ビッグモーターによる下請への車検強要について
NHKのニュースサイトによると、保険金の不正請求が報じられいているビッグモーターが、下請業者に対して、自社で車検を受けるように強要していたとのことです。
「下請け業者 “車検など強要された”と証言」(2023年7月20日 19時25分)
もしこの「下請け業者」というのが、下請法上の下請事業者の定義に該当するのであれば、車検を受けることを強要するこのような行為は、下請法4条1項6号の購入・利用強制の禁止に該当し、下請法違反です。
同号では、
「六 下請事業者の給付の内容を均質にし又はその改善を図るため必要がある場合その他正当な理由がある場合を除き、自己の指定する物を強制して購入させ、又は役務を強制して利用させること。」
と規定されており、「自己の指定する・・・役務を強制して利用させること」に該当するわけです。
ビッグモーターの資本金は4億5000万円ということなので、少なくとも資本金額の点では、同社は親事業者に該当しそうです。
実際に購入・利用強制で勧告がされた事例としては、株式会社日本セレモニーに対する勧告(平成28年6月14日)があり、
「株式会社日本セレモニーは,業として消費者から請け負う結婚式の施行に係るビデオの制作及び冠婚葬祭式の施行に係る司会進行,美容着付け,音響操作等の実施を下請事業者(個人又は法人)に委託しているところ,
平成26年5月から平成27年11月までの間,
下請事業者の給付の内容と直接関係ないにもかかわらず,
下請事業者に対し,上記下請取引に係る交渉等を行っている冠婚葬祭式場の支配人又は発注担当者から,
おせち料理,ディナーショーチケット等の物品(以下「おせち料理等」という。)の購入を要請し,
あらかじめ従業員又は冠婚葬祭式場等ごとに定めていた販売目標数量に達していない場合には再度要請するなどして,購入要請を行っていた。」
と認定されています。
仮に下請けが下請法の資本金要件を満たさなくても、優越的地位の濫用の疑いがあります。
公正取引委員会による徹底的な調査を期待します。
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