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2023年5月 8日 (月)

ステマ運用基準についてのコメント

ステマ運用基準について気がついたことをメモしておきます。

第1の冒頭で、

「事業者が自己の供給する商品又は役務の取引について行う表示」

を、「事業者表示」と呼ぶことにしています。

一方で、運用基準では、「事業者が自ら行う表示」という用語も使っていて、こちらは、事実として事業者が自分で行う表示、というくらいの意味のようです。

これに対して「事業者の表示」は、表示の内容の決定に関与したかという評価を踏まえた概念です。

次に、運用基準では、「関係性」という用語が何回も出てきます。例えば、

「ア 事業者が自ら行う表示には、事業者が自ら表示しているにもかかわらず第三者が表示しているかのように誤認させる表示、例えば、事業者と一定の関係性を有し、事業者と一体と認められる従業員や、事業者の子会社等の従業員が行った事業者の商品又は役務に関する表示も含まれる。」

です。

でも、これは、「関係」でいいのではないでしょうか?

法律の文章はできるだけ簡潔なほうがよく、「関係」だけだと「関係」とは何かを議論すればすむのに、「関係性」になると、「関係」の「性質」ということで、「関係」と「性質」の2つを議論しないといけなくなります。

昔、若いアソシエイトが準備書面でやたらと「関係性」という言葉を使うので、全部「関係」に直したことがあります。

次に、第2(「告示の『事業者が白日の供給する商品又は役務の取引について行う表示』についての考え方」)の構造ですが、

1 事業者が表示内容決定に関与したとされるものについて

⑴ 事業者が自ら行う表示について

ア〔総論。第三者がしているように誤認させる表示は違法〕

イ〔従業員が行う表示〕

(ア)〔販促担当管理職は、ダメ〕

(イ)〔販促目的でなければ、OK〕

⑵ 事業者が第三者をして行わせる表示について

ア〔第三者に行わせるのが「決定に関与」に当たりステマになる具体例〕

(ア)〔SNSに投稿させる〕

(イ)〔購入者にECサイトのレビューに投稿させる〕

(ウ)〔アフィリエイト〕

(エ)〔競合他者への低評価レビューの依頼〕

イ〔第三者の自主的な意思による表示内容とは認められない関係性あれば、ダメ〕

(ア)〔商品無償提供は、ダメ〕

(イ)〔将来の取引を匂わせるのは、ダメ〕

2 事業者が表示内容決定に関与したとされないものについて

⑴〔第三者自身の嗜好に基づけば、OK〕

ア〔第三者が自主的な意思で行うのは、OK〕

イ〔商品無償提供しても、第三者の自主的な意思なら、OK〕

ウ〔アフィリエイトでも、一切情報やりとりなければ、OK〕

エ〔購入者がECサイトのレビューに投稿するのは、OK〕

オ〔購入者にレビュー投稿の謝礼として次回クーポンを提供しても、一切情報やり取りなければ、OK〕

カ〔第三者が懸賞に応募するために事業者のSNSに投稿するのは、OK〕

キ〔事業者のサイトに第三者の表示を利用する場合、恣意的な抽出でなく、かつ、内容をそのまま引用するなら、OK〕

ク〔不特定多数に試供品を配布するのは、OK〕

ケ〔会員制の会員に試供品を配布するのは、OK〕

コ〔プレゼントは、OK〕

⑵〔新聞記事等は、原則、事業者の表示ではない。〕

ア〔取材記事、書評、事業者の協力を得た番組は、OK〕

イ〔正常な商慣習を超えた取材は、ダメ〕

となっています。

次に、第2の冒頭(2頁)に、

「なお、告示の対象となる事業者の表示において、

景品表示法第5条第1号、第2号又は第3号の規定に基づく他の告示の規定

に該当する表示がある場合には、

これらの表示が景品表示法第5条違反とされる。」

とありますが、これだけ読むと何を言っているのかさっぱりわかりません。

これは、パブコメ42番で、

「I⑤(該当箇所)第2なお書きの前

(意見) 以下を挿入し、原案『なお』を『また』とする。

「なお、本指定告示の対象となる表示について、景品表示法第5条第1号、第2号又は第3号に基づく他の指定告示の規定により不当表示となるものは、これら規定が適用される。」

