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2016年1月

2016年1月29日 (金)

村上『条解』の課徴金の「契約基準」の解説の疑問

村上政博他編『条解独占禁止法』(弘文堂)p343で、課徴金の契約基準の説明のところに、

「前記(a)の引渡基準の例外として、

違反行為にかかる商品または役務の対価がその販売にかかる契約の締結に定められる場合で、

引渡基準で算定した額と、契約に定められた商品の対価の額との間に著しい差異が生じる事情があると認められるときは、

契約により定められた商品の対価の額を合計する方法により売上額を決定する(独禁令6条)。

この算定方法を契約基準という。」

と説明されています。

しかし、これは不正確というか、一番肝心なところが抜けています。

引渡基準と契約基準の違いは、

①カルテル実行期間中に引き渡した商品に課徴金をかけるのか(引渡基準)

②カルテル実行期間中に契約した商品に課徴金をかけるのか(契約基準)

の違いです。

ところが、村上『条解』では、契約締結がカルテルの実行期間内である、という一番大事な説明(契約の時期の問題)が抜けています。

(それと、

「契約の締結に定められる場合」

というのは、

「契約の締結の際に定められる場合」

あるいは、

「契約に定められる場合」

の誤記ですね。)

契約基準の意味を知っている人は自分の頭で補って読めるかもしれませんが、そうでない人は、この説明で、実行期間中に(引渡ではなく)契約締結した商品役務の売上に課徴金がかかるということを読み取るのは無理だと思います。

村上『条解』のような、

「違反行為にかかる商品または役務の対価がその販売にかかる契約の締結に定められる場合で、」

というような説明だと、代金が契約締結の時に定められている場合とそうでない場合で区別される(そして、引渡基準との差が著しければ契約基準が適用される)かのように読めてしまいます。

独禁令(私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律施行令 (昭和五十二年十二月一日政令第三百十七号))6条では、

「法第七条の二第一項 に規定する違反行為に係る商品又は役務の対価がその販売又は提供に係る契約の締結の際に定められる場合において、

実行期間において引き渡した商品又は提供した役務の対価の額の合計額と

実行期間において締結した契約により定められた商品の販売又は役務の提供の対価の額の合計額

との間に著しい差異を生ずる事情があると認められるときは、

同項に規定する売上額の算定の方法は、

実行期間において締結した契約により定められた商品の販売又は役務の提供の対価の額を合計する方法とする。 」

というように、「実行期間において締結した契約」であることが明記されています。

ちなみに根岸『注釈』p174では、「契約基準」の意味は、

実行期間において締結した契約により定められた商品の販売又は役務の提供の対価の額」

であると、はっきり書かれています。

白石忠志『独占禁止法(第2版)』p532でも、

「『契約基準』とは、実行期間中に締結された契約の対価の額の合計額を売上額とする手法を便宜上そう呼んでいるものである。」

と明記されています。

村上『条解』の旧版的な位置づけにある厚谷他編『条解独占禁止法』p273でも、

「・・・実行期間内に引渡しまたは提供した商品・役務の対価の合計額と、実行期間内に締結した契約に定められた対価の額の合計との間に著しい差異が生ずる事情があると認められるときは、実行期間内に締結された契約の額を合計する方法による」

と明記されています。

また、村上『条解』では続けて、

「独禁令6条は、不当な取引制限等について合意がなされてから商品の引渡しまたは役務の提供まで期間を要するのが通常であり、かかるタイムラグにより、引渡基準による金額が、実行期間中の不当な取引制限等に基づく事業活動の結果を適切に反映しない結果が生じうることを考慮したものである。」

と説明していますが、不当な取引制限の合意から商品の引渡しまでの時間が長いか短いかは、独禁令6条の趣旨とは無関係です。(カルテル合意がされてから商品の引渡しまでの期間が長いか短いか問題にしても意味がありません。)

ここの、

不当な取引制限等について合意がなされてから商品の引渡しまたは役務の提供まで期間を要するのが通常」

というのは、

契約がなされてから商品の引渡しまたは役務の提供まで期間を要するのが通常」

の間違いではないかと思います。

(まあそれでも、これが「通常」だといわれてしまうと、ではどうして引渡基準ではなく契約基準を原則としないのか、と疑問がわいてしまうのですが、そのあたりは根岸『注釈』に分かりやすく説明されています。)

せっかくの本格コンメンタールなのですから、ちゃんとしてほしいものです。

2016年1月28日 (木)

景表法8条(課徴金)ガイドライン案の課徴金対象商品

昨年11月25日に公表された、

「不当景品類及び不当表示防止法第8条(課徴金納付命令の基本的要件)に関する考え方(案)」

のなかに、

「事業者が、自己の供給する商品又は役務を構成する一部分の内容や取引条件について問題となる表示をした場合において、

(当該商品又は役務の一部分が別の商品又は役務として独立の選択〔取引〕対象となるか否かにかかわらず)

その問題となる表示が、商品又は役務の一部分ではなく商品又は役務そのものの選択に影響を与えるときには、

(当該商品又は役務の一部分でなく)当該商品又は役務が『課徴金対象行為に係る商品又は役務』となる。」

という部分があります。(第4-2)

