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2025年12月11日 (木)

下請法Q&A46番(金型無償保管が違法になる場合)の読み方

下請法Q&Aの46番(型等の保管)では、

「当社は,部品の製造を委託している下請事業者に,その製造に用いる金型を保管してもらっているが,不当な経済上の利益の提供要請に該当するか。」

という質問に対して、

「部品等の製造を委託し,その製造に用いる型等(金型,木型,治具,検具,製造設備等をいう。)(※1)を下請事業者に保管させている場合において,

親事業者が部品等の発注を長期間行わない等の事情(※2)があるにもかかわらず,

保管費用(自社倉庫の使用料相当額,外部倉庫の使用料,倉庫等への運送費,メンテナンス費用等の型等を保管させたことによる費用をいう。)を支払うことなく下請事業者に型等を保管させたときは,不当な経済上の利益の提供要請に該当するおそれがある。

下請事業者に部品等の発注を長期間行わない等の事情がある型等を保管させる場合には,

親事業者は,下請事業者と協議の上,

保管期間

型等を用いる部品等の発注が行われていない期間をいう。)

中に発生した保管費用を支払わなければならない(※3)。

また,型等を廃棄・回収するか,保管を継続するかについても,下請事業者と協議をする必要がある。

(※1)親事業者が所有する型等のほか,親事業者以外が所有する型等であって親事業者が事実上管理している型等を含む。

後者の例として,下請事業者が自社所有の型等を保管しているものの,その廃棄等には親事業者の承認を要する場合がある。

(※2)「親事業者が部品等の発注を長期間行わない等の事情」は,

個別事案ごとに異なるものであるが,

これまでの主な違反事例において認められたものは,次のとおりである。

1 部品等の発注を長期間行わない場合

金型等を用いて製造する製品の発注を1年間以上行わないにもかかわらず,下請事業者に当該金型等を無償で保管させていた事例

2 下請事業者が型等の廃棄や引取り等を希望している場合

下請事業者から金型の廃棄や引取り等の希望を伝えられていたにもかかわらず,引き続き,下請事業者に当該金型を無償で保管させていた事例

3 親事業者が次回以降の具体的な発注時期を示せない場合

金型を用いて製造する製品について今後1年間の具体的な発注時期を示せない状態になっていたにもかかわらず,引き続き,下請事業者に当該金型を無償で保管させていた事例

4 型等の再使用が想定されていない場合

型等を用いて製品が製造された後,当該木型等を改めて使用する予定がないにもかかわらず,引き続き,下請事業者に当該木型等を無償で保管させていた事例

(※3)保管費用の支払に関する留意点の例は,次のとおりである。

・ 親事業者の中には,「下請事業者からの請求がなければ保管費用を支払う必要はないと思っていた。」,「型等の最終稼働後1年間は無償で保管させてよいと思っていた。」などの認識を示す者がみられるが,

保管費用は下請事業者からの請求の有無にかかわらず,保管期間に応じて支払う必要がある。

・ 型等の稼働状況を常に把握することが親事業者及び下請事業者にとって過度な負担となる場合には,双方協議の上,年度ごとに保管させている型等を用いる部品等の発注状況を確認し,当該年度における保管期間に応じた保管費用をまとめて支払うことも許容される。」

と回答されています。

まず問題になるのが、(※2)の「1 部品等の発注を長期間行わない場合」の、

「金型等を用いて製造する製品の発注を1年間以上行わないにもかかわらず,下請事業者に当該金型等を無償で保管させていた場合」

というのが、どの時点を基準に言っているのか、具体的には、保管開始時(≒最後の製造が終わった時点)なのか、現時点(≒公取委調査時点)なのか、ということです。

この点については、現時点(≒公取委調査時点)からみて過去1年間発注がなければ無償保管が違法になる、という意味だと解されます。

つまり、現時点(≒公取委調査時点)からみて、保管開始時点(≒最後の製造が終わった時点)から1年間以上無償保管させていたら違法、ということです。

実際、「1」の場合の勧告例、たとえば、電気興業の勧告(2024年12月5日)のような、調査時点で長期間保管させていたために違反となった例でも、担当官解説(公正取引894号79頁)では、

