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2024年8月 8日 (木)

下請法の3条書面の代理交付

下請法の3条書面は、親事業者自身が交付してもいいですし、代理人が交付しても構いません。

このことは、「フリーランスとして安心して働ける環境を整備するためのガイドライン」p4で、

「なお、親事業者は、下請法の書面の交付や書類の作成・保存について、自身の代理として、第三者に行わせることも認められる

ただし、フリーランスとの間で下請法上の問題が生じた場合は、当該第三者ではなく、親事業者がその責めを負うこととなることには留意しなければならない。」

とされていることからあきらかです。

(ちなみにこれは、文章からあきらかなように、下請法に関する説明であって、フリーランス適正化法に関する説明ではありません。でもきっと、フリーランス適正化法の書面交付義務も同様に解するのでしょう。)

また、当局の見解はさておいてふつうに考えてみても、3条書面は(たとえば選挙の投票のように)その性質上代理になじまないということもありません。

下請事業者の保護にも支障はありません。

あえて下請法の条文に根拠を求めるのであれば、下請法10条には、

「(罰則)
第十条

次の各号のいずれかに該当する場合には、その違反行為をした親事業者の代表者、代理人、使用人その他の従業者は、五十万円以下の罰金に処する。

一 第三条第一項の規定による書面を交付しなかつたとき。

〔以下省略〕」

と規定されており、親事業者の代理人が3条書面を交付しなかったときに罰金の対象になると規定されています。

ということは、代理人が3条書面を交付できることは下請法も当然に前提としていると解されます。

そうしないと、10条1号の代理人に関する部分が空振りになってしまいます。

実務上の注意点を付け加えるなら、代理人が交付することはあらかじめ下請事業者に伝えておいたほうが親切でしょう。

ただし、あらかじめ伝えるのが必須ではありませんし、代理ですから、本人の単独行為であり、代理交付することについての下請事業者の同意も不要でしょう。

もちろん、代理ですから、顕名が必要であり(民法99条1項)、ちゃんと代理人として交付していることが3条書面自体からわかるようにしておくべきでしょう。

実務では、発注者自身が3条書面をタイムリーに交付できないということが時々あり、代理交付が明示的にみとめられたことは喜ばしいことだと思います。

それにしても、こんな大事なことは、仮に当たり前であっても、下請法講習テキストに書いたほうがいいのではないかと思います。

フリーランスのガイドラインなんて、下請法を普段あつかっているひとは、ふつう読みませんから。

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