インフルエンサーなどに商品を無償提供することがステマにあたるのではないかという問題について、ステマ運用基準とパブコメの記載を整理しておきます。
ステマ運用基準もパブコメ回答もなかなか歯切れが悪いのですが、一言で言えば、
①表示の内容について情報も希望も一切伝えず、かつ、
②「第三者の表示内容について、事業者と第三者との間に第三者の自主的な意思による表示内容とは認められない関係性」がない
ならOK(いちおう、「内容決定関係性基準」と呼んでおきます。ガイドライン第2の1⑵イ参照)、ということのようです。
ただ、商品の無償提供を含む利益の提供は内容決定関係性の存否(ひいては、「事業者の表示」性の存否。パブコメ88番※参照)を認定する一要素に過ぎないので、利益提供をしているだけで内容決定関係性が認められるわけではない、ということは論理的に言えそうです。
(※パブコメ88番では、
「【運用基準案第2の1(2)イについて】
日本弁護士連合会の「ステルスマーケティングの規制に関する意見書」では、「事業者が第三者に金銭の支払その他の経済的利益を提供して表示させているにもかかわらず,その事実を表示しないもの」(利益提供秘匿型)を不当景品類及ぴ不当表示防止法第5条第3号に基づく内閣総理大臣の指定に追加すベきとしています。これに対して、運用基準案は、事業者(広告主)による対価や経済上の利益の提供について、「当該事業者と当該第三者との聞に当該第三者の自主的な意思による表示とは客観的に認められない関係性がある』か否かを判断する際の考慮要素の1っとして挙げているものの(第2の1⑵イ)、利益提供秘匿型が常に規制対象となるとは明示していないように思われます。この点について、事業者から第三者に対価や経済上の利益の提供があったとしても、その事実のみを理由に「当該事業者と当該第三者との聞に当該第三者の自主的な意思による表示とは客観的に認められない関係性がある」と認定されるものではなく、その他の考慮要素も踏まえて総合的に判断される(つまり、利益提供秘匿型に相当する状況であっても「事業者の表示』に当たらない場合もあり得る)と理解してよいでしょうか。予見可能性を高めるために、運用基準で明示していただくべきと考えます。」
とのコメントに対して、
「御理解のとおりです。本告示において問題となるのは、事業者の表示であるか否かであり、対価や経済上の利益の提供はその判断に当たっての考慮要素となりますが、それ自体要件ではありません。この旨、既に本運用基準に記載しているところです。」
と回答されています。)
では見ていきましょう。
ステマ運用基準は、商品の無償提供について、
「事業者が第三者に対してSNSを通じた表示を行うことを依頼しつつ、
自らの商品又は役務について表示してもらうことを目的に、
当該商品又は役務を無償で提供し、
その提供を受けた当該第三者が当該事業者の方針や内容に沿った表示を行うなど、
客観的な状況に基づき、当該表示内容が当該第三者の自主的な意思によるものとは認められない場合。」(第2の1⑵イ(ア))
を
「事業者が第三者に対してある内容の表示を行うよう明示的に依頼・指示していない場合であっても、事業者の表示とされる場合」
の例として挙げ、
「イ 事業者が第三者に対して自らの商品又は役務を無償で提供し、
SNS等を通じた表示を行うことを依頼するものの、
当該第三者が自主的な意思に基づく内容として表示を行う場合。」(第2の2⑴イ)
を、
「『客観的な状況に基づき、第三者の自主的な意思による表示内容と認められる場合』、つまり、事業者の表示とならない場合」
の例として挙げています。
第2の1 (2)イ(ア)については、パブコメ67番で、
「事業者がクリエイタ一等に対して表示を行うように明示的に依頼・指示せずに、
当該クリエイタ一等に当該事業者の商品又は役務を無償で提供したにすぎない場合、
当該クリエイタ一等が自己のSNSアカウント等で情報発信を行うか否かは、あくまで当該クリエイタ一等の自主的な意思により判断がなされるものであることがほとんどである。
当該クリエイタ一等が自主的な意思により当該商品又は役務に関する情報発信を行う場合であっても、