「そのため、本件においては、電気興業が下請事業者に対して、金型等を用いて製造する部品を発注してから1年以上もの長期間にわたって次の発注がなく、

また、その聞に金型等の回収等や保管費用の支払といった対応を何ら行っていない場合には、

電気興業が下請事業者に当該金型等を長期間無償で保管させて不当な不利益を与えたものと認定している。」

とされており、当該勧告では、保管開始時点にその後1年間の発注予定があったかどうかを問題にするのではなく、現時点(調査時点)において「1年以上もの長期間にわたって次の発注がな」かったこと(最後の発注時点で次の発注が予定されていなかったことではなく、調査時点からみて実際に最後の発注から1年以上発注がなかったこと)で、違反と認定していることがわかります。

それに、「1」の場合をもし、最後の発注時点でその後1年間の発注が予定されていない場合と読むと、「3」の、

「金型を用いて製造する製品について今後1年間の具体的な発注時期を示せない状態になっていたにもかかわらず,引き続き,下請事業者に当該金型を無償で保管させていた事例」

ともろにかぶってしまいます。

そこであらためて「2」から「3」の場合を見てみると、いずれにも、「引き続き」という文言が入っていることがわかります。

たとえば、「2」では、

「下請事業者から金型の廃棄や引取り等の希望を伝えられていたにもかかわらず,引き続き,下請事業者に当該金型を無償で保管させていた事例」

が違反となるとされていますが、そうすると、「金型の廃棄や引取り等の希望を伝えられ」た時点以降は直ちに「保管期間」がはじまり、「保管期間」に入っても「引き続き」保管をさせると「保管費用」を支払わないといけない(あるいは、この場合は、希望を容れて、廃棄や引取をしないといけない)ということになると考えられます。

次の「3」の、

「金型を用いて製造する製品について今後1年間の具体的な発注時期を示せない状態になっていたにもかかわらず,引き続き,下請事業者に当該金型を無償で保管させていた事例」

というのも、「今後1年間の具体的な発注時期を示せない状態」になったら直ちに「保管期間」がはじまり、それ以降「引き続き」無償で保管をさせると違反になる、という意味だと考えられます。

次の「4」の、

「型等を用いて製品が製造された後,当該木型等を改めて使用する予定がないにもかかわらず,引き続き,下請事業者に当該木型等を無償で保管させていた事例」

というのも、発注の「予定がない」ことが確定したら直ちに「保管期間」がはじまり、それ以降「引き続き」無償で保管をさせると違反になる、という意味だと考えられます。

ここで、

「保管費用は下請事業者からの請求の有無にかかわらず,保管期間に応じて支払う必要がある。」

とされていることから、「保管期間」というのは、「保管費用」を支払わないといけない期間だということになるのですが、この「保管期間」というのが、

「型等を用いる部品等の発注が行われていない期間

と定義されていることには注意が必要です。

つまり、金型が物理的に下請事業者の占有下に置かれている期間すべてが「保管期間」となるのではなく、発注がない期間が「保管期間」となる、逆に言うと、発注がある期間は「保管期間」とはいわない(発注がある期間の下請事業者の占有は、受託製造行為の当然の内容である)、ということであると理解できます。

しかし、この「発注が行なわれていない期間」というのは、いかにも曖昧です。

たとえば、毎月1日にコンスタントに発注が行なわれている場合には、毎月2日~月末までを、「発注が行われていない期間」ということは、さすがにないでしょう。

では、最後の発注から次の発注までに、半年空いた場合はどうでしょう? 1年空いた場合は? 2年空いた場合は?・・・と、際限なく疑問が広がっていくのです。

そもそも、「発注」と「発注」の間の期間の長さだけをとらまえて無償保管だというのは、理屈としておかしいと思います。

というのは、発注のあと、その金型が実際に製造行為に用いられる期間があるはずだからです。

そうすると、常識的に考えて、発注から、その発注に基づく納品までは、保管費用を支払う必要はさすがにないと思います。

思考の単純化のために(あるいは、この製造行為期間の論点に気づかなかった公取委の頭に合わせて)、この製造行為期間のことはいったん措くとしても、発注から発注までにどれだけの期間が空くと「発注が行なわれていない 」ことになるのか、という問題は残ります。

そして、この点については、「1」で、

「金型等を用いて製造する製品の発注を1年間以上行わないにもかかわらず,下請事業者に当該金型等を無償で保管させていた事例」

が挙げられており、「発注を1年間以上行わない」ことが明示的に違法の要件とされているので、1年間以上発注がなければ、「発注が行われていない」とみなしてよいのでしょう。

そこでよくわからなくなるのが、果たして「2」から「4」の場合も同様に、「保管費用」を支払うべき「発注が行なわれていない期間」を、発注が1年以上行われていない期間とみていいのか、という点です。

