『類型別独禁民事訴訟の実務』発刊のお知らせ
有斐閣から、私の所属する日比谷総合法律事務所と大江橋法律事務所のコラボにより、『類型別独禁民事訴訟の実務』を発刊させていただきました。
執筆者で何度も打ち合わせを行い、練りに練った内容です。
民事訴訟に特化していますので、独禁法の基礎的な内容は一応知っている読者が想定されており、それだけに、かなり玄人受けするのではないか(そうであればいいな)と思っております。
アメリカなどと異なり日本では独禁法が正面から民事訴訟で争われることはあまり多くなく、独禁法が攻撃防御の手段として利用されることがままあるくらいではないかと思います(とくに、裁判所にはあまり相手にされない優越的地位の濫用など)。
独禁法を専門とする者としては、民事訴訟は独禁法が争点になる場合でも公取実務の独禁法とは意味合いが異なるので、一般的な訴訟弁護士の方々でもなんとかなるんじゃないかと思ったりもするのですが(どうせ裁判官も独禁法のことなんか知らないので、知らない者同士でちょうどいい)、独禁法に普段馴染みのない弁護士さんの立場からするとなかなかそういうわけにはいかないようで、やはり、独禁法を使った民事訴訟においても独禁法の専門性が必要になることがそれなりにあるようです。
相手方に独禁法に詳しい代理人がついたらこちらも付けざるを得ない、というパターンもあるかもしれません。
というわけで、ふだん独禁法に馴染みがなく、でも独禁法を避けて通れない状況に置かれた、という弁護士さんにも有益なのではないか、と思います。
独禁法の上っ面を嘗めただけのものは作らない、というコンセプトなので、かなり深い議論もしています。
私自身、今後独禁法民事訴訟を起こしたり起こされたりすることになったら、必ずこの本は参照するだろうと思います。
・・・という本です。
なので、独禁法を既に専門にされている弁護士さんにも有益なのではないか(そうあってほしい)と思っています。
それから、民事訴訟を担当する裁判官の方にも読んでいただけたらな、と思ったりもします。
これは私だけが感じていることかもしれませんが、どうも、公取委の方の書いたものは、違法認定がしやすように、しやすいように、あるいは、取り締まる側の裁量が大きいように、大きいように、というバイアスがかかることが少なくないように思います。
この点、弁護士は、攻める側にも守る側にも立つので、一方的にどちらかの立場に偏った立場で書くということはあまりないのではないか、と思います。
最後に個人的な想い出を述べると、この本の執筆をしていたころは私は大江橋法律事務所に所属していましたので、今、日比谷総合に移ってようやくこの本が日の目を見たというのは、なかなか感慨深いものがあります。
というわけで、ご興味のある方はご一読いただけるとうれしいです。
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