結果的に当該事業者の目的に沿う表示となってしまうことは、当該事業者が、SNSやTV等で、消費者に対し、当該商品又は役務のイメージを広く浸透させている以上、しばしば発生することである。
そのため、
「事業者から第三者に対して、当該事業者の商品又は役務について表示してもらうことを目的に、当該商品又は当該役務を無償で提供するなどの結果として、当該第三者が当該事業者の目的に沿う表示を行う」
ことを、
「当該表示が当該第三者の自主的な意思による表示とは客観的に認められない場合」
の例示とすることは不適切である。
クリエイタ一等による投稿等の実態を踏まえて、事業者の表示となるかどうかを判断されたい。」
というコメントに対して、
「景晶表示法は、事業者の表示が不当表示に当たる場合を禁止するものであるところ、
第三者の表示が事業者の表示となるかの判断に当たっては、本運用基準にも記載のとおり、
事業者が第三者の表示内容の決定に関与したと認められる場合であり、
お尋ねの
「結果的に当該事業者の目的に沿う表示となってしまうこと」
自体をもって、事業者の表示となることはありません。
また、この考え方を本運用基準において明確にするために修正いたします。」
との回答がなされました。
どういう変更だったのかというと(新旧対照表8頁参照)、原案では、
「事業者が第三者に対して表示を行うよう明示的に依頼・指示していない場合であっても、事業者の表示とされる場合としては、例えば、以下のような場合が考えられる。
(ア) 事業者が第三者に対して、当該事業者の商品又は役務について表示してもらうことを目的に、当該商品又は当該役務を無償で提供するなどの結果として、当該第三者が当該事業者の目的に沿う表示を行うなど、当該表示が当該第三者の自主的な意思による表示とは客観的に認められない場合。」
というのだったのが、成案では、
「事業者が第三者に対してある内容の表示を行うよう明示的に依頼・指示していない場合であっても、事業者の表示とされる場合としては、例えば、以下のような場合が考えられる。
(ア) 事業者が第三者に対してSNSを通じた表示を行うことを依頼しつつ、自らの商品又は役務について表示してもらうことを目的に、当該商品又は役務を無償で提供し、その提供を受けた当該第三者が当該事業者の方針や内容に沿った表示を行うなど、客観的な状況に基づき、当該表示内容が当該第三者の自主的な意思によるものとは認められない場合。」
となりました。(下線は変更箇所の全部ではなく、私の注目ポイントです。)
これをみると、原案では、自主的な意思というのが、表示をすることについての自主的な意思だというニュアンスが強く出ていたのが、成案では、自主的な意思というのは、表示の内容についての自主的な意思だという点が強調されています。
次に、パブコメ83番では、
「《対象:第2の1⑵イ(ア)》
『事業者が第三者に対して、当該事業者の商品または役務について表示してもらうことを目的に、当該商品又は役務を無償で提供するなどの結果として』との記載について、
試供品や、本来の内容に比し短時間にとどめる役務など、通常の商品や役務とは言えないものを無償で提供したとしても、『当該第三者の自主的な意思による表示とは客観的に認められない場合』と言えないと解してよいか。
そうであれば、運用基準に具体例として追記されたい。」
というコメントがなされて、これに対して、
「お尋ねの試供品の配布については、既に運用基準に記載しているとおり、第三者の自主的な意思による表示と客観的に認められる場合は、事業者の表示とはなりません。」
と回答されています。
ここで、「既に運用基準に記載しているとおり」というのは、運用基準第2の2⑴クの、
「ク 事業者が不特定の第三者に対して試供品等の配布を行った結果、当該不特定の第三者が自主的な意思に基づく内容として表示を行う場合。」
と、同ケの、
「ケ 事業者が特定の第三者(例えば、事業者が供給する陪品又は役務について会員制(一定の登録者に対して一定の便益を付与する制度等)を設けている場合における会員に対して試供品等の配布を行った結果、当該特定の第三者が自主的な意思に基づく内容として表示を行う場合。」
