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2017年3月 7日 (火)

不実証広告規制ガイドラインの10・15モードの記載についての疑問

不実証広告ガイドライン第3-2では、提出資料が

「客観的に実証された内容のもの」

に該当するのは

① 試験・調査によって得られた結果

② 専門家、専門家団体若しくは専門機関の見解又は学術文献

のいずれかの場合であるとされ、さらに、(1)アでは、①について、

「試験・調査によって得られた結果を表示の裏付けとなる根拠として提出する場合、当該試験・調査の方法は、表示された商品・サービスの効果、性能に関連する学術界又は産業界において一般的に認められた方法又は関連分野の専門家多数が認める方法によって実施する必要がある。」

としたうえで、その例として、

「自動車の燃費効率試験の実施方法について、10・15モード法によって実施したもの。」

というものが挙げられています。

しかしこの例は、ガイドラインに載せるのはあまりふさわしくないと私は思います。

というのは、10・15(じゅう・じゅうご)モードと実際の燃費にはけっこうなかい離があるからです。

とくにハイブリッド車については、10・15モードでは電池をフル充電して試験してよいことになっているため、実際の燃費と10・15モードとの間に大きなかい離があるものもあるようです。

つまり電池容量を大きくすれば理論的にはいくらでも10・15モードはよくできるわけです。

なので、むしろ10・15モードで計測した燃費については、10・15モード燃費であることを明記しないと優良誤認表示になる可能性さえある、といえると思います。

少なくとも実際の表示では、10・15モードであることを明記したうえで、

「実際の燃費は使用状況により異なります。」

という断り書きまであるのが常ですので、実際に事件になることは今後もないでしょう。

また細かい解釈論を述べれば、

10・15モードが実燃費と違うことはドライバーにとっては常識なので誤認はない

とか、

10・15モードで表示することが社会的な慣習になっている、

とか、いろいろ反論もありえます。

ですが、ではそれがガイドラインに典型例として載せる例として適切か、といえばそうではないでしょう。

もしガイドラインを文字通り受け取るなら、

「実際の燃費は使用状況により異なります。」

というような表示はまったくナンセンスな記載、ということになるでしょうが(だってガイドラインが典型的にOKな場合と言っているのですから)、そんなふうに考えている関係者はまずいないでしょう。

実際、先日の三菱自動車の燃費偽装事件の消費者庁の命令をみると、実燃費より良い燃費を表示していたことが問題とされたのではなく、10・15モードで計測したように表示しながら10・15モードで定められた方法で計測していなかったことが問題とされています。

もしガイドラインを文字通り受け取るなら、そのような認定は本質を外している(本質は表示通りの「性能」があるかどうかであって、政府の定めた方法によるかどうかは関係ないはず)だからです。

(ただ、命令の考え方としては、

「実燃費とのかい離を問題にするとそのかい離が『著しく優良』であるほど大きいことを認定しないといけなくて大変なので、手堅く『10・15モードと表示しながら10・15モードではなかった』というところで違反を認定した」

という実務的な配慮があったのかもしれません。)

ともかく以上のような理由で、10・15モードはこのガイドラインにのせる典型例としては、ふさわしくないと思います。

ほかの例でも、JISを基準にすればいいとか、ちょっとお上の基準を重視しすぎに思われます。

「JIS基準で測れば良好な性能は出ないけれど、実際に近い使用状況で測れば良好な性能がでる」ということも、場合によってはあるのではないでしょうか。

政府のガイドラインなので政府の基準を重視するというのは役人のメンタリティとしてはやむを得ないのかもしれませんが、景表法の誤認は一般消費者を基準とすべきことからすると、お上の基準が絶対であるかのようなガイドラインは好ましくないと思います。

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