これは課徴金の改正法案が公表されたときからいろいろなところで話題になっていた論点に消費者庁が指針を示したもので、重要です。

たとえば、中華料理のコースの一品にだけ、「『芝エビ』と表示したが、実はバナメイエビだった。」というようなケースで、

①その一品だけの価格を基に課徴金を算定するのか、それとも、

②コース全体の価格を基に課徴金を算定するのか、

という問題です。

ガイドライン案は、商品全体の選択に影響を及ぼす場合には、商品の一部についての表示であっても商品の全体が課徴金の対象になる、としています。

不当表示がなぜいけないのかというと、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するからなので、商品全体の選択がゆがめられたときには商品全体に課徴金がかかるのは当然です。そのような意味において、ガイドライン案の考え方は基本的に妥当だと思います。

ただいくつか疑問もわいてきます。

まずガイドライン案では、商品全体の選択に影響を与えたときのことは書いてありますが、逆に商品全体の選択に影響を与えなかった場合のことは書いてありません。

考え方としては、

①課徴金はゼロだという考え方と、

②商品の一部について課徴金がかかるという考え方

がありえます。

でも、商品の一部にかかる(②)という考え方には難があって、当該一部が独立の商品として提供されていないと(たとえば単品料理)、売上高が算定できません。

そうするともう一つの選択肢として、

③商品の一部が独立の商品として提供されている場合には当該一部に課徴金がかかるが、そうでない場合は課徴金はゼロ、

という考え方もありそうです。

でもコース料理の例では、お客さんは現にコースを選択している以上、コース全体の選択には影響しなかったけれども一部の選択には影響したということは論理的にありえない(一部を選択しているわけではないので)ように思われます。

つまり、お客さんの現実的な選択は、コース全体を選択するか、しないか、の二択しかないわけです。

そうすると結局、商品全体の選択に影響を及ぼさなかったときは、課徴金はゼロであるという①の考え方が正しいように思われます。

次の疑問は、やむをえないことですが、商品全体の選択への影響という抽象的基準を具体的にどう当てはめるのか、ということです。

たとえば温泉旅館で入浴剤を使っていたら、宿泊料金が課徴金の基礎でしょう。

でも、スポーツクラブで天然温泉とうたっていたのが入浴剤を入れたお風呂だったら、スポーツクラブの選択にはあまり関係がないような気がします。

「いや、関係ある。そうでなかったらそんな広告しないはずだ」

という意見もあるかもしれません。そこがまさに微妙なところです。

ほかには、結婚披露宴のプランの料理のコースで「シャンパン」と表示していたのがスパークリングワインだった、というケースではどうでしょう。

さすがにその式場の選択には影響しないでしょうから、結婚式代全部に課徴金がかかるということはなさそうです。

でも料理のコースの選択には影響があるかもしれません。

ただ、料理のコースは、一番高いコースには高級シャンパン、中くらいのコースにはほどほどのシャンパン、一番安いコースにはスパークリングワイン、というように、料理のランクにあわせて飲み物のランクも決めていることが多いことからすると、シャンパンがコースの選択に影響を与えたかどうかわかりません。(むしろメイン料理だけが影響した可能性があります。)

もしコースで一品ずつ選択できる式場なら、シャンパンだけが課徴金の対象になりそうです。

一品ずつ選択できるプランと「おまかせ」のプランと両方ある式場なら・・・なんて考えると夜も寝られなくなりそうです(笑)。

と、いろいろ考えると、

「商品又は役務そのものの選択に影響を与えるとき」

という基準で大事なのは、表示が商品全体の選択に影響を及ぼすほど誘引力が強いかどうかではなくて、その一部だけを選択する余地が消費者にあったのか(単品もメニューに載っていたのか)が重要なのではないか、と思われてきます。

次の疑問は、商品全体の選択に影響があることはだれがどうやって立証するのか、ということです。

あるべき姿は都度消費者庁が立証するということなのでしょうけれど、では具体的に購入者にアンケートをとったりするのかといえば、そんなことはやらないでしょう。

たぶん感覚で、「選択に影響があった」、「なかった」と認定するだけなのでしょう。

それからそもそも根本的な問題ですが、「選択」に影響があったかなかったかは、商品の一部の表示に不当表示があった場合に限った問題ではなくて、商品そのものの表示が不当表示であった場合にも共通するべき要件なのではないか、という気がします。

というのは、一部に関する不当表示なら「選択への影響」という別の要件が必要だけれど、全体に対する不当表示ならその要件が不要、と考える理屈がないように思われるからです。

あるいはガイドライン案は、一部についての不当表示があった場合には当該一部の選択には当然に影響があることを前提に、それよりも広い全体について課徴金を課すには全体への影響が必要だ(一部の不当表示は当然に全体の選択への影響を意味するわけではない)、という立場なのかもしれません。

そうだとすると、全体について不当表示があったときには当該全体の選択には影響があることが当然だ(追加的要件は要らない)、ということで首尾一貫しているのかもしれません。

ただ、「一部についての不当表示があった場合には当該一部の選択には当然に影響がある」、あるいは、「全体について不当表示があったときには当該全体の選択には影響がある」という前提が本当に正しいのかといえば、そういう場合が多いとは言えても論理必然的にそうだとはいいにくいような気もします。

それに、選択への影響という基準だと、事実上、全体の選択への影響が認められない場合というのが極めて少なくなってしまうのではないか、という気もします。

前述のスポーツクラブの温泉の例でも、わたしは、あえて「全体の選択への影響」という基準を立てるなら、まさにこういった場合を全体(スポーツクラブへの入会)への影響なしとしないと意味がないような気がしますが、本当にないと言い切れるのか、といわれればよくわかりません。

