景表法

2023年1月16日 (月)

セット販売であることが「明らかな場合」とは(定義告示運用基準4⑸ア)

セット販売が景品類の提供にあたらない場合について、定義告示運用基準4⑸では、

「(5) ある取引において二つ以上の商品又は役務が提供される場合であっても、次のアからウまでのいずれかに該当するときは、原則として、「取引に附随」する提供に当たらない。

ただし、懸賞により提供する場合(例 「○○が当たる」)及び取引の相手方に景品類であると認識されるような仕方で提供するような場合(例 「○○プレゼント」、「××を買えば○○が付いてくる」、「○○無料」)は、「取引に附随」する提供に当たる。

ア 商品又は役務を二つ以上組み合わせて販売していることが明らかな場合

(例 「ハンバーガーとドリンクをセットで○○円」、「ゴルフのクラブ、バッグ等の用品一式で○○円」、美容院の「カット(シャンプー、ブロー付き)○○円」、しょう油とサラダ油の詰め合わせ)

イ 商品又は役務を二つ以上組み合わせて販売することが商慣習となっている場合(例 乗用車とスペアタイヤ)

ウ 商品又は役務が二つ以上組み合わされたことにより独自の機能、効用を持つ一つの商品又は役務になっている場合(例 玩菓、パック旅行)」

と規定されています。

ここで、イとウが問題になることはあまりないのですが、アの限界は、よく問題になります。

では、

「ア 商品又は役務を二つ以上組み合わせて販売していることが明らかな場合」

とは、どういう意味でしょうか。

およそ「明らか」という言葉ほど意味が明らかでない言葉もないと思いますが(笑)、具体例として挙げられている、

「ハンバーガーとドリンクをセットで○○円」

「ゴルフのクラブ、バッグ等の用品一式で○○円」

「美容院の「カット(シャンプー、ブロー付き)○○円」」

「しょう油とサラダ油の詰め合わせ」

というものをみると、「セット」と謳えばおよそ何でもセット販売(「商品又は役務を二つ以上組み合わせて販売」)になる(=景品類にならない)わけではなさそうです。

もし「セット」と表示すれば何でもセット販売になるなら、4⑸のイとウをアとは別に規定する必要もないでしょう。

なので、アの「明らか」というのは、セットと表示すれば常にセット販売であることが明らかとなるというわけではなく、組み合わされる2つ以上の商品役務に何らかの関連性があることを要すると考えるべきでしょう。

ただ、そういう観点からみたときに、運用基準の具体例はいかにも狭すぎると思います。

これらの具体例は、いずれも、世の中でセット販売をすることが常識となっている、セットと言われて違和感のないものばかりです。

(そういう意味では、アとイの区別は明確ではありませんし、もっといえば、アとウの区別も明確ではありません。)

でも、そういうものだけがセット販売として許されるということになると、ちょっと風変わりなセット販売をやろうとした途端、景品類とみなされることになってしまいます。

これでは、クリエイティブなセット販売を考えようとする事業者の販売活動の自由を制限してしまうことになり、妥当ではありません。

たとえば、ジャガイモとにんじんとタマネギのセット(カレーセット)は、スーパーによくありますので、問題なくセット販売(景品類ではない)ですが、あまりセットで売られることがなさそうな、「ジャガイモと牛乳のセット」というのも、きちんとセット販売であることを表示していれば、セット販売であると言ってよいように思います。

「ジャガイモと牛乳のセット」が売られていたときに、「牛乳はジャガイモの景品類だ」とか、逆に、「ジャガイモが牛乳の景品類だ」とかいう必要はなく、セット販売と考えればよい、ということです。

あるいは、この「明らか」というのを、ハンバーガーとドリンクのセットのような、誰が見てもセットといえるものに限定すると、たとえば、インターネットと電気のセット販売(セット割)ですら、セット販売であることが「明らか」とは言えなくなって、インターネットの値引相当額が電気の景品類だ、などという結論になりかねません。

こういうふうにいろいろな例を頭の中で考えると、どうも、セット販売になるかどうかには、4つくらいの基準があるように思われます。

(なお、定義告示運用基準4⑸ただし書では、

「ただし、・・・取引の相手方に景品類であると認識されるような仕方で提供するような場合(例 「○○プレゼント」、「××を買えば○○が付いてくる」、「○○無料」)は、「取引に附随」する提供に当たる。」

とされているので、「おまけ」であるかのような表示をしないことは大前提です。)

1つめの基準は、景品類にあたる物品が市販品かどうか、です。

市販品なら、セット販売といいやすい方向に傾きそうですが、非売品の場合には、セット販売とはなかなか言いにくそうです。

2つめの基準は、組み合わされる商品相互の機能的関係性です。

この、商品相互の機能的関係性には、

①物品の性質上、明らかにセット販売と言えるもの(例、カレーセット)

②物品の性質上、景品類(おまけ)という印象を受けるもの

という両極端があり、①ならセット販売、②なら景品類となりやすく、その間にいろいろなバリエーションがある、ということかと思います。

3つめの基準は、セットの価格設定です。

もし、セットの価格が、単品を買ったときの合計額から多少減額した程度の価格なら、セット販売と言いやすいでしょう。

これに対して、商品Aと商品Bのセット販売価格が、商品A単体の販売価格と同じ(つまり商品Bがただで付いているように見える)場合には、商品Bは商品Aの景品類であるとみられる可能性が高いように思われます。

4つめの基準は、セットを構成する物品の価格比です。

たとえば、物品Aと物品Bのセットにおいて、物品Aと物品Bの市場価格が同じくらい(1:1くらい)の場合、両に主従の関係がないので、セット販売と認められやすそうです。

逆に、物品Bの市場価格が物品Aの市場価格の3割未満程度だと、両者に主従の関係があり、いかにも物品Bは物品Aの景品類っぽく見えます。

(前提として、総付です。懸賞なら、常に景品類になります。定義告示運用基準4⑸ただし書前段。)

景品類の何が問題なのかと言えば、ほんらいの取引内容でない利益で消費者の選択をゆがめるのが問題なわけです。

そして、構成物品間の価値の比に明確な主従関係がない場合には、消費者は、構成物品それぞれがほんらいの取引の対象であると認識しやすく、選択がゆがめられるおそれは小さいといえると思われます。

これら4つの基準と、表示の仕方で、

「ア 商品又は役務を二つ以上組み合わせて販売していることが明らかな場合」

にあたるかどうかを考えていけばよいと思います。

2022年12月18日 (日)

果実飲料等の表示に関する公正競争規約2条の規定ぶりの疑問

果実飲料等の表示に関する公正競争規約2条では、

「この規約で「果実飲料等」とは、

果実飲料等の表示に関する公正競争規約施行規則(以下「施行規則」という。)に定める「果実飲料」(以下「果実飲料」という。)

並びに

商品名中に果実の名称を使用する飲料及び色等によって果実の搾汁を使用すると印象づける飲料であって果汁の使用割合が10%未満のもの(果汁を含まないものを含む。以下「その他の飲料」という。)をいう。

ただし、次の各号に掲げるものを除く。

(1) 不当景品類及び不当表示防止法第31条第1項の規定に基づき設定された他の公正競争規約の適用を受けるもの

(2) 「酒税法」(昭和28年法律第6号)に規定する酒類

(3) 粉末飲料

(4) 紅茶飲料(商品名又は名称から紅茶飲料と判断されるもの)