を、
「『客観的な状況に基づき、第三者の自主的な意思による表示内容と認められる場合』、つまり、事業者の表示とならない場合」(p5)
の例として挙げていることを指しているものと考えられます。
「第三者の自主的な意思による表示内容と認められる場合」の具体例を「第三者が自主的な意思に基づく内容として表示を行う場合」というフレーズで締めくくるのが、何ともお役所的な不親切さに溢れていますが、せっかく具体例として挙げてくれているのだからそのような細かいことは詮索せず、具体例で挙げられたものはよほどのことがない限りOKなんだと読むのが大人の読み方というものでしょう(もちろん皮肉です)。
つまり、試供品の提供は基本的にOK、ということです(「広告」の明示もしなくて良い)。
次に、パブコメ84番では、
「いわゆるインフルエンザ一等の第三者に対して無償で商品や役務を提供する場合、
『感想をSNS等に投稿するかしないかは自由』
『投稿する場合には自身の自主的な意思に基づいて投稿内容を決定してほしい 』
『今後の商品や役務の提供に今回のSNS投稿行動が直ちに影響するものではない』
等の文言を示し、それ以外に当該第三者の投稿(表示)肉容について指示等がされない場合は、事業者が『表示内容の決定に関与した』とは言えないと解してよいか。
そうであれば、運用基準に具体例として追記されたい。」
という、きわめて実務的な質問に対して、消費者庁は、
「お尋ねの点は、事業者が『表示内容の決定に関与した』か否かで判断されるところ、景品表示法第5条の不当表示をした事業者といえるかどうかについての判断であり、個別具体的な事案ごとに判断されるものであることから、これ以上記載することは困難と考えます。
事業者が表示内容の決定に関与していない場合は、事業者の表示に当たらず、本告示の対象とならないことは本運用基準に記載のとおりです。」
という、これも木で鼻を括ったような回答をしています。
まあ、明示的に依頼もしなくても、内容決定関係性(運用基準第2の1⑵イ )があれば駄目だというのがガイドラインの立場なので、質問のようなディスクレイマーをしても、それだけならだめなのでしょう。
でも、内容決定関係性基準でも、広告主と表示主とのやりとりが考慮されるとされていますので、意味が無いことはないのでしょう。
というより、大いに意味はあると考えるべきでしょう。
だいたい、ステマの典型例として、毛の生えない毛生え薬とか、インチキ商品ばかりを念頭に置いていると、インチキ商品に高評価を求める悪徳業者みたいな刷り込みが生じてしまいますが、まともな広告主(つまり世の中の大半の広告主)は、自分の商品には自信を持っているのが通常です。
なので、表示主の表示内容を自分に有利にしてやろうなんて姑息なことを考えず、「どうぞありのままを書いて下さい!」と自信満々で依頼することの方が多いと思います。
次に、パブコメ92番では、
「企業からインコルエンサーに対して、自社の商品を無償提供する場合です。
無償提供には、試供品レベルのものもあれば、数万円?数十万円レベルのものもあります。
企業からインフルエンサーに対して『ぜひ使ってみてください』という文言だけとともに提供する場合(現場的には非常に多々あります)、
これはSNSへの投稿の指示・依頼も無ければ、表示内容についての具体的な指示・依頼もない、ということになるかと思います。
しかしながら、いくらSNSへの投稿依頼も内容への指示も無くとも、(試供品程度の度の提供ならばともかく)
高額な物品提供を受けたという事実があれば、もらったインフルエンサーは明らかに何らかの付度が働くかとおもいます。
また一般消費者も、インフルエンサーが自分で購入したものか、企業からもらったものかがわかるかわからないかで、その投稿を見たときの判断が変わってくるかと思います。
これは『事業者の表示」となりえると思うのですが、企業から表示することの依頼もしていないので『表示内容に関与していない」、すなわち『事業者の表示ではない」と判断してよいのでしょうか?
