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2021年10月31日 (日)

商品購入者が応募できる抽選に当選した者がにさらに商品を購入することを条件に提供する景品類

ある商品Aを事業者から購入すると抽選に応募でき、当選した人が賞品をもらうためにさらに商品Bを同じ事業者から購入することを要する企画は、懸賞でしょうか、総付でしょうか。

景品類を考えるときには、その提供の原因となる取引ごとに考えるのが基本です。

そこでまず、商品Aの購入取引で賞品が提供されるものとみて、考えてみましょう。

商品Aを購入すると抽選に応募でき、当選者が商品をもらえることからすれば、これは懸賞による提供のようにみえます。

では、さらに商品Bを購入しなければならないことについては、どのように考えればよいでしょうか。

見ようによっては、商品Bを購入することは商品A購入者から抽選で選ばれた当選者が常に満たすべき客観的条件であるに過ぎず、商品Aの購入にかかる懸賞には関係がないようにも見えます。

それでいいのでしょうか?

このような問題を考えるときの基本は、結局、消費者は最低どれだけの取引をすれば賞品を獲得できるのかを考えることです。

このように考えると、本件で賞品を獲得するためには、結局、商品Aと商品Bの両方を購入しなければならないことになります。

ということは、今は商品Aの購入取引を起点に考えていましたが、結局、商品Bも購入しなければならないことからすると、賞品を獲得するために最低限必要な取引は、商品Aの購入取引と商品Bの購入取引の2つである、ということになります。

つまり、この企画を、商品購入の順番と抽選の順番はさておき、全体としてみると、商品Aと商品Bの両方を購入した人に対して抽選で賞品を提供しているのと同じです。

ここで、上の例では、

A購入→当選→B購入→賞品獲得

という順番を想定していましたが、この順番は、企画で特段指定しない限り、

A購入→B購入→当選→賞品獲得

でも、

B購入→A購入→当選→賞品獲得

でも同じことだと考えられます。

では、もし、企画で、「抽選に当選したあとに商品Bを購入しなければならない」と指定されていたらどうでしょう。

つまり、

A購入→当選→B購入→賞品獲得

という順番が指定されている場合です。

この場合、B購入は、ますます当選者が満たすべき客観的条件にすぎないようにも見えます。

ですがやはり、A購入とB購入により賞品が獲得できるとみるべきでしょう。

以下のように考えられます。

今、商品Aを起点に見ていますので、この賞品により商品Aの取引が誘引されることが前提です。

しかしながら、商品Aを購入する段階において、消費者は、賞品を獲得するためには商品Bも購入することが必要であると認識しているはずです。

とすれば、結局、商品AとBの取引の両方に誘引されているものと言わざるを得ないように思われます。

もし、

A購入→当選→B購入→賞品獲得

という順番が指定されているのに、

B購入→A購入→当選

という経過を経た人は、さらにBを購入し、

B購入→A購入→当選→B購入→賞品獲得

という経過を踏まなければならないことになります。

この場合、1つめの「B購入」は、企画との関係では意味がないことになります。

ここで、

①A購入→当選→B購入→賞品獲得、という順番が指定されている場合と、

②順番は問わず、A、Bの両方を購入していればいい場合(もちろん当選することが前提)

の場合で何が違うのかと考えると、

①(順番指定)の場合には、当選者しかBには誘引されない

のに対して、

②(順番任意)の場合には、A、B両方を購入する人もけっこういそう

という違いがあるかもしれません。

しかし、仮に②(順番任意)の場合であっても、とにかくAを購入するだけで抽選に応募でき、B購入前に当落を知ることができる仕組みなのであれば、慎重な人はひとまずAを買って抽選に応募し、当たった場合にだけBを購入する、という選択をするように思われます。

ですが、①②いずれの場合であっても、とにかくAとBの両方を購入することが必要であることには変わりはないので、取引の価額はAとBの合計額となります。

(ちなみに、上述のようにAを購入すれば抽選に応募できる企画ではなく、AとBの両方を購入してはじめて抽選に応募できる企画の場合には、賞品はAとBの両方に付随するので、AとBの合計額が取引の価額になることはあきらかです。)

ということは、結局、取引の価額は商品Aの価格と商品Bの価格との合計額となり、当該合計額の20倍か10万円の小さい方までの賞品を提供することができることになります。

では次に、Bの購入取引で賞品が提供されているものとみて、考えてみましょう。

ここでも便宜的に、

①A→当選→B→賞品という順番が指定されている場合と

②順番は問わない場合(Aを購入すれば抽選には応募できる)

を考えてみましょう。

まず、①(順番指定)の場合、Bを中心にみると、この企画は、「Aの抽選に当選したB購入者全員に賞品提供」という総付企画にみえなくもありません。

しかし、賞品が提供されるパターンを具体的に考えてみると、まずAを購入して当選しなければならないので、たとえB購入時には確実に賞品がもらえることがわかっていても、A購入時を基準にみれば、「偶然性を利用して」、「提供の相手方」を定めている(懸賞告示1項)、というべきでしょう。

②(順番不問)の場合も、賞品が提供されるパターンを具体的に考えてみると、たとえば、

B→A→当選→賞品

という順番を辿った消費者に賞品を提供する場合も、(B購入時を基準に見ても、A購入時を基準に見ても)賞品は偶然性を利用して提供の相手方を定める方法(懸賞の方法)により提供されている、というべきでしょう。

以上より、結局、どのようなパターンであっても、本件企画は、AとBの取引に付随する懸賞による景品類の提供であり、AとBの合計額を基準に景品類の価額を算定することになります。

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