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2018年11月11日 (日)

共同研究の成果の特許等の実施料の取り決め

共同研究開発ガイドライン第2-2(2)③では、
 
「成果の第三者への実施許諾に係る実施料の分配等を取り決めること」
 
が、原則として不公正な取引方法に該当しないと認められる事項とされているます。
 
たとえば、A社とB社が共同研究をして開発した特許をライセンスする場合、そのライセンス料を50%ずつで分け合うことを合意することは、問題ない、ということです。
 
ではその前提として、そもそもライセンス料を両社共同で決めることについては問題ないのでしょうか。
 
このことについてはガイドラインには明記されていないのですが、ガイドラインの立案担当者による、平林英勝編著『共同研究に関する独占禁止法ガイドライン』p91に、
 
「成果の貢献に応じた実施料の分配の前提として、必要な範囲で成果の第三者への実施に係る実施料を取り決めることは問題ないと考えられよう。」
 
と、問題ないことが明記されています。
 
分配のやり方の合意が問題ないのだから、そもそものライセンス料を決めることも問題ないことが当然の前提になっているのでしょうし、1つの権利(商品)であるからには1つの価格をどうやったって決めざるをえず決める以上は共同で決めるしかない(ここだけカルテルを気にして価格決定をA社に委ねるなんていうのはナンセンス)のですから、当然の結論だと思います。
 
こういうあたりまえのことでもきちんと書いておいてもらえると、とても助かります。
 
ただ欲を言えば、こんな大事なことはガイドライン本文に書いて欲しいものです。
 
価格を共同で決めることを白条項とすることに抵抗があったのかもしれませんし、うっかり入れ忘れたのかもしれませんが、ともかく、成果の権利自体の許諾価格(販売価格)を共同開発者間で合意することは問題ありません。
 
もしそれが許されないとしたら、元々の共同研究開発参加者の市場シェアが高くて、そもそも共同研究開発自体が独禁法違反だ、という場合くらいでしょう。
 
注意すべき点は、権利自体の許諾価格は共同で決めて良いけれど、権利を用いた商品の価格を共同で決めることは黒条項とされていることです(ガイドライン第2-2(3)ウ)。
 
これは、いわば再販売価格拘束のようなものなので、黒条項なのも当然です。
 
ところで、日本には競争者間の協力に関する一般的なガイドラインがないので、この共同研究ガイドラインがいろいろなところで役に立ちます。
 
そういう観点からこのガイドラインをながめてみるといろいろと気づくことが多いです。

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