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2025年7月 2日 (水)

2025(令和7)年下請法改正の経過措置

令和7年改正下請法附則(令和七年五月二三日法律第四一号)2条1項では、

「(下請代金支払遅延等防止法の一部改正に伴う経過措置)

第二条 第一条の規定による改正後の製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律

(以下この条において「支払遅延等防止法」という。)

の規定は、

この法律〔「下請代金支払遅延等防止法及び下請中小企業振興法の一部を改正する法律」〕の施行にした行為であって

〔①〕新支払遅延等防止法第二条第八項に規定する委託事業者

(同項第一号〔3億超製造委託〕

〔2号 3億以下製造委託、3号 5000万超情報成果物・役務〕

から第四号〔5000万円以下情報成果物・役務〕

までに該当する者に限る。)

による

同条第一項に規定する製造委託

(同項に規定する型

(金型を除く。)

又は同項に規定する工具の製造に係るものに限る。)

及び

〔②〕同条第五項に規定する特定運送委託

並びに

〔③〕同条第八項に規定する委託事業者

(同項第五号〔300人超〕

及び

第六号〔100人超〕

に該当する者に限る。)

による

同条第六項に規定する製造委託等

に該当するものについては、

適用しない。」

と規定されています。

ここで、「この法律の施行にした行為」の「行為」というのが何を指すのかというと、附則2条1項は、

「施行にした行為であって」・・・①「製造委託」、②「特定運送委託」、③「製造委託等」「に該当するもの」

という構造になっていますので、「行為」は「製造委託」等に該当しうるものである、と理解できます。

そして、例えば新法2条1項では「製造委託」は、

「事業者が・・・製造を他の事業者に委託すること

というふうに、「委託すること」と定義されています。

ということは、附則2条1項の「行為」は「委託すること」、つまり発注行為を意味することになります。

「委託すること」が発注行為を意味すると解することは、例えば新法4条で、

「委託事業者は、中小受託事業者に対し製造委託等をした場合は、直ちに、・・・明示しなければならない。」

とされていること(つまり、「製造委託等をした場合は、直ちに」というのは、発注後直ちに、としか読めないこと)とも整合します。

なので、附則2条1項の、

支払遅延等防止法・・・の規定は、この法律の施行にした行為であって・・・①「製造委託」、②「特定運送委託」、並びに③「製造委託等に該当するものについては、適用しない。」

というのは、新法施行前に発注された製造委託等には適用されない、という意味になります。

つまり、新法施行前に発注されたかどうかが問題なのであって、新法施行前に遵守事項違反行為(例えば受領拒否)がなされたかどうかが問題なのではありません。

なので、新法施行前に発注していた①の「製造委託」、②の「特定運送委託」、③の「製造委託等」については、新法施行後に遵守事項違反行為がなされても、新法の規定は適用されない、ということになります。

では、「①の「製造委託」、②の「特定運送委託」、③の「製造委託等」」の具体的内容をみていきましょう。

「①の「製造委託」」というのは、

「〔①〕新支払遅延等防止法第二条第八項に規定する委託事業者

(同項第一号〔3億超製造委託〕

〔2号 3億以下製造委託、3号 5000万超情報成果物・役務〕

から第四号〔5000万円以下情報成果物・役務〕

までに該当する者に限る。)

による

同条第一項に規定する製造委託

(同項に規定する型

(金型を除く。)

又は同項に規定する工具の製造に係るものに限る。)」

です。

つまり、資本金基準の委託事業者が新法施行前にした、金型を除く型および工具の製造委託には、新法は適用されません。

金型以外の型と工具については、新法で初めて規制対象になったので、発注時点ではこれらは規制対象外だったので、新法が適用されないとするこの経過措置は当然でしょう。

次に、「②の「特定運送委託」」というのは、①のところから主語を借りてきて補うと、

「新支払遅延等防止法第二条第八項に規定する委託事業者

(同項第一号〔3億超製造委託〕

〔2号 3億以下製造委託、3号 5000万超情報成果物・役務〕

から第四号〔5000万円以下情報成果物・役務〕

までに該当する者に限る。)