2/2のJAROセミナーでのQA(4)では表示対策課の南課長は「事業者の表示ではない」と明言されていたかと思います。
また2/3の日弁連のセミナーでも質問はしましたが、消費者庁からの見解は伺えませんでした。消費者庁の見解を伺いたいです。」
という本質的な質問(いくら役人とは言えコメント内の個人名をそのまま公表するのはどうかと思います。南さん、ご苦労様です。)に対して、
「お尋ねの点については、第三者の表示が事業者の表示とされるかどうかは、事業者が表示内容の決定に関与したかどうかで判断されますが、
本運用基準第2の1 (2)イ(2頁)に
『事業者が第三者に対して表示を行うよう明示的に依頼・指示していない場合であっても、
当該事業者と当該第三者との聞に当該事業者が当該第三者の表示内容を決定できる程度の関係性があり、
当該第三者の表示について、当該事業者と当該第三者との間に当該第三者の自主的な意思による表示とは客観的に認められない関係性がある場合には、
当該事業者が表示内容の決定に関与した表示とされ、当該事業者の表示となる。』
と記載のとおり、広告主が第三者に明示的に依頼・指示していない場合であっても、御指摘のような、
『高額な物品提供を受けたという事実』
も事業者の表示か否かの考慮要素の一つになります。」
と回答されています。
この、第2の1 (2)イ(2頁)の基準(内容決定関係性基準)は、何回読んでも意味が分からないのですが、ステマを表示内容の決定の有無で限界付ける一般論を採る以上、内容決定関係性基準が採用されてしまうのはやむをえないところでしょう(また、規範が間違っている以上、具体例が間違っているのは必然でしょう)。
それに、いくら高額な物品(商品かもしれないし、試供品かもしれないし、そのほかの物品かもしれない)を提供したからといって、それだけで内容決定関係性があるというのは、私は無理だと思います。
もし、「高額な物品」が、SNSでの投稿を条件に提供されたなら、多少は内容決定関係性もあるかもしれませんが(ないかもしれませんが)、質問の前提は、「ぜひ使ってみて下さい」というだけで、何の依頼もない場合です。
これで内容決定関係性があるというのは、ほとんど無理だと思います。
つまり、「事業者の表示か否かの考慮要素の一つになります。」というのは、ほとんど空振り、あるいは、重みとしては天女の羽衣くらいも無い、というところかと思います。
次に、パブコメ93番では、
「有名人やインフルエンサーなどに商品を送って、その有名人などが個人のSNSに記事や商品画像を投稿するのは、自主的なものであれば問題ないということだったと思いますが、
以前に在籍していたメー力ーでは、社長の奥様が有名女優であることもあり、芸能界に顔が利くため、SNSなどで紹介してもらうことを目的として、複数の有名人に新商品を送るということを行っていました。
あくまでも新商品の紹介として贈っていて、具体的な指示一切していませんが、
一部の有名人は目的が分かつていて、毎回のように個人のSNSで商品を紹介してくれるということがありました。
これは問題ないでしょうか?」
という、非常に具体的な質問に対して、
「第三者の表示について、事業者が「表示内容の決定に関与した」か否かは、景品表示法第5条の不当表示をした事業者といえるかどうかについての判断であり、個別具体的な事案ごとに判断されるものであることから、お尋ねの点に回答することは困難と考えます。
なお、事業者が第三者に対して表示を行うよう明示的に依頼・指示していない場合であっても、
例えば、事業者が第三者に対して、当該事業者の商品又は役務について表示してもらうことを目的に、当該商品又は当該役務を無償で提供するなどの結果として、
当該第三者が当該事業者の目的に沿う表示を行うなど、
当該表示が当該第三者の自主的な意思による表示とは客観的に認められない場合や、
事業者が第三者に対して、当該事業者の商品又は役務を表示することが、当該第三者に経済上の利益をもたらすことを言外から感じさせたり、言動から推認させたりする(例えぱ、SN Sへの投稿を明示的に依頼しないものの、投稿すれば今後の取引の実現可能性に言及するか)などの結果として、
