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2021年12月12日 (日)

高額商品に対する景品の場合の消費者庁Q&A34番(包含関係にある商品群に対する複数企画)の疑問

消費者庁の景品Q&Aの34番では、

「メーカーが、商品A(1,000円)の購入者を対象に抽選により景品を提供するキャンペーンを実施し、

同時期に、小売店が、メーカーが行う懸賞とは別に、商品Aを必ず含んで、1,500円分以上の商品を購入した者を対象に抽選により景品を提供するキャンペーンを実施する場合、

提供できる景品の最高額及び総額はどのように算定すればよいでしょうか。

なお、この2つの企画は、それぞれ独自に実施するものであり、共同企画ではありません。」

という質問に対して、

「A 同一の取引に付随して2つ以上の懸賞による景品類の提供が行われる場合の景品類の価額の考え方は、次のとおりです。

1 同一の事業者が行う場合は、別々の企画によるときであっても、これらを合算した額の景品類を提供したことになります。

2 他の事業者と共同して行う場合は、別々の企画によるときであっても、それぞれ、共同した事業者がこれらの額を合算した額の景品類を提供したことになります。

3 他の事業者と共同しないで、その懸賞の当選者に対して更に懸賞によって景品類を追加した場合は、追加した事業者がこれらを合算した額の景品類を提供したことになります。

本件については、メーカーが商品Aの購入者を対象に懸賞を行い、

一方、小売店が商品Aを含む商品を1,500円以上購入した者を対象に懸賞を行うものであり、

メーカーの懸賞で提供される景品類と小売店の懸賞で提供される景品類は、同一の取引に対して提供される景品類と考えられるところ、

共同企画でないならば3に該当します。

この場合において、重複当選を制限していないのであれば、提供できる景品類の最高額は、メーカーの懸賞では、商品Aの価額の20倍(2万円)であり、

一方、小売店の懸賞では、応募の条件である1,500円の20倍(3万円)からメーカーが提供する景品類の価額を差し引いた価額です

(例...メーカーが、最高15,000円の景品類を提供する場合、小売店が提供できる景品類の最高額は、30,000円-15,000円=15,000円となります。)。

また、提供できる景品類の総額については、メーカーと小売店のそれぞれの懸賞に係る売上予定総額のうち、重複する商品Aの売上予定総額を、どちらかの売上予定総額から除外して算定する必要があります。

なお、小売店が、商品Aの購入を条件とせず商品を一定額以上購入した者を対象に懸賞を行う場合は、購入商品の中にたまたま商品Aが含まれていたとしても同一の取引とは認められないので、メーカーの懸賞と小売店の懸賞のそれぞれにおいて提供できる景品類の最高額及び総額は、合算することなく個別に算定して構いません。」

と回答されています。

この事例だけをみると何となく穏当な結論のようにも見えるのですが、少し事例を変えると、不都合であることが明らかになります。

つまり、この事例では、懸賞参加の条件がメーカー1000円、小売店1500円と、比較的小さいので問題点が見えにくいですが、たとえば、メーカーの懸賞への参加条件が5万円、小売店の懸賞への参加条件が(メーカーの商品5万円を含む)8万円、という場合を考えてみます。

この場合、メーカーが提供できる景品類の上限は、5万円の20倍(100万円)が10万円を超えるので、告示上限の10万円になります。

そこで、メーカーが10万円の景品を提供したとしましょう。

すると、Q&Aの考え方では、小売店が提供できる景品類の上限は、小売店単独の景品類の価額の上限(取引価格の8万円の20倍の16万円が10万円を超えるので、10万円)が10万円なので、ここから、メーカーが提供する景品類の10万円を引くと0円になり、小売店は景品を提供できなくなってしまいます。

つまり、Q&Aの

「この場合において、重複当選を制限していないのであれば、提供できる景品類の最高額は、メーカーの懸賞では、商品Aの価額の20倍(2万円)であり、

一方、小売店の懸賞では、応募の条件である1,500円の20倍(3万円)からメーカーが提供する景品類の価額を差し引いた価額です

(例...メーカーが、最高15,000円の景品類を提供する場合、小売店が提供できる景品類の最高額は、30,000円-15,000円=15,000円となります。)。」

