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2022年6月17日 (金)

食べログ判決について

アルゴリズムの変更が優越的地位の濫用にあたるとして食べログが敗訴した判決が6月16日、東京地裁ででたそうです。

まだ報道ベースで知り得る限りですが、チェーン店の点数を一律に下げる変更だった(それだけだったかはわかりませんが)ようです。

なぜそのような変更をしたのか、想像することも困難であり、このような不合理な変更をしたら、それは駄目だろうと思いました。

毎日新聞の記事によると、「ただ、営業秘密とするカカクコムの主張から、なぜチェーン店に不利なアルゴリズムの変更が行われたのか、判決は明示しなかった。」ということだそうで、やっぱりよくわかりません。)

原告が優越的地位の濫用だと主張したので判決もそれに沿って判断したということだと思いますが、これってそもそも、独禁法違反云々(「でんでん」ではなく「うんぬん」と読みます)を言う前に、たんなる債務不履行なのではないでしょうか。

少なくとも有料会員レストランとの関係では、公正な評価を表示するというのは、グルメサイトのようなプラットフォームとして当然の契約上の義務だと思います。

ですが、原告韓流村としても、何も議論の蓄積のない、プラットフォームによる不当評価と債務不履行という主張を掲げるより、公取委の実態調査などもあって、ある程度議論の蓄積のある優越的地位の濫用を使った、ということなのかもしれません。

たしかに、単に債務不履行というのと、優越的地位の濫用というのとでは、迫力が違いますし、本件では原告の戦略が成功したということでしょう。

しかも、独禁法違反(不公正な取引方法)では、差止も認められる、というメリットも見逃せません(なお本判決は、差止は認めていませんが、私はこれは大きな問題だと思っています。)。

ですが、本件はグルメサイトトップの食べログだから優越的地位が認められやすかったかも知れませんが、2位以下が同じことをしたらどうなるのでしょうか。

あるいは、日本で同規模のグルメサイトが5つあったら、どうでしょうか?

私は、そんな場合でも検索アルゴリズムやレビューは公正であるべきだ(競争を歪めるべきではない)と考えるので、独禁法違反に問えるべきでしょう。

あるいは、差別的取扱いなら、比較的小さなプラットフォームに対しても適用しやすいかもしれません。

ともあれ、この判決はアルゴリズムの変更と独禁法違反という論点について極めて重要な判決であることはまちがいありません。

しかも、チェーン店の点数を一律に下げるという、合理的な説明が困難なアルゴリズム変更であり、ある意味でとてもわかりやすい事件であったことは、将来の独禁法実務にとって、たいへん喜ばしいことだったと思います。

というのは、最初の事件で躓くと、どうしても、その後の判決でも原告の主張が認められにくくなるからです。

そういう意味で本件がイージーケースであったことは日本の独禁法にとって好ましいことでしたが、この判決をきっかけに、まちがいなく、より幅広い検索サービスのアルゴリズムの公正性が独禁法の俎上に上ることになるでしょう。

それから、この事件で私が言いたいのは、公取委は何をしていたのか、ということです。

(水面下で調査しているかもしれませんが。)

最近の公取委は、実態調査や、せいぜい確約ばかりで、正式な排除措置命令が極端に少ないですが(令和3年度の排除措置命令は歴代断トツの最下位のわずか3件!)、よっぽど暇なはずなのにこういう事件を取り上げないというのは、いったいどういうことでしょうか?

850人を超える職員を抱えているのに、このていたらくでは、公正取引委員会の存在意義が問われると思います。

公取委のみなさん、がんばってください。

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