こまったときの取引妨害(その2)
先日、ある欧州競争法の弁護士さんと話をしたときに、
「日本にはトリヒキボウガイというのがあって、競争者の取引を妨害すると独禁法違反になるんだよ」
といったら、
「それって、競争そのものじゃないの?」
という、至極まっとうな反応があって、おかしかったです。
加えて、
「トリヒキボウガイの成立には市場支配力は必要なのか?」
と聞くので、不要だと答えたら、さらに驚いていました。
外国の弁護士と話していると、何の先入観もなくストレートな反応があるので、とても新鮮で楽しいです。
だいぶ前のことですが、消費税転嫁法の買いたたきの説明をアメリカの競争法の弁護士にしたら、
「それって、法律がカルテルを強制しているってこと?」
という、これも何の反論もできないコメントがあっておもしろかったです。
転嫁カルテルは消費税の転嫁だけを合意するもので本体価格については合意できないんだと説明しても、
「消費税分のカルテルと本体価格のカルテルを、どうやって区別するの?」
という、まったく反論の余地のない、鋭い質問をされてしまいました。
こういう反応を受けるにつれ、日本の独禁法はガラパゴス化してるんじゃないか、という懸念をひしひしと感じます。
最近日本国内では優越的地位の濫用を再評価(?)する動きもあるようですが、少なくともEUとアメリカの弁護士と話したときの感じとしては、彼らにとっては日本特殊の規制だという感覚のようです。
トランプ大統領のおかげでTPPは流れてしまいそうですが、確約制度なんかを入れるよりも、優越的地位の濫用規制と下請法を廃止するほうが、ずっと統一市場の形成に役立つのにな、と思います。
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