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2019年10月28日 (月)

ビジネス法務に寄稿しました。

ビジネス法務12月号の「GAFAをめぐる法規制」という特集に、

「新たな規制基準は必要か? ”GAFA”規制の競争法上の難点と目指すべき方向性」

という論文を寄稿しました。

タイトルは編集部の方に付けていただいたのですが、我が意を得たりという感じの、なかなかよいタイトルだと思います。

というわけで、わたし自身は、公取委のGAFA規制の方針に反対です。

個人情報保護のために優越的地位の濫用を使うなんて、法体系の無視もいいところです。

もちろん、他の法律(たとえば個人情報保護法)に違反する行為が、たまたま独禁法の通常の解釈で独禁法にも違反するのであれば、規制しても問題ないでしょうし、規制すべきでしょう。

ところが、いままでデジタル・プラットフォーマー以外ではまったく言ってこなかったことを、突然いいだすのは、やはりよろしくないと思います。

対消費者にも優越的地位の濫用を適用するというなら、どうして労働問題にも優越的地位の濫用を適用しないのでしょう??

「相手方」は事業者にかぎられないというなら、労働者だって「相手方」でしょう。

取引依存度だって、多くの労働者は雇用主に対して100%です。

報道では、公取委は個人情報保護法だけではデジタル・プラットフォーマーの規制に不十分だと判断したそうですが、では、これだけブラック企業が問題になっているのに、労働者の保護は労働法で十分だ、というのでしょうか??

社会的により深刻なのは、個人情報を(いちおう同意の上で)提供する消費者と、過労死ラインではたらく労働者の、どちらなのでしょう?

対消費者問題も優越的地位の濫用を適用すべきという方には、では対労働者問題の濫用にも適用するのですね、とうかがいたいです。

それで「適用される」とおっしゃるなら、それはそれで筋は通っていると思います。

でも公取委の見解は、労働問題には独禁法は適用されない、ということで固まっています。

これは矛盾しているといわざるをえません。

けっきょく、公取委は、自分が摘発したい分野に独禁法が適用される、といっているようにしか思えません。

GAFAなどの巨大プラットフォーマーを規制するなら私的独占でいくのが筋で(それなら、個別労働関係とは無関係といえます)、優越的地位の濫用というのは、いかにも安直です。

論文にもちょっと書きましたが、日経新聞によると、公取委はデジタル・プラットフォーマーに対する知見がないと経産省から批判されているらしいですが、優越的地位の濫用なら、私的独占とちがって経済学の知見など競争法の専門性は何も要らないので、ある意味、公取委の身の丈に合った規制手法なのかもしれません。

でもそれでいいのか?? というのがわたしの問題意識です。

条文上「相手方」の制限がないから、というのは、許容性の1つに過ぎません。

法律というのは国民の基本的人権を制限する契機が常にあるのですから、もう少し大人の議論をしないといけません。

・・・というのが本当にいいたいことですが、論文では「なぜGAFAが競争法上問題になっているのか」というところをわかりやすく書いたつもりですので、ご関心のある方はご一読いただけると幸いです。

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