原材料の産地の不当表示と原産国告示
村田園の万能茶に対して、原材料が国産であるかのように偽ったとして優良誤認表示として措置命令がなされましたが、これをみて、
「どうして原産国告示ではなく優良誤認なんだろう?」
と疑問を持たれた方はいないでしょうか。
理由は簡単で、原産国告示はあくまで商品そのものが国産か外国産かを偽るものだからで、原材料の産地を偽るものではないからです。
念のため原材料告示を確認すると、同告示1項では、
「国内で生産された商品についての次の各号の一に掲げる表示であつて、
その商品が国内で生産されたものであることを一般消費者が判別することが困難であると認められるもの」
を不当表示であるとしており、(原材料ではなく)「商品が」国内で生産されたことを認識できない表示(≒外国産だと偽る表示)が規制対象です。
同じく告示2項でも、
「外国で生産された商品についての次の各号の一に掲げる表示であつて、
その商品がその原産国で生産されたものであることを一般消費者が判別することが困難であると認められるもの」
が不当表示であるとされており、その規制対象は(原材料ではなく)「商品が」その原産国で生産されたものであることを判別困難にする表示の(≒日本を含む別の国で生産されたと偽る表示)です。
村田園の事件では、結論には関係ないので措置命令では明記されていませんが、万能茶という商品そのものについては日本で作っていたのでしょうね。
ちなみに原産国告示の定義の運用細則では、緑茶や紅茶の原産国は荒茶の製造をした国だとされているので、万能茶の場合も荒茶(ないしは荒茶に相当するもの)を作ったのが日本であれば、日本が原産国になります。
整理すると
商品そのものの原産国の虚偽表示→原産国告示違反
原材料の産地の虚偽表示→優良誤認表示
ということになります。
ただそうすると、課徴金は原産国告示違反にはかからないので、全体である商品そのものの産地偽装には課徴金がかからないのに、一部にすぎない原材料の産地偽装には課徴金がかかる、という、ちょっとバランスの悪いことになります。
ただこの点については、理論的には、「著しく優良と誤認」などの要件をみたすかぎり、商品そのものの産地偽装に優良誤認表示を適用することも可能だと考えられるので、原産国告示違反だからと高をくくっていると優良誤認でやられてしまう、という可能性もないではないと思います。
もし将来、上でのべたようなアンバランスな事態が発生したら、消費者庁があえて原産国告示を使わず、優良誤認で課徴金をめざす、あるいは、原産国告示と優良誤認を併用する、ということもありえないことはないんじゃないかと思います。
なお、原産国告示でいく場合と優良誤認でいく場合とで、措置命令の内容も異なることになるんじゃないかと思われます。
というのは、原産国告示の場合には、原産国が判別できない表示が不当表示ということになっているので、措置命令では、原産国が判別できるようにすることを命じられます。
たとえば最近のボーネルンドに対する措置命令では、
「実際には、本件16商品の原産国は中華人民共和国であったこと」
の一般消費者への周知が命じられています。
つまり、措置命令では、イギリスなどの国旗と国名を表示していたことについては、そのような国旗と国名を表示していたことを周知すればよいということになっているのですが、肝心の産地については、イギリス産ではないと周知するのでは不十分で、中国産と周知しなさい、というように明記されています。
これに対して優良誤認であった村田園に対する措置命令では、原材料が「外国産」であったこと(つまり、表示どおりの国産ではなかったこと)の周知は求められていますが、原材料の具体的な産地を周知することまでは求められていません。
優良誤認で行く場合も、たんに消極的に国産ではないというだけでなく、積極的に具体的な原産地まで周知することまで求めることも景表法上は可能なんじゃないかという気がしますが、少なくとも現在の運用はこうなっているということは知っておいてもいいんじゃないでしょうか。
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