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2022年1月 3日 (月)

懸賞の「点数券」に関する緑本の解説の疑問

懸賞告示運用基準1項では、

「1 「懸賞による景品類の提供に関する事項の制限」(昭和五十二年公正取引委員会告示第三号。以下「告示」という。)第一項第一号の「くじその他偶然性を利用して定める方法」についてこれを例示すると、次のとおりである。

(1) 抽せん券を用いる方法

(2) レシート、商品の容器包装等を抽せん券として用いる方法

(3) 商品のうち、一部のものにのみ景品類を添付し、購入の際には相手方がいずれに添付されているかを判別できないようにしておく方法

(4) 全ての商品に景品類を添付するが、その価額に差等があり、購入の際には相手方がその価額を判別できないようにしておく方法

(5) いわゆる宝探し、じゃんけん等による方法」

と定められています。

これに対する西川編『景品表示法〔第6版〕』p222では、

「また、④〔上記引用の(4)〕においては、景品類に価額差がある場合が問題となっているが、添付されているものに価額差とは必ずしもいえない価値の差が存在する場合(注)も、同様に懸賞に該当する。」

としたうえで、p223で、

「(注)例えば、すべての商品に1点、3点、5点といった点数券を添付し、合計得点が10点に達した場合に特定の景品類を提供する場合、景品類は一種類しかない以上、価額差があるとはいえないが、それぞれの点数券には価値の差がある。」

と説明されています。

でも、これは運用基準の解説としてはおかしいのではないでしょうか。

まず、懸賞告示運用基準1項(4)は、

「(4) 全ての商品に景品類を添付するが、その〔=景品類の〕価額に差等があり、購入の際には相手方がその価額を判別できないようにしておく方法」

と言っているのであり、商品に景品類自体が添付される場合を述べており、「(注)」のような、それ自体を景品類とはいえないような「点数券」(∵点数券という紙片自体に経済的価値はない)を添付した場合ではありません。

また、

その〔=景品類の〕価額に差等があり」

といっているのを、点数券の「価値の差」にすりかえるのも無理があります。

では、どう説明すればいいのでしょうか。

(注)のような点数券の場合は、厳密に言えば、1号から5号のいずれにもあたらない、というのが正しい説明だと思います。

所詮、1号から5号は例示なので、それでいいわけです。

実態としては、このような点数券を添付する(もちろん、買う前には何点かはわからない)場合というのは、

①抽選券を添付して(1号または2号)

②抽選の結果、1点、3点、5点の点数券を与え、

③10点集まったら景品類と交換する

という点順の①と②を1つにまとめて最初から点数券を添付しているだけであり、懸賞(偶然制を利用した提供)であることはあきらかです。

なので、あえて1号から5号のどれに近いのかといえば、1号か2号なんだと思います。

それに対して4号は、

「全ての商品に景品類を添付する」

といっているので、これにそれ自体が景品類ではない点数券を添付する場合を含めるのは、文言上無理があります。

懸賞規制との関係で重要なのは、最低何個(いくら分)買えば景品が当たりうるかだけなので(当選確率は、景品類の総額の上限に間接的にかかわるだけです)、点数券が、「1点、3点、5点」なのか、「5点」だけなのか、「1点、2点、3点、4点、5点」なのかは、景品規制との関係では何の意味もありません。

せいぜい、消費者にゲームをしているようなわくわく感(?)を与えるだけです。

(「2個買ったら抽選1回できます」というより、点数を貯めるほうが、ゲームっぽい。)

なので、「1点、3点、5点」という例は、本質的には、「5点」の点数券だけの場合と、何も異なりません。

たとえば、「1点、3点、5点」の例では、たしかに1点が10回当たれば景品をもらえますが、これは、「5点」だけの場合に、最初の8回ははずれて、最後の2回で5点ずつ当たるのと、何も違いはありません。

そして、「5点」だけの場合だと、(注)のような、

「それぞれの点数券には価値の差がある。」

という説明が、とたんにしにくくなります。

あるいは、「1点、3点、5点」の場合には、0点がない(最低でも1点は獲得できて、10個買えば必ず景品がもらえる)という意味かもしれず、そうであるなら、「5点」は、「0点、5点」と置き換えて考えるべきですが、それでも、「景品類」を添付しているわけではないという問題の本質は、なにも変わりません。

なにより、この(注)だと、あたかも点数券自体が景品類とみなされるかのような誤解を招きかねず、その教育的なデメリットはけっこう大きいと思われます。

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