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2021年8月26日 (木)

景品提供期間中の値下げについての注意点

たとえば、小売業者が、1個1万円の商品を購入した人全員に景品類を提供する場合、提供できる景品類の価額はその2割の2000円です。

このことは、「一般消費者に対する景品類の提供に関する事項の制限」1項で、

「一般消費者に対して懸賞

(「懸賞による景品類の提供に関する事項の制限」(昭和五十二年公正取引委員会告示第三号)第一項に規定する懸賞をいう。)

によらないで提供する景品類の価額は、

景品類の提供に係る取引の価額の十分の二の金額

(当該金額が二百円未満の場合にあつては、二百円)

の範囲内であつて、正常な商慣習に照らして適当と認められる限度を超えてはならない。」

と定められており、さらに、「『一般消費者に対する景品類の提供に関する事項の制限』の運用基準」1項で、

「告示第一項の「景品類の提供に係る取引の価額」について

(1) 購入者を対象とし、購入額に応じて景品類を提供する場合は、当該購入額を「取引の価額」とする。

〔中略〕

(4) 景品類の限度額の算定に係る「取引の価額」は、

景品類の提供者が小売業者又はサービス業者である場合は対象商品又は役務の実際の取引価格を、

製造業者又は卸売業者である場合は景品類提供の実施地域における対象商品又は役務の通常の取引価格

基準とする。」

とされていることからわかります。

なのでもし、小売業者がこの景品キャンペーンの最中に、景品の対象であった商品を1万円から8000円に値下げしたとすると、提供できる景品額も1600円のものに差し替えないといけなくなります。

これは、上記引用のとおり、

購入額に応じて景品類を提供する場合は、当該購入額を「取引の価額」とする。」

とされていることと、

「(4) 景品類の限度額の算定に係る「取引の価額」は、

景品類の提供者が小売業者又はサービス業者である場合は対象商品又は役務の実際の取引価格を、

・・・基準とする。」

とされていることから、議論の余地がありません。

なので、もし限度額一杯(取引価額の2割)の景品類を提供している場合には、対象商品を値下げしてはいけません。

もし値下げするかもしれないなら、限度額に余裕を持って安めの景品類を付ける必要があります。

小売店が景品類を提供する場合は以上のとおりですが、メーカーの場合には、

「(4) 景品類の限度額の算定に係る「取引の価額」は、景品類の提供者が・・・製造業者・・・である場合は景品類提供の実施地域における対象商品又は役務の通常の取引価格を基準とする。」

とされていることから、「通常の取引価格」が基準となります。

これは、メーカーは小売価格をコントロールすることができないからです。(実際の取引価格は知りようがない。)

なので、メーカーであっても、自らインターネット販売している事業者は、ここでは小売業者と扱われます。(消費者に直接商品を販売しているのだから当然です。)

ただ、ネット通販しているメーカーを「小売業者」と呼ぶのは、ちょっと一般の語感とはズレるので、ほんとうは、「小売業者」ではなく、「消費者に直接商品を販売する者」などとしたほうが、不細工ですが正確だと思います。

ちなみに、メーカーが景品類を提供する場合、基準になるのは「通常の取引価格」なので、メーカー希望小売価格を当然に基準とすることはできません。

むしろ、メーカー希望小売価格よりも「通常の取引価格」のほうが安いことが多いのではないかと思われます。

ともあれ、メーカーが景品類を提供する場合、一部の安売り業者がとくに安く販売していたり、一部の(あるいは大部分の)小売業者がバーゲンをしていても、それは「通常の取引価格」にはカウントする必要はありません。

どうやってメーカーは「通常の取引価格」を知るのか、という問題はありますが、インターネットで調べても良いでしょうし、何軒かの小売店に電話で尋ねても良いでしょう。

この場合、「景品類提供の実施地域における」通常の取引価額なので、時期については明示されていないと読めなくもないですが、ふつうは、景品類提供キャンペーンの実施時期における「通常の取引価額」を意味すると解するのでしょう。

インターネットと実店舗で販売価格に差があって実店舗の方が高い場合は、基本的には(=実店舗がアリバイ作りのためのダミーであるというような例外的な場合を除いて)、実店舗での高いほうの価格を基準にしてよいと考えます。

「通常の取引価格」という言葉の意味からすれば、インターネットでの価格が「通常の取引価格」ではないとはさすがにいいにくいと思います。

つまり、「通常の取引価格」は、「異常でない取引価格」くらいに読んでおいて大きな間違いはないでしょう。

まとめると、

小売業者が景品類提供する場合は、実際の取引価額の2割まで

メーカーが(小売店を通じて)景品類を提供する場合は、「通常の取引価額」の2割まで

ということになります。

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