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2020年1月28日 (火)

ステマの動かぬ証拠?

アマゾンのマーケットプレイス(出品者名:「Ncoobi-XC」)で車用のスマホホルダー(商品名:JunDa スマホ車載ホルダー クリップ式 カーマウント)を買ったら、このようなカードが同梱されていました。

Img_11122

やや不自然な日本語ですが、要するに、★5つのレビューをしてくれたら1000円分のアマゾンギフト券を100人に1人差し上げます、ということのようです。

ちなみに本日(2020年1月29日)現在、アマゾンでは「ベストセラー1位」(カテゴリ 車&バイク)の表示がなされており、レビューの投稿数は1,112個とこの種の商品としては異様に多く、全体の81%が星5つの高評価でした。

これって、典型的なステマじゃないですかね?

ちなみに2019年8月18日付でレビューされた方(星1つ)は、

「商品と一緒に5つ星のレビューをすると1000円分のAmazonギフト券をプレゼントするというカードが同封されます。よって5つ星のレビューはほとんど信用できるものではないでしょう。私はこのレビューをする事で1000円分のAmazonギフト券を逃す事になりますが、私はレビューに嘘をつきたくないので正直な意見をここに残しておきます。」

と書かれています。

米国のFTC法などと異なり、日本の景表法では、事業者が他者にお金を払っていいレビューを書いてもらうような、いわゆるステマを一般的に規制することはできないといわれています。

というのは、景表法5条1項で優良誤認は、

「商品又は役務の品質、規格その他の内容について、

一般消費者に対し、

実際のものよりも著しく優良である・・・と示す表示であつて、

不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められるもの」

と定義されていて、「実際のものよりも著しく優良」でないと不当表示にならないからです。

でもたとえば本件で、「使い勝手抜群です!」とレビューをしたとしても、必ずしも「実際のものよりも著しく優良」だとはいえません。

本当に使い勝手抜群かもしれないし、レビューというのは個人の評価なので、「そのレビューを書いた人はそう思った」といわれてしまうと、事実と異なるということも非常にいいにくいです。

星の数にしても、あくまで当該レビュー者の評価ですから、その人が星5つといえば、星5つであることは「実際のものよりも著しく優良」とはいいにくいです。

もちろん、ブラジル産鶏肉を使っているのに、事業者が他人であるレビュー者に頼んで「あの店は国産鶏肉を使っているとか」なんてレビューを書かせると、不当表示になります。

明らかに客観的事実と異なりますし、表示の内容も具体的に事業者が指示しているからです。

インターネット消費者取引に係る広告表示に関する景品表示法上の問題点及び留意事項」では、優良誤認の例として、

「○ グルメサイトの口コミ情報コーナーにおいて、飲食店を経営する事業者が、自らの飲食店で提供している料理について、実際には地鶏を使用していないにもかかわらず、「このお店は△□地鶏を使っているとか。さすが△□地鶏、とても美味でした。オススメです!!」と、自らの飲食店についての「口コミ」情報として、料理にあたかも地鶏を使用しているかのように表示すること。」

というのがあげられています。

でも今回のケースでは、

「星5つのレビューを書いていただけないでしょうか。」

といっているだけなので、表示内容を具体的に指示しているわけではありませんし(指示しているのは星の数だけ)、レビュー者本人が星5つだと思えば、事実と異なるともいいにくいわけです。

ただ前記ガイドラインであげられているもう一つの例(食べログの事件で追加されたもの)では、

「 商品・サービスを提供する店舗を経営する事業者が、口コミ投稿の代行を行う事業者に依頼し、自己の供給する商品・サービスに関するサイトの口コミ情報コーナーに口コミを多数書き込ませ、口コミサイト上の評価自体を変動させて、もともと口コミサイト上で当該商品・サービスに対する好意的な評価はさほど多くなかったにもかかわらず、提供する商品・サービスの品質その他の内容について、あたかも一般消費者の多数から好意的評価を受けているかのように表示させること。」

が不当表示だとされています。

この例では「口コミ投稿の代行を行う事業者に依頼」ですが、業者に依頼するというのは食べログ事件があくまでそうだっただけで、べつに今回のように購入者に依頼しても同じように思います。

最近特に偽レビューがマスコミ関係でも騒がれていますし、わたしもネットのレビューはあまり信用しない(具体的な内容なら参考にするけれど、星の数は信用しない)ようにしていますが、消費者保護法的観点からも競争法的観点からも非常に重要な問題だと思いますので、消費者庁なり公正取引委員会が動くべきではないでしょうか。

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