による

・・・

〔②〕同条第五項に規定する特定運送委託

です。

つまり、資本金基準の委託事業者が新法施行前に発注した特定運送委託には、新法は適用されません。

資本金基準の委託事業者は旧法(現行法)でも規制対象だったわけですが、発注時(新法施行前)にはそもそも特定運送委託は規制対象ではなかったのですから、新法が適用されないとするこの経過措置も当然です。

最後に、「③の「製造委託等」」というのは、

「〔③〕同条第八項に規定する委託事業者

(同項第五号〔300人超〕

及び

第六号〔100人超〕

に該当する者に限る。)

による同条第六項に規定する製造委託等

ですから、従業員数基準の委託事業者が新法施行前に発注した製造委託等(=「製造委託、修理委託、情報成果物作成委託、役務提供委託及び特定運送委託」)には、新法は適用されません。

つまり、従業員数基準の委託事業者が新法施行前にした発注には、新法は一切適用されません。

旧法(現行法)下では、従業員数基準の親事業者なるものはそもそも存在しなかったので、これも当然の経過措置といえます。

次に、附則2条2項では、

「2 支払遅延等防止法第四条〔旧3条書面〕、第五条〔受領拒否等遵守事項〕、第六条第二項〔減額の遅延利息〕及び第十条〔勧告〕の規定は、

この法律の施行にした

新支払遅延等防止法第二条第六項に規定する製造委託等について適用し

この法律の施行にした

〔「下請代金支払遅延等防止法及び下請中小企業振興法の一部を改正する法律」〕第一条の規定による改正前の下請代金支払遅延等防止法

(次項において「旧支払遅延等防止法」という。)

第二条第五項に規定する製造委託等については、なお従前の例による。」

と規定されています。

このうち、前段では、

「2 支払遅延等防止法第四条〔旧3条書面〕、第五条〔受領拒否等遵守事項〕、第六条第二項〔減額の遅延利息〕及び第十条〔勧告〕の規定は、

この法律の施行にした

新支払遅延等防止法第二条第六項に規定する製造委託等について適用し、」

と規定されています。

つまり、新法の4条書面(旧3条書面)、遵守事項(新法5条)、減額の遅延利息(新法6条2項)、勧告(新法10条)の規定は、新法施行後に発注された製造委託等に適用され、新法施行前に発注した製造委託等には適用されない、ということです。

では新法施行前に発注した製造委託等についてはどうなるのかというと、附則2条2条後段では、主語を前段から借りると、

支払遅延等防止法第四条〔旧3条書面〕、第五条〔受領拒否等遵守事項〕、第六条第二項〔減額の遅延利息〕及び第十条〔勧告〕の規定は・・・

この法律の施行にした

・・・旧支払遅延等防止法・・・

第二条第五項に規定する製造委託等については、なお従前の例による。」

とされています。

つまり、新法の4条書面(旧3条書面)、遵守事項(新法5条)、減額の遅延利息(新法6条2項)、勧告(新法10条)の規定は、施行に発注した製造委託等には適用されず、旧法(現行法)3条(3条書面)、4条(遵守事項)、7条(勧告)が適用される(「なお従前の例による」)、ということです。

最後に、附則2条3項では、

「3 この法律の施行

旧支払遅延等防止法第七条の規定によりされた勧告

(この法律の施行

前項の規定によりなお従前の例によりされた勧告を含む。)

は、

支払遅延等防止法第十条の規定によりされた勧告とみなす。」

と規定されています。

なので、旧法(現行法)下でなされた勧告は、新法下でも効力を失うことはなく、勧告の効果は新法11条(内容は旧法8条と同じ)に従うことになります。
というわけで、改正下請法の経過措置は、まずまず、常識的な内容なのではないかと思います。

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