営業秘密に関する「不正競争」
不競法2条1項4号から9号の規定を以下に整理しておきます。
(定義)
第二条 この法律において「不正競争」とは、次に掲げるものをいう。
四 【不正取得、不正取得後使用・開示】
窃取、詐欺、強迫その他の不正の手段により営業秘密を取得する行為(以下「不正取得行為」という。)
又は
不正取得行為により取得した営業秘密を使用し、若しくは開示する行為(秘密を保持しつつ特定の者に示すことを含む。以下同じ。)
五 【不正取得重過失取得、不正取得重過失取得後使用・開示】
その営業秘密について不正取得行為が介在したことを知って、若しくは重大な過失により知らないで〔=不正取得重過失〕
営業秘密を取得し、
又は
その取得した営業秘密を使用し、若しくは開示する
行為
六 【善意取得後不正取得重過失使用・開示】
その取得した後
+〔不正取得重過失〕
その取得した営業秘密を
使用し、
又は
開示する
行為
七 【被開示後不正使用・開示】
営業秘密を保有する事業者(以下「保有者」という。)からその営業秘密を示された場合において、
不正の利益を得る目的で、又はその保有者に損害を加える目的で、〔=図利加害目的〕
その営業秘密を
使用し、
又は
開示する
行為
八 【不正開示重過失取得、不正開示重過失取得後使用・開示】
その営業秘密について不正開示行為
(前号に規定する場合において同号に規定する目的でその営業秘密を開示する行為
又は
秘密を守る法律上の義務に違反してその営業秘密を開示する行為をいう。以下同じ。)
であること
若しくは
その営業秘密について不正開示行為が介在したこと
を知って、若しくは重大な過失により知らないで〔=不正開示重過失取得〕
営業秘密を取得し、
又は
その取得した営業秘密を使用し、若しくは開示する行為
九 【善意取得後不正開示重過失使用・開示】
その取得した後に
その営業秘密について不正開示行為があったこと若しくはその営業秘密について不正開示行為が介在したことを知って、又は重大な過失により知らないで
その取得した営業秘密を
使用し、
又は
開示する
行為
なお、やや強引に刑法の窃盗等と比べると、
四 【不正取得、不正取得後使用・開示】≒窃盗・詐欺・恐喝・強盗、不可罰的事後行為
五 【不正取得重過失取得、不正取得重過失取得後使用・開示】≒重過失による盗品等譲受け、重過失による盗品等譲受け等の不可罰的事後行為
六 【善意取得後不正取得重過失使用・開示】≒事後重過失盗品等譲受け等の不可罰的事後行為
七 【被開示後不正使用・開示】≒横領 or 横領後の不可罰的事後行為
八 【不正開示重過失取得、不正開示重過失取得後使用・開示】≒重過失による盗品等譲受け、重過失による盗品等譲受け後の不可罰的事後行為
九 【善意取得後不正開示重過失使用・開示】≒事後重過失の不可罰的事後行為
といったかんじでしょうか。
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