下請法は、法律ではありません。
私の考えるところでは、下請法(現・中小受託法)は、法律ではありません。
なぜなら、法律の改正もないのに、公取委の解釈がどんどん変わるからです。
思いつくかぎりであげると、以下のとおりです。
・かつては、下請代金から控除(相殺)するのだけが代金減額で、別途下請事業者に金員を支払わせるのは不当な経済上の利益の提供要請と解釈されていたのに、今では、別途支払わせるのも減額にあたりうるとされている。
・平成28年下請法運用基準改正("裏金"世耕プランにもとづく)により、親事業者が検査を省略すると返品できなくなった。
・割引困難な手形の期日がどんどん短くなった。
・以前は事前の書面合意があれば銀行振込手数料を下請事業者に負担させることができたのに、運用基準の改正でできなくなった。
条文が変わらないのに解釈が突然変わるなんて、法律ではありえないことです。
ほかの法律でも、解釈が変わるということはありうると思います。
でもそれは、今まで明確でなかったところが解釈で明確にされたという意味での変更でしょう。
かつて厚底ブーツを履いて自動車を運転するのが道交法違反とされたのも、それまで厚底ブーツなんてなかったので解釈を明確化したということでしょう。
下請法の解釈を示すのでも、あいまいな概念(たとえば割引困難な手形)をどこかで線を引かないといけないというので解釈で線を引く、というのならわかります。
これに対して、上であげた下請法の解釈変更は、いままで適法だったものが、条文の変更もないのに違法になる、というものであり、明確化のための解釈変更とはまったく異なります。
それに比べたら、矢崎部品の勧告(データの無償保管が金型の無償保管のアナロジーで不当な経済上の利益の提供要請とされた)なんて、いままで事例がなかったところに事例が1つ加わっただけなので、かわいいものです。
原材料の遡及値上げが代金減額の遡及適用のアナロジーで不当な経済上の利益の提供要請とされた松尾製作所の勧告も、同様でしょう。
ですが、上に挙げたいくつかの例は、いままで白だったものが突然黒になるというものであり、まったく異なります。
こういうことが、国会で成立した条文の文言の変更もないのに平然と行われるのは、私は法律とは言えないと思います。
ふつうの法律でも、判例が変更されて解釈が変わるということはあるかもしれません。
でも、それは法令解釈権限が裁判所にある以上、当然のことです。
これに対して下請法(現・中小受託法)は、勧告に司法審査が及ばないという致命的欠陥があり、行政が一方的にルール変更できる仕組みを裏から支えてしまっています。
「独禁法だって法律です。」というこのブログのサブタイトルになぞらえていえば、「下請法は法律ではありません。」といったところでしょうか。
どうも公取委の下請法(現・中小受託法)の運用は、法令解釈の正統性に対する配慮が欠けているのではないでしょうか。
公取委は行政機関なのですから、法律の委任もないのに勝手にルールメイキングしちゃいかんでしょう。
また、こういうことを誰も言わないのも、不思議でなりません。
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