(理由)ステマ告示で不当表示として規制される表示(以下「表示主体誤認表示」という。)は、事業者の表示であるから、景品表示法第5条第1号、第2号文は第3号に基づく他の指定告示によって不当表示とされる場合には、当然、これら規定が適用される。

このことは、本指定告示の対象となる表示が他法令の規定に反する場合、本指定告示と当該他法令が併せて規制されるという、原案のなお書きに記載されていることと同じである。他法令との関係を記載するのであれば、景品表示法の他の規定との関係も記載することが必要である。」

というコメントが出されたのを受けて原案に追加されたものです。

でも、もし、

「また、他法令の適用がある場合であっても、事業者が表示内容の決定に関与したとされる実態があるものについては、他法令だけでなく、告示の対象となる(例えば、特定商取引に関する法律における連鎖販売取引)。」

とパラレルに書くのであれば、

「また、本指定告示の対象となる表示について、景品表示法第5条第1号、第2号又は第3号に基づく他の指定告示の規定の適用がある場合であっても、これらの規定だけでなく、本指定告示の規定の対象となる。」

とすればよかったんじゃないですかね。

(なお、「事業者が表示内容の決定に関与したとされる実態があるものについては」については、景表法では当たり前なので、削除しました。)

しかも、パブコメで出された案から敢えて変更した上で運用基準に追加された、

これらの表示が景品表示法第5条違反とされる

という部分が、何が言いたいのかさっぱりわかりません(パブコメのほうが、まだわかります)。

まず、「これら」というのが何を指すのかわかりません。

もし直前の「景品表示法第5条第1号、第2号又は第3号の規定に基づく他の告示の規定に該当する表示」を指すとしたら、

「景品表示法第5条第1号、第2号又は第3号の規定に基づく他の告示の規定に該当する表示が景品表示法第5条違反とされる

ということになり、何が言いたいのかわかりません。

5条1号や2号や指定告示に該当する表示が5条違反になるって、当たり前ですよね?

これでは、トートロジーにも値しません。

つまり、

「1足す1は、2である。」

は、トートロジーですが(数学の命題は全てトートロジーです。)、この運用基準の部分は、

「1足す1は、1足す1である。」

といっているだけです。

これはほとんど、「放送事故」のレベルではないかと思います😖

次に、第2の1⑴ア(2頁)に、

「ア 事業者が自ら行う表示には、事業者が自ら表示しているにもかかわらず第三者が表示しているかのように誤認させる表示、

例えば、事業者と一定の関係性を有し、事業者と一体と認められる従業員や事業者の子会社等の従業員

が行った事業の商品又は役務に関する表示も含まれる。」

という記載がありますが、これだと、直接の従業員なら「一体と認められる」必要があるのに子会社従業員なら「一体と認められる」必要はない、と読まれかねないので、「、」はないほうがよかったと思います。

あるいは、子会社従業員を「一体」というのがはばかれるというのであれば、「事業者と一定の関係性を有する当該事業者の子会社等の従業員」とかすればよかったと思います。

次に、第2の1⑴イ(イ)(3頁)では、従業員の表示がステマに当たらない場合(いわばセーフハーバー)として、

「(イ) 『事業者と一定の関係性を有し、事業者と一体と認められる従業員や、事業者の子会社等の従業員が行った事業者の商品又は役務に関する表示』が事業者の表示に該当しないものとしては、

