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2015年3月18日 (水)

転嫁阻害表示の例

先日、関東の某所で、こんな看板を見つけました。

Img_0654

「店内全品!! 消費税分当店がご負担致します!!」

と書いてあります。

今まで、転嫁阻害表示の実物を目にしたことがなかったので、「こんなことやるお店が、本当にあるんだ」と、妙に新鮮でした。

でもこれは、消費税転嫁法8条で禁止されています。

8条では、(事業者の遵守事項)として、

「第八条 事業者は、平成二十六年四月一日以後における自己の供給する商品又は役務の取引について、次に掲げる表示をしてはならない。

一 取引の相手方に消費税を転嫁していない旨の表示

二 取引の相手方が負担すべき消費税に相当する額の全部又は一部を対価の額から減ずる旨の表示であって消費税との関連を明示しているもの

三 消費税に関連して取引の相手方に経済上の利益を提供する旨の表示であって前号に掲げる表示に準ずるものとして内閣府令で定めるもの」

と規定されています。

転嫁法に関する消費者庁のガイドラインにも、

「消費税は当店が負担しています。」

というのが、違反例として挙げられています。

なぜこういう表示が禁止されるのかというと、

①消費税制度に対する誤解を招く(いくら値引きしても、対価の108分の8は必ず消費税)

②消費税還元セールをやると、納入業者にしわ寄せが行きがち

③大手が消費税還元セールをやると、周辺の中小小売店も追随せざるを得なくなる、

ということが言われています。

違反をすると、消費者庁から勧告を受けるかもしれません。

やっているお店は、おそらく転嫁法を知らずにやっているのだろうと推測しますが、そういうわけですので、こういう表示はやめておきましょう。

ところで、同じ転嫁法でも、転嫁拒否行為(買いたたきなど)については、公取委が大変熱心に取り締まりをしているのに、転嫁阻害表示については、消費者庁の勧告例が未だに1件もありません。

きっと景表法の改正(昨年)やら、食品表示法のガイドライン作成やらで、人手が足りないからではないかと推測しますが、注意の件数くらいは公表しても良いのではないでしょうか。(まさか注意も1件もない、ということでもないでしょうし。)

ちなみに消費者庁のホームページによれば、「消費税転嫁阻害表示調査員」というのを募集しており、「消費税転嫁阻害表示監視調査システム」というのも稼働しているようです。

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