この点、例えば、「2」の、

「下請事業者から金型の廃棄や引取り等の希望を伝えられていたにもかかわらず,引き続き,下請事業者に当該金型を無償で保管させていた事例」

というのを素直に読むと、「金型の廃棄や引取り等の希望を伝えられ」た時点で「保管期間」がはじまり、かかる「保管期間」開始後(=希望伝達後)に「下請事業者に当該金型を無償で保管させて」はならない、と読むのが自然なように一瞬思えます。

でも、ちょっと考えてみると、これはおかしいです。

例えば、直近の発注があって、その製造行為が終わって、納品もされて、その翌日に下請事業者が「金型を引き取ってください」との希望を伝えてきたときに、親事業者が金型を引き取るとか保管費用を支払わないといけないかというと、そんな非常識なことはないでしょう。

(「そんな非常識なことを言う下請事業者はいない」という反論はありえますが、ここで問題にしているのはQ&Aの文章の論理的な読み方なので、そのような事実論は措きます。)

そう考えると、「2」の場合には、「下請事業者から金型の廃棄や引取り等の希望を伝えられていた」というのが、「廃棄の希望をするのももっともだ」といえるような事情があることが、暗黙の前提になっていることがわかります。

実際、この「2」にあたる事例の1つであるサンケンの勧告(2023年11月30日)では、

「一部の下請事業者から長期間発注が無いこと等を理由として廃棄等の希望を伝えられていた」

と認定されており、「廃棄等の希望を伝えられていた」前提として、「長期間発注が無いこと等を理由として」という理由がちゃんと認定されているからです。

なので、「2」の、

「下請事業者から金型の廃棄や引取り等の希望を伝えられていたにもかかわらず,引き続き,下請事業者に当該金型を無償で保管させていた事例」

というのは、文字通りに読むのではなくて、

長期間発注が無いこと等を理由として下請事業者から金型の廃棄や引取り等の希望を伝えられていたにもかかわらず,引き続き,下請事業者に当該金型を無償で保管させていた事例」

というように、補って読むべきなのです。

そして、ここでの「長期間」というのは、「1」で「1年間」という基準が示されていることからすると、こちらの「2」の「長期間」についても、1年間と読んでおいて大きな間違いはないでしょう。

このようにして、「2」を、

1年間発注が無いこと等を理由として下請事業者から金型の廃棄や引取り等の希望を伝えられていたにもかかわらず,引き続き,下請事業者に当該金型を無償で保管させていた事例」

と読み替えるとして、ではいつから保管費用を払うのか(保管期間が始まるのか)、というのが次の問題です。

そして、「2」の場合には、「希望を伝えられ」たときからの保管について保管費用を支払えばすむ、という話では、どうやらなさそうです。

というのは、(※3)に、

「保管費用は下請事業者からの請求の有無にかかわらず,保管期間に応じて支払う必要がある。」

と記載されているからです。

請求の有無にかかわらず」保管費用を払わないといけないのに、「希望を伝えられ」たときからの保管費用を払えばすむというのは、矛盾でしょう。

ですので、「2」の場合には、

「下請事業者から金型の廃棄や引取り等の希望を伝えられていたにもかかわらず,引き続き,下請事業者に当該金型を無償で保管させていた事例」

というように、「伝えられ」たときから「引き続き」保管させるのが下請法違反になるかのように見えますが、保管費用については「保管期間中に」発生した費用を払わないといけないので、保管費用については(希望を伝えられたときからではなく)最後の発注から支払わないといけない、と考えるべきでしょう。

つまり、「2」の例は、そういう場合には不当な経済上の利益の提供要請が認定できるといっているだけで、保管費用の支払はあくあで「2」も「1」と共通で、「保管期間中に」発生した費用について払わないといけない、と考えるべきでしょう。

次の「3」の、

「金型を用いて製造する製品について今後1年間の具体的な発注時期を示せない状態になっていたにもかかわらず,引き続き,下請事業者に当該金型を無償で保管させていた事例」

には、「1年間」という数字はありますが、これは、保管費用をいつから払うべきか(=「保管期間」はいつからはじまるか)とは無関係です。

というのは、たとえば、最後の発注があって、その直後に示せる次の発注が13か月後だとすると、それは、「今後1年間の具体的な発注時期を示せない状態」になっており、それ「にもかかわらず,引き続き,下請事業者に当該金型を無償で保管させ」ると、違法だというのが「3」の意味だと読むしかないからです。

つまり、次の発注が13か月後になるなら、金型はいったん引き取れ、さもなくば、最後の発注後からの(厳密には、当該最後の発注による製造行為が終わった時点以降の)保管費用を払え、ということです。

