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2015年8月12日 (水)

購入取引に関する不当表示と指定告示に関する緑本の解説の疑問

片桐編著『景品表示法(第3版)』p123に、指定告示の、

「商品又は役務の取引に関する事項」

の文言の解説で、

「『取引に関する事項』であるので、商品や役務の『内容』も『取引条件』も含み、これら以外のものも『取引に関する事項』である限り、規制対象となる。

他方、表示者が供給する商品または役務の取引に関係のないもの、例えば、従業員募集のためのお知らせは、対象とならない。」

と説明されています。

しかし、従業員募集のためのお知らせが表示ではないことの根拠は、「取引」の定義ではなく、「表示」の定義(景表法2条4項)の、

「顧客を誘引するための手段として、

事業者が自己の供給する商品又は役務の内容又は取引条件その他これらの取引に関する事項について行う

広告その他の表示であつて、

内閣総理大臣が指定するものをいう」

の、「供給」に求めるべきではないでしょうか。

(景品類の場合も同様に、2条3項の「自己の供給する」が根拠となります。)

つまり、不当表示は「供給」取引についてのものに限り、「購入」取引は対象外、と読むわけです。

(買い取りサービスというサービスを「供給」している、と解釈できなくもないですし、経済実態としてはそれが正しいと思いますが、それを言い出すと独禁法にもあえて供給取引に限定している条文(支配型私的独占の課徴金に関する7条の2第2項や、共同の供給取引拒絶に関する2条9項1号アなど)がある手前、収拾がつかないことになりそうなので、きっと無理でしょう。)

あるいは、上記定義か、4条1項3号の、

「顧客を誘引」

に求める、というのでもよいと思います。

つまり、指定告示は、商品役務の買い手を誘引(しかも買い手は一般消費者に限る)するものに限る、と読み取れるので、労働力の売手である従業員候補者は対象ではない、とみるわけです。

これを「取引」という文言に読み込もうとすると、取引には売る取引も買う取引もあるわけで、にもかかわらず売る取引だけに限定して解釈するというのは、ちょっと苦しいと思います。

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