当該第三者が当該事業者の当該商品又は当該役務についての表示を行うなど、
当該表示が当該第三者の自主的な意思による表示とは客観的に認められない場合については、
事業者の表示とされると本運用基準に記載しているところです。」
と回答されています。
この回答は大いに問題です。
というのは、回答が引用している、
「例えば、事業者が第三者に対して、当該事業者の商品又は役務について表示してもらうことを目的に、当該商品又は当該役務を無償で提供するなどの結果として、当該第三者が当該事業者の目的に沿う表示を行うなど」
という部分(第2の1⑵イ(ア) )は、前述の修正前の原案を引用してしまっており、成案では、前述のとおり、
「(ア) 事業者が第三者に対してSNSを通じた表示を行うことを依頼しつつ、自らの商品又は役務について表示してもらうことを目的に、当該商品又は役務を無償で提供し、
その提供を受けた当該第三者が当該事業者の方針や内容に沿った表示を行うなど、
客観的な状況に基づき、当該表示内容が当該第三者の自主的な意思によるものとは認められない場合。」
となっているからです。
こんな形式的なミスをしてはいけません!
とくに、原案にあった「結果として」という文言が、おそらく結果論を問題にするように読めるのでわざと削ったと思われるのに、その部分が復活しているのは、いかんともしがたいです。
というわけで、表示内容の指示がないのに事業者の広告に当たる場合については、ガイドラインの第2の1⑵イ (内容決定関係性基準)をよく読みましょう、ということです。
次に、パブコメ126番では、
「《対象;第2の2(1)ア(キ)・(ク)》
事業者が第三者(特定、不特定を問わない)に対し商品を供与する際に、事業者が
『感想をSNS等に投稿するかしないかは自由』
『投稿する場合には自身の自主的な意思に基づいて投稿内容を決定してほしい』
等の文言を示し、それ以上に当該購入者の投稿(表示)肉容について情報のやり取りがされない場合は、
事業者が「表示内容の決定に関与した」と言えないと解してよいか。
そうであれば、運用基準に具体例として追記されたい。」
との質問に対し(当然、「商品を供与」というのは、無償供与が前提でしょう)、消費者庁は、
「御指摘の点は既に本運用基準第2の2 (1)ア(キ)、(ク)において記載しております。」
と回答しています。
そして、「第2の2 (1)ア(キ)、(ク)」というのは、
「(キ) 事業者が不特定の第三者に対して、試供品等の配布を行った結果、これらを受けた当該不特定の第三者が自主的な意思に基づき表示を行う場合。」
と、
「(ク) 事業者が特定の第三者(例えば、事業者が供給する商品又は役務について会員制(一定の登録者に対し、一定の便益を付与する制度等)を設けている場合における会員)に対して、試供品等の配布を行った結呆、これらを受けた当該特定の第三者が自主的な意思に基づき表示を行う場合。」
で、いずれも、「第三者の自主的な意思による表示と客観的に認められる場合」の例です。
商品の無償提供に関するパブコメ質問に対して、試供品の記載で回答していることがわかります。
このことから、
①消費者庁にとっては商品の無償提供と試供品の無償提供との間には大きな違いは無い、
②「感想をSNS等に投稿するかしないかは自由」などのディスクレイマーがあればよいというものではない、
③要は「第三者の自主的な意思」かどうかが決定的、
といった当たりが読み取れます。
次に、パブコメ127番では、
「《対象;第2の2(2)》
(1) 『新聞・雑誌発行、放送等を業とする媒体事業者が」との記載について、ここで例示されている伝統的なマスメディアだけでなく、インターネット上の商品比較サイト等の媒体であっても、自主的な意思で企画、編集、制作し表示を行うことがある。
このような場合は、事業者が「表示肉容の決定に関与した』と言えないと解してよいか。
