フリーランス該当性判断についての難点
フリーランス適正化法2条1項では、同法の保護の対象である「特定受託事業者」(フリーランス)を、
「業務委託の相手方である事業者であって、次の各号のいずれかに該当するものをいう。
一 個人であって、従業員を使用しないもの
二 法人であって、
一の代表者以外に他の役員
(理事、取締役、執行役、業務を執行する社員、監事若しくは監査役又はこれらに準ずる者をいう。
第六項第二号において同じ。)
がなく、かつ、
従業員を使用しないもの」
と定義しています。
ここで問題になるのは、取引先に従業員がいるのかいないのかを、発注者はどのように知ったらいいのか、ということです。
これが下請法であれば、個人はすべからく下請事業者に該当しますし(個人が相手方かどうかは契約書とか見積書とかの取引関係書類で確認できます)、法人は資本金で下請事業者であることが確認できる(しかも中小企業はほとんど資本金3億円以下)ので、ほぼ迷うことはありません。
これに対して、個人や法人に「従業員」がいるかどうかは、相手に聞かないとわからないことも多いのではないかと思われます。
たとえば我々弁護士のなかにも、従業員を雇っていない人がけっこういたりします。
明らかにアパートらしき建物名の1室が事務所だったりすると、「自宅で開業しているんだな」とか、「そうしたら従業員もいないかも」と推測できたりすることもあるかもしれませんが、貸しオフィス的なものを使われていると住所もそれらしいので、それすらわかりません。
しかも、この「従業員」にはさらに細かい定義があります。
すなわち、「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律 の考え方」p3では、
「⑴ 従業員を使用
「従業員を使用」とは、
①1週間の所定労働時間が20時間以上であり、かつ、
②継続して31日以上雇用されることが見込まれる労働者
(労働基準法(昭和22年法律第49号)第9条に規定する労働者をいう。)
を雇用することをいう。
ただし、労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(昭和60年法律第88号)第2条第4号に規定する派遣先として、
①1週間の所定労働時間が20時間以上であり、かつ、
②継続して31日以上労働者派遣の役務の提供を受けることが見込まれる派遣労働者を受け入れる場合には、
当該派遣労働者を雇用していないものの、
「従業員を使用」に該当する。
なお、事業に同居親族のみを使用している場合には、「従業員を使用」に該当しない。」
とされています。
こうなるとやっぱり相手に聞かないと分からないし、同居の親族は含まないということなので、奥さんに秘書をやってもらっている弁護士はフリーランスに該当することになります。
なので、事務所に電話をしたら弁護士でなく秘書さんが電話を取ったからといって、油断はできません。
その人が弁護士の奥さんかも知れないからです。
相手方が個人の場合には安全をみて全てフリーランスとして扱うという対応も考えられますが、相手方が法人だとそういうわけにもいきません。
なので、発注者側の現実的な対応としては、
取引の相手方が個人の場合、その人が間違いなくフルタイムの従業員を雇っているとわかっているのでないかぎり、基本的に全員フリーランスとして扱う、
取引の相手方が法人の場合は、従業員がいないとわかっている場合にかぎり、フリーランスとして扱う、
手間を惜しまないのであれば、少なくとも個人の取引相手方には、従業員雇用の有無を尋ねる、
ということが考えられます。
逆に、フリーランス側の対応としては、自分が従業員を雇用していないのであればその旨を発注者にあらかじめ知らせておくべきではないかと思います。
というのは、従業員がいると誤解している発注者に、法律違反をさせてしまう可能性があるからです。
とくに発注者が、フリーランスに従業員がいると誤解していると思われる場合には、フリーランスは積極的にその誤解を解くべきようにすべきでしょう。
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