(5) 野菜を破砕して搾汁又は裏ごしをし、皮、種子等を除去したもの(これを濃縮したもの又は濃縮したものを希釈して搾汁の状態に戻したものを含む。以下「野菜汁」という。)が混合されたもので、野菜汁の使用量が果汁の使用量を上回るもの」

と規定されています。

ここでは、

「果実飲料等」

「果実飲料」

「その他の飲料」

の3つの用語が定義されているのがわかります。

この規定をぼーっと読むと、

「果実飲料等」=「果実飲料」+「その他の飲料」

なんだろうな、と思えるし、実際、立案担当者の意図もそうだったのだと思われます。(結論としても、この解釈が正しいです。)

ところが、条文の文言は、そうなっていません。(端的に言って立案ミスです。)

つまり、「果実飲料等」の定義は、

「・・・「果実飲料」・・・並びに・・・「その他の飲料」・・・をいう。

ただし、次の各号に掲げるものを除く

(1) 不当景品類及び不当表示防止法第31条第1項の規定に基づき設定された他の公正競争規約の適用を受けるもの

(2) 「酒税法」(昭和28年法律第6号)に規定する酒類

(3) 粉末飲料

(4) 紅茶飲料(商品名又は名称から紅茶飲料と判断されるもの)

(5) 野菜を破砕して搾汁又は裏ごしをし、皮、種子等を除去したもの(これを濃縮したもの又は濃縮したものを希釈して搾汁の状態に戻したものを含む。以下「野菜汁」という。)が混合されたもので、野菜汁の使用量が果汁の使用量を上回るもの」

と規定されていて、2条ただし書で、上記⑴~⑸が除外されています。

そのため、たとえば、⑷の紅茶飲料は、「果実飲料等」には含まれません。

ところが、「果実飲料」については、

「果実飲料等の表示に関する公正競争規約施行規則・・・に定める「果実飲料」」

と定義されており、文言上、規約2条ただし書⑴~⑸を除外していません。

ちなみに、果実飲料等の表示に関する公正競争規約施行規則1条1項では、「果実飲料」は、

「果実飲料等の表示に関する公正競争規約(以下「規約」という。)第2条第1項に規定する「施行規則に定める「果実飲料」」とは、

「食品表示法」(平成25年法律第70号)に基づく「食品表示基準」(平成27年内閣府令第10号。以下「表示基準」という。)別表第3の上欄に掲げる果実飲料に係る用語の定義に準ずる次のものをいう。

(1) 果実ジュース

1種類の果実の果実の搾汁若しくは還元果汁

又は

これらに砂糖類、蜂蜜等を加えたもの

(ただし、砂糖類、蜂蜜等の原材料及び添加物に占める重量の割合が5%以下であること。)

をいう。

ただし、オレンジジュースにあっては

みかん類の果実の搾汁、濃縮果汁若しくは還元果汁を加えたもの

(みかん類の原材料及び添加物に占める重量の割合が10%未満であって、かつ、製品の糖用屈折計示度

(加えられた砂糖類、蜂蜜等の糖用屈折計示度を除く。以下この施行規則において同じ。)

に寄与する割合が10%未満のものに限る。)

を含む。

(2) 果実ミックスジュース

2種類以上の果実の搾汁若しくは還元果汁を混合したもの

又は

これらに砂糖類、蜂蜜等を加えたもの

(ただし、砂糖類、蜂蜜等の原材料及び添加物に占める重量の割合が5%以下であること。

また、みかん類の果実の搾汁又は還元果汁を加えたオレンジジュースであって、みかん類の原材料及び添加物に占める重量の割合が10%未満、かつ、製品の糖用屈折計示度に寄与する割合が10%未満のものを除く。)

をいう。

(3) 果粒入り果実ジュース

果実の搾汁若しくは還元果汁にかんきつ類の果実のさのう若しくはかんきつ類以外の果実の果肉を細切したもの等

(以下「果粒」という。)

を加えたもの

又は

これらに砂糖類、蜂蜜等を加えたもの

(ただし、砂糖類、蜂蜜等の原材料及び添加物に占める重量の割合が5%以下であること。)

をいう。

(4) 果実・野菜ミックスジュース

果実の搾汁若しくは還元果汁に野菜汁を加えたもの

又は

これらに砂糖類、蜂蜜等を加えたもの

(ただし、砂糖類、蜂蜜等の原材料及び添加物に占める重量の割合が5%以下であること。)

であって、

果実の搾汁又は還元果汁の原材料及び添加物に占める重量の割合が50%を上回るものをいう。

(5) 果汁入り飲料

次に掲げるものをいう。

還元果汁を希釈したもの若しくは還元果汁及び果実の搾汁を希釈したもの

又は

これらに砂糖類、蜂蜜等を加えたものであって、

糖用屈折計示度が表示基準別表第3の中欄に掲げる還元果汁に係る同表の下欄に掲げる表3

(以下「表示基準における表3」という。)

の基準

(レモン、ライム、うめ及びかぼすにあっては

表示基準別表第3の中欄に掲げる還元果汁に係る同表の下欄に掲げる表4

(以下「表示基準における表4」という。)

の酸度

(加えられた酸の酸度を除く。以下この施行規則において同じ。)

の基準。

2種類以上の果実を使用したものにあっては

糖用屈折計示度

又は

酸度

について

果実の搾汁及び還元果汁の配合割合により

表示基準における表3又は表4の基準を按分したものを合計して算出した基準)

の10%以上100%未満のもので、

かつ、

果実の搾汁及び還元果汁の

原材料及び添加物

に占める重量の割合が

果実の搾汁、還元果汁、砂糖類、蜂蜜及び水以外のものの

原材料及び添加物

に占める重量の割合

を上回るもの

果実の搾汁を希釈したもの

又は

これに砂糖類、蜂蜜等を加えたものであって、

果実の搾汁の

原材料及び添加物

に占める重量の割合が10%以上のもので、

かつ、

果実の搾汁の

原材料及び添加物

に占める重量の割合が

果実の搾汁、砂糖類、蜂蜜及び水以外のものの

原材料及び添加物

に占める重量の割合

を上回るもの

希釈して飲用に供するものであって、希釈時の飲用に供する状態がア又はイに掲げるものとなるもの」

と定義されており、やはり、規約2条1項ただし書⑴~⑸を文言上除外していません。

ざっくりまとめると、

「果飲料」=⑴果実ジュース+⑵果実ミックスジュース+⑶果粒入り果実ジュース+⑷果実・野菜ミックスジュース+⑸果入り飲料

ということになります。

話を元に戻すと、このように、「果実飲料」の定義からは、規約2条1項ただし書⑴~⑸は除外されていません。

規約2条1項の「その他の飲料」も、

「商品名中に果実の名称を使用する飲料

及び

色等によって果実の搾汁を使用すると印象づける飲料

であって

果汁の使用割合が10%未満のもの

(果汁を含まないものを含む・・・)」

と定義されており、同じく、規約2条1項ただし書⑴~⑸が、除外されていません。

まとめると、

「果実飲料等」からは、規約2条1項ただし書⑴~⑸が除外されており、

「果実飲料」および「その他の飲料」からは規約2条1項ただし書⑴~⑸が除外されていない

ため、

「果実飲料等」≠「果実飲料」+「その他の飲料」

ということになります。

あるいは、もう少し厳密に書けば、

「果実飲料等」

=「果実飲料」

 +「その他の飲料」

 ー「(1) 不当景品類及び不当表示防止法第31条第1項の規定に基づき設定された他の公正競争規約の適用を受けるもの」

 ー「(2) 「酒税法」(昭和28年法律第6号)に規定する酒類」

 ー「(3) 粉末飲料」

 ー「(4) 紅茶飲料(商品名又は名称から紅茶飲料と判断されるもの)」

 ー「(5) 野菜を破砕して搾汁又は裏ごしをし、皮、種子等を除去したもの(これを濃縮したもの又は濃縮したものを希釈して搾汁の状態に戻したものを含む。以下「野菜汁」という。)が混合されたもので、野菜汁の使用量が果汁の使用量を上回るもの」

