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2022年9月24日 (土)

打消し表示はすべての強調表示に付けましょう。

時々受ける質問に、「打消し表示は会社のホームページに載せておくだけではだめなのでしょうか。」というのがあります。

商品パッケージに強調表示を表示する場合、すべてのパッケージに打消し表示をしないといけないのか、という質問です。

ほかには、チラシなどもあるでしょう。

結論としては、すべての強調表示に、都度、打消し表示をする必要があります。

形式的な理由としては、打消し表示は強調表示と同一視野に表示されていなければならないとされているからなのですが、実質的な理由は、商品パッケージだけしかみない、あるいは、チラシしか見ない、という消費者もいくらでもいるからです。

会社法では、官報への公告やホームページでの公告でよしとされていたり、ほかには、個人情報保護法21条(取得に際しての利用目的の通知等)では、

「第二十一条 個人情報取扱事業者は、個人情報を取得した場合は、あらかじめその利用目的を公表している場合を除き、速やかに、その利用目的を、本人に通知し、又は公表しなければならない。」

と、利用目的を本人に知らせるのは公表でよい、ということになっています。

しかしながら、これらは法律の規定に基づいてはじめてそういう一種の通知の擬制方法が認められているから可能なのであって、一般的に公表などですますわけにはいきません。

とくに景表法の場合は消費者保護法ですから、誤認を生じさせるかどうかはあくまで消費者の側に立って考えないといけません。

そうすると、企業の都合で公告ですませたりすることは許されず、消費者がどのように情報を取得するのか、といった消費者の立場に立った解釈が必要であるということがわかると思います。

情報の受け手である消費者の側に立つ、というスタンスは、景表法の不当表示規制では常に必要です。

上記打消し表示も、そのような一般的なスタンスの、1つの応用であるといえます。

また、このように、打消し表示は「付け漏れ」のリスクが常にあります。

ときどき契約書のレビューを依頼してくる人の中に、契約書の本文だけを送ってくる人がいますが、大事なことが別紙に書いてあることはいくらでもあるので、これはリスクがあります。それと似ています。

契約書の本文だけを送ってくる人も、悪気があって(別紙を隠そうと思って)そうしているわけではたぶんなく、単に、別紙と本文が別のワードファイルになっているだけなのではないかと想像します。

そして、M&Aの契約とか、別紙があるのがあたりまえということで定着している契約なら、別紙の存在を忘れてしまうということはまずないのですが、世の中、別紙を使うのが一般的である契約書ばかりではありません。

そうすると、別紙があるかどうかは、契約書の本文を全部見ないとわからない、ということもあるわけです。

これは、結構な手間で、どこかで別紙の存在を見落としてしまうことがあると思います。

というわけで、少々脱線してしまいましたが、打消し表示も、別紙のような扱いをしていると、どこかで「付け漏れ」が出てしまいます。

常に、打消し表示と強調表示は不可分一体のものとして扱う必要があります。

また、打消し表示にはこのような「付け漏れ」のリスクがあるので、強調表示であまり強調しすぎることは避けるべき、ということにもなると思います。

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