ほかには、遊園地のアトラクションの1つに不当表示があった場合、当該アトラクションの料金に課徴金がかかるのはよいとして、遊園地への入場料にかかるのか、というと、そのアトラクションが(表示どおりで)あるからその遊園地へ行こうと考える人が多いのであれば入場料にも課徴金がかかる、ということになるのでしょう。

でも厳密には、入場料にはほかのアトラクションに乗れることの対価も実質的に含まれているはずなので、入場料全額に課徴金をかけるのが妥当なのかは、なかなか悩ましい問題ですし、「全体の選択への影響」という基準で、このようなケースに妥当な答えを出すことは難しいような気もします。

結局、

①商品の一部に関する不当表示で全体に課徴金がかからないことはなさそう

②商品の一部に関する不当表示で当該一部にだけ課徴金がかかることもなさそう

ということになると、

③商品の一部に関する不当表示では、商品全体に課徴金がかかる

というルールの方がシンプルで、問題は、どの範囲をもって同一の「商品」とみるか、という点に収れんするような気もします。

ともあれ、このガイドラインのように、規則の逐条解説的なことを、わかりやすい事例もふんだんに入れながら、事前にていねいにガイドラインで説明するというのは、それはそれですばらしいことだと思います。

行政としては、実際に問題が出てきたときにケースバイケースで判断できるようにしたほうが、裁量が大きくてやりやすいであろうからです。

いわば企業にとっての予見可能性にも配慮しているわけです。

きっと公取委だったら、こんなガイドラインは出さなかったでしょう(あるいは、流通取引慣行ガイドラインや知財ガイドラインみたいに、どんな行為でも違法になりそうな厳しいガイドラインを出しておいて実際には執行しない、ということになったでしょう)。

たとえば景表法の課徴金の売上額の算定は独禁法のコピーですが、独禁法にはこのようなガイドラインはありません。

ちょっと消費者庁をほめすぎ(公取委をけなしすぎ)かもしれませんが、率直な感想です。

2016年1月27日 (水)

軽井沢のスキーバス事故と大阪バス協会事件

軽井沢のスキーバスの事故で学生さんを含め16名の方がお亡くなりになるという、とても悲しいできごとがありました。

バス会社が法定料金よりも安い価格で契約を取っていたとも報じられています。

新聞では、旅行会社から法定の下限以下の値引きを要求され、断ると他にいかれてしまうので断れない、という別のバス会社の方のコメントも紹介されていました。

そこで思い出すのが、大阪バス協会事件(審判審決平成7年7月10日)です。

この事件は独禁法の世界では非常に有名な事件で、私の属する大江橋法律事務所の石川正弁護士と上田裕康弁護士が担当し、おかしな公取の判断を裁判所で覆したものです。

事案は、貸し切りバスの実勢運賃が認可運賃の下限を大幅に下回っていたため、それを引き上げる協定をした、でも、引き上げてもなお下限よりも低かった、という事件です。

たとえば下限が4000円なのに実勢運賃が2000円まで下がっていて、それをなんとか3000円に上げたいというような協定をした、というものです。

審決は、下限を下回る価格での協定は独禁法上保護に値する競争を制限していないということで、違反にはならないとしました。

つまり、この事件で、法定の下限を下回らないようにする価格協定は独禁法違反ではないということがはっきりしたわけです。

今回の軽井沢の事故のように、法定の下限を下回る価格が常態化していたことが事故につながったのではないかと疑われる事態を目の当たりにすると、あらためて、大阪バス協会事件は実に正しい判断だったんだ、と思われてきます。

そこで、この審決をもう一度思い出し、同じような事故がまた起きないよう、独禁法で何ができるのか、考えてみるべきではないでしょうか。

1つには、公正取引委員会が、認可運賃の下限を下回らないようなカルテルは違法ではないことを、プレスリリースなどで明らかにすることが考えられます。

形は事務総長の定例会見でもよいでしょう。

どなたか新聞記者さんが質問していただくのもよいでしょう。

また、業界団体で認可運賃を守るよう構成事業者(バス会社)に徹底する、ということも考えられるでしょう。

過当競争が安全性の軽視につながるのは容易に想像できます。

だからこそ法定の下限運賃が定められているのでしょう。

競争当局は競争の番人ですが、安全性などさまざまな事情も考慮して、市場の競争を、ただ激しいだけの競争ではなく、あるべき競争に誘導していくのも、競争当局の仕事の一つだと思います。(それが表面的には競争を緩和する方向であっても、です。)

それを、「運賃の認可は国交省の管轄だから」といって消極的な態度をとるのは、競争当局のあるべき姿ではないと思います。

たんに「認可運賃下限を下回らないカルテルは適法」というだけでなく、そのようなカルテルを奨励するくらいのことを、公取はしてもよいと思います。

そこまで公取がやれば、きっと多くの人たちに賞賛されるでしょうし、反面、少なくとも表立って反対する人はいないでしょう。

法定運賃が安全性を確保するために妥当な水準なのかどうかは公取委は判断できないでしょうし、判断する必要もないでしょう。

そこは、国交省が決めた運賃を前提とした競争があるべき競争であるという、大阪バス事件の考え方に従って考えればよいでしょう。

公取は、政府の方針だと消費税転嫁カルテルのような制度まで作ってしまうわけですから、自らのイニシアティブで、法定価格を守るカルテルを推奨するくらいは、その気になればすぐにできると思います。