ということになります。

規約の文言を論理的に解釈するとこういうことになるのですが、おそらく、規約が言いたいことはそうではなく、「果実飲料」からも「その他の飲料」からも、規約2条1項ただし書⑴~⑸は除外される、ということなんだろうと思われます。

これはきわめて常識的な解釈、というより、これ以外の解釈はありえないでしょう。

規約2条1項の文言がそうなっていないのは、たんなるドラフティングのミスと考えられます。

こう解釈しないと、たとえば、規約2条1項ただし書⑴の、

「(1) 不当景品類及び不当表示防止法第31条第1項の規定に基づき設定された他の公正競争規約の適用を受けるもの」

というのは、他の公正競争規約があればそちらを優先しましょうという趣旨だと考えられますが、それにもかかわらず、「果実飲料」や「その他の飲料」には、他の公正競争規約があっても当該他の公正競争規約は優先されない、というわけのわからないことになってしまいます。

このように、条文のドラフティングというのは、どこまでも愚直に文言を論理的に追っていくことが重要であり、なんとなく2つのサブカテゴリーが1つのカテゴリーに統合されるような絵を頭に浮かべながら条文を書くと、間違いの元になります。

2022年11月14日 (月)

商品名も表示です(愛媛麦みそ騒動に関する毎日新聞記事について)

新聞でも大きく取り上げられた愛媛県麦みそ騒動ですが、愛媛県の判断は本当にひどいと思いました。

愛媛県の当初の指導の理由は、麦みそには大豆を使わないといけないのに、指導の対象になった井伊商店の麦みそには大豆が使われていないから、「麦みそ」と呼んではいけない、ということだったようです。

しかし、大豆を使わずに作る麦みそが昔からちゃんとした「麦みそ」として流通しているのに、それを「麦みそ」と呼んではいけないというのは無茶だと思います。

確かに、食品表示基準別表3では、「麦みそ」を、

「この表の中欄に掲げるみそのうち、

⼤⾖を蒸煮したものに、

⼤⻨⼜ははだか⻨を蒸煮してこうじ菌を培養したもの

(以下みその項において「⻨こうじ」という。)

を加えたものに⾷塩を混合したものをいう。」

と定義されているので、「大豆を蒸煮したもの」がベースになっていないといけないようです。

(ちなみに、「この表の中欄に掲げるみそ」というのは、広義の「みそ」の定義で、同別表3では、

「次に掲げるものであって、半固体状のものをいう。

⼀ 〔①〕⼤⾖若しくは⼤⾖及び⽶、⻨等の穀類を蒸煮したものに、⽶、⻨等の穀類を蒸煮してこうじ菌を培養したものを加えたもの

⼜は

〔②〕⼤⾖を蒸煮してこうじ菌を培養したもの若しくは〔③〕これに⽶、⻨等の穀類を蒸煮したものを加えたもの

に⾷塩を混合し、

これを発酵させ、及び熟成させたもの

⼆ ⼀に砂糖類(砂糖、糖蜜及び糖類をいう。)、風味原料(かつおぶし、煮⼲⿂類、こんぶ等の粉末⼜は抽出濃縮物、⿂醤じょう油、たんぱく加⽔分解物、酵⺟エキスその他これらに類する⾷品をいう。以下別表第四のみその項において同じ。)等を加えたもの」

と定義されています。)

でも、景表法の表示が食品表示基準に従わなければいけないなんていうことは、まったくありません。

両者は別の法律なので、あたりまえです。

食品表示基準どおりの認識を一般消費者が持つことが一般化しているのであれば、食品表示基準に従って景表法が解釈されるということもあるかもしれませんが、それは、そのような認識が消費者の中で一般化しているからであって、当然に食品表示基準どおりに景表法が解釈されるわけではありません。

(この点で、メニュー表示ガイドライン注4で、成型肉を焼いた料理を「ステーキ」と呼んではいけない根拠として

「食品表示法では、牛の生肉、脂身、内臓に酵素添加物や植物たん白等を加えるなどして肉質を変化させ、人工的に結着し、形状を整えたような成形肉については、牛の生肉の切り身と区別されています。また、その処理により病原微生物による汚染が内部に拡大するおそれがあることから、中心部まで加熱する必要があり、成形された生肉が容器包装されている場合は、その全体について十分な加熱を要する旨などを表示することとしており、牛の生肉の切り身とは、その取扱いを異にしています。」

と、食品表示基準に言及しているのは、私は大きな問題だと思っています。)

この件は、食品表示基準を参照して解決するような問題ではなく、もっと常識的に、消費者の認識を基準に判断すべき問題です。

麦みそはあくまで麦みそなのであって、味噌とは違う、というのが消費者の認識でしょう。

もし麦みそに麦を使っていなかったら不当表示でしょうが、麦みそに大豆を使ってなくても、何も問題ないと思います。

これが問題だというなら、かに味噌を「かに味噌」と呼べなくなってしまうでしょう。

消費者は、かに味噌に「味噌」という言葉が入っていても、かに味噌が味噌でないことくらい、わかっています。

というわけで、愛媛麦みそ騒動の愛媛県の指導は明らかに間違いです。

さて、2022年11月12日の毎日新聞の記事に、気になる記述がありました。

同記事では、

「消費者庁「商品名は制限せず」」

という小見出しのもとに、

「⼆つの法律〔注・食品表示法と景表法〕を所管する消費者庁はどう考えるのか。

⾷品表⽰法の担当者によると、品名や原材料名などの記載基準は、商品パッケージの⼀括表⽰欄にのみ適⽤されるという。

つまり、欄外に商品名として⻨みそと表記することは妨げない。

また、景品表⽰法の担当者は「商品名に制限を加える法律ではない」と説く

例えば「健康に良いみそで、⾎圧が抑えられる」とうたっているのに、その効能が認められないなど、実態より明らかに優良だと⽰さない限り、違反には当たらないという。」

と記載されています。

この、景品表示法の担当者の「商品名に制限を加える法律ではない」というコメントは、まちがいです。

担当者が言い間違えたのか、記者さんがまとめ間違えたのかはわかりませんが(たぶん、前者でしょう)、とにかく間違いです。

商品名も、景表法の規制対象になる「表示」であることに、争いはありません。

西川編著『景品表示法〔第6版〕』43頁にも、

商品名や企業名それ自体も①~⑤〔注・定義告示2項〕のような形で表示する場合、景品表示法の対象となり得る」

と明記されています。

もし商品名が景表法の対象にならないなら、「麦みそ」に麦を使っていなくても、不当表示にはならないことになってしまいますし、麦みそには大豆が使われていると一般消費者が認識していたとしても、商品名を景表法違反とした愛媛県の指導は間違いだったことになってしまいます。