商品又は役務を販売する事業者の従業員や当該事業者の子会社等の従業員ではあるものの、

当該商品又は役務の販売を促進することが必要とされる地位や立場にはない者が、

〔注:直前の(ア)で、「(例えば、販売や開発に係る役員、管理職、担当チームの一員等)」が、立場にある者の例示として挙げられています。〕

当該商品又は役務に関して一般消費者でも知り得る情報を使うなどし、

当該商品又は役務の販売を促進する目的ではない表示を行う場合。」

とされています。

でも、ステマは表示主体が公平な第三者であると装うのが問題なのであって、内容に虚偽が有ろうと無かろうと違法というのが告示の建前ですから、「一般消費者でも知り得る情報を使う」なら良いということにはならないと思います。

しかも、「当該商品又は役務の販売を促進する目的ではない表示を行う場合」というのも、よく分かりません。

販売促進目的ではなくって、純粋にその商品を応援したいという目的だったり、その商品の広告に使われているタレントをファンとして応援したいという目的だったり、いい商品を世の中に広く知らしめたいという目的だったらいいんですかね?

というわけで、このセーフハーバーは当てにならないので、企業としては、従業員がSNSで自社商品についてつぶやくのは一律禁止したほうがいいと思います。

次に、第2の1⑵ア(ア)(3頁)では、第三者のSNSへの投稿について、

「(2) 事業者が第三者をして行わせる表示について

ア 事業者が第三者をして行わせる表示が事業者の表示となるのは、事業者が第三者の表示内容の決定に関与している場合であって、例えば、以下のような場合が考えられる。

(ア) 事業者が第三者に対して当該第三者のSNS (ソーシャルネットワーキングサービス)上や口コミサイト上等に自らの商品又は役務に係る表示をさせる場合。」

と、購入者にツイッターでつぶやいてもらうのが全部ステマ(「事業者が第三者の表示内容の決定に関与している場合」)であるかのようなことが書いてあってびっくりしますが、そのあとの第2の2⑴アでは、少し前から引用すると、

「上記の事情を踏まえ、「客観的な状況に基づき、第三者の自主的な意思による表示内容と認められる場合」、つまり、事業者の表示とならない場合としては、例えば、以下のような場合が考えられる。」

とした上で、

「ア 第三者が事業者の商品又は役務について、SNS等に当該第三者の自主的な意思に基づく内容として表示(複数回の表示も含む。)を行う場合。」

は問題ないんだ、とされています。

「第三者の自主的な意思による表示内容と認められる場合」の具体例として、「第三者の自主的な意思に基づく内容として表示」という、ほぼ同語反復のものを挙げるのもどうかと思いますが、まあ、SNSへの投稿は常識的な範囲ならOKだというメッセージと読みましょう。

では、”常識的な範囲”とは何なのか、つまり、運用基準に照らして厳密に言うと、「第三者の自主的な意思による表示内容と認められる場合」とは何なのか、というと、第2の2⑴(5頁)で、

「『客観的な状況に基づき、第三者の自主的な意思による表示内容と認められる場合』を判断するに当たっては、

第三者と事業者との間で表示内容について情報のやり取りが直接又は間接的に一切行われていないか、

事業者から第三者に対し、表示内容に関する依頼や指示があるか、

第三者の表示の前後において、事業者が第三者の表示内容に対して対価を既に提供しているか、

過去に対価を提供した関係性がどの程度いていたのか、

あるいは今後提供することが決まっているか、

今後対価を提供する関係性がどの程度くのかなど、

事業者と第三者との間に事業者が第三者の表示内容を決定できる程度の関係性があるか否かによって判断する。

また、『事業者と第三者との間に事業者が第三者の表示内容を決定できる程度の関係性があるか否か』の判断に当たっては、

表示の対象となった商品又は役務の特性等(例えば、特定の季節のみに販売数量が増える商品であるか。)の事情を考慮する。」

とされています。

これらの要素のうちで決定的に重要なのは「対価」の提供の有無でしょう。

ただし、「対価」には、商品役務の無償提供は含まれなさそうです。

というのは、第2の2⑴イ(6頁)で、

「イ 事業者が第三者に対して自らの商品又は役務を無償で提供し、SNS等を通じた表示を行うことを依頼するものの、当該第三者が自主的な意思に基づく内容として表示を行う場合。」

