原産国告示の構造
原産国告示は、1項が国産品、2項が外国産品、というように分けて規定されていますが、その内容は非常に似ているものの、少しだけ違います。
まず国産品についての1項は、
「1 国内で生産された商品についての次の各号の一に掲げる表示であつて、その商品が国内で生産されたものであることを一般消費者が判別することが困難であると認められるもの
一 外国の国名、地名、国旗、紋章その他これらに類するものの表示
二 外国の事業者又はデザイナーの氏名、名称又は商標の表示
三 文字による表示の全部又は主要部分が外国の文字で示されている表示」
が、不当表示だとしています。
これに対して外国産品についての2項は、
「2 外国で生産された商品についての次の各号の一に掲げる表示であつて、その商品がその原産国で生産されたものであることを一般消費者が判別することが困難であると認められるもの
一 その商品の原産国以外の国の国名、地名、国旗、紋章その他これらに類するものの表示
二 その商品の原産国以外の国の事業者又はデザイナーの氏名、名称又は商標の表示
三 文字による表示の全部又は主要部分が和文で示されている表示」
が不当表示だとしています。
どうして書き分ける必要があったのかと思うくらい似ていますが、ちがいは各項の3号です。
つまり国産品(1項)では、外国語(非日本語)かどうか基準になっていて、外国語であれば不当表示になりえます。
これに対して外国産品(2項)では、当該原産国(たとえば中国)の文字ではない文字(たとえばフランス語)で記載されている場合がすべて不当表示になりうるのではなく、たとえば中国産品に和文の文字表記をした場合にかぎって不当表示になりうる、ということになっています。
中国製ワインにフランス語の表記があって、フランス産ワインと誤解されそうな場合も不当表示にしてよさそうなものですが、そうはなっていません。
指定告示なので、明確さを優先したのでしょうか。
あるいは、文字で原産国に誤解が生じるのは、「国産品→外国語表記」、「外国産品→和文表記」の場合に限られるのだ、と割り切ったのかもしれません。
たとえば、外国産品についても、その国の文字以外を用いてはいけないということになると、フランス産ワインに英語表記をすることが不当表示になってしまいそうですが、英語は万国共通語になっていますので、それは行き過ぎでしょう。
だけどさすがに国産品として偽るために和文表記にしているものは取り締まらないといけないだろう、という発想なのでしょう。
とはいえ、各項の1号、2号とのバランスを考えると、なぜ2項の3号だけが甘いのか(外国間の文字の違いは不問に付すのか)、疑問が生じるかもしれません。
デザイナー名を別の国のものにしてもだめですが、ドイツとオーストリアのデザイナーとか、中国と台湾のデザイナーなんて、名前だけでは区別できなさそうです。
それでも指定告示は形式的なので、デザイナー(たとえばオーストリア人)が原産国(たとえばドイツ)の人ではない場合には、そのデザイナーの名前を表示すると、原産国(ドイツ産)がわかるように、積極的に表示しないといけないことになってしまうのです。
これが、1・2項後段の
「その商品が国内〔その原産国〕で生産されたものであることを一般消費者が判別することが困難であると認められるもの」
ということの意味です。
このように、原産国告示は、
①各号記載の表示は原則として不当表示
②①があれば、原産国を明記しなければならない、
という、二段ロケット方式になっているのです。
②が、積極的な義務付け規定になっているのがポイントです。
そもそもすべての商品について原産国を積極的に表記しなければならないという法律はありませんが、1・2項の1~3号の表示をする以上は、原産国を明記しないといけない、ということになるのです。
ただ、形式的には1~3号にあたる表示でも、そこから、原産国をまったく想起できないようなものなら、そもそも誤解は生じないので不当表示にも当たらないと解釈されています。
利部修二『商品の原産国表示の実務』
のp23で、国産品について、
「(ただし、国産品でありながら外国産品と紛らわしい表示がなされている商品に限られ、もともとそのような表示がなされていない国産品については、その旨の表示は何ら必要とならない)。」
とされています。
ちなみに1項と2号を仮にまとめて原産国を「A国」とでもすると、原産国告示は、
「A国で生産された商品についての次の各号の一に掲げる表示であつて、
その商品がA国で生産されたものであることを一般消費者が判別することが困難であると認められるもの
一 A国以外の国の国名、地名、国旗、紋章その他これらに類するものの表示
二 A国以外の国の事業者又はデザイナーの氏名、名称又は商標の表示
三 文字による表示の全部又は主要部分がA国以外の文字(ただし、A国が外国の場合は和文)で示されている表示」
となり、やはり書き分けた理由は3号しかなさそうです。
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