実際にも、メニュー偽装事件では、「芝海老とイカの炒め物」というメニューにバナメイエビを使っていたのが優良誤認表示とされました(厳密には、レストランのメニューは役務の表示ということらしいですが、ここでの問題での例としては充分でしょう。)

商品名も不当表示になりえますので、みなさん、くれぐれもご注意下さい。

2022年10月31日 (月)

アンケートとモニターに関する定義告示運用基準の矛盾

定義告示運用基準1⑴では、

「(1) 提供者の主観的意図やその企画の名目のいかんを問わず、客観的に顧客誘引のための手段になっているかどうかによって判断する。

したがって、例えば、親ぼく、儀礼、謝恩等のため、自己の供給する商品の容器の回収促進のため又は自己の供給する商品に関する市場調査のアンケート用紙の回収促進のための金品の提供であっても、「顧客を誘引するための手段として」の提供と認められることがある。」

とされています。

これに対して、同5⑶では、

「(3) 取引の相手方に提供する経済上の利益であっても、仕事の報酬等と認められる金品の提供は、景品類の提供に当たらない(例 企業がその商品の購入者の中から応募したモニターに対して支払うその仕事に相応する報酬)。」

とされています。

でも、この2つは矛盾しているのではないでしょうか。

自己の供給する商品に関する「市場調査」と、自己の商品の「モニター」とは、区別できないと思います。

あえて言えば、

「自己の供給する商品に関する市場調査」のほうは、「市場調査」なので、専ら自己の商品についての調査だけではなく、競合品についての質問や、その他幅広く需要者の嗜好に関係する調査を含まれる

のに対して、

「モニター」は、専ら自己の商品の使い勝手を報告させるものに限られる、」

ということかもしれませんが、それでも、どっちともいえる調査はいくらでもあると思います。

あるいは、

「自己の供給する商品に関する市場調査」のほうは、「アンケート」なので、アンケート用紙に簡単に記入してすむものを想定している(ので、それに対する謝礼は謝礼に値せず景品類に該当する?)

のに対して、

「モニター」のほうは、一手間も二手間もかけて回答するものなので、報酬を支払うのに値する

ということなのかもしれませんが、やはり、区別をするのは困難だと思います。

それに、このような考え方をとると、少額のもの(アンケートの謝礼)は景品類に該当するのに対して、相応の額のもの(モニターの報酬)は景品類に該当しない、という、なんとも据わりの悪いものになってしまいます。

「モニターの場合、相当の仕事をしてもらっているのだから、相応の額の物を払ってよいのだ」といっても、やはり、「では、アンケートのような、ちょっとした作業に、ちょっとしたお礼を払うのもかまわないのでは?」という疑問がわきます。

ほかには、市場調査のほうは、アンケート用紙の「回収促進」のためであるのに対して、モニターのほうはあくまで「仕事の報酬」なのだ、という目的で区別するという説明もあるかもしれませんが、これなんかはもっとも区別するのが困難でしょう。

モニターの報酬だって、モニターをやってもらえる(モニターからの情報取得の促進)の対価でしょう。

ということで、厳密に考えると、両者は矛盾すると言わざるを得ません。

こういうときの解決の1つは、とことん厳密に考えることです。

そうすると、アンケートの方は、

「「顧客を誘引するための手段として」の提供と認められることがある。」

といっているだけなので、顧客誘引性だけの話でほかの要件は別途検討が必要、ということですし、「ことがある」なので認められないこともある、と読めるのだ、そうすると結局、「仕事の報酬等」に該当するもの(モニター等)は、すべて景品類には該当しないのだ、ということになります。

いわば、アンケートのほうは、モニターの規定により空振りになっている(ヒットしているのはそれ以外の「親ぼく、儀礼、謝恩等のため、自己の供給する商品の容器の回収促進のため」だけ)、と読むわけです。

もう1つの解決は、運用基準をドラフトした公取委の担当者の気持ちになって、ぼーっと考えてみる(あんまり厳密に考えない)という方法です。

これは実務上結構役に立ったりします。

少なくとも昔の景品規制は、あまり理屈を考えてできていたわけではなく、相談や実務の蓄積から得られた知見をつぎはぎしながら作っていたフシがあります。

実務を担当する人間は、細部の整合性にまでは気をつかわず、とにかく目の前の事案が常識的に解決できればよしとする傾向がありますので、そういう、公取委担当者の気持ちになって考える、ということです。

そうすると、先に述べたような、アンケートにもモニターにもあたるようなものがあるじゃないかとか、両者は厳密に区別できないじゃないかといった疑問は氷解し、目の前に出てきたものがアンケートっぽかったら、報酬に値する仕事ではないから景品類に該当し、それなりの作業が必要なら報酬であって景品類には該当しない、というように、両者はきれいに区別されます。

ですが、私はこの論点に関しては、やはり、アンケートに対する謝礼も「仕事の報酬」に該当するとしてかまわないと考えています。

つまり、アンケートの謝礼に関する記述は純粋に取引誘引性だけの話であり、そのためアンケートについては仕事の報酬に該当するので結果的に空振りである、ということです。



から良いのだ、

2022年9月24日 (土)

打消し表示はすべての強調表示に付けましょう。

時々受ける質問に、「打消し表示は会社のホームページに載せておくだけではだめなのでしょうか。」というのがあります。

商品パッケージに強調表示を表示する場合、すべてのパッケージに打消し表示をしないといけないのか、という質問です。

ほかには、チラシなどもあるでしょう。

結論としては、すべての強調表示に、都度、打消し表示をする必要があります。

形式的な理由としては、打消し表示は強調表示と同一視野に表示されていなければならないとされているからなのですが、実質的な理由は、商品パッケージだけしかみない、あるいは、チラシしか見ない、という消費者もいくらでもいるからです。

会社法では、官報への公告やホームページでの公告でよしとされていたり、ほかには、個人情報保護法21条(取得に際しての利用目的の通知等)では、

「第二十一条 個人情報取扱事業者は、個人情報を取得した場合は、あらかじめその利用目的を公表している場合を除き、速やかに、その利用目的を、本人に通知し、又は公表しなければならない。」

と、利用目的を本人に知らせるのは公表でよい、ということになっています。

しかしながら、これらは法律の規定に基づいてはじめてそういう一種の通知の擬制方法が認められているから可能なのであって、一般的に公表などですますわけにはいきません。

とくに景表法の場合は消費者保護法ですから、誤認を生じさせるかどうかはあくまで消費者の側に立って考えないといけません。

そうすると、企業の都合で公告ですませたりすることは許されず、消費者がどのように情報を取得するのか、といった消費者の立場に立った解釈が必要であるということがわかると思います。

情報の受け手である消費者の側に立つ、というスタンスは、景表法の不当表示規制では常に必要です。

上記打消し表示も、そのような一般的なスタンスの、1つの応用であるといえます。

また、このように、打消し表示は「付け漏れ」のリスクが常にあります。

ときどき契約書のレビューを依頼してくる人の中に、契約書の本文だけを送ってくる人がいますが、大事なことが別紙に書いてあることはいくらでもあるので、これはリスクがあります。それと似ています。

契約書の本文だけを送ってくる人も、悪気があって(別紙を隠そうと思って)そうしているわけではたぶんなく、単に、別紙と本文が別のワードファイルになっているだけなのではないかと想像します。

