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2021年10月25日 (月)

10点集めて景品と交換できるシールについて

商品に「1点」などと印刷されたシールを10枚集めて(商品を10個買って)応募したらもれなく景品がもらえる企画については、「1点」のシール1枚はいくらの価値があると考えられるでしょうか。

たとえば、景品が1000円のものなのであれば、「1点」を10枚集めて1000円のものと交換できるので、「1点」1枚では100円の価値があることになると考えられます。

したがって、「1点」1枚を提供できる商品の価額は、100×5=500円、ということになります。

ただ、「1点」のシール1枚が100円の価値がある、というのはあくまでもののたとえであり、ほんらい、シール自体(「1点」と印刷された紙片)は無価値です。

そこで、論理的には、1000円の景品を獲得するのに最低いくらの商品を購入する必要があるのかを考えて、総付規制では商品を最低1000×5=5000円買わなければいけないので、1商品に「1点」のシール1枚を貼付するなら、1商品あたり500円でなければならない、と考えるのが正確です。

もし、複数の種類の賞品が提供される場合には、消費者にとって最も割のいい賞品を基準に考えます。

たとえば、「1点」10枚集めて1000円相当の賞品がもらえるとともに、「1点」を20枚集めたら3000円相当の賞品がもらえる企画の場合、3000円相当の賞品をもらう場合の「1点」のシールの価値は150円で、1000円相当の賞品をもらう場合の100円にくらべて高いので、20枚集めて3000円のほうを基準に取引価額を算定します。

なので、3000円の5倍の1万5000円が最低の取引価額ですから、1商品あたり最低、15,000÷10=1,500円、の取引でなければならないことになります。

さらに、シールに複数種類(「2点」や「5点」のシール)がある場合も、考え方は基本的に同様で、ある賞品をもらうために最低限いくらの取引をしなければならないかを考えます。

たとえば、10点集めて1000円相当の賞品をもらえる企画の場合、取引価額は最低1000×5=5000円でなければならないので、「1点」のシールを500円までの商品に貼付するのはよいのですが、「5点」のシールを2000円の商品に貼付すると、4000円で10点に達してしまうのに1000円相当の賞品がもらえて、賞品の総付上限の800円(=4000×0.2)を超えてしまい、違反になります。

懸賞の場合も考え方は同じで、景品を獲得するために最低いくらの取引をしなければならないかを考えます。

たとえば、「1点」のシール10枚集めて抽選に1回参加できて、当選すれば豪華賞品がもらえる企画の場合、懸賞の場合は抽選に当たることを前提に、商品を獲得するためには最低いくらの取引をしなければならないか、を考えます。

そうすると、たとえば、賞品が9万円だと、それに必要な取引価額の総額は最低でも9万円÷20=4500円なので、1つの取引では最低450円となります。

ここでもし、シール10枚集めると抽選に1回参加でき、20枚集めると3回参加できる場合(UFOキャッチャーで100円だと1回挑戦できるけど500円玉をいれると6回挑戦できるようなイメージでしょうか)、最低必要な取引価額はどうかんがえればよいでしょう。

ここで、「10枚で1回参加するより20枚で3回参加できるほうが割がいいから20枚で3回を基準にして1回あたり6.7枚相当だな」と考えてはいけません。

あくまで、抽選に当選することを前提に、賞品を獲得するには最低いくらの取引をしなければならないかを考えるので、「20枚で3回参加」のオプションでは、20枚貯めないと1回も参加できないので、むしろ割りが悪い(賞品獲得は困難)ということになります。

それよりも、10枚で1回のオプションのほうが、20枚貯めるよりも早く10枚で抽選に参加できるので、こちらの10枚のほうを基準に考えます。

というわけで、「1点」10枚で1回抽選に参加できる企画も、さらに加えて「1点」20枚で3回参加できる企画も、9万円の賞品をもらえるなら、取引価額の最低は9万円÷20=4500円、ということになります。

少しややこしいのが、企画の途中で賞品を追加する場合です。

「1点」のシールを10枚集めて抽選に参加できる企画を1年中やっていて、途中で賞品を入れ替えたり追加したり、ということをやると、このようなことを考える必要が出てきます。

たとえば、これまで1個500円の商品に「1点」のシール1枚を貼付し、シールを10枚集めた人(5000円の取引をした人)に対して、総付告示の範囲内で、もれなく1000円相当の賞品を進呈していた企画があるとしましょう。

さらに、企画の途中で、それまでの、シール10枚でもれなく1000円相当の賞品がもらえるのに加えて、シール20枚で1800円相当の賞品がもらえるように追加した場合は、どのように考えればよいでしょう。