そうであれば、伝統的なマスメディア以外の媒体における表示行為への萎縮効果を緩和するため、当該箇所を『新聞・雑誌発行、放送、インターネット上の報道や批評を業とする媒体事業者などが』に変更されたい。
⑵ インターネット上の商品比較サイト等の媒体が事業者等に取材し、自己が運営するサイトにおいて商品の紹介を行う場合につき、媒体事業者が事業者等から謝礼や取材協力費等の名目で商品や役務を受領したとしても、
それが試供品や、本来の内容に比し短時間にとどめる役務など、通常の商品や役務とは言えないものを無償で提供された場合には、
媒体事業者が自主的な意思で記事を書くのであれば、事業者が『表示内容の決定に関与した』と言えないと解してよいか。
そうであれば、運用基準に具体例として追記されたい。」
とのコメントに対して、消費者庁は、
「御指摘の点は既に新聞・雑誌発行、放送等の『等」に含まれておりますが、文意の明確化のために修正します。」
と回答し、第2の2⑴は、原案の、
「⑵ 新聞・雑誌発行、放送等を業とする媒体事業者が事業者の指示に左右されず、自主的な意思で企画、編集、制作した表示については、通常、事業者が表示内容の決定に関与したといえないことから、事業者の表示とはならない。」
から、成案の、
「⑵ 新聞・雑誌発行、放送等を業とする媒体事業者(インターネット上で営む者も含む。)が自主的な意思で企画、編集、制作した表示については、通常、事業者が表示内容の決定に関与したといえないことから、事業者の表示とはならない。」
に変更されました。
次に、パブコメ185番では、
「運用基準を確認して疑問がいくつか出てきましたので、運用前には、Q&Aなどで明確にしていただきたいです。
運用基準を読むと、例えば、ECサイトなどのレビューを投稿してくれたらプレゼントという施策においては、
内容には関与していないので問題ないという判断になるかと思いますが、
では、投稿いただいた内容を審査して、商品の実欲〈ママ。実力?〉がより伝わるような良いコメントの方にプレゼントとした場合、
具体的な指示や決定はしていませんが、
投稿者は、選んでもらえるよう、コメントを誇張する傾向があります。
実際に、普通では考えられないような効果実感を投稿してきたり、
品質、効果、安全性をベた褒めする投稿になっています。
このように、具体的な指示はしていないが、景品などで、優良で誇大な書き込みを誘導するようなキャンペーンによるコメントはどのように判断されますでしょうか?」
とのコメントに対して、消費者庁は、
「本告示の制定後においては、効果的な周知・広報活動の観点から、Q&Aなどを作成することとしています。
第三者の表示について、事業者が『表示内容の決定に関与した』か否かは、景品表示法5条の不当表示をした事業者といえるかどうかについての判断であり、個別具体的な事案ごとに判断されるものであることから、お尋ねの点に回答することは困難と考えます。
なお、事業者が第三者に対して表示を行うよう明示的に依頼・指示していない場合であっても、
例えば、事業者が第三者に対して、当該事業者の商品又は役務について表示してもらうことを目的に、
当該商品又は当該役務を無償で提供するなどの結果として、
当該第三者が当該事業者の目的に沿う表示を行うなど、
当該表示が当該第三者の自主的な意思による表示とは客観的に認められない場合や、
事業者が第三者に対して、当該事業者の商品又は役務を表示することが、当該第三者に経済上の利益をもたらすことを言外から感じさせたり、
言動から推認させたりする(例えぱ、SN Sへの投稿を明示的に依頼しないものの、投稿すれば今後の取引の実現可能性に言及するか)などの結果として、
当該第三者が当該事業者の当該商品又は当該役務についての表示を行うなど、
当該表示が当該第三者の自主的な意思による表示とは客観的に認められない場合
については、
事業者の表示とされると運用基準に記載しているところです。」
と回答されています。
ここでも、一部、原案の表現が残っていますね(1個目の「「結果として、・・・」)。