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2016年8月 8日 (月)

村田園「万能茶」に対する措置命令について

平成28年3月10日に、株式会社村田園の「万能茶」という商品について、優良誤認表示で措置命令が出ています。

この事件は、原材料が日本産であるかのように表示したのに、実際には、その多くが外国産であった、というものです。

この事件の特徴的なのが、表示のどこにも「国産」と表示していないのに、国産であるように誤解される表示だったと消費者庁が認定したことです。

問題視された表示は、

①「阿蘇の大地の恵み」と記載(対象商品[1]ないし[4])

②日本の山里を思わせる風景のイラストの記載(対象商品[1]ないし[4])

③「どくだみ・柿の葉・とうきび・はと麦・甜てん茶ちゃ・くま笹・あまちゃづる・はぶ茶 甘かん草ぞう・大豆・田舎麦・桑の葉・枸杞くこ・ウーロン茎・びわの葉・浜茶」と記載(対象商品[1]及び[2])

④「どくだみ・柿の葉・とうきび・はと麦・くま笹・あまちゃづる・ゴール ドはぶ茶・甘かん草ぞう・大豆 甜てん茶ちゃ・田舎麦・桑の葉・浜茶・枸杞くこ・グァバ茶・霊れい芝し・びわの葉・極上プーアル茶・南天・かりん」と記載(対象商品[3])

というものです。

実際の措置命令を見てもらったほうがわかりやすいですが、①の「阿蘇の大地の恵み」というのは、どうやら登録商標であり、

「阿蘇の大地の恵み(R) 村田園 万能茶」

で、商品名を構成しているようにもみえます。

この「阿蘇の大地の恵み」という表示が阿蘇地方で栽培された原材料であるかのように誤解されると認定されたのでしょう。

私も「阿蘇の大地の恵み」という表示をみれば、阿蘇地方の大地で栽培されたものだと誤解すると思います。

さらに、同表示が、原材料と同一視野に見える形で表示されていることも、原材料が国産であるかのような誤解を招くとされたのでしょう。

挙げられている原材料も、「どくだみ」とか、「柿の葉」とか、いかにも和風の材料だったことも影響しているかもしれません。

もし原材料が、「ローズヒップ」とか、「オレンジピール」とか、「ブラックベリーリーフ」とかだったら、またちょっと違ったかもしれません。

これに対して、②の「日本の山里を思わせる風景のイラスト」というのは、それだけで原材料が国産と誤解させるというのはちょっと無理じゃないかという気もしますが、不当表示かどうかは表示の全体をみて判断すべきですし、このようなイメージ広告的なものにも消費者庁が積極果敢に執行していったことは、高く評価されるべきだと思います。

とくに健康食品の業界では、はっきりと表示しないイメージ的なものであれば景表法には違反しないという観点から、どうやって効果効能(本件では原産地)を明示せずにそれらしいイメージを消費者に植え付けるのかに腐心されているようです。

弁護士としてというよりも、一消費者として、このような不誠実な、消費者を愚弄した、利益至上主義のビジネスのやり方には、強い憤りを覚えます。

「はっきり効果効能を書きさえしなければ大丈夫だ」という誤った業界認識を正すものとして、本措置命令は非常に重要です。

本件は村田園が訴訟で争っているようです。

報道によれば、「国産とは明示していない」「電話で問い合わせを受ければ国産でないと回答していた」という主張だそうです。

打消し表示は本体表示と同一視野に見やすい形でしないといけないので、「電話で問い合わせを受ければ国産でないと回答していた」というのは景表法上は無意味ですが、「国産とは明示していない」というのは争点になるでしょう。

でも、「国産と明示しない限り国産ではない」、あるいはより強く、「国産と明示していない商品は外国産だ」と一般消費者が認識するかといえば、そんなことはないでしょう。

いかにも国産っぽい商品内容で、いかにも国産っぽい表示をしていれば、反対の表示がない限り、国産だと認識するはずです。

なので、村田園の主張は、

「一般消費者は、国産と明記していないのに国産と誤解することはない」

ということなのでしょうけれど、私の目には、

「国産と明記していないのに国産と誤解する消費者の方が悪い」

という主張にみえます。(前者なら景表法上まともな反論ですが、後者なら主張自体失当です。)

とかく事業者は、不当表示については消費者庁がどう考えるかばかりを気にしがちです(弁護士として相談を受けるのはこの点ばかりです)。

ですが、消費者庁に対してしようとしているその説明を、一般消費者に対して胸を張ってできるのか、胸に手を当てて考えてみるべきではないでしょうか。

事業者は、消費者庁のほうをみるのではなく、消費者のほうをみるべきです。

それで売れなくなるような商品なら、本来、市場競争の中で売れてはいけないのです。

消費者庁には、ぜひがんばってもらいたいと思います。

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コメント

個人的には、先生と同じく、本件において、「国産と明記していないのに国産と誤解する消費者の方が悪い」という主張は、素朴な感覚として通らないとは思いますが、一般論として、一般消費者が誤認するとの消費者庁の評価が、個人的には承服できないこともあります。ある商品を購入する健全な消費者がある表示に接して誤認することはない(誤認するのは特殊な消費者であって、一般消費者が誤認するというのは消費者庁の勝手な評価である)という主張は、ありえると思いますが、いかがでしょうか。

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