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2016年5月31日 (火)

流取ガイドライン改正

5月27日、流通取引慣行ガイドラインの成案が公表されました

パブコメ2番はわたしのコメントです。

問題点ができるだけわかりやすいように工夫して書いたつもりなのですが、なんだかとっても公取が答えやすい質問に端折られてしまってやや不本意なので、原文を載せておきます。

【公取公表のパブコメ】

「本指針の『市場における有力な事業者』という記載については、『この目安を超えたのみで、その事業者の行為が違法とされるものではなく』とのただし書があるものの、『市場における有力な事業者』であることが、違法性を推定させるかのような印象を与える記載となっている。そのため、例えば、『20%を超えたからといってその事業者の行為の違法性が推定されるものではない』ことを明記するなど、20%という基準が、これを下回った場合に通常問題とはならないということのみを意味するという点を明確にすべきである。」

【原文】

「たんに「市場における有力な事業者」の市場シェアの数字を修正するだけでは不十分である。

本ガイドラインの「市場における有力な事業者」基準の最大の問題は、「市場における有力な事業者」でないことがセーフハーバーとして機能するだけでなく、「市場における有力な事業者」であることが、いわば違法性の推定根拠として機能するかのような印象を与える規定ぶりとなっていることである。

たしかに、「この目安を超えたのみで、その事業者の行為が違法とされるものではなく」との断り書きはあるが、「この目安〔=20%〕を超えたのみで」違法となるわけでないというのは、あまりに当然過ぎて規範としての意義が乏しいといわざるをえない。30%超でも、50%超でも、場合によっては100%でも、それ「のみで」違法とされるわけではないからである。

そこで、違法性を推定させるかのような印象を与える、

「市場における有力な事業者」

という表現自体を廃止し、20%というのはセーフハーバー(これを下回れば違法とならない)の意味しかないことを明らかにするとともに、たとえば、

「20%を超えたからといってその事業者の行為の違法性が推定されるものではない」

ことを明記するなど、20%の基準が片面的な意義しか有しないことを明確にすべきである。

つまり、

①20%以下→セーフ
②20%超→ニュートラル

であることを明確にすべきである。

現在の改正案では、

①20%以下→青信号
②20%超→黄信号(または赤信号)

という印象を与えてしまう懸念があると思われる。

また、20%がもっぱらセーフハーバーとしての機能しか有しないことを明らかにすることが、排他取引および非価格的垂直制限についてきわめて謙抑的な運用がなされている公取委の執行の実態にも合致するものであり、適切であると考える。」

(なお原文はテキスト形式なので強調はありません。)

何が問題なのか、分かってもらえなかったですかねぇ。

世の中で流通制限をする人で、独禁法が気になる人がまずまっさきに見るのが流取ガイドラインのはずです。

そして、そのうちかなりの人は弁護士に意見を求めたり、普段から独禁法を勉強したりしていないわけで、ガイドラインだけを見て結論を出す人もかなり多いんじゃないかと想像されます。

そういう、(言い方は悪いですが)「ズブの素人」にも誤解を与えないような書きぶりにすることが、ガイドラインとしてはとても大切なのではないかと思います。

そういう配慮を求めたくてコメントしたのですが、うまく伝わらなかったのか、あえて聞こえないふりをされてしまったのか、ともかくコメント自体が意図しない形ではしょられたので、少しばかり残念です。

流通慣行ガイドラインにダメそうだと書いてあることが実務ではぜんぜん問題視されていないということはよくあることで、「公正取引」とか「ジュリスト」とかを丹念に読めばそういうことも書いてあるのですが、弁護士ですら、独禁法になじみのない人はそこまでたどり着かず、基本書や公取の公表物くらいしかリサーチしないのです。

先日もある弁護士さんに、

「ガイドラインをみるとダメそうで、どの文献にも書いてないのに、先生のブログをみたら実務ではぜんぜん問題視されていないとわかって、とても役に立ちました。」

といわれ、残念ながらそうだろうな、と思いました。

弁護士さんですらこうですから、いわんや法律の非専門家においておや、です。

それと今回のパブコメ回答でおもしろかったのは、20%の根拠について、過去の審決で市場シェア30%を下回るものについて違法性ありとされたものがある(3番)、という回答です。

どの審決なんでしょうね。(ご存知の方がいたら教えてください。)

もし、昭和の時代の審決が根拠だったりしたら、公取は経済学などの進歩にもかかわらず30年近く何も学んでいないことになる(また、メーカーが流通を支配する時代から流通がメーカーを支配する時代になっている時代の変化を見ていないことになる)ので、まさかそんなことはないと思いますが、ちょっと気になるところです。

それと、パブコメんでこういう回答をすると、「30%未満でも違法」という一般論が独り歩きしそうで怖いです。

【追記】

さっそく、30%以下でも違法になった件について、情報をいただきました。

こちらの件のようです。

(株)サギサカに対する件」(平成12年5月16日勧告審決)

なかなか面白そうなので、そのうちこの件についてはじっくりコメントしたいと思います。

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