そして、M&Aの契約とか、別紙があるのがあたりまえということで定着している契約なら、別紙の存在を忘れてしまうということはまずないのですが、世の中、別紙を使うのが一般的である契約書ばかりではありません。

そうすると、別紙があるかどうかは、契約書の本文を全部見ないとわからない、ということもあるわけです。

これは、結構な手間で、どこかで別紙の存在を見落としてしまうことがあると思います。

というわけで、少々脱線してしまいましたが、打消し表示も、別紙のような扱いをしていると、どこかで「付け漏れ」が出てしまいます。

常に、打消し表示と強調表示は不可分一体のものとして扱う必要があります。

また、打消し表示にはこのような「付け漏れ」のリスクがあるので、強調表示であまり強調しすぎることは避けるべき、ということにもなると思います。

2022年9月22日 (木)

既存顧客に対する物品提供は景品類の提供か。

よく聞かれる質問に、過去に自社の商品を購入してくれた顧客(既存顧客)に対して、たとえば「日頃のご愛顧に感謝して」などと銘打って、粗品や景品を贈呈したりするのは景表法上の景品類に該当するのか、という質問があります。

結論としては、基本的には取引付随性がなく、景品類には該当しません。

この点について、消費者庁ウェブサイトの景品類に関するQ&Aの13番では、

「Q13  昨年1年間に、当店で10万円分以上の商品を購入してくれたお客様を対象として、今後の取引を期待して「お客様感謝デー」を実施し、来店してくれたお客様にもれなく景品を提供する旨をダイレクトメールで告知しようと考えています。この場合、取引の価額を10万円とみてよいでしょうか。」

という設問に対して、

「A 既存の顧客に対して景品類を提供する場合の取引の価額については、原則として、当該企画が、同企画を告知した後の取引を期待して行われるものであると認められることから、

取引の価額は、当該企画を告知した後に発生する通常の取引のうち最低のものということになり、

過去の購入額を取引の価額とすることはできません

御質問のケースは、来店を条件として景品類を提供するものと認められますので、取引の価額は100円又は当該店舗において通常行われる取引の価額のうち最低のものとなり、提供できる景品類の価額は取引の価額に応じたものとなります。」

と回答されています。

もし、この「景品」が、過去の取引と付随していると考えるなら、当然、取引の価額は過去の取引の価額である10万円となりますが、取引の価額を10万円とすることはできないといっているわけですから、過去の取引に附随する提供だとみることはできない(よって過去の取引との取引付随性はない)、ということになります。

ポイントは、問題の取引(取引付随性の有無が問題になる取引)が、企画を告知する前か後かです。

告知後に成立した取引との関係では、当該企画により提供される物品は当該告知後取引との取引付随性は認められますが、告知前に既に成立済みの取引との関係では、当該物品は取引付随性は認められません。

たしかに、条文の文言を形式的に読めば、定義告示の取引付随性の要件は、

「景品類とは・・・事業者が自己の供給する商品又は役務の取引に附随して相手方に提供する物品、金銭その他の経済上の利益」

と書かれているだけで、企画告知前の「取引に附随」するということも文言的にはありえないわけではないのでしょうけれど、そういう読み方はしない、ということです。

このような考え方は、定義告示運用基準4⑴の、

「(1) 取引を条件として他の経済上の利益を提供する場合は、「取引に附随」する提供に当たる。」

というのにも表れているといえます。

というのは、「取引を条件として」提供したといえるためには、取引をするかどうかを決定する時点で、取引が条件だということが当然消費者に告知されているべきだ、物品が「取引を条件として」提供されるのかどうか消費者にわからないときには、「取引を条件とし」た提供とはいえないのだ、と考えるのが自然(当然)だからです。

取引を条件としない、定義告示運用基準4⑵の場合を見ても、やはり、包装に告知されているとか、入店者に限るとか、取引をする前に企画の存在が消費者にわかるケースばかりです。

というわけで、取引付随性が認められるためには、取引の(意思決定の)前に企画が消費者に告知されている必要があります。

ちなみに、定義告示運用基準1⑵では、顧客誘引性について、

「(2) 新たな顧客の誘引に限らず、取引の継続又は取引量の増大を誘引するための手段も、「顧客を誘引するための手段」に含まれる。」

とされており、既に顧客である人の取引の継続や増大を誘引する場合も顧客誘引性が認められることになっているのですが、取引付随性は顧客誘引性とは別の要件なので、以上で取引付随性について述べたことは影響を受けません。

ただし、単発の企画であれば以上のとおりでいいのですが、同じ企画を繰り返し行って常態化していると、消費者の間では、この商品を購入すればこのような景品がもらえるのだということが知れ渡ることになり、そうすると、企画告知後の取引との間に取引付随性が認められることがあるかもしれません。

このように、単発の企画であれば企画告知前との取引との間には取引付随性は認められない、ということに尽きるのですが、同じ企画を繰り返し行っている場合には問題となる可能性が否定できないので、やや注意が必要です。

ただし、既存顧客の取引との付随性が認められるためには、企画内容の告知がなくてもあたかもあったかのように認識されるというくらいの常態化が必要と考えられるので、そこまでの常態化があるとされることは、かなり稀なことではないかという気もします。

2022年9月 8日 (木)

不実証広告規制は立証責任の転換か?

景表法の不実証広告規制は立証責任の転換を定めた規定であると説明されることが多いと思います。

ですが、本当にそうでしょうか?

「立証責任」を有斐閣『法律学小辞典』で調べると、挙証責任の項目に飛ばされ、挙証責任は、

「裁判所が判決をするには、証明の対象となる事項を確定しなければならないが、裁判官の能力や当事者の努力にも限界がある以上、裁判所がある事実について存否いずれにも確定できないこともあり得る。

このような場合にも判決を可能にするために、その事実の存在又は不存在を擬制して法律効果の発生又は不発生を判断するが、その結果、一方の当事者が被る不利益を挙証責任という。

立証責任、証明責任ともいう。

このように、挙証責任は、要証事実の存否について、裁判所が確信を抱くに至らない、真偽不明の場合(ノン・リケット)を処理するための概念であるから、訴訟資料の提出について弁論主義・職権探知主義のいずれを採用しても問題になる。」

と説明されています。

つまり、双方立証を尽くしても真偽不明の場合に、不利に扱われる負担というのが、立証責任です。

ところが、不実証広告規制に関する景表法7条2項では、

「2 内閣総理大臣は、前項の規定による命令〔注・措置命令〕に関し、

事業者がした表示が第五条第一号に該当するか否かを判断するため必要があると認めるときは、当該表示をした事業者に対し、期間を定めて、当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めることができる

この場合において、当該事業者が当該資料を提出しないときは、同項の規定の適用については、当該表示は同号に該当する表示とみなす。」

と規定されています。

これは、どうみても訴訟で真偽不明の場合の責任を違反者に負わせるというのとは違います。

まず、合理的な根拠を示す資料の提出を求めることが「できる」なので、求めないこともできますし、実際過去にはそのような事例もあります。

そして、措置命令前の段階で消費者庁が合理的根拠を示す資料の提出を求めなかったときには、通常どおり、訴訟においても消費者が立証責任を負います。

さらに、資料の提出を求めたときの効果は、提出した資料が合理的な根拠を示すものでなければ、優良誤認表示であると「みなす」なので、いわば、違反が擬制されます。

これは、真偽不明の場合にどちらに責任を負わせるのかというのとは、ぜんぜん違います。

しかも、要件事実は、問題の表示が優良誤認表示かどうかではなく、措置命令前に提出された資料が合理的根拠を示しているかどうか、です。

つまり、提出済み資料の合理性だけが争点になります。

表示が優良誤認表示なのかと、資料が合理的なのかでは、ぜんぜん意味が違います。

もちろん、措置命令後に出された資料も考慮されません。

訴訟で初めて違反者が提出した証拠は、それが提出ずみの資料の合理性を根拠付けるものなのであれば考慮され得ますが、当該証拠自体で優良誤認表示ではないという立証はできません。

