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2021年10月26日 (火)

消費者庁景品Q&A57番(ポイントによる支払と取引価額)に対する疑問

消費者庁の景品に関するQ&Aの57番に、

「Q 当店ではポイントカードを発行しており、100円お買上げごとに1ポイント提供しています。

貯まったポイントは次回以降の買い物の際に1ポイントを10円として支払に充当することができます。

この度、2,000円のA商品の購入者を対象とする懸賞企画を実施しようと考えているところ、

A商品を購入する際に、貯まったポイントを使用した場合であっても懸賞企画に参加することは可能とします。

このように貯まったポイントを対価の支払に充当することにより商品を購入することが可能な場合の取引価額はどのように考えるのでしょうか。」

という質問があり、これに対して、

「A 本件の場合、貯まったポイントをA商品の購入の際に使用するか否かは購入者の判断によるものであり、

貯まったポイント分を対価の一部に充当することによりA商品を購入することは、

現金とポイントによって2,000円という対価の支払が行われたものと考えられるので、

本件における取引価額は2,000円となります。」

と回答されています。

私は、これは理屈としておかしいと思います。

というのは、定義告示運用基準6(3)アで、

「(3) 次のような場合は、原則として、「正常な商慣習に照らして値引と認められる経済上の利益」に当たる。

ア 取引通念上妥当と認められる基準に従い、取引の相手方に対し、支払うべき対価を減額すること

(複数回の取引を条件として対価を減額する場合を含む。)

(例 「×個以上買う方には、○○円引き」、「背広を買う方には、その場でコート○○%引き」、「×××円お買上げごとに、次回の買物で○○円の割引」、「×回御利用していただいたら、次回○○円割引」)。」

と説明されており、ポイントは「複数回の取引を条件として対価を減額する場合」でることがあきらかだからです。

つまり、ポイントというのは、最初の「取引①」で1000円購入したら10ポイント(100円相当)付与して、次の「取引②」で2000円購入するときにポイントを充当して現金による支払いは1900円となる、という仕組みですが、これは、取引①と取引②という「複数回の取引を条件として」取引②の対価を減額しているのだ、と整理されているわけです。

なので、Q57のように、

「2,000円のA商品の購入者を対象とする懸賞企画を実施」

する場合であれば、これにポイント(たとえば10ポイント=100円)を充当して購入した人は、100円の値引きを受けて1,900円で購入した、と考えるほかないと思います。

回答では、

貯まったポイントをA商品の購入の際に使用するか否かは購入者の判断によるもの」

であることを1つの理由にしていますが、これは理由になりません。

というのは、ポイントを使用するかどうかは購入者の選択ですが、ポイント(=値引き)をあたえることは事業者が決定しているからです。

事業者は、消費者がどの取引にポイントを使うかはコントロールできなくても、どれかの取引で値引きをするとの判断はしているわけです。

消費者は、このように事業者がみとめた範囲内で選択をしているにすぎません。

また、回答では、

現金とポイントによって2,000円という対価の支払が行われたものと考えられる

という理由もあげていますが、これなどは、ポイントが値引きであるとされていることと、真っ向から矛盾します。

回答の理屈だと、質問のケースは、

「ポイントによって2,000円という対価〔の一部。たとえば100円〕の支払が行われた」

ということになりますが、定義告示運用基準の整理にしたがえば、

「ポイントによって2,000円という対価〔の一部。たとえば100円〕の減額がされた

というべきです。

そして、ポイントを使うとキャンペーンに参加できなくても、それはそういう企画として行えばいいわけですし、もしポイントで100円分支払ったら(厳密には、100円分値引きを受けたら)キャンペーンに参加できないのが困るというなら、2,100円の買い物をすればいいだけです。

あるいは、顧客に、ポイントを使うと2000円の買い物ではキャンペーンに参加できないことを伝えて、どうするか、任意の選択にゆだねれば良いだけの話です。

その結果、キャンペーンの賞品がもらえなくてもポイントを充当する人もいれば、ポイントを使って2100円の買い物をする人もいるでしょう。

とはいえ、消費者庁が、ポイントで減額を受けても2000円の取引をしたものとみなして景品類を提供してよいといっているわけですから、事業者にとってはありがたいことであり、何も目くじらを立てる必要はないのかもしれません。

このように、景品規制というのは、細かいルールを論理的に見ていくと相互に矛盾することがたびたびあるのですが、これもその1つの例だと思います。

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