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2022年3月 6日 (日)

アフィリエイト広告の内容を広告主が自ら決定していたことの認定

公正取引853号11頁の座談会で、消費者庁の片桐審議官が、

「T.S.コーポレーションが表示内容を自ら決定していたという認定の根拠ですが、本件では

T.S.コーポレーションは

広告代理店との間でアフィリエイト広告の作成を内容とする契約を締結し、

広告代理店と契約関係にあるASPを通じて本件商品に関する情報等を共有して表示内容について指示をし、

アフィリエイトクリエイターが制作した広告案を確認するとともに、

本件アフィリエイトサイトを通じて得られた成果に対して全て報酬を支払っていた

というような事実関係が認められており、

以上のことからT.S.コーポレーションがこの表示内容を自ら決定したというふうに認定したということです。」

と発言しています。

ここで、

「広告代理店と契約関係にあるASPを通じて本件商品に関する情報等を共有して表示内容について指示をし」

というのが、誰と「情報等を共有」し、誰に「表示内容について指示」をしたという意味なのかが、今ひとつよく分かりません。

文言だけを追っていけば、

「広告代理店と契約関係にあるASPを通じて本件商品に関する情報等を広告代理店と共有して表示内容について広告代理店に指示をし、」

という解釈も成り立たないわけではないと思いますが、アフィリエイトプログラムの一般的な仕組みは、

広告主→(広告代理店)→ASP→アフィリエイトクリエイター

ですし、その前後の文脈からしても、この部分は、

「広告代理店と契約関係にあるASPを通じて本件商品に関する情報等をアフィリエイトクリエイターと共有して表示内容についてアフィリエイトクリエイターに指示をし」

という意味ではないかと思われます。

そうすると、広告主がアフィリエイト広告の内容を自ら決定したといえるための要件は、

①広告主が、広告代理店に、広告の作成を依頼する

②商品に関する情報等をアフィリエイトクリエイターと共有する

③表示内容についてアフィリエイトクリエイターに指示をする

④アフィリエイトクリエイターが制作した広告案を確認する

⑤アフィリエイトサイトを通じて得られた成果に対して報酬を支払う

といったあたりになりそうです。

ここで、これらの要素が、広告主がアフィリエイト広告の内容を自ら決定したと言えるための要素である(他に委ねたことの要素ではない)ことからすると、②の共有情報内容も、③の指示された内容も、④の広告案も、すべて不当表示に該当するものであることが当然の前提になっていることが前提であると考えられます。

そうでないと、

①は普通にありそうですし、

②は、情報共有を全くしないとアフィリエイト広告をアフィリエイトクリエイターが書くのはそもそも困難ですし、

③は、指示した内容と違うアフィリエイト広告まで広告主が「その内容を自ら決定した」と言われるのはさすがに酷な気がしますし、

④は、(ランダムサンプリングなどで)確認がもれた広告に不当表示があったために広告主が責任を負わせられると、むしろ確認をしないほうがいいことになってしまいますし、

⑤は、報酬を払うのは当然

だからです。

ですので、T.S.コーポレーションのケースは広告主がアフィリエイト広告に対してかなり強いコントロールを及ぼしていた(まさに内容を自ら決定していた)といえる事例なのでしょう。

ですが問題は、アフィリエイト広告の内容の決定を他に委ねた場合も広告主が責任を負うことです。

(座談会の上記片桐審議官の発言も、白石先生の、

「もちろん、そこまでの〔T.S.コーポレーションのような自ら内容を決定したという〕事実関係がなくても、もう少し広く景品表示法の適用が可能であるということが前提になっていると思いますが」

という前置き付きの質問に答えたものです。)

つまり、いくら「内容を自ら決定」したとみられる場合だけを議論しても、ではどこからが違法になるのかはわかりません。

ただ、消費者庁が実際に広告主に措置命令を出すのは、広告主がアフィリエイトクリエイターに対してかなりきつい拘束をかけていた場合なのであろう、ということは読み取れます。

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