の部分を、上記設例(メーカーの懸賞参加条件5万円、景品10万円、小売店の懸賞参加条件(メーカー商品を含む)8万円)の回答として書き換えてみると、

「この場合において、重複当選を制限していないのであれば、提供できる景品類の最高額は、メーカーの懸賞では、商品Aの価額の20倍が10万円を超えるので10万円であり、

一方、小売店の懸賞では、告示上限の10万円からメーカーが提供する景品類の価額を差し引いた価額です

(例...メーカーが、最高10万円の景品類を提供する場合、小売店が提供できる景品類の最高額は、10万円-10万円=0円となります。)。」

ということになりそうです。

あるいは、多少無理をして、

「この場合において、重複当選を制限していないのであれば、提供できる景品類の最高額は、メーカーの懸賞では、商品Aの価額の20倍の100万円が10万円を超えるので10万円であり、

一方、小売店の懸賞では、応募の条件である8万円の20倍(160万円)からメーカーが提供する景品類の価額を差し引いた価額です

(例...メーカーが、最高10万円の景品類を提供する場合、小売店が提供できる景品類の最高額は、160万円-10万円=150万円が告示上限の10万円を超えるので10万円となります。)。」

というふうになるのだ、という考え方もあるかもしれません。

Q&A34番を杓子定規に解釈して「0円でいいのだ」という判断もありうるのかもしれませんが、小売店は少なくともメーカーの商品5万円以外に3万円の商品の購入を条件としているのですから、この3万円については本来10万円まで景品を提供できたはずであり、まったく景品が提供できないというのは、いかにも据わりが悪いような気がします。

消費者庁はどこで間違ってしまったのでしょうか。

間違いの原因は、

「小売店が商品Aを含む商品を1,500円以上購入した者を対象に懸賞を行うものであり、

メーカーの懸賞で提供される景品類と小売店の懸賞で提供される景品類は、同一の取引に対して提供される景品類と考えられる」

としてしまったことです。

つまり、「商品Aの取引」と「商品Aを含む1500円の商品の取引」を、「同一の取引」と解釈してしまったことです。

すくなくとも、「商品Aを含む1500円の商品」のうち、「商品A」を除く部分、文字で書けば、

「商品Aを含む1500円の商品から商品Aを除いた商品」(500円の商品)

の取引については、「商品Aの取引」と「同一の取引」というのは、相当無理があります。

整理すると、メーカーの懸賞参加条件が5万円、小売店の懸賞参加条件が(メーカー商品5万円を含む)8万円の場合に小売店が提供できる景品の上限は、

①消費者庁Q&Aでは、0円

②「小売店は独自販売部分(3万円)について景品を提供できる」との考え方では、10万円

となります。

実は、この設例では、小売店の独自販売部分(3万円)の20倍(60万円)が10万円を超えてしまうので問題が見えにくいので、設例を、

メーカーの懸賞への参加条件が5万円、小売店の懸賞への参加条件が(メーカーの商品5万円を含む)5万2000円

というように変えてみます。

この設例であれば、

小売店が提供できる景品の上限は、依然として、

①消費者庁Q&Aでは、0円

ですが、私見の、

②「小売店は独自販売部分(2000円)について景品を提供できる」との考え方では、4万円

となります。

この設例で考えてみても、②の考え方が、一番穏当ではないでしょうか。

消費者庁の考え方は、大小の包含関係にある商品群について複数事業者が懸賞を実行する場合、10万円の枠は全部で1回しか使えない、という考え方に基づいています。

これに対して私の考え方は、10万円の枠は各事業者に1回ずつ割り当てられている、という考え方です。

そして、メーカーが10万円の枠を使い切っていなくても、枠の残りが小売店に繰り越されることはないと考えます。

たとえば、メーカーの懸賞への参加条件が1000円以上の取引の場合、メーカーの提供できる景品類の上限は2万円なので、10万円の枠のうち8万円は使われずに残っているわけですが、この8万円を小売店が使っていい(枠が18万円になる)ということはなく、小売店の枠は依然として10万円、ということです(実際に提供できる景品額上限は、独自販売部分の2000円の20倍の4万円)。

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