そしてここでも、保管費用は「保管期間中に」発生したものについて支払うべき、というのは「1」と共通とされています。

ただ、「保管期間(型等を用いる部品等の発注が行われていない期間をいう。)」の意味が「3」は「1」とも「2」とも違うと考えられます。

というのは、「3」のような、「今後1年間の具体的な発注時期を示せない状態になっていた」場合には、少なくともそのような状態になった時点では「型等を用いる部品等の発注行われていない」状態になっている(=「保管期間」が始まっている)と考えるのが自然だからです。

逆にもし、「3」の場合には、「今後1年間の具体的な発注時期を示せない状態になっていた」(そういうことがはっきりしていた)時点からさらに1年間は無償で保管させることができるとすると、長期間発注の見通しもないのに無償保管させられることになり、下請事業者にきわめて不利益でしょう。

つまり、「保管期間(型等を用いる部品等の発注が行われていない期間をいう。)」は、「1」の場合には、

あとから(=公取委調査時点から)振り返って1年間以上発注がない場合に、その保管期間が全部「型等を用いる部品等の発注が行われていない期間」になる

のに対して、「3」の場合には、

「今後1年間の具体的な発注時期を示せない状態になっ」た時点から開始する

と考えるべきでしょう。

たとえば、「3」のパターンで、

A発注の時点で、次のB発注は1か月後だという見通しだった

B発注の時点で、次のC発注は2か月後だという見通しだった

C発注の時点で、次のD発注は6か月後だという見通しだった

D発注の時点で、次のE発注は10か月後だという見通しだった

E発注の時点で、次のF発注は13か月後だという見通しだった

というケースにおいては、「今後1年間の具体的な発注時期を示せない状態になっ」たE発注(の製造が終わった時点)以降が「保管期間」となり、その期間の保管費用を払うべき、ということになります。

ちなみに、「3」の例とみられるサンケン勧告(2023年11月30日)では、

「①一部の下請事業者から長期間発注が無いこと等を理由として廃棄等の希望を伝えられていた、又は② サンケン電気自身も次回以降の具体的な発注時期を示せない状態になっていた

と認定されており(②)、サンデン勧告(2024年2月28日)では、

「①一部の下請事業者から長期間発注が無いこと等を理由として廃棄等の希望を伝えられていた、又は②サンケン電気自身も次回以降の具体的な発注時期を示せない状態になっていた

と認定されており(②)、住友重機ハイマテックス勧告(2024年11月21日)では、

次回以降の発注の有無又は次回以降の具体的な発注時期の見通しを示すことができない」

と認定されており、どのくらい先の発注の見通しが示せなかったのかという時期的な制限はありませんが、「3」に照らすと、おそらくこれらの事案では、少なくとも、

「今後1年間の具体的な発注時期を示せない状態になっていた」(ひょっとしたら永久に見通しを示せなかったのかもしれないけれど)

ということなのでしょう。

つまり、上記「3」の「今後1年間の具体的な発注時期を示せない状態になっていた」という文言からすると、仮に「13か月後に発注があることは示せる」と抗弁する発注者がいても、そのような抗弁は公取委はみとめない、と運用している、ということなのでしょう。

次の「4」の、

「型等を用いて製品が製造された後,当該木型等を改めて使用する予定がないにもかかわらず,引き続き,下請事業者に当該木型等を無償で保管させていた事例」

の、「使用する予定がない」という場合も、「保管期間(型等を用いる部品等の発注が行われていない期間をいう。)」は、少なくともそのような「予定がない」ことがはっきりした場合には、その時点から即時に開始する、と考えるべきでしょう。

(ちなみに、この「4」だけ、「型等を用いて製品が製造された後」と明言されていて、最後の製造行為期間中は(最後の発注後であっても)保管期間は開始しないことが明示されているのはいかにもちぐはぐな感じはしますが、それも措きます。)

なお、このQ&A46番には、なぜか、下請法運用基準第4の7の、

「7-5 型・治具の無償保管要請

(1) 親事業者は,機械部品の製造を委託している下請事業者に対し,量産終了から一定期間が経過した後も金型,木型等の型を保管させているところ,当該下請事業者からの破棄申請に対して,「自社だけで判断することは困難」などの理由で長期にわたり明確な返答を行わず,保管・メンテナンスに要する費用を考慮せず,無償で金型,木型等の型を保管させた。