実勢価格が認可運賃の下限を下回っている事実自体が、運賃の認可という仕組みがうまく機能していないことを示しているのであって、業界全体でカルテルをする効果は確実にあるでしょう。

「ほかのバス会社に行くといわれると、認可運賃以下でも断りにくい」というバス会社も、堂々と、

「カルテルやってますから、ほかにいっても無駄ですよ。」

と言えれば、有利に交渉できるでしょう。

カルテルは、行政による監督よりも強力です。事故が防げるなら(しかも、それが大阪バス協会事件審決のいうように独禁法上問題がないなら)、これを使わない手はないでしょう。

公取に限らず関係者にはぜひ、何ができるのか、いろいろと知恵を絞っていただきたいと思います。

【1月27日追記】

「現在は運賃は届出制になっているので大阪バス協会事件の時代とは事情が異なるのではないか」とのご指摘をいただきました。

確かに、一般乗合旅客自動車運送事業では運賃の上限に認可が必要で(道路運送法9条1項)、その上限の範囲内で運賃を届け出ることになっており(同条3項)、「社会的経済的事情に照らして著しく不適切であり、旅客の利益を阻害するおそれがあるものであるとき 」などの場合には国土交通大臣が変更命令を出せる、という制度になっています(同条6項)。一般貸切旅客自動車運送事業の場合も料金は届出制です(9条の2)。

そこで今の法律を前提にすると、法定の下限運賃が一律にあるのではなく、届け出た運賃を下回る運賃で運航すると法律違反となる、ということになります。

そうするとカルテルを結ぶときには、

「届け出運賃を下回る運賃では契約は受けない」

というカルテルになると思います。

そしてこのようなカルテルは大阪バス協会事件の考えでも適法なのだろうと思います。(もちろん、届出額そのものについてカルテルをしてはいけません。)

実態として届け出運賃を下回る契約が横行していたと思われることを踏まえると、このようなカルテルでも十分に効果があるのではないかと思います。

また、

「大阪バス協会事件とは事情が異なるのだから『届出運賃を下回る契約は受けない』というカルテルは違法かもしれない」

という懸念がありうることからすると(私は適法だと思いますが)、公取委がたんに大阪バス協会を確認するにとどまらず、このようなカルテルも大丈夫とお墨付きを与える意味はよりいっそう大きいような気がします。

2016年1月 5日 (火)

逆引き優越ガイドライン

優越的地位濫用ガイドラインで、以下のキーワードがどのように用いられているのかを抜き書きしておきます。

「あらかじめ計算できない不利益」

「取引上の地位が相手方に優越している事業者が,取引の相手方に対し,従業員等(注11)の派遣を要請する場合であって,どのような場合に,どのような条件で従業員等を派遣するかについて,当該取引の相手方との間で明確になっておら,当該取引の相手方にあらかじめ計算できない不利益を与えることとなる場合・・・・には,正常な商慣習に照らして不当に不利益を与えることとなり,優越的地位の濫用として問題となる。」(第4-2(1)協賛金等の負担の要請)

「取引上の地位が相手方に優越している事業者が,取引の相手方に対し,従業員等(注11)の派遣を要請する場合であって,どのような場合に,どのような条件で従業員等を派遣するかについて,当該取引の相手方との間で明確になっておら,当該取引の相手方にあらかじめ計算できない不利益を与えることとなる場合・・・には,正常な商慣習に照らして不当に不利益を与えることとなり,優越的地位の濫用として問題となる。」(第4-2(2)従業員等の派遣の要請)

「取引上の地位が相手方に優越している事業者が,取引の相手方に対し,当該取引の相手方から受領した商品を返品する場合であって,どのような場合に,どのような条件で返品するかについて,当該取引の相手方との間で明確になっておら,当該取引の相手方にあらかじめ計算できない不利益を与えることとなる場合,その他正当な理由がないのに,当該取引の相手方から受領した商品を返品する場合であって,当該取引の相手方が,今後の取引に与える影響等を懸念してそれを受け入れざるを得ない場合には,正常な商慣習に照らして不当に不利益を与えることとなり,優越的地位の濫用として問題となる。」(第4-3(2)返品)

「直接の利益」

「取引上の地位が相手方に優越している事業者が,取引の相手方に対し,協賛金等の名目による金銭の負担を要請する場合であって,・・・当該取引の相手方が得る直接の利益(注9)等を勘案して合理的であると認められる範囲を超えた負担となり,当該取引の相手方に不利益を与えることとなる場合(注10)には,正常な商慣習に照らして不当に不利益を与えることとなり,優越的地位の濫用として問題となる。」(第4-2(1)協賛金等の負担の要請)

「『直接の利益』とは,例えば,広告に取引の相手方の納入する商品を掲載するため,広告を作成・配布する費用の一部を協賛金として負担させることが,取引の相手方にとってその納入する商品の販売促進につながる場合など実際に生じる利益をいい,協賛金を負担することにより将来の取引が有利になるというような間接的な利益を含まない。」(注9)

「事業者が,催事,広告等を行うに当たり,取引の相手方に対し,その費用の一部として協賛金等の負担を要請することがある。このような要請は,流通業者によって行われることが多いが,流通業者が商品の納入業者に協賛金等の負担を要請する場合には,当該費用を負担することが納入商品の販売促進につながるなど当該納入業者にとっても直接の利益となることがある。協賛金等が,それを負担することによって得ることとなる直接の利益の範囲内であるものとして,取引の相手方の自由な意思により提供される場合には,正常な商慣習に照らして不当に不利益を与えることとならず,優越的地位の濫用の問題とはならない。」(第4-2(1)協賛金等の負担の要請 イ)

