1回3000円以上の購入者に懸賞で景品類を提供する場合の売上予定総額に関する消費者庁の解釈変更(旧Q&A60番→新Q&A90番)
6月30日に改訂される前の消費者庁ウェブサイトの景品Q&A60番では、
「Q60 当店はスーパーですが,商品を合計3,000円以上購入してくれた顧客を対象に,抽選で景品を提供したいと考えています。
この場合の懸賞に係る取引の売上予定総額は,
①当店で商品を合計3,000円以上購入する顧客から見込まれる抽選実施期間中の売上予定額,
②当店における抽選実施期間中の売上予定額
のどちらで算定すればよいでしょうか。」
という設問に対して、
「A. 懸賞に係る取引の売上予定総額とは,懸賞販売実施期間中における対象商品の売上予定総額を指します。
本件では,抽選対象を商品を合計3,000円以上購入した顧客に限定しているものの,特定の商品を購入した顧客に限定しているわけではないため,
懸賞に係る取引については,スーパーで販売されるすべての商品の取引が対象となり得ると考えられますので,
本件における懸賞に係る取引の売上予定総額は,
②当店における抽選実施期間中の売上予定額
とすることができます。
なお,抽選対象を単価3,000円以上の商品を購入した顧客とした場合には,
特定の商品を購入した顧客に限定することとなり,
懸賞販売実施期間中における対象商品は単価3,000円以上の商品と考えられますので,
この場合の懸賞に係る取引の売上予定総額は,単価3,000円以上の商品の売上予定額となります。」
と、1回3000円以上の購入者を対象とした懸賞でも、全売上を基準に売上予定総額を算定してよいと回答されていました。
ところが、改訂後のQ90では、
「Q90 当店はスーパーです。当店でキャンペーン期間中に1回の取引で3,000円以上購入してくれた顧客を対象に、抽選で景品を提供したいと考えています。
この場合の懸賞に係る売上予定総額は、どのように算定すればよいでしょうか。」
という設問に対して、
「A 懸賞に係る売上予定総額は、懸賞販売実施期間中における対象商品の売上予定総額を指します。
本件では、抽選対象を、特定の商品を購入した顧客に限定しているわけではないため、
懸賞に係る売上げの対象商品は、スーパーで販売される全ての商品となります。
しかしながら、1回の取引につき一定額以上の購入を行う顧客に限定しているため、
対象となる顧客は、このスーパーにおいて1回の取引で3,000円以上購入した者となります。
したがって、本件の懸賞に係る売上予定総額は、1回の取引で3,000円以上購入する顧客から見込まれるキャンペーン期間中の売上予定額となります。
なお、例えば、抽選対象を単価3,000円以上の商品を購入した顧客に限定した場合には、特定の商品を購入した顧客に限定することとなります。したがって、この場合の懸賞に係る売上予定総額は、単価3,000円以上の商品を購入する顧客から見込まれるキャンペーン期間中の売上予定額となります。
また、例えば、抽選対象をキャンペーン実施期間中に合計で3,000円以上(レシート合算で3,000円以上)購入した顧客に限定した場合には、
スーパーで販売される全ての商品の取引が対象となり、
対象となる顧客は、この期間中に合計3,000円以上購入した者となります。
したがって、この場合の懸賞に係る売上予定総額は、合計3,000円以上購入する顧客から見込まれるキャンペーン期間中の売上予定額となります。」
と、1回3000円以上の購入者を対象とした懸賞では1回3000円以上購入する顧客からの売上を基準とすべき、というように、解釈が正反対に変更されました。
もともと旧Q&Aの解釈には難があり、新Q&Aのほうが正しいと思います。
念のため懸賞運用基準の文言を確認すると、同運用基準7項では、
「7 告示第三項及び第四項の「懸賞に係る取引の予定総額」について
懸賞販売実施期間中における対象商品の売上予定総額とする。」
と規定されています。
旧Q&Aは、この「対象商品」というのを、文字どおり、懸賞の対象となる商品、つまり、その商品を買うことで懸賞に応募できる商品、と解釈していたとうかがわれます。
というのは、旧Q&Aでは、
「特定の商品を購入した顧客に限定しているわけではないため,
懸賞に係る取引については,スーパーで販売されるすべての商品の取引が対象となり得る」
というように、懸賞の対象となる商品かどうかを1回3000円の顧客からの売上に限定しない理由にしていたからです。
これに対して新Q&Aでは、
「1回の取引につき一定額以上の購入を行う顧客に限定しているため、
対象となる顧客は、このスーパーにおいて1回の取引で3,000円以上購入した者となります。」
というように、懸賞の対象となる商品かどうかを基準にするのではなく、懸賞の対象となる顧客かどうかを基準にしています。
なので、厳密に言えば、運用基準7項は、
「懸賞販売実施期間中における懸賞対象顧客からの対象商品の売上予定総額とする。」
とでも改正するのが正しいのでしょうけれど、それくらいは、今の運用基準の文言でも、解釈として十分読み込めると思います。
何より、旧運用基準の結論は、文言に頼った形式論に過ぎ、実質的な根拠を見いだすのは困難であったと言わざるを得ません。
それにしても、これくらい正反対に解釈が変更されるのは珍しいことだと思います。
でも、誤りを正すのに遅すぎるということはありません。
消費者庁の英断というべきでしょう。
今回のQ&Aの改正は、大変踏み込んだ内容のものが多く、痒いところに手が届く感じがしますが、それだけに、突っ込みどころも少なくありません(このブログでも今後ぼちぼち指摘していこうと思います)。
ですが、当たり障りのないQ&Aでは実務では役に立たないことが多いので(例えば、流通取引慣行ガイドラインの灰条項の「公正競争阻害性が認められる場合には違法となる」といった、どっちつかずの表現)、今回の新Q&Aくらい明快に違法かどうかを述べてくれると、たいへん助かります。
事業者としては、差し当たり、Q&Aに従っておけばよいのですから。
Q&Aを一通り読みましたが、グッジョブだと思いました。
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