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2015年3月25日 (水)

自己使用の金型の製造委託

親事業者が自ら使用する金型の製造委託は、下請法の対象になるでしょうか。

自己使用物については、親事業者が自ら業として社内で製造する場合に限り、製造委託の類型4に該当するので、これに引きずられて、もし、

「自己使用の金型は、親事業者が自ら業として社内で金型を製造している場合に限り、下請法の適用がある。」

という解説があったら、それは間違いです。(そんなこといったら、金型の製造委託のかなりの部分が下請法の対象外になってしまうでしょう。)

では、条文を確認してみましょう。

下請法2条1項では、

「この法律で『製造委託』とは、

事業者〔=親事業者〕が業として行う販売若しくは業として請け負う製造(加工を含む。以下同じ。)の目的物たる物品〔=販売等目的の物品〕若しくは

その〔=販売等目的の物品の〕半製品、〔販売等目的の物品の〕部品、〔販売等目的の物品の〕附属品若しくは〔販売等目的の物品の〕原材料若しくはこれら〔=販売等目的の物品+販売等目的の物品の半製品+販売等目的の物品の部品+販売等目的の物品の附属品+販売等目的の物品の原材料〕の製造に用いる金型

又は

業として行う物品の修理に必要な部品若しくは原材料

の製造を他の事業者〔=下請事業者〕に委託すること

及び

事業者〔=親事業者〕がその〔=親事業者の〕使用し又は消費する物品〔=自己使用目的の物品〕の製造を業として行う場合にその物品〔=自己使用目的の物品〕若しくはその〔=自己使用目的の物品の〕半製品、〔自己使用目的の物品の〕部品、〔自己使用目的の物品の〕附属品若しくは〔自己使用目的の物品の〕原材料又はこれら〔=自己使用目的の物品+自己使用目的の物品の半製品+自己使用目的の物品の部品+自己使用目的の物品の附属品+自己使用目的の物品の原材料〕の製造に用いる金型

の製造を他の事業者〔=下請事業者〕に委託することをいう。 」

と定義されています。

つまり、親事業者が販売等する物品(半製品や部品等を含む)の製造に用いる金型であれば、下請法の適用があります。(類型1または2に該当します。)

親事業者自身が金型を製造しているかどうかは関係ありません。

さらに、類型4(「及び」以下)には注意が必要で、ここでは、親事業者が自己使用目的で業として製造している物品や、その半製品、部品等の製造に用いる金型に限り、下請法の適用があります。

なので、親事業者が自己使用目的の物品や、その半製品、部品等の製造に用いる金型を下請事業者に製造させたとしても、当該自己使用目的の物品やその半製品、部品等を親事業者自身が製造するのではなく、当該物品等の製造行為は第三者に委託する場合には、「業として」の要件を満たさず、当該金型の製造には下請法の適用がないことになります。

たとえば、親事業者の自己使用目的の物品を製造するための金型を製造させた下請事業者と同じ下請事業者に、親事業者の自己使用目的の物品自体の製造もさせた場合には、親事業者が当該物品を「業として」製造していないので、金型の製造委託には下請法は適用されません。(当たり前ですね。)

以上を整理すると、

①親事業者の業としての販売・請負目的の物品等を製造するための金型の製造委託には、常に下請法の適用がある(類型1および2)

②親事業者の自己使用目的の物品等を製造するための金型の製造委託には、親事業者自身が当該物品(ここは「等」は付かない)を製造している場合に限り、下請法の適用がある(類型4)

ということになります。

なお、類型3には金型はないので、業としての物品修理に必要な部品・原材料の製造のための金型を製造させても、下請法の対象にはなりません。

あくまで親事業者自身が物品の「製造」を業として行っている点に優越的な地位の根拠を求め、「修理」をしているだけでは一概に優越的な地位にあるとはいえない、という価値判断の表れと思われます。

そこで最初の、

「親事業者が自ら使用する金型の製造委託は、下請法の対象になるでしょうか。」

という質問に戻ると、親事業者が当該金型を自ら使用するということは、とりもなおさず、親事業者自身が(おそらくは業として)製造していることにほかなりませんから、金型を用いて作った物品が、

他者へ(通常は、業として)販売されるものであっても(類型1または2)、

親事業者の自己使用目的であっても(類型4)、

下請法の適用がある、ということになります。

このように、親事業者自身が金型を作っているかは関係ありません。

逆に、親事業者が自ら使用しない金型(金型を用いた製造行為は第三者にさせる場合)の製造委託には、下請法の適用はない、というと不正確です。

というのは、自己使用物品等(類型4)の場合はそれでよいですが、類型1または2の場合は、親事業者が業として「販売」(類型1)または「請負」(類型2。必ずしも親事業者自身が製造する場合に限りません)していればいいので、親事業者自身が「製造」している必要はないからです。

なので、親事業者が自ら使用しない金型の製造委託は、その金型を用いて作った物品の販売、請負を親事業者が業として行っていれば(あるいは、当該金型で作った部品等を用いた物品を親事業者が業として販売・請負していれば)、下請法の対象になります。

類型4でさらに細かいことをいえば、親事業者自身は自己使用物品自体を業として社内で製造していればよい(下請法の適用がある)のであって、金型の使用自体を親事業者自身が行う必要はありません。

たとえば、自己使用物品の部品の金型の製造を委託して、当該部品は第三者に作らせ(=当該第三者に金型を使用させ)、親事業者は当該部品を購入して社内で組み立てる(=製造する)という場合、親事業者が自己使用物品を業として製造していることは明らかですから、類型4に該当することになります。

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