そのようなことは、通常の立証責任の転換ではありえません。

そして、措置命令前に提出された資料の合理性だけが争点になるため、取消訴訟で消費者庁側が積極的にたとえば試験をするなどして優良誤認表示だと立証する必要は、まったくありません。

措置命令前に提出された資料を弾劾するために消費者庁が独自に試験することはあるかもしれませんが、必須ではありません。

実際、翠光トップラインに対する措置命令の取消訴訟では、消費者庁が独自に試験をして証拠として提出した形跡はなく、もっぱら翠光トップライン側の試験方法の批判に終始していますし、裁判所もそのような主張立証でよしとしています。

しかも、この合理性の根拠が、一般的にイメージされるようなものに比べて貼るかに高い厳密性が要求されます。

たとえば、翠光トップライン判決では、査読付学術論文なみの厳密さが要求されているようにみえます。

博士号を持っている知り合いの科学者の人に聞いたところ、理系の世界では、論文は査読付でないと学問的には意味がないそうで、「査読のない論文なんて、エッセーと同じ」なんだそうです。

有名な学者の先生が書いたものだから合理的根拠になると思ったら大間違いです。

なので、査読付論文と同じレベルが要求されるというのは、大変なことだと思います。

しかも、理屈の上では、違反者が資料の合理性の立証に成功しても、それは、優良誤認表示であるとみなす(擬制する)効果がなくなるだけで、いわば更地に戻るだけであり、さらに消費者庁が追加の立証をして(不実証広告規制を経由せずに)裁判所が優良誤認表示であると認定することも、条文の文言上は不可能ではないように思われます。

このように、不実証広告規制は、他に例のない(特商法にもありますが)、きわめて強力な制度だということは、知っておいたほうがいいと思います。

2022年8月 6日 (土)

原産国表示と優良誤認の違い

たまに勘違いされることがあるようですので(公正取引861号50頁など)、原産国告示と優良誤認の違いについて説明しておきます。

原産国を偽っているように見えるのに原産国告示違反ではなく優良誤認とされている事件は、対象商品自体の原産国を偽ったのではなくて、対象商品の原材料を偽った事件です。

ブランド力の差で著しく優良と誤認させるほどのものが優良誤認でそれに至らないものが原産国告示、というわけではありません。

(原産国告示違反には課徴金がかからないので、そういう解釈もあって良いと思いますが、実務の運用はそうなっていません。)

原産国表示は、対象商品自体の原産国を偽った場合に限られます。

原産国告示のうち比較的使われることの多い2項(外国産商品の不当表示)では、

「2 外国で生産された商品についての次の各号の一に掲げる表示であつて、その商品がその原産国で生産されたものであることを一般消費者が判別することが困難であると認められるもの

一 その商品の原産国以外の国の国名、地名、国旗、紋章その他これらに類するものの表示

二 その商品の原産国以外の国の事業者又はデザイナーの氏名、名称又は商標の表示

三 文字による表示の全部又は主要部分が和文で示されている表示」

が原産国告示違反の表示と定められています。

つまり、あくまで「商品」自体の原産国を偽るのが原産国告示違反であって、商品の原材料の原産国を偽っても、原産国告示違反にはならず、優良誤認表示にしかなりません。

また、原産国告示違反に該当する表示をあえて優良誤認とすることも、理屈の上では可能ですが、そのような運用はされていません。

たとえば、家庭用塩の製造販売業者9社に対する警告(優良誤認)についての公取委報道発表文(平成16年7月21日)では、

「前記1の9社は,家庭用塩について,別紙1のとおり,原料原産地について,あたかも沖縄等で採取された海水を用いたものであるかのように表示していたが,実際には,外国産の天日塩を沖縄等で採取した海水に溶解するなどして再生加工したもの等であり,一般消費者に誤認される疑いがある。」

と認定されています。

つまり、商品である家庭用塩の原産地を偽ったのではなく、その原材料である海水の原産地を偽ったので、原産地告示違反にはならない、ということです。

平成21年11月10日のファミリーマートに対する措置命令(優良誤認)でも、

「ファミリーマートは、平成21年6月11日ころから同月16日ころまでの間、カリーチキン南蛮おにぎりの包装袋に貼付したシール(別添写し)において、「国産鶏肉使用」と記載することにより、あたかも、当該商品の原材料に我が国で肥育された鶏の肉を用いているかのように示す表示をしていたが、実際には、当該商品の原材料にブラジル連邦共和国で肥育されたものを用いていた。」

と認定されており、商品のおにぎり自体ではなくその原材料の産地を偽ったので、原産国表示違反にはなりませんでした。

おにぎりの原産国は、たぶん、おにぎりを作った国でしょう。

なので、おにぎりの工場が国内にあれば、そのおにぎりを国産といっても、間違いではないと思います。

でも、材料の鶏肉の原産国を偽れば、これは、優良誤認表示でしょう。

プラスワンに対する令和元年10月16日措置命令(優良誤認)でも、同社が販売する「本件商品」は、

「貴社が運営する「からあげ専門店こがね」と称する店舗のうち別表1「店舗」欄記載の店舗において供給する鶏の「もも」と称する部位(以下「鶏もも肉」という。)を使用した唐揚げ及び当該唐揚げを含む商品の各商品(以下これらを併せて「本件商品」という。)」

と定義され、違反対象商品は唐揚げおよび唐揚げを含む商品でしたが、違反の表示は、

「(4)ア プラスワンは、本件商品を一般消費者に販売するに当たり、例えば、塚本店の看板において、平成28年2月1日以降、「からあげ専門店 こがね」及び「国産若鶏使用 絶品あげたて」と表示するなど、別表1「店舗」欄記載の店舗の看板又は軒先テントにおいて、同表「表示期間」欄記載の期間に、同表「表示内容」欄記載のとおり表示することにより、あたかも、本件商品には、国産の鶏もも肉を使用しているかのように示す表示をしている又は表示をしていた。」

というものであり、唐揚げ自体の原産国(揚げた国ですかね)を偽ったのではなく、その商品に使用された原材料である鶏もも肉の原産地を偽ったわけです。

なので、この事件も優良誤認となりました。

ちなみに、消費者庁ホームページが、

国産有名ブランド牛の肉であるかのように表示して販売していたが、実はブランド牛ではない国産牛肉だった。」

というのを優良誤認の例として挙げていますが、これは、実際も表示も原産地は日本(国産)なので、原産国表示違反にはなりようがなく、優良誤認になるのは当然です。(違反は、「ブランド」牛か、ノーブランド牛か、という点にあり、原産国の点にはありません。)

