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2019年7月 3日 (水)

下請法の「業として」の講習テキストの変遷

だいぶ以前に、下請法講習テキストの「業として」の説明が変わったことについて書いたのですが、昨年の平成30年版でまた変わったので、これまでの経緯をまとめておきます。

平成25年版p9では、修理委託の類型2の説明で、「業として行う場合」という意味について、

「・・・自家使用する物品の修理を反復継続的に社会通念上、事業の遂行とみることができる程度に行っている場合に、その物品の修理の一部を他の事業者に委託する場合をいう」

と説明されていました。

他の法律での「業として」の解釈とも整合する、オーソドックスな解釈だと思います。

これが平成26年版p8では、

①「・・・社内に修理部門を設けるなど業務の遂行とみることができる程度に行っている場合・・・をいう。」

②「他方、修理に必要な技術を持った作業員が必要に応じ修理に当たるような場合・・・は該当しない。」

というように、「部門」などがないと「業として」にはあたらず、そのため、「必要に応じて」やるのでは「業として」にはあたらない、と大きく解釈が変更されました。

これが平成27年版p8、28年版p8、29年版p8でも、ほぼ維持されました。

ところが平成30年版p8では少し変わって、①が、

「事業者が,「その使用する物品の修理を業として行う場合」,つまり,他の事業者から請け負うのではなく,自家使用する物品の修理を反復継続的に行っており,社会通念上,事業の遂行とみることができる場合に,その物品の修理の行為の一部を他の事業者に委託することをいう。

例えば,自社の工場で使用している機械類,設備機械に付属する配線・配管等の修理を社内に部門を設けて行っている場合は,「その使用する物品の修理を業として行う場合」に該当する。」

というように、少していねいになったのはいいのですが、②が、

「一方,修理を行うことができる設備があったり,修理に必要な技術を持った作業員がいたとしても,他の事業者に委託している修理と同種の修理を行っていない場合は,「その使用する物品の修理を業として行う場合」に該当しない。」

と、再度大きく変更されました。

つまり、平成29年版までは、「必要に応じて」やるだけなら「業として」にはあたらないと明記されていたのですが、平成30年版では、

「他の事業者に委託している修理と同種の修理を行っていない場合は,「その使用する物品の修理を業として行う場合」に該当しない

と、同種事業を行っていない場合には「業として行う場合」にあたらない、という、いわばあたりまえのことしかいわなくなりました。

でもこれって考えてみると、「同種の修理を行っていない」なら、「業として」かどうか問うまでもなく、そもそも「行う」に該当しないわけですから、ほんとうに無意味な記載になってしまったといわざるをえません。

この変更をどうみるかはなやましいですが、基本的には、解釈の変更はないとみていいでしょう。

「社内に部門を設けて」という部分は生きているからです。

なので、「必要に応じて」やるだけなら、やはり社内に部門は設けていないので、「業として」にあたらないと考えていいと思います。

というわけで、平成30年版のこの部分の改正は、意味不明です。なんでこんな修正をしたのでしょう???

 

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