「取引上の地位が相手方に優越している事業者が,取引の相手方に対し,従業員等(注11)の派遣を要請する場合であって,・・・従業員等の派遣を通じて当該取引の相手方が得る直接の利益(注12)等を勘案して合理的であると認められる範囲を超えた負担となり,当該取引の相手方に不利益を与えることとなる場合(注13)には,正常な商慣習に照らして不当に不利益を与えることとなり,優越的地位の濫用として問題となる。」(第4-2(2)従業員等の派遣の要請)

「『直接の利益』とは,例えば,取引の相手方の従業員等を小売店に派遣して消費者に販売させることが,取引の相手方が納入する商品の売上げ増加,取引の相手方による消費者ニーズの動向の直接把握につながる場合など実際に生じる利益をいい,従業員等の派遣をすることにより将来の取引が有利になるというような間接的な利益を含まない。」(注12)

「メーカーや卸売業者が百貨店,スーパー等の小売業者からの要請を受け,自己が製造した商品又は自己が納入した商品の販売等のためにその従業員等を派遣する場合がある。こうした従業員等の派遣は,メーカーや卸売業者にとって消費者ニーズの動向を直接把握できる,小売業者にとって専門的な商品知識の不足が補われる等の利点を有している場合がある。従業員等の派遣が,それによって得ることとなる直接の利益の範囲内であるものとして,取引の相手方の自由な意思により行われる場合には,正常な商慣習に照らして不当に不利益を与えることとならず,優越的地位の濫用の問題とはならない」(第4-2(2)従業員等の派遣の要請)

「自己の店舗の新規オープンセール又は改装オープンセールに際し,販売業務に従事させるために納入業者の従業員を派遣させ,当該納入業者の納入に係る商品の販売業務に併せて他の納入業者の商品の販売業務にもその従業員を従事させることにより,その従業員を派遣した納入業者に対して,直接の利益等を勘案して合理的であると認められる範囲を超えた負担をさせること。」(第4-2(2)従業員等の派遣の要請<想定例>②)

「他方,・・・④当該取引の相手方から商品の返品を受けたい旨の申出があり,かつ,当該取引の相手方が当該商品を処分することが当該取引の相手方の直接の利益(注23)となる場合には,正常な商慣習に照らして不当に不利益を与えることとならず,優越的地位の濫用の問題とはならない。」(第4-3(2)返品 イ)

「『直接の利益』とは,例えば,取引の相手方の納入した旧商品であって取引先の店舗で売れ残っているものを回収して,新商品を納入した方が取引の相手方の売上げ増加となるような場合など実際に生じる利益をいい,返品を受けることにより将来の取引が有利になるというような間接的な利益を含まない。」(注23)

「X社は,店舗の閉店又は改装に際し,当該店舗の商品のうち,当該店舗及び他の店舗において販売しないこととした商品について,当該商品の納入業者に対し,当該納入業者の責めに帰すべき事由がなく,あらかじめ当該納入業者との合意により返品の条件を定めておらず,かつ,当該商品の返品を受けることが当該納入業者の直接の利益とならないにもかかわらず,当該商品の返品に応じるよう要請している。この要請を受けた納入業者の多くは,X社との取引を継続して行う立場上,その要請に応じることを余儀なくされ,当該商品の返品を受け入れており,X社は,当該商品の返品によって当該納入業者に通常生ずべき損失を負担していない(平成21年6月19日排除措置命令・平成21年(措)第7号)。」(第4-3(2)返品<具体例>)

「今後の取引に与える影響」

「取引上の地位が相手方に優越している事業者が,取引の相手方に対し,当該取引に係る商品又は役務以外の商品又は役務の購入を要請する場合であって,当該取引の相手方が,それが事業遂行上必要としない商品若しくは役務であり,又はその購入を希望していないときであったとしても,今後の取引に与える影響を懸念して当該要請を受け入れざるを得ない場合には,正常な商慣習に照らして不当に不利益を与えることとなり,優越的地位の濫用として問題となる。」(第4-1(1)購入・利用強制)

「協賛金等の負担の要請や従業員等の派遣の要請以外であっても,取引上の地位が相手方に優越している事業者が,正当な理由がないのに,取引の相手方に対し,発注内容に含まれていない,金型(木型その他金型に類するものを含む。以下同じ。)等の設計図面,特許権等の知的財産権,従業員等の派遣以外の役務提供その他経済上の利益の無償提供を要請する場合であって,当該取引の相手方が今後の取引に与える影響を懸念してそれを受け入れざるを得ない場合には,正常な商慣習に照らして不当に不利益を与えることとなり,優越的地位の濫用として問題となる(注15)。」(第4-2(3)その他経済上の利益の提供の要請)

「取引上の地位が相手方に優越している事業者が,取引の相手方から商品を購入する契約をした後において,正当な理由がないのに,当該商品の全部又は一部の受領を拒む場合(注16)であって,当該取引の相手方が,今後の取引に与える影響等を懸念してそれを受け入れざるを得ない場合には,正常な商慣習に照らして不当に不利益を与えることとなり,優越的地位の濫用として問題となる(注17)。」(第4-3(1)受領拒否)