以上は優良誤認の例でしたが、今度は原産国告示の事件をみてみると、たとえばビック酒販に対する令和3年9月3日措置命令では、

「⑶ ビック酒販は、本件25商品〔お酒〕を一般消費者に販売するに当たり、自社ウェブサイトにおいて、別表「商品名」欄記載の商品について、同表「表示期間」欄記載の期間に、同表「表示内容」欄記載のとおり表示することにより、同欄記載の国名又は地名を表示していた。

⑷ 実際には、本件25商品は、別表「実際の原産国(地)」欄記載の原産国(地)で生産されたものであった。」

と認定されており、商品自体の原産地を偽ったので、原産国告示違反になりました。

令和元年6月13日の高島屋に対する措置命令(原産国表示)でも、

「⑶ 髙島屋は、本件147商品〔化粧品や雑貨〕を一般消費者に販売するに当たり、自社ウェブサイトにおいて、別表「商品名」欄記載の商品について、同表「表示期間」欄記載の期間に、「原産国・生産国」又は「原産国」と記載の上、同表「表示された国名」欄記載の国名を記載していた。

⑷ 実際には、本件147商品は、別表「実際の原産国(地)」欄記載の原産国(地)で生産されたものであった。」

と、「本件147商品」自体の原産地を偽ったので、原産国告示違反になりました。

という具合に、原産国告示は商品自体の原産国、優良誤認は商品の原材料の原産国の偽り、ということです。

それから、原産国告示は商品だけが対象なので、役務の場合には、必ず優良誤認になります。

たとえば、レストランは役務と考えられているので、国産牛ステーキというメニューで料理を出したのが外国産牛肉だったりすると、優良誤認にはなりますが、原産国告示違反にはなりません。

というわけで、みなさん勘違いしないように気をつけましょう。

2022年8月 5日 (金)

晋遊舎に対する措置命令の疑問

晋遊舎がパズル雑誌の懸賞の賞品を送っていなかったとして、2021年3月24日、消費者庁から措置命令を受けました

応募締切から短いもので8カ⽉弱、長いのだと3年10カ⽉後まで賞品が発送されていなかったということです。

本件でも、他の事件と同様、不当表示があったことの公示などとともに、

「貴社は、今後、本件商品又はこれらと同種の商品の取引に関し・・・前記○○の表示と同様の表示を行うことにより、当該商品の取引条件について、実際のものよりも取引の相手方に著しく有利であると一般消費者に誤認される表示をしてはならない。」

という、将来同様の表示をすることを禁じる命令がされています。

この手の事件をみて常々思うのですが、措置命令でたんに将来の表示を禁じるだけではなくて、命令の対象になった表示どおりに賞品を送るように命令することはできないものでしょうか。

西川編著『景品表示法〔第6版〕』p305でも、実際の商品役務の内容を表示に合わせることを命じた例として、石川ライフクリエートに対する2003(平成15)年4月16日排除命令が紹介されています。

この石川ライフクリエートの事件は老人ホームの事件だったので、入居している老人の方々にとっては、「不当表示がありました。将来同様の表示はしません」といわれてもあまり意味がなく、施設の内容を改善して表示に合わせる必要性がとくに高かったといえるかもしれません。

でも、雑誌の懸賞だって、「あれはうそでした。将来同様の表示はしません。賞品は表示どおりちゃんと送ります。」といわれても、現に懸賞に応募した人たちにとっては意味がないわけで、ちゃんと懸賞を実施して賞品を送らせるべきだったのではないでしょうか。

不当表示の内容が、「コロナウィルスを寄せ付けません」といった内容だと、表示どおりの商品を提供することはおそらく技術的に不可能ですから、表示をやめさせるほかないわけですが、雑誌の懸賞なら、不可能なことは全然ないと思います。

ひょっとしたら、応募ハガキを捨てちゃったので抽選の実施が不可能だった、ということもあるかもしれませんが、それでも、抽選ハガキが残っている分については実施させることはできるのではないでしょうか。

そのほうが、応募者も喜ぶし、同種事案の抑止にもなると思います。

こういうことが消費者庁内で議論されたのかどうかはわかりませんが、たぶん議論されていないと思うので、問題提起させていただきました。

2022年7月21日 (木)

アフィリエイト広告が広告主の広告とはみなされない場合(「インターネット消費者取引に係る広告表示に関する景品表示法上の問題点及び留意事項」注7)

2022年6月29日に改正された「インターネット消費者取引に係る広告表示に関する景品表示法上の問題点及び留意事項」の注7では、

「アフィリエイターが自らのアフィリエイトサイトに単にアフィリエイトプログラムを利用した広告を行う事業者のウェブサイトのURLを添付するだけなど、当該事業者の商品・サービスの内容や取引条件についての詳細な表示を行わないようなアフィリエイトプログラムを利用した広告については、通常、不当表示等が発生することはないと考えられる。

また、アフィリエイターの表示であっても、広告主とアフィリエイターとの間で当該表示に係る情報のやり取りが一切行われていないなど、アフィリエイトプログラムを利用した広告主による広告とは認められない実態にあるものについては、通常、広告主が表示内容の決定に関与したとされることはないと考えられる。」

と定められています。

後半部分は、アフィリエイト広告が広告主の広告ではないと認められる場合(広告主が表示内容の決定に関与していないと認められる場合)について述べているわけですが、「当該表示にかかる情報のやりとり」というのは、具体的にはどのように理解すればいいのでしょうか。

ここで、「当該表示」というのは、その直前の「アフィリエイターの表示」を指します。

要するにアフィリエイト広告のことなのですが、アフィリエイト「広告」といってしまうと広告主の広告であるという意味が込められてしまうので、アフィリエイターの「表示」といっているのでしょう。

では、「当該表示に係る情報」とは、具体的には何でしょうか。

素直に読めば、「当該表示に係る情報」とは、「アフィリエイターの表示に係る情報」です。

広告対象商品に関する情報(性能やスペック、アピールポイントなど)は、文言上、当然には「アフィリエイターの表示に係る情報」に該当しなさそうに見えますが、そこはあまり細かいことは言わず、広告対象商品に関する情報も、「当該表示に係る情報」であると読むのでしょう。

というのは、(結論先取り感のある理屈ですが)広告対象商品に関する情報を広告主がアフィリエイターに提供している場合には、広告主がアフィリエイターの表示を自己の広告とみなしているといえますし、「このような内容の商品として広告してね」というのでも十分、「広告主が表示内容の決定に関与した」といえるからです。

もし、広告対象商品自体に関する情報は「当該表示に係る情報」に含まれず、「当該表示に係る情報」は広告対象商品自体に関する情報を超えた情報(例えば具体的な広告文言とか、どの競合商品と比較しろとか、この点をアピールしろとかいった指示)に限るとすると、アフィリエイト広告が広告主の広告になる範囲が狭くなりすぎます。

それに、普通の広告の場合に広告主が商品内容だけを広告代理店に伝えて広告代理店が広告内容を考えるようなケース(が実際にあるかどうかは分かりませんが)がもしあれば、問題なく広告主の広告でしょうから、広告主からアフィリエイターに伝えられるのも商品自体に関する情報だけで十分でしょう。

次に、「当該表示に係る情報のやり取り」というように、「やり取り」記されているので、「当該表示に係る情報」が広告主からアフィリエイターに伝達されることはもちろん、「当該表示に係る情報」がアフィリエイターから広告主に伝達される場合も含まれるでしょう。

(なお、「広告主とアフィリエイターとの間で」とされていますが、やり取りは広告主とアフィリエイターとの間で直接なされる必要はなく、現実的には、間に入るアフィリエイトサービスプロバイダーを通じてなされるのでしょう。)