(2) 親事業者は,自動車用部品の製造を委託している下請事業者に対し,自社が所有する金型,木型等の型・治具を貸与しているところ,当該自動車用部品の製造を大量に発注する時期を終えた後,当該部品の発注を長期間行わないにもかかわらず,無償で金型,木型等の型・治具を保管させた。」

という、量産期間経過後の無償保管の例がありません。

その理由は不明ですが、ともかく実例として、

「当該金型等を用いて製造する自動車用部品の製造を大量に発注する時期を終えた後、合計415個の金型等を自己のために無償で保管させ〔た〕」

という事実だけで違反認定された愛知機械勧告(2025年2月18日)や、

「令和5年4月1日から令和6年10月25日まで、当該金型を用いて製造する自動車用ばね等の製造を大量に発注する時期を終えた後、合計608型の金型を自己のために無償で保管させ〔た〕」

という事実だけで違反認定された中央発條勧告(2025年2月18日)や、

「令和5年10月1日から令和7年4月30日までの間、当該金型等を用いて製造する自動車用部品の製造を大量に発注する時期を終えた後、合計1,570個の金型等を自己のために無償で保管させ〔た〕」

という事実だけで違反認定されたいずみ工業勧告(2025年7月16日)がありますので、大量発注終了も独立の違反要件とみるべきでしょう。

といいますか、「違反要件」というのはちょっと不正確で、Q46番にも、「親事業者が部品等の発注を長期間行わないの事情(※2)」と、オープンエンドな形になっていて、いくらでも追加できます。

また、そもそも論として「親事業者が部品等の発注を長期間行わないの事情(※2)」は条文のどの要件にかかわるのかというと、下請法4条2項柱書の「下請事業者の利益を不当に害し」に関する認定です。

それは担当官解説をみてもわかりますし、担当官解説をよむと、これらの「下請事業者の利益を不当に害し」の要件の認定のために、当該案件ではこういう事実があったから「下請事業者の利益を不当に害し」の要件を認定したのだ、という感じで、ともかく不利益性を根拠づける事実を拾い集めて認定しているだけで、かなり行き当たりばったりな感じがします。

なので、Q46の「1」~「4」も理論的に整理されておらず、といいますか、そもそもそのような行き当たりばったりの認定を羅列しただけで理論的に統一して説明しようというつもりしかなく、所詮そのようなものに過ぎない(それ以上理論的に詮索しても詮無いことである)とわりきるほかないように思われます。

最後に、(※3)の、

「型等の最終稼働後1年間は無償で保管させてよいと思っていた。」

というのが誤解だというのには、確かにそういう誤解を招きそうなQ46の記載なので、注意が必要です。

保管費用を支払うべき「保管期間(型等を用いる部品等の発注が行われていない期間をいう。)は、「1」の場合には、前述のとおり、

調査時点からさかのぼって1年間発注がなければ、最後の発注(に基づく製造完了)時点からあとの保管させていた期間がまるまる「保管期間」になる(最終発注(に基づく製造完了)直後から保管費用を払わないといけない)

のであり、「2」の場合には、

1年間(以上)発注が無いこと等を理由として下請事業者から金型の廃棄や引取り等の希望を伝えられていたにもかかわらず,

引き続き,下請事業者に当該金型を無償で保管させていた事例」

と読み替えたうえで、

その1年間(以上)発注がなかった期間の始期(つまり、最後の発注(に基づく製造完了))から「保管期間」がはじまるのであり

(引取希望はあくまで不利益性の補強事情にすぎない)

のであり、「3」の場合は、

「今後1年間の具体的な発注時期を示せない状態」になった時点で保管期間が開始する

のであり、「4」の場合は、

「当該木型等を改めて使用する予定がない」状態になったら即座に保管期間が開始する

のですから、いずれの場合も最終発注から1年間は無償保管させられることになりません。

でも確かに、「1」の、

「金型等を用いて製造する製品の発注を1年間以上行わないにもかかわらず,下請事業者に当該金型等を無償で保管させていた事例」

というのをぼーっと読むと、逆に1年間は無償保管させられそうな気にもなりますが、実際の勧告例では前述のとおり調査時点からさかのぼって1年間発注がなければ無償保管と認定しているのであって、最終発注から1年間の無償保管を認めているわけではありません。

気を付けましょう。

ざっくりとまとめるなら、

①今後発注が見込まれないなら直ちに保管料を支払う(Q46(※2)「2」「3」「4」)、

②「発注するかも」と思いながら1年間過ぎてしまったときには、さかのぼって1年分支払う(同「1」)、

③量産期間が過ぎたら保管料を支払う(下請法運用基準)、

といったところかと思います。

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