「取引上の地位が相手方に優越している事業者が,取引の相手方に対し,当該取引の相手方から受領した商品を返品する場合であって,どのような場合に,どのような条件で返品するかについて,当該取引の相手方との間で明確になっておらず,当該取引の相手方にあらかじめ計算できない不利益を与えることとなる場合,その他正当な理由がないのに,当該取引の相手方から受領した商品を返品する場合であって,当該取引の相手方が,今後の取引に与える影響等を懸念してそれを受け入れざるを得ない場合には,正常な商慣習に照らして不当に不利益を与えることとなり,優越的地位の濫用として問題となる。」(第4-3(2)ア 返品)

「取引上の地位が相手方に優越している事業者が,正当な理由がないのに,契約で定めた支払期日に対価を支払わない場合であって,当該取引の相手方が,今後の取引に与える影響等を懸念してそれを受け入れざるを得ない場合には,正常な商慣習に照らして不当に不利益を与えることとなり,優越的地位の濫用として問題となる。」(第4-3(3)ア 支払遅延)

「取引上の地位が相手方に優越している事業者が,商品又は役務を購入した後において,正当な理由がないのに,契約で定めた対価を減額する場合であって,当該取引の相手方が,今後の取引に与える影響等を懸念してそれを受け入れざるを得ない場合には,正常な商慣習に照らして不当に不利益を与えることとなり,優越的地位の濫用として問題となる。」(第4-3(4)ア 減額)

「取引上の地位が相手方に優越している事業者が,取引の相手方に対し,一方的に,著しく低い対価又は著しく高い対価での取引を要請する場合であって,当該取引の相手方が,今後の取引に与える影響等を懸念して当該要請を受け入れざるを得ない場合には,正常な商慣習に照らして不当に不利益を与えることとなり,
優越的地位の濫用として問題となる(注25)。」(第4-3(5)ア 取引の対価の一方的決定)

「自由」または「自主的」

「事業者がどのような条件で取引するかについては,基本的に,取引当事者間の自主的な判断に委ねられるものである。取引当事者間における自由な交渉の結果,いずれか一方の当事者の取引条件が相手方に比べて又は従前に比べて不利となることは,あらゆる取引において当然に起こり得る。

しかし,自己の取引上の地位が相手方に優越している一方の当事者が,取引の相手方に対し,その地位を利用して,正常な商慣習に照らして不当に不利益を与えることは,当該取引の相手方の自由かつ自主的な判断による取引を阻害するとともに,当該取引の相手方はその競争者との関係において競争上不利となる一方で,行為者はその競争者との関係において競争上有利となるおそれがあるものである」(第1-1 優越的地位の濫用規制についての基本的な考え方)

「事業者が,催事,広告等を行うに当たり,取引の相手方に対し,その費用の一部として協賛金等の負担を要請することがある。このような要請は,流通業者によって行われることが多いが,流通業者が商品の納入業者に協賛金等の負担を要請する場合には,当該費用を負担することが納入商品の販売促進につながるなど当該納入業者にとっても直接の利益となることがある。協賛金等が,それを負担することによって得ることとなる直接の利益の範囲内であるものとして,取引の相手方の自由な意思により提供される場合には,正常な商慣習に照らして不当に不利益を与えることとならず,優越的地位の濫用の問題とはならない。」(第4-2(1)協賛金等の負担の要請 イ)

「メーカーや卸売業者が百貨店,スーパー等の小売業者からの要請を受け,自己が製造した商品又は自己が納入した商品の販売等のためにその従業員等を派遣する場合がある。こうした従業員等の派遣は,メーカーや卸売業者にとって消費者ニーズの動向を直接把握できる,小売業者にとって専門的な商品知識の不足が補われる等の利点を有している場合がある。従業員等の派遣が,それによって得ることとなる直接の利益の範囲内であるものとして,取引の相手方の自由な意思により行われる場合には,正常な商慣習に照らして不当に不利益を与えることとならず,優越的地位の濫用の問題とはならない。」(第4-2(2)従業員等の派遣の要請 イ)

「余儀なく」

「また,『購入させる』には,その購入を取引の条件とする場合や,その購入をしないことに対して不利益を与える場合だけではなく,事実上,購入を余儀なくさせていると認められる場合も含まれる(注8)。」(第4-1 購入・利用強制)

「X社は,道内6ホテルにおいて,閑散期における稼働率の向上及び収益確保を目的として,一定期間に限り当該ホテルで使用できる宿泊券について,納入業者等に対し,あらかじめ納入業者等ごとに購入を要請する枚数を設定し

・ 文書で宿泊券の購入を要請し,購入の申込みが無いなどの場合には,事業部長ら納入取引等に影響を及ぼし得る者から購入するよう重ねて要請する

・ 宿泊券の購入を要請する文書とともに購入を要請する枚数の宿泊券を納入取引等に影響を及ぼし得る者から手渡す

等の方法により宿泊券を購入するよう要請している。これらの要請を受けた納入業者等の多くは,X社との納入取引等を継続して行う立場上,その要請に応じることを余儀なくされている(平成16年11月18日勧告審決・平成16年(勧)第31号)。」(第4-1 購入・利用強制<具体例>①)

「X銀行は,融資先事業者から新規の融資の申込み又は既存の融資の更新の申込みを受けた場合に,融資に係る手続を進める過程において,融資先事業者に対し,金利スワップの購入を提案し,融資先事業者が同提案に応じない場合に