が、「『客観的な状況に基づき、第三者の自主的な意思による表示内容と認められる場合』、つまり、事業者の表示とならない場合」の例として挙げられているからです。

「表示内容について情報のやり取り」がされているかどうかも重要でしょう。

なので、レビューの書き込みを依頼するときに「高評価お願いします。」と伝えるのは、たぶんダメでしょう。

事業者から第三者に「依頼」した事実もステマの要素として挙げられていますが、「依頼」をするだけでアウトになると、レビューの投稿の依頼すらできないことになるので、「依頼」があったことは決定的に不利とはいえないでしょう。

というのは、第2の2⑴エ(6頁)で、

「エ ECサイトに出店する事業者の商品を購入する第三者が、自主的な意思に基づく内容として当該ECサイトのレビュー機能を通じて、当該事業者の商品等の表示を行う場合。」

というのが、「『客観的な状況に基づき、第三者の自主的な意思による表示内容と認められる場合』、つまり、事業者の表示とならない場合」の例として挙げられているからです。

事業者の依頼もないのに購入者がレビューを投稿するのが「事業者の表示」でないのは当たり前なので、このエは、「レビューをお願いします。」といった「依頼」があることも含む(あるいは、「依頼」をしただけでレビューがステマになることはない)と読むべきでしょう。

次に、第2の1⑵ア(イ)(3頁)では、

「(イ) EC (電子商取引)サイトに出店する事業者が、いわゆるブローカー(レピュ一等をSNS等において募集する者)や自らの商品の購入者に依頼して、購入した商品について、当該ECサイトのレビューを通じて表示させる場合。」

というのが、「事業者が第三者の表示内容の決定に関与している場合」の例として挙げられています。

ここで、「ブローカー」というのは、原案では、「(不正レビュー等をSN S等において募集する者)」と定義されていたのですが、パブコメ60番で、

「(イ)のブローカーについて、「不正」レビューを募集する者に限る必要はない(レビュー内容が不正であるか、正しく、かつ、事業者に望ましいものであるかにかかわらず、ブローカー経由であることが一定の内容に向けての誘引があると考えられる。)。」

という指摘を受けて「不正」が削除されたのは良いのですが、「自らの商品の購入者に依頼」してレビューを投稿してもらうのが一律ステマだとされるように読めるのは問題です。

しかもこれは、第2の2⑴イ(6頁)で、

「イ 事業者が第三者に対して自らの商品又は役務を無償で提供し、SNS等を通じた表示を行うことを依頼するものの、当該第三者が自主的な意思に基づく内容として表示を行う場合。」

が、「『客観的な状況に基づき、第三者の自主的な意思による表示内容と認められる場合』、つまり、事業者の表示とならない場合」の例として挙げられているのと矛盾すると思います。

というのは、商品を無償提供して第三者のSNSで表示してもらっても「当該第三者が自主的な意思に基づく内容として表示を行う」のであればステマではないのに、より一般的に、

「(イ) EC (電子商取引)サイトに出店する事業者が、・・・自らの商品の購入者に依頼して、購入した商品について、当該ECサイトのレビューを通じて表示させる場合。」(第2の1⑵ア(イ))

が「表示内容の決定に関与している」としてステマに該当するというのでは、商品を無償提供して依頼しても(自主的な意思としての内容なら)ステマにならないのに、自腹を切って購入した人に依頼したレビューはステマになるということで、矛盾すると言わざるを得ないからです。

これをどう折り合いを付けるかですが、理屈はさておき結論としては、

「(イ) EC (電子商取引)サイトに出店する事業者が、・・・自らの商品の購入者に依頼して、購入した商品について、当該ECサイトのレビューを通じて表示させる場合。」(第2の1⑵ア(イ))