(なお、1800円相当の賞品を追加する前に消費者が貯めたシールも、1800円の賞品との交換に使用できるものとします。)

これは実は、なかなか微妙な問題です。

論理的には、1800円相当の賞品の追加を告知する前に獲得したシールが貼付されていた商品の取引は、1800円の賞品とは何の関係もないので、たとえば、1800円の賞品の追加前にすでに「1点」のシール20枚を貯めていた人(1000円の賞品を2個もらえる権利のあった人)との関係では、その20枚のシールと交換してもらえる1800円の賞品は(過去の取引との)取引付随性がなく、景品類に該当しないことになりそうです。

これは、従来よりも安い賞品を追加する場合も同様で、たとえば、企画の途中で、「1点」シール10枚でもれなく1000円相当の賞品がもらえるのに加えて、シール3枚でもれなく500円相当の賞品がもらえるように追加した場合、(商品が1個500円だとシール3枚の取引でもらえる賞品の上限は1500×0.2=300円なので500円は上限を超えますが)そもそも500円の賞品追加前にすでにシール3枚貯めていた人(景品規制との関係では、ほんらい、何の権利もない人)との関係では500円相当の賞品は取引付随性がないので、見かけ上上限の300円を超えているにもかかわらず、違反にはならない、ということになりそうです。

ただ、こでは、取引付随性のある方法と無い方法を併用する場合の考え方が適用されると考えられます。

すなわち、定義告示運用基準4(2)では、

「(2) 取引を条件としない場合であっても、経済上の利益の提供が、次のように取引の相手方を主たる対象として行われるときは、「取引に附随」する提供に当たる(取引に附随しない提供方法を併用していても同様である。)。」

とされています。

たとえば、

「ア 商品の容器包装に経済上の利益を提供する企画の内容を告知している場合(例 商品の容器包装にクイズを出題する等応募の内容を記載している場合)」(定義告示運用基準4(2)ア)

において、「取引に附随しない提供方法を併用」する場合、たとえば、ホームページやCMで企画の内容を告知する場合は、応募者が容器包装をみて企画を知ったのか、ホームページやCMをみて知ったのかを問わず、すべて、取引付随性ありと判断されることになります。

この場合、ホームページやCMを見ただけで応募した人は取引をしていないので取引価額がいくらなのかが一応問題になりますが、定義告示運用基準は、取引をしていない人もした人と同じように考えるという考え方に基づいていると思われるので、すべての応募者との関係で、商品の取引価額が基準になると考えるべきでしょう。

ということは、上記で検討している、企画の途中で賞品を追加して、追加前にシールを貯めていた人(厳密に言えば取引付随性のない人)の場合も、取引付随性があるものとみなして、かつ、取引付随性がある人と同等の取引をしたものとみなして、景品類の規制がかかるというべきでしょう。

以上より、「1点」のシール3枚でもれなく500円相当の賞品がもらえるように追加した場合に、追加前にすでにシール3枚持っていた人は、追加後に取引をする人と同様、1個500円の取引を3回(計1500円)したものとみなして、景品類の上限は300円(これは、追加後に取引をする人と同様)であり、500円はこの上限を超えるので違反だ、ということになります。

さらにややこしいのは、シールの交換レートを変える場合です。

たとえば、従来、500円の商品に「1点」のシール1枚を貼付して、10枚貯めたら(5000円の取引をしたら)1000円の賞品をプレゼントしていたのに対して、あるときから、600円の商品に「1点」のシール1枚を貼付して(あるいは、商品が500円から600円に値上げされたイメージでしょうか)、10枚貯めたら1200円の賞品をプレゼント、と変更したような場合です。

この場合に、変更前の取引で既にシール10枚貯めていた人の交換を認めると、その人との関係では、5000円の取引で1200円の賞品をあたえることになるので、上限を超えてしまいます。

しかし、変更前のシールと変更後のシールの取扱いを変えることは、企画の内容をいたずらに複雑にするもので、やや現実的でないように思いますし、そこまで厳密に考えなくてもいいように思います。

そこでここでは、取引付随性のある場合とない場合を併用する場合においては取引付随性のない者も取引付随性のある者と同じ取引をしたものとみなすという前述の定義告示運用基準4(2)の考え方を類推適用して、変更前にシールを獲得した人も変更後に獲得する人と同じ取引をしたものとみなして(つまり、1個600円の商品を購入したものとみなして)、1200円の賞品を提供してよい、と考えておきます。

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