・ 金利スワップの購入が融資を行うことの条件である旨,又は金利スワップを購入しなければ融資に関して通常設定される融資の条件よりも不利な取扱いをする旨明示する

・ 担当者に管理職である上司を帯同させて重ねて購入を要請するなどにより,金利スワップの購入が融資を行うことの条件である旨,又は金利スワップを購入しなければ融資に関して通常設定される融資の条件よりも不利な取扱いをする旨示唆する

ことにより金利スワップの購入を要請し,融資先事業者に金利スワップの購入を余儀なくさせる行為を行っている(平成17年12月26日勧告審決・平成17年(勧)第20号)。」(第4-1 購入・利用強制<具体例>②)

「X社は,自社及び子会社3社の店舗の開店に際し,惣菜等の各仕入部門に係る納入業者に対し,当該店舗の粗利益を確保するため,事前に算出根拠,目的等について明確に説明することなく,「即引き」と称して,開店に当たって当該納入業者に納入させる商品のうち特定のものについて,その納入価格を通常の納入価格に一定割合を乗じた価格等通常の納入価格より低い価格とすることにより,当該価格と通常の納入価格との差額に相当する経済上の利益の提供を要請していた。この要請を受けた納入業者の多くは,X社との納入取引を継続して行う立場上,その要請に応じることを余儀なくされ,経済上の利益を提供していた(平成20年6月23日排除措置命令・平成20年(措)第15号)。」(第4-2(1)協賛金等の負担の要請<具体例>)

「X社は,店舗の新規オープン及び改装オープンに際し,納入業者に対し,当該納入業者の納入に係る商品であるか否かを問わず,当該店舗における商品の陳列,商品の補充,接客等の作業(以下「オープン作業」という。)を行わせることとし,あらかじめ当該納入業者との間でその従業員等の派遣の条件について合意することなく,オープン作業を行わせるためにその従業員等の派遣を受けることを必要とする店舗,日時等を連絡し,その従業員等を派遣するよう要請している。この要請を受けた納入業者の多くは,X社との納入取引を継続して行う立場上,その要請に応じることを余儀なくされ,その従業員等を派遣しており,X社は,当該派遣のために通常必要な費用を負担していない(平成20年6月30日排除措置命令・平成20年(措)第16号)。」(第4-2(2)従業員等の派遣の要請<具体例>)

「X社は,店舗の閉店又は改装に際し,当該店舗の商品のうち,当該店舗及び他の店舗において販売しないこととした商品について,当該商品の納入業者に対し,当該納入業者の責めに帰すべき事由がなく,あらかじめ当該納入業者との合意により返品の条件を定めておらず,かつ,当該商品の返品を受けることが当該納入業者の直接の利益とならないにもかかわらず,当該商品の返品に応じるよう要請している。この要請を受けた納入業者の多くは,X社との取引を継続して行う立場上,その要請に応じることを余儀なくされ,当該商品の返品を受け入れており,X社は,当該商品の返品によって当該納入業者に通常生ずべき損失を負担していない(平成21年6月19日排除措置命令・平成21年(措)第7号)。」(第4-3(2)返品<具体例>)

「X社は,食品,菓子及び雑貨の各仕入部門が取り扱っている商品について,商品回転率が低いこと,店舗を閉店することとしたこと,季節商品の販売時期が終了したこと又は陳列棚からの落下等により商品が破損したことを理由として,商品の割引販売を行うこととし,割引販売を行うこととした商品の納入業者に対し,その納入価格から当該割引販売前の価格に100分の50を乗じるなどの方法により算出した額の値引きをするよう要請していた。この要請を受けた納入業者の多くは,X社との納入取引を継続して行う立場上,その要請に応じることを余儀なくされ,値引きをしていた(平成20年5月23日排除措置命令・平成20年(措)第11号)。」(第4-3(4)減額<具体例>)

「X社は,年2回行われる特別感謝セール及び年間約50回行われる火曜特売セールに際し,一部の店舗において,売上げ増加等を図るため,当該店舗の仕入担当者から,仲卸業者に対し,当該セールの用に供する青果物について,あらかじめ仲卸業者との間で納入価格について協議することなく,例えば,火曜特売セールの前日等に,チラシに掲載する大根,きゅうり,トマト等の目玉商品を連絡し,同商品について仲卸業者の仕入価格を下回る価格で納入するよう一方的に指示する等して,当該セールの用に供する青果物と等級,産地等からみて同種の商品の一般の卸売価格に比べて著しく低い価格をもって通常時に比べ多量に納入するよう要請している。この要請を受けた仲卸業者の多くは,X社との納入取引を継続して行う立場上,その要請に応じることを余儀なくされている(平成17年1月7日勧告審決・平成16年(勧)第34号)。」(第4-3(5) その他 <具体例>)

「なお,次のとおり,フランチャイズ・チェーンの本部が,加盟者に対し,見切り販売の取りやめを余儀なくさせ,加盟者が自らの合理的な経営判断に基づいて自己の負担を軽減する機会を失わせている行為が,優越的地位の濫用として問題となったことがある(注28)。」(第4-3(5)ウ((ウ))

