同じクーポンを連続して配布するのは有利誤認表示か?
同じような質問をたびたび受けるので、掲題の件について私の考え方を記しておきます。
最近は、インターネットやアプリでクーポンを配布するということがよくあるようで、そのようなクーポンを期間を空けずに繰り返し発行してもいいのか、という質問です。
たとえば、4月5日(土)に、「100円引きクーポン。有効期間4月5日から11日まで」というクーポンを発行して、4月12日(土)に、「100円引きクーポン。有効期間4月12日から18日まで」というクーポンを発行して、4月19日(土)に、「100円引きクーポン。有効期間4月19日から25日まで」というクーポンを発行して・・・ということを繰り返してもかまわないか、という質問です。
キャンペーンのくりかえしのアナロジーで、これもダメなんじゃないか、と思う人が多いようです。
実際、こちらのBuyee Connectというサイトでは、
「全く同じクーポンを連続して発行することは景品表示法違反にあたるため、クーポン種別や金額などを変えたクーポンにする必要があります。」
というルールになっているようです。
ですが、私は、同じクーポンのくりかえしの発行は、基本的には問題ないと考えています。
(「基本的には」と断るのは、景表法の常ですが、常に実際の表示をみないと断定できないからです。)
この点を理解するためには、基本にもどって、不当表示とは表示と実際の不一致だ、という点をよく理解する必要があります。
そもそも同じ期間限定キャンペーンのくりかえしが不当表示になるのは、
「4月末まで期間限定。5割引き」
という表示をみた消費者は、
「5月になったら、通常価格に戻るのだな。」
と認識するのに(表示の意味の確定)、実際には5月になっても5割引きだったら、表示の意味(5月には通常価格に戻る)と実際(5月も5割引き)との間に不一致があるからです。
では、クーポンの場合、
「100円引きクーポン。有効期間4月5日から11日まで」
という表示に、4月12日になっても同じクーポンは配らない、という意味が含まれると読み取れるのか、というと、読み取れないでしょう。
スーパーが毎週土曜日にチラシを配って、チラシに同じようなクーポンを印刷しても(そのクーポンを切り取って持参したら100円引きしてもらえる)、翌週に同じようなクーポン付チラシが配られるはずがないと考える消費者がいるでしょうか?
そんなこと、誰も考えないと思います。
なぜ誰も考えないかというと、
「100円引きクーポン。有効期間4月5日から11日まで」
という表示には、その当該クーポンの有効期限が4月11日までだということだけしか書いていないのであって、翌週のチラシのことなんて何も読み取れないからです。
「同じことを繰り返したら不当表示なんだ」と、ぼーっと考えていたら、このような違いには気づかないだろうし、チコちゃんにも叱られると思います。
ほかに、クーポンの繰り返し発行とキャンペーンのくりかえしの違いをあげると、クーポンは、そのクーポン1枚をつかったら、ふつうはそれで終わりです。
もう1回割引を受けたかったら、ご近所さんにチラシをもらうしかありません。
つまり、クーポンの場合、そのクーポンに記載されている利益を受けられるのは、通常、そのクーポンを使う1回だけの取引だけなのです。
オンラインで発行するクーポンも、基本的には同じようなものでしょう。
また別の切り口からいうと、
「100円引きクーポン。有効期間4月5日から11日まで」
という表示が不当表示にならないために、たとえば、
「※4月12日以降に同じ内容のクーポンを発行することがあります。」
と打消し表示をすることを求めることが、合理的でしょうか?
そんな打消し表示をしなくても、同じクーポンが発行されるかもしれないことは、あたりまえだと思います。
逆に言えば、クーポンの繰り返し発行でも不当表示になり得るのは、暗に、このクーポンを発行するのは今回限り、とほのめかすような場合です。
たとえば、期間中何度でも使えるクーポンのようなものがあるとすれば、それは、期間限定キャンペーン(期間中なら何度買い物をしてもキャンペーン価格で買える)とかなり似てくるので、一つ間違うと、有効期限が過ぎれば本来の取引条件に戻るのだ(=同じクーポンの追加発行はないのだ)、という印象をあたえるようなものになるかもしれません。
(そんなクーポンがあるのかどうか知りませんが。)
というわけで、ふつうのクーポンは、繰り返し発行しても、あるいは、有効期間中に同じクーポンを追加発行しても(追加で新聞チラシを配るのと同じ)、基本的には問題ないと思います。
【2026年4月6日追記】
こちらの記事もご覧ください。
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