徹底的に社内調査をして大丈夫だと結論付けたうえで「したがいません」といっても、前述のとおり、争いたい論点については裁判所の判断を得られない、ということになります。
 
そのため、下請法の公取委の判断に対する判例というのはなく(民事訴訟で下請法違反を公序良俗違反として争点化したものは多数ありますが)、下請法講習テキストがあたかも判例と同じような役割を果たすことになります。
 
もしどうしても司法審査をえたければ、勧告で信用が損なわれたなどとして国家賠償請求を起こすことくらいしかありません。
 
このように司法審査がはたらかないだけに、下請法の運用は公取委の自制が求められるはずで、安易な運用や解釈の変更は行うべきではありません。
 
ところが、実際には、
 
下請事業者に下請代金の支払とは別途金銭の支払をさせることを(不当な経済上の利益の提供要請ではなく)代金減額として処理したり、
 
従来手形払いだったのを現金払いに変えたときに変更後の取引について従来より1円でも代金を安く設定したら買いたたきにあたるとしたり、
 
有償支給材の早期決済分の利息の支払を指導したりする
 
など、やりたい放題です。
 
そういった下請法独自の争点について争いたくても、裁判所で争う道は事実上ないなのです。
 
やるとすれば国家賠償ですが、国家賠償は立証責任が国民側にあるなど、簡単ではありません。
 
しかしそもそも、勧告がたんなる行政指導であるということすら、一般にはあまり知られていないのではないでしょうか。
 
なので、優越的地位の濫用には当たらない(たとえば代金減額について下請事業者の同意がある)と考えれば、勧告に従わないという事業者がいてもおかしくないと思うのですが、おそらく今までそういう事例はありません。
 
司法審査が及ばない制度というのは法治国家としてどうかと思いますが、法律は国会が決めるものなので公取委の責任ではありませんから、どうこういってもしかたありません。
 
ですが、公取委は司法審査を免れるという重い責任を自覚して、下請法担当部署に優秀な人材を配置するなど、慎重な運用をすべきではないかと思います。

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