が「表示内容の決定に関与している」としてステマに該当するというのはやっぱり厳しすぎる(そもそもブローカーと同列に論じられるものではない)ので、誤記として無視するほかないと思います。

あるいは、

「(イ) EC (電子商取引)サイトに出店する事業者が、・・・自らの商品の購入者に依頼して、購入した商品について、当該ECサイトのレビューを通じて表示させる場合。」(第2の1⑵ア(イ))

でも、「表示内容の決定に関与」していないということはあり得る、と読み替えるべきです。

次に、第2の1⑵イ(ア)(4頁)では、

「(ア) 事業者が第三者に対してSNSを通じた表示を行うことを依頼しつつ、自らの商品又は役務について表示してもらうことを目的に、当該商品又は役務を無償で提供し、その提供を受けた当該第三者が当該事業者の方針や内容に沿った表示を行うなど、客観的な状況に基づき、当該表示内容が当該第三者の自主的な意思によるものとは認められない場合。」

というのが、

「事業者が第三者に対しである内容の表示を行うよう明示的に依頼・指示していない場合であっても、事業者の表示とされる場合」

の具体例として挙げられており、商品を無償提供してSNSでつぶやいてもらうのはステマに該当するかのように書いてありますが、第2の2⑴イ(6頁)では、

「イ 事業者が第三者に対して自らの商品又は役務を無償で提供し、SNS等を通じた表示を行うことを依頼するものの、当該第三者が自主的な意思に基づく内容として表示を行う場合。」

というのが、

「『客観的な状況に基づき、第三者の自主的な意思による表示内容と認められる場合』、つまり、事業者の表示とならない場合」

の例として挙げられており、商品を無償提供しても第三者の自主的な意思ならOKだ、とされています。

これは矛盾するようにも思いますが、要は、

①広告主が商品役務を無償提供して広告主の方針・内容に沿った表示をさせるとステマ

②広告主が商品役務を無償提供しても、第三者の自主的意思なら、OK

ということだと思われます。

つまり、商品役務の無償提供があっても、それだけではステマかどうか決められない、ということかと思われます。

次に、第2の1⑵ア(エ)(4頁)では、

「(エ) 事業者が他の事業者に依頼して、プラットフォーム上の口コミ投稿を通じて、自らの競合事業者の商品又は役務について、自らの商品又は役務と比較した、低い評価を表示させる場合。」

というのが、

「事業者が第三者をして行わせる表示が事業者の表示となるのは、事業者が第三者の表示内容の決定に関与している場合」

の例として挙げられています。

ここで、なぜ依頼の対象が「他の事業者」だけになっていて、一般消費者は含まれないのかは、よくわかりません。

注意点は、このような競合への低評価レビューは、「自らの商品又は役務と比較」した場合だけ不当表示になるのであって、単に競合他者の商品に低評価のレビューを投稿することを依頼することは不当表示にならない、ということです。

というのは、景表法の「表示」は、

「顧客を誘引するための手段として、事業者が自己の供給する商品又は役務の内容又は取引条件その他これらの取引に関する事項について行う広告その他の表示」(景表法2条4項)

でなければならず、競合への低評価は「顧客を誘引するための手段」とはいえず(競合の評価が下がったからといって当然に自社の売上げが増えるわけではない)、「自己の供給する商品又は役務」に関するものでもないからです。

運用基準では、この(エ)が、「事業者が第三者の表示内容の決定に関与している場合」の例として挙げられているのでこのあたりの理屈がわかりにくいですが、きっとこういう理屈(競合への低評価レビューは「表示」非該当)なのでしょう。

(ところで、余談その1、ですが、パブコメ59~61番の、コメントのほうの「(該当箇所)」の「第1」とあるのは、全部「第2」の誤記ですね。

ひょっとしたらコメントした方が間違えたのかもしれませんが、もしそうであるとしてもそういう明らかな誤記は修正すべきでしょう。)