「X社は,自己のフランチャイズ・チェーンの加盟者が経営するコンビニエンスストアで廃棄された商品の原価相当額の全額が加盟者の負担となる仕組みの下で,

ア 経営相談員は,加盟者がデイリー商品(品質が劣化しやすい食品及び飲料であって,原則として毎日店舗に商品が納入されるものをいう。以下同じ。)の見切り販売を行おうとしていることを知ったときは,当該加盟者に対し,見切り販売を行わないようにさせる

イ 経営相談員は,加盟者が見切り販売を行ったことを知ったときは,当該加盟者に対し,見切り販売を再び行わないようにさせる

ウ 加盟者が前記ア又はイにもかかわらず見切り販売を取りやめないときは,経営相談員の上司に当たる従業員らは,当該加盟者に対し,加盟店基本契約の解除等の不利益な取扱いをする旨を示唆するなどして,見切り販売を行わないよう又は再び行わないようにさせる

など,見切り販売を行おうとし,又は行っている加盟者に対し,見切り販売の取りやめを余儀なくさせ,もって,加盟者が自らの合理的な経営判断に基づいて廃棄に係るデイリー商品の原価相当額の負担を軽減する機会を失わせている(平成21年6月22日排除措置命令・平成21年(措)第8号)。」(第4-3(5)ウ<具体例>)

「合理的」

「他方,取引の相手方に対し,特定の仕様を指示して商品の製造又は役務の提供を発注する際に,当該商品若しくは役務の内容を均質にするため又はその改善を図るため必要があるなど合理的な必要性から,当該取引の相手方に対して当該商品の製造に必要な原材料や当該役務の提供に必要な設備を購入させる場合には,正常な商慣習に照らして不当に不利益を与えることとならず,優越的地位の濫用の問題とはならない。」(第4-1(購入・利用強制)(2))

「取引上の地位が相手方に優越している事業者が,取引の相手方に対し,協賛金等の名目による金銭の負担を要請する場合であって,・・・当該取引の相手方が得る直接の利益(注9)等を勘案して合理的であると認められる範囲を超えた負担となり,当該取引の相手方に不利益を与えることとなる場合(注10)には,正常な商慣習に照らして不当に不利益を与えることとなり,優越的地位の濫用として問題となる。」(第4-2(1)協賛金等の負担の要請 ア)

「物流センター等の流通業務用の施設の使用料(センターフィー)について,その額や算出根拠等について納入業者と十分協議することなく一方的に負担を要請し,当該施設の利用量等に応じた合理的な負担分を超える額を負担させること。」(第4-2(1)協賛金等の負担の要請<想定例>⑥)

「取引上の地位が相手方に優越している事業者が,取引の相手方に対し,従業員等(注11)の派遣を要請する場合であって,どのような場合に,・・・従業員等の派遣を通じて当該取引の相手方が得る直接の利益(注12)等を勘案して合理的であると認められる範囲を超えた負担となり,当該取引の相手方に不利益を与えることとなる場合(注13)には,正常な商慣習に照らして不当に不利益を与えることとなり,優越的地位の濫用として問題となる。」(第4-2(2)従業員等の派遣の要請 ア)

「自己の店舗の新規オープンセール又は改装オープンセールに際し,販売業務に従事させるために納入業者の従業員を派遣させ,当該納入業者の納入に係る商品の販売業務に併せて他の納入業者の商品の販売業務にもその従業員を従事させることにより,その従業員を派遣した納入業者に対して,直接の利益等を勘案して合理的であると認められる範囲を超えた負担をさせること。」(第4-2(2)従業員等の派遣の要請<想定例>②)

「発注量,配送方法,決済方法,返品の可否等の取引条件に照らして合理的な理由がないにもかかわらず特定の取引の相手方を差別して取り扱い,他の取引の相手方より著しく低い又は著しく高い対価の額を一方的に定めること。」(第4-3(5)ア 取引の対価の一方的決定<想定例>⑥)

「なお,次のとおり,フランチャイズ・チェーンの本部が,加盟者に対し,見切り販売の取りやめを余儀なくさせ,加盟者が自らの合理的な経営判断に基づいて自己の負担を軽減する機会を失わせている行為が,優越的地位の濫用として問題となったことがある(注28)。」(第4-3(5)ウ その他 (ウ))

「X社は,自己のフランチャイズ・チェーンの加盟者が経営するコンビニエンスストアで廃棄された商品の原価相当額の全額が加盟者の負担となる仕組みの下で,

ア 経営相談員は,加盟者がデイリー商品(品質が劣化しやすい食品及び飲料であって,原則として毎日店舗に商品が納入されるものをいう。以下同じ。)の見切り販売を行おうとしていることを知ったときは,当該加盟者に対し,見切り販売を行わないようにさせる

イ 経営相談員は,加盟者が見切り販売を行ったことを知ったときは,当該加盟者に対し,見切り販売を再び行わないようにさせる

ウ 加盟者が前記ア又はイにもかかわらず見切り販売を取りやめないときは,経営相談員の上司に当たる従業員らは,当該加盟者に対し,加盟店基本契約の解除等の不利益な取扱いをする旨を示唆するなどして,見切り販売を行わないよう又は再び行わないようにさせる

など,見切り販売を行おうとし,又は行っている加盟者に対し,見切り販売の取りやめを余儀なくさせ,もって,加盟者が自らの合理的な経営判断に基づいて廃棄に係るデイリー商品の原価相当額の負担を軽減する機会を失わせている(平成21年6月22日排除措置命令・平成21年(措)第8号)。」(第4-3(5)ウ<具体例>)

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