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2026年8月 3日 (月)

「取適法」という略称について

「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律」(昭和三十一年法律第百二十号)の略称として、「取適法」というのが定着してきている感があります。

政府の法令検索でも、「取適法」でヒットします。

でも、上述のとおり、法律の正式名の中には、「取引」とか、「適正」とかいう言葉は、一言も出てきません。

どうしてこの正式名が「取適法」になるのかというと、まず正式名を、「中小受託取引適正化法」と略して、それをさらに「取適法」と略したのだそうです。

でも、「中小受託取引適正化法」のうち、「中小受託」は正式名に出てきますが、やはり、「取引」も「適正化」も出てきません。

というわけで、間に「中小受託取引適正化法」をはさむことによって、正式名には全く出てこない「取適法」になったということです。

ですが、私は、略称に正式名の漢字が一文字も出てこないというのは異常だと思います。

似た例としてはたしかに、官製談合防止法(現在の正式名は「入札談合等関与行為の排除及び防止並びに職員による入札等の公正を害すべき行為の処罰に関する法律」)というのがありますが、あれは世の中で先に広まったのであって、政府が進めたのではありません。

しかも、「官製談合」というのがまさにイメージにぴったりで、名が体を表しています。

でも、「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律」(長いので、「中小受託法」といいます。)を「取適法」(取引適正化のための法律)というのは、大ぶろしきを広げすぎだと思います。

中小受託法の対象は、主体や対象取引で、かなり限定的に規定されています。

改正前の「下請法」というのは、それなりに実態に合っていました。

というか、世の中にある下請取引というのをどうやって法律に落とし込むかを考えて作られたのが、下請法でした。

これに対して、「中小」でもなんでもなく、たんに「取適」(取引適正)では、実態に合っているとはとうていいえません。

これでは、スマホアプリ競争促進法(正式名は「スマートフォンにおいて利用される特定ソフトウェアに係る競争の促進に関する法律」)を「デジタルプラットフォーム法」と呼ぶようなものです。

これがたんなる名前の問題ならまだいいのですが、どうも最近の公取を見ていると、不当な経済上の利益の提供要請や買いたたきの適用の拡大など、中小受託法の適用範囲をどんどん広げていきたがっているように見えます。

なので、「取適法」というのも、あらゆる取引のあらゆる適正化をめざす法律なのだという誤解を国民に広げたい、という目論見があるように思えるのです。

つまり、プロパガンダです。

私もお客さんがメールや資料で「取適法」と呼んでいるときは、「取適法」を使います。

でもそれは、相手と同じ言葉を使ったほうがコミュニケーションがスムーズになるからです。

でも、このブログをはじめ、自分のイニシアティブで書く時には、「中小受託法」に統一しています。

というわけで、みなさん、略称としては「中小受託法」を使いましょう。

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