(余談その2、ですが、パブコメ61番回答で、

「事業者が第三者に自社の商品役務に関する表示をさせる場合は、高い評価又は低い評価が含まれないもの(『私はこれを毎日飲んでいます』などの単なる事実)も考えられるため、現状のままとします。」

と回答されていますが、「私はこれを毎日飲んでいます」は、「単なる事実」ではなく、「高い評価」だと思います。)

次に、第2の2(「2 事業者が表示内容の決定に関与したとされないものについて」)の冒頭部分(5頁)では、

「事業者が第三者の表示に関与したとしても、客観的な状況に基づき、第三者の自主的な意思による表示内容と認められるものであれば、事業者の表示には当たらない。」

とされています。

ここで誤解してはいけないのは、

「事業者が第三者の表示に関与したとしても」

となっていて、

「事業者が第三者の表示の内容の決定に関与したとしても」

とはなっていない、ということです。

もし、

「事業者が第三者の表示の内容の決定に関与した」

のであれば、

「客観的な状況に基づき、第三者の自主的な意思による表示内容と認められる」

ということは矛盾であってあり得ない、というのが運用基準の立場なのでしょう。

次に、第2の2⑴イ(6頁)で、

「イ 事業者が第三者に対して自らの商品又は役務を無償で提供し、SNS等を通じた表示を行うことを依頼するものの、当該第三者が自主的な意思に基づく内容として表示を行う場合。」

が、

「「客観的な状況に基づき、第三者の自主的な意思による表示内容と認められる場合」、つまり、事業者の表示とならない場合」

の例として挙げられているのは重要です。

これで、商品役務を無償提供してYouTubeで紹介してもらうのは、基本的に問題ない、ということになります。(ただし、報酬を払ったらダメです。)

ところで、

「イ 事業者が第三者に対して自らの商品又は役務を無償で提供し、SNS等を通じた表示を行うことを依頼するものの、当該第三者が自主的な意思に基づく内容として表示を行う場合。」(第2の2⑴イ(6頁) )

というのは、あまり深く考えずに読むと、無償提供と依頼が同時のように思われ、もしそうなら、第三者はSNSで表示する義務も負わなければ強制の要素もないので「自主的な意思」といっていいように思うのですが、もし、「SNSで書いてくれるなら、商品を無償提供しますよ。」という順番なら、ちょっと微妙ではないでしょうか。

先にSNSで書くことを約束させられると、SNSで書くことを約束しないと商品はもらえないので、強制の要素があるかもしれないように思われるからです。

私は図太いですから、先に約束させられても、良い内容を書いてあげようなんてこれっぽっちも思いませんし、後ろめたさも感じませんが(笑)、どうも消費者庁が考えているのは、そういう図太い人ばかりではないような気がします。

次に、第2の2⑴エ(6頁)で、

「エ ECサイトに出店する事業者の商品を購入する第三者が、自主的な意思に基づく内容として当該ECサイトのレビュー機能を通じて、当該事業者の商品等の表示を行う場合。」

が、

「「客観的な状況に基づき、第三者の自主的な意思による表示内容と認められる場合」、つまり、事業者の表示とならない場合」

の例として挙げられているのも重要ですね。

これで、出店者が購入者に「レビューをお願いします。」というメールを送るくらいはOKになります。

前述の、第2の1⑵ア(イ)(3頁)(EC サイト出店者が購入者に依頼してECサイトのレビューを通じて表示させる場合が表示内容の決定に関与しているとする部分)は、前述のとおり、無視しましょう(笑)。

でも、前提として、「自主的な意思に基づく内容として」でなければならず、その判断要素としては、報酬支払の有無等が挙げられているので(5頁)、報酬を払ったらダメです。

同じく、レビュー内容について情報のやり取りをするのもいけないようなので(5頁)、「高評価お願いします!」というのは、ダメです。

以上、ステマ運用基準はざっと舐めただけでもいろいろなことが言えてしまい、論理的に整合しているのか疑問を感じるところも多々あるのですが、細かい議論はまた回を改めてやりたいと思います。

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