管理措置と二重価格表示の根拠資料の保存
「事業者が講ずべき景品類の提供及び表示の管理上の措置についての指針」では、表示等の根拠となる情報として記録し、保存しておくべきものの例として、
「価格に関する表示であれば、必要とされる期間の売上伝票、帳簿類、製造業者による希望小売価格・参考小売価格の記載のあるカタログ等」
があげられています。
これは、消費者庁の使い方によっては、二重価格表示を防止する強力な手段になるように思われます。
つまり、これまで二重価格表示については、継続的に当該事業者の価格をモニターしていないと違反を立証できないため、手間暇がかかって大変でした。
ところが、管理指針で記録の保存が義務付けられたため、二重価格表示の疑いがある事業者に対しては、とりあえず検査を行って、最近相当期間価格の根拠資料が出てこなかったら、それだけで勧告を打てることになります。
ちょっと荒っぽいやり方かもしれませんが、これくらいのことをしないと、不当な二重価格表示はなくならないのではないでしょうか。
管理措置違反の勧告でも(もっといえば、立入検査を行ったというだけでも)、十分に抑止効果はあるように思います。
そして、勧告に従ったかどうかもきちんとフォローして、もし従っていないと判断されたら公表すべきです(景表法8条の2第2項)。
楽天やグルーポンが出店者に不当な二重価格表示を持ちかけていたのではないかということが報じられていましたが、とくに、こういう何らかの首謀者的な第三者を通じてシステマチックに不当表示が行われる場合には、管理措置に対する勧告を検討する余地があるのではないかと思います。
« 緑本の二重価格表示に関する解説の疑問 | トップページ | 『独占禁止法関係法令集(平成27年版)』が届きました »
「景表法」カテゴリの記事
- 【お知らせ】『景品表示法対応ガイドブック』の改訂版が出ます。(2024.10.22)
- チョコザップに対する措置命令について(2024.08.30)
- 差止請求の公表に関する消費者契約法施行規則28条の「相手方との間の協議が調ったと認められるもの」の解釈について(2024.08.24)
« 緑本の二重価格表示に関する解説の疑問 | トップページ | 『独占禁止法関係法令集(平成27年版)』が届きました »
コメント