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2017年11月26日 (日)

ダイレクトメールでの来店者への景品提供と、緑本の売場を分ける対応について

総付告示運用基準1(3)は、来店者へ景品を提供する場合の取引の価額を原則100円とすると述べたあと、

「〔来店者に景品を提供する〕場合において、

特定の種類の商品又は役務についてダイレクトメールを送り、

それに応じて来店した顧客に対して景品類を提供する等の方法によるため、

景品類提供に係る対象商品をその特定の種類の商品又は役務に限定していると認められるときは

その商品又は役務の価額を「取引の価額」として取り扱う。」

としています。

このことに関して、

大元編著『景品表示法〔第5版〕』(緑本)

の194頁では、懸賞の場合について上記運用基準(懸賞告示運用基準5(1)で準用)を淡々と説明したあと、

「もっとも、例えば、

家具類の展示即売会を行うに当たってダイレクトメールを送り、

来店者に景品類を提供する場合、

一般の売り場と展示会場を区別するなどの配慮をしない限り、

店舗への入店者一般を対象に景品類を提供しているものとして取り扱われる。」

と説明されています。

ですが、わたしにはこの部分が何をいいたいのか、よくわかりません。

説明の便宜上、一般の売り場と展示即売会場が、

①たんに仕切り一枚で仕切られているだけの場合と、

②数百メートル離れている場合

に分けて考えてみましょう(緑本が想定しているのは①なのでしょうけれど)。

そして、一般の売り場では3000円のいすが最低価額の商品で、展示即売会場では10万円のソファーが最低価額の商品だとしましょう。

第1. 仕切り一枚で仕切られている場合

この場合、ダイレクトメールを見てきた人は、最低でも10万円のソファーを見てきているので、懸賞による景品額は10万円まで出してよさそうな気がします。

これに対して、ふらっとその家具屋さんに立ち寄った人は、3000円のいすを買うかもしれないので、懸賞による景品の限度額は3000円の20倍で6万円となりそうです。

どうして売場を仕切るだけで、ふらっと立ち寄った人まで10万円の景品をだしてよいことになるのでしょう??

わたしは、売場を仕切っても、一般客に提供できる景品は6万円だと思います。

第2.数百メートル離れている場合

この場合、ダイレクトメールを見てきた人は、1.とおなじく、10万円までだしてよさそうです。

次に、ふらっと展示即売会場に立ち寄った人も、展示即売会場では10万円のソファーが最低ですから、やはり、10万円まで出してよさそうです。

ふらっと一般の売り場に立ち寄った人は、一般の売り場では懸賞はやってないので、何ももらえません。

・・・と考えると、緑本の

「一般の売り場と展示会場を区別する」

というのは、「第1」のように、同じお店の中を仕切るのでは足りなくて、ダイレクトメールをみてくる人と一般客が混じらないくらいに(=一般の売り場と展示即売会場が別の店舗といえるくらいに)離れていないといけない(第2の場合)、ということになりそうです。

しかし、そこまでしないと使えない例外なんて、実際には使えないと思います。

そんなこと(売場を仕切る)をするより、単純に、ダイレクトメールを持参した人にだけ懸賞への参加資格をあたえればすむ話ではないでしょうか?

緑本の書きぶりでは、下手をすると、ダイレクトメールを持参した人にだけ懸賞への参加資格をあたえたうえで、さらに売場を分けないと、誰に対しても6万円までの景品しか提供できない、とすら読めてしまいます。

売場をわけるとなぜ一般客にも10万円の景品を提供してよいのか、

あるいは、

売場をわけないとなぜダイレクトメールを見てきた客にも6万円の景品しか提供できないのか、

そのあたりのきちんとした理由の説明がないと、結論だけ「こうしなさい」といわれても、よくわかりません。

以前、消費者庁に電話で質問たときに、答えに納得いかなかったので理由を尋ねたところ、

「運用は、そうなってますので」

といわれたことがあります。

ドクターXの大門未知子が、

「私、失敗しないので」

というのは、決めゼリフとしてかっこいいですが、行政庁が、

「運用、そうなってますので」

というのは、あまりかっこうよくないと思います。

それはともかく、もし緑本のこの部分の説明の意味がわかる人がいたら、ぜひ教えてください。

きっと、具体的な質問があって、そのイメージを前提にすると、売場を分けたら解決できそうに思えたんだろうなぁと想像しますが、こういうルールは、いったん事案を抽象化したうえで、どれくらい普遍的になりたつ理屈なのかをよく考えないといけません。

それが法律家の思考というものでしょうし、わたしはどんな場合でも、そのように考えています。

景品規制では、告示であれ運用基準であれ、ホームページのQ&Aであれ、この抽象化というスクリーニングを通していないために、やたらと行き当たりばったりなルールが多いような気がします。

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