アルトルイズムの打消し表示について
2019年3月29日、アルトルイズムという会社が、髪が黒くなるとうたうサプリで措置命令を受けました。
命令の2頁をみていただくとわかるのですが、本件では、
「1.艶のある深い黒さに※1」
及び
「2.フサフサボリュームも※2」
という表示について、
「※1:サプリメントの粒の色のことです。」
「※2:ボリュームのある内容量のことです。」
との打消し表示をしていました。
ほんとうに人をばかにしたような、悪徳業者ここに極まれりというかんじの広告ですが😠、これに対する措置命令の認定は、
「当該記載は、文字と背景との区別がつきにくく、
「1.艶のある深い黒さに※1」及び「2.フサフサボリュームも※2」との記載に比べて小さな文字で記載されたものであることから、
一般消費者が前記アの表示から受ける効果に関する認識を打ち消すものではない。」
というように記載されています。
しかし、わたしはこの認定はちょっと無理があるというか、事案の本質をつかみきれていないと思います。
というのは、プレスリリースの15頁にその実物があるのでご覧いただきたいのですが、たしかに強調表示と比べて小さいものの、そこそこの文字の大きさで書かれており、このサイズでだめだといわれるとちょっときついかな、と思います。
本件打消し表示は「※」印で視線を誘導しているので、なおさらです。
命令の、「文字と背景の区別がつきにくく」という認定も、「※2」の打消し表示の文字(白色)は背景の白衣の白色と重なってとてもみにくいですが、「※1」のほうは、少なくとも「※1:サプリメントの粒の色」の部分までは背景(青色)と文字(白色)の区別がつきにくいとまではいいにくいように思います。
(強調表示に付けられた「※」マークがあって、同一視野に打消し表示があることから、離れた場所にある(ので無効だ)という認定はされていませんが、これは妥当でしょう。)
つまり、この打消し表示の本質は、打消しの内容が、強調表示の意味からはおよそ理解できないような、ほとんど詐欺的な内容であることなのではないかと思うのです。
白髪に効くサプリだと広告全体でこれだけ謳っておきながら、「艶のある深い黒さに」というのを、一体誰がサプリメントの粒の色のことだと理解するのでしょう???
こんな詐欺的な打消し表示は、端的に、「意味をなさない」というべきだと思います。
つまり、どれだけ打消し表示が大きく目立つように書いてあっても(たとえば、強調表示と同じ文字の大きさと目立ちやすさで書いてあったとしても)、意味をなさない、という認定をすべきです。
消費者庁も、本音のところでは、これだけ詐欺的な内容の打消し表示ならこの程度の文字の大きさと目立ちやすさでは足りない、といいたかったのではないか、と思います。
たとえば携帯電話のプランとか、複雑な商品役務をまじめに説明しないといけない場合に、「※」印もつけて、これだけの近さで、この大きさで書いてもだめだ、といわれると、やっぱり実務的な支障は大きいと思います。
平成20年の打消し表示の実態調査報告書では、打消し表示の留意点として、
①見やすいこと(文字の大きさなど)
②内容が明瞭であること
③強調表示と同一視野にあること
④強調表示と併せると無意味となるものでないこと
があげられていますが、本件は、あえていえば、④(無意味)か、②(不明瞭)にひっかかる、というのが本質ではないか、と思うのです。
あるいは、このような詐欺的な打消し表示は通常人には理解不能、といいきっても良かったかもしれません。
なので、本件は、理屈の上ではやや疑問があると思いますが、それでも、消費者庁が、このような詐欺的な表示を取り上げて命令を出したということは、高く評価すべきだと思います。
また、最近の一般的な傾向に添っただけともいえるとはいえ、打消し表示についての評価を明記したことも、高く評価すべきだと思います。
というのは、こういう命令が出れば、「艶のある黒はサプリの色のことなんだという言いわけは通じないんだ」という部分だけが、業界で広まる可能性が高いからです。
(もしこの命令をみて、「そうか、もっと大きく書けばよかったのか」という人は、少なくとも業界にはあまりいないと思います。)
あるいは、業界の人というのはいろいろと勘ぐるものなので、むしろ、「こんな詐欺的な表示をしてたから消費者庁を怒らせて、たいした被害もないのに注意ではすまずに措置命令までいったのではないか」なんて思ってくれるかもしれません。
というわけで、こういう詐欺的な業者はどんどん摘発してもらいたいと思います。
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投稿: 悪質広告違反調査団 | 2023年4月21日 (金) 08時23分