ABA Antitrust Spring Meeting 2025に行ってきました。
4月2日から4日の3日間、ワシントンDCで開かれたAntitrust Spring Meetingについて、感想を書き留めておきます。
まず今回は、DOJがSpring Meetingをボイコットするという、前代未聞の大会でした。
理由は、ABAがトランプ政権によるUSAIDの閉鎖にともなう外国への資金援助停止について米国政府を提訴したからなのだそうです。
(こちらをご参照ください。)
FTCのほうはいちいちチェックしていませんが、毎年最終日のハイライトであるEnforcers’ RoundtableにもFTCからは誰も出席していませんでした。
なので、アメリカの反トラスト法の大会なのにアメリカ当局のどちらからも誰もround tableに出ないという、異常事態でした。
去年おととしはリナ・カーン見たさに来た人もいるのではないかと思われる(勝手な想像です)のと比べると、ガラッと雰囲気は変わった感じがしました。
ちなみに欧州委の競争法担当委員を長らく務めたベステアーさんがおやめになり、後任のリベラさんが来られていました。
個人的には、めちゃくちゃ華のあってカリスマ性のあったベステアーさんや、その前任のアルムニアさんと比べて、「ふつうの人」という印象でした。
DOJのボイコットが引き金になったと思われるのが、ビル・ベアーさん、トム・バーネットさん、デボラ・ガーザさん、ダグラス・メラメッドさんという、元DOJ反トラスト局とFTCのトップを集めた、
DOJ: Past, Present, and Future
というセッションでした。
事前のスケジュールにはなく、急遽招集されたものと思われ、ABAが意地を見せた形でしょう。
みなさんおおむね意見が一致していたのは、トランプ政権になったからといって大きな方針変更はなさそう、ということでした。
それでも、ところどころ積極的な執行はあるかもしれず、だけれどそれがどの分野なのか予測ができない、というコメントも興味深かったです。
要は、反トラスト法はトランプ大統領にとってそれほど関心が高い事項ではない、ということなのでしょう。
ほかには、カール・シャピーロさんとダニエル・ソコールさんが登壇した
Has Competition in the US Been Declinng?
という経済学のセッションがおもしろかったです。
Tim WuのCurse of Bignessなんかを読んでも、米国では近時反トラスト法が過小執行であるために寡占が進んでイノベーションが阻害されているというのが当然の前提のように言われることが多くて、私もそう思っていたのですが、話はそう単純ではない、ということでした。
少し見解を改めないといけないなと思いました。
あとは、個人的な興味から、
Countervailing Monopsony Power with Joint Action?
というのを聞いてきましたが、パネリストの間で大きく意見がわかれていて、おもしろかったです。
ところで今年は日本からの出席者が32名と、(おそらく)例年よりかなり少なく、いつも会場で顔を合わせる人たちが来ていない印象でした。
(それでも大会全体では3000名超と、大盛況ではありました。)
最近国際カルテル事件がないからかなぁとか、円安のせいかなぁとか、理由をいろいろと考えたりしますが、残念なことです。
今年は米国当局の人が出ないという異常事態ではありましたが、それでも、内容の濃い議論が聞けますし、いろいろなレセプションなどでたくさんの人にも会えます。
日本からの参加者、とくに若い人たちが、もっと増えてほしいなと思いました。
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