そして、「広告主とアフィリエイターとの間で当該表示に係る情報のやり取りが一切行われていない」ことが必要なので、広告主からアフィリエイターへの情報の伝達がなくても、アフィリエイターから広告主への情報の伝達があれば、広告主の広告だ、ということになりそうです。

ということは、広告主はアフィリエイターからアフィリエイト広告の内容の報告を受けてはいけない(受けていると広告主の広告になってしまう)、ということになります。

では、広告主が広告内容を一切アフィリエイターに丸投げし、事後チェックもしないのがベストなのか、というと、必ずしもそうとはいえません。

というのは、指針のパブコメで、

「『また、アフィリエイターの表示であっても、広告主とアフィリエイターとの間で当該表示に係る情報のやり取りが一切行われていないなど、アフィリエイトプログラムを利用した広告主による広告とは認められない実態にある者については、通常、広告主が表示内容の決定に関与したとされることはないと考えられる』

と記載されているが、

これでは、アフィリエイターに表示内容を丸投げすれば広告主に責任は生じないと読めるのではないか。

しかし、これは「他の事業者に表示内容の決定を委ねた事業者も『表示内容の決定に関与した事業者』に当たる」とする(注6)に挙げている東京高裁ベイクルーズ事件判決に反している。

したがって、この文は削除すべきではないか。

たとえ広告主とアフィリエイターとの間で当該表示に係る情報のやり取りが一切行われていなくても、広告主がアフィリエイターに表示内容の決定を委ねている以上、アフィリエイターの表示は広告主の表示となると考える。」

という、至極まっとうなコメントがなされており、これに対して消費者庁が、

「御指摘のように、広告主が「アフィリエイターやアフィリエイトプロバイダに表示内容を丸投げ」した場合は、

本留意事項「(注7)」に記載した

「アフィリエイターの表示であっても、広告主とアフィリエイターとの間で当該表示に係る情報のやり取りが一切行われていないなど、アフィリエイトプログラムを利用した広告主による広告とは認められない実態にあるもの」

には当たりません。」

と回答しているからです。

つまり、丸投げは広告だ、ということです。

消費者庁の理屈を想像すると、「丸投げ」は、表示内容の決定を「委ねている」に該当するのだ、ということなのでしょう。

「丸」投げかどうかはどうでもよくて、「投げ」ていることが、「委ねている」ということなのでしょう。

それに、注7を細かく見ると、

「アフィリエイターの表示であっても、広告主とアフィリエイターとの間で当該表示に係る情報のやり取りが一切行われていないなど

アフィリエイトプログラムを利用した広告主による広告とは認められない実態にあるものについては、

通常、広告主が表示内容の決定に関与したとされることはない」

とされており、情報のやり取りが一切行われていないことはあくまで例示であり、要は、「広告とは認められない実態」があるかどうかが決め手だ、ということがわかります。

しかしそうだとすると、「情報のやり取りが一切行われていない」場合でも、「丸投げ」していれば、結局広告主の広告だということになり、あえて「情報のやり取り」云々に言及する注7の後半は不要なのではないか(あるいは、文字どおり解釈することはできないのではないか)という疑義が生まれ、理屈としては寄せられたコメントのほうが正しいと思います。

つまり、正しくは、

「広告主とアフィリエイターとの間で当該表示に係る情報のやり取りが一切行われていない」

という部分は、

「広告主がアフィリエイターに広告内容の決定を委ねておらず、かつ、広告主とアフィリエイターとの間で当該表示に係る情報のやり取りが一切行われていない」

と補って読むべきなのでしょう。

でもそうすると、情報のやり取り云々に関する部分は何も意味がないようにも思えますが、これは、情報のやり取りがまったくない場合には委ねていないという反論の余地を認めたのだ(委ねていないかどうかはケースバイケースで判断)、と考えるべきでしょう。

これに対して、情報のやり取りを行っている場合には、「委ねていない」とはいえないでしょう。

そのようなルールで広告主が救われるアフィリエイトプログラムがどれだけ世の中にあるのかはわかりませんが、消費者庁があえてこういうルールを導入した背景には、きっと、広告主が救われるべきアフィリエイトプログラムが世の中に存在する、という認識にもとづいてのことなのでしょう。

ちなみに、改正指針では、「広告主とアフィリエイターとの間で当該表示に係る情報のやり取りが一切行われていない」といっているだけで、やり取りの時期については限定していません。

この点、広告掲示前に情報のやり取りがあれば(ふつうのアフィリエイトではあるでしょう)、広告主の広告になる方向にはたらくのは明らかです。

では、広告掲示後に情報のやり取りがあるだけのときは、広告主の広告であることは否定されるのでしょうか。

私は否定されないと思います。

まず、改正指針に、やり取りが「一切」行われていない、と書かれており、やり取りの時期に限定はありません。

それに、情報のやり取りは広告内容決定の委託の存在を基礎付ける間接事実というべきで、そうだとすると、広告掲載後のやりとりでも、(広告主による事後チェックなどもありえますから)内容の決定を委ねたことの間接事実となってよさそうだからです。

事後的な事情が広告該当性に影響しうることはパブコメにも出ていて、

「インターネット留意事項の(注7)の第2文の以下の記載、すなわち、

「また、アフィリエイターの表示であっても、広告主とアフィリエイターとの間で当該表示に係る情報のやり取りが一切行われていないなど、アフィリエイトプログラムを利用した広告主による広告とは認められない実態にあるものについては、通常、広告主が表示内容の決定に関与したとされることはないと考えられる。」

の後に以下の記述を追加するべき。

「なお、このような場合であっても、アフィリエイターが消費者を誤認させる内容の表示をしていることを広告主が認知しているにもかかわらず、あえて放置しているような場合は、広告主が、アフィリエイターに対しそのような表示を行うことを委ねていると評価され、表示内容の決定に関与しているとされることがあることに注意する必要がある。」

アフィリエイターが表示を開始した段階で、広告主とアフィリエイターとの間で表示に係る情報のやりとりが行われていなかった場合であっても、広告主が当該問題のある表示を認知し、その後も何ら是正のための対応をとらず、当該表示を自らの商品販売に利用していた場合は、広告主の表示に対する責任を問うべき場合があると考えられるため。」

というコメントに対して、

「御指摘の点は、個別事案ごとの景品表示法上の表示主体についての解釈についてのお尋ねであり、個別の取引実態に応じて判断されるものであることから、お答えすることは困難であると考えております。」

と回答されています。

これは、広告主が事後的に認知した場合でも「委ねている」と評価される場合があることを否定しない趣旨であると考えられます。

でもそうすると、決定を委ねたつもりのない広告主が、自社商品について不当表示のアフィリエイト表示がなされていることに気づいて、そのアフィリエイターに事実関係を問い合わせると、かえって広告主の広告になってしまう、ということになりかねません。

しかしそれは改正指針の文言を杓子定規にとらえた屁理屈と言うべきで、そのような推認はすべきではないのでしょう。

このように、注7の後段は、よく考えてみると論理的には不明な事が多く、きっと読む人が読めば「あ、自分のことだ!」と思うのだろう、という謎に満ちた内容になっているように思います。

消費者庁は、何かの機会に、いったい注7の後段はどのようなケースを想定しているのか、きちんと説明した方がよいと思います。

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