ABA Spring Meeting 2023に行ってきました。
先週、久しぶりにABA Spring Meetingでワシントンに行ってきました。
2020年の大会がコロナで中止になったので、2019年以来の参加です。
全体的に印象に残ったのは、データプライバシーやダークパターンなど、消費者保護のテーマが目だったことと、競争法の分野でも、デジタルプラットフォームの議論が活発でした。
一方で、カルテルについてはあまり動きがなく、労働市場の賃金カルテルや引き抜き禁止(no poach)がかえって目だった感じでした。
コロナ前は国際カルテルの執行が活発で、話題もほとんどそれ一辺倒に近い印象だったのと比べると、時代は一変したのだなあと思います。
最終日のEnforcer's Roundtableも、同じ印象でした。
リナ・カーンFTC委員長も見てきました。
ある意味では、競争法に期待されているものが非常に大きいともいえるのでしょうけれど、長年競争法を専門にしてきた立場からすると、これが果たして競争法なのか?という複雑な思いはあります。
これまでも、カルテルしかしらないにもかかわらず競争法の専門家のふりをしている弁護士や、日本では優越的地位の濫用しか知らないのに独禁法の専門家のような顔をしている弁護士が少なからずいましたが、これからはデジタルしかしらないのに競争法の専門家の顔をする人が出てくるかもしれません。
(まあ、優越やカルテルと違ってデジタルプラットフォームは競争法の基礎(つまり経済学)が分かってないと手に負えないですから、あんまりそういうことにはならないと思いますが。)
それから、各国の当局の方が話すセッションに出てきましたが、なんとウクライナの当局の方が出ておられました。
終わったあと早速ご挨拶させていただき、日本人はウクライナを強く支持していることを伝えました。
大会にはほかにもウクライナからの弁護士さんが何人か来ておられて、お話しができました。
こういう非常時にも経済を回していくことは必要でしょうし、そうでないと戦争にも勝てないでしょうから、ウクライナからのみなさんにはぜひ頑張って欲しいと思いました。
来年もまた来たいと思います。
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