商品買い取りサービスに関する定義告示運用基準の改正について
商品の買い取りに関する景品提供が景表法の対象となるのかに関する定義告示運用基準3⑷が、2024年4月18日に改正されました。
改正前は、
「⑷ ⾃⼰が商品等の供給を受ける取引(例えば、古本の買⼊れ)は、「取引」に含まれない。」
とされていたのに対して、改正後は、
「(4) 自己が一般消費者から物品等を買い取る取引も、
当該取引が、
当該物品等を査定する等して当該物品等を金銭と引き換えるという役務
を提供していると認められる場合には、
「自己の供給する役務の取引」に当たる。」
とされました。
この運用基準3⑷の規定は直接的には景品類に関する規定なのですが、表示規制についても同じに解さざるをえないところ、そうすると、商品買い取りサービスについては不当表示規制が適用されないということになり、けっこう大きな問題でした。
私は、商品買い取りサービスは買取という役務を提供しているのだから景表法の対象だと考えるべきだと考えていたのですが、今回運用基準が改正され、おおむねそのような方向になりました。
ですが、この運用基準は、すべての商品買い取りサービスが景表法の対象となるとまで割り切っているわけではなく、
「当該物品等を査定する等して当該物品等を金銭と引き換えるという役務
を提供していると認められる場合」
に限定しています。
しかし、理論的にも実質的にも、これはいかにも中途半端な感じがします。
私は、消費者から商品を買い取るサービスはすべて、
「物品等を金銭と引き換えるという役務」
とみて、景表法の対象にできると考えています。
景表法の条文で「自己の供給する商品又は役務」とされているのは、「供給を受ける」ことを排除するという明確な意図に基づいて立法されたというよりは、なんとなく語呂がいいから、あるいは、物を売る場合しか頭に浮かばなかったから、そうなっているだけというだけで深い意味はないと思います。
こう言っては身も蓋もありませんが、昭和30年代の法律なんて、そんなもんだと思います。
なので、買取サービスを対象にしても必ずしも文言には反しないと思います。
実質的にも、消費者を相手にした買取業であるかぎり、保護する必要があるのは明らかです。
それに、「査定」を事業者が消費者に提供する役務だというのは、理屈のうえでも無理があります。
というのは、ここでの「役務」は、「役務の取引」を構成する概念であり、当該役務に対して消費者が対価を支払うことが当然に前提とされていると解するのが自然あるいは当然です。
でも、買取サービスにおいて、「査定」というサービスに対価を支払っているという認識の一般消費者はまずいないでしょうし、買取業者側も「査定」というサービスを提供しているとは考えていないと思います。
あくまで、消費者は、「買い取ってくれるというサービス」と認識しているのであって、「査定してくれるサービス」とは認識していない、ということです。
買取業者も、査定をサービスとして提供しているという認識ではなく、不良品をつかまされて自分が損をしないために査定しているのでしょう。
このように査定がサービスではないと考えることは、買取サービスにおいて通常、「査定料」が明示的に買取代金から控除されることがないこや、査定の結果買取金額で折り合いが付かず買取が成立しない場合でも査定料だけ別途請求されるわけではないこととも整合的です。
このように考えると、買取サービスではお金は消費者から買取業者に支払われるので、課徴金を課すことができませんが、それは景表法8条で課徴金が「売上額」にかかることになっているせいなので、しかたないでしょう。
(ちなみに、独禁法7条の2第1項では、2号で「購入額」にも課徴金がかかるようになっています。)
それを、「査定料」相当額を算定してそれを基準に課徴金を課すというような無理な解釈をする必要もないでしょう。
いずれにせよ、消費者からの買取サービスで何ら査定もしないものはほぼないでしょうから、改正定義告示運用基準のもとでは、おおむねすべての買取サービスに景表法が適用されると考えるべきでしょう。
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投稿: | 2024年7月24日 (水) 12時08分