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2015年2月 4日 (水)

共同研究開発ガイドライン目次(と若干の要約)

はじめに

1 基本的視点

2 指針の適用範囲及び判断時点

第一 研究開発の共同化に対する独占禁止法の適用について

1 基本的考え方

2 判断に当たっての考慮事項

(1) 研究開発の共同化については、競争が実質的に制限されるか否かによって判断される

(2)  事業に不可欠な技術の開発を目的とする共同研究開発において、ある事業者が参加を制限され、これによってその事業活動が困難となり、市場から排除されるおそれがある場合に、例外的に研究開発の共同化が独占禁止法上問題となることがある(私的独占等)。

第二 共同研究開発の実施に伴う取決めに対する独占禁止法の適用について

1 基本的考え方

共同研究開発の実施に伴う取決めによって、参加者の事業活動を不当に拘束し、公正な競争を阻害するおそれがある場合には、不公正な取引方法の問題となる。

競争関係にある事業者間で行われる共同研究開発において、当該製品の価格、数量等について相互に事業活動の制限がなされる場合には、主として不当な取引制限の観点から検討される。

共同研究開発参加者間の取決めについては、基本的に本指針の考え方によって判断され、知財ガイドラインは適用されない。

ただし、共同研究開発の成果の第三者へのライセンス契約については、知財ガイドラインの考え方によって判断される。

 

2 不公正な取引方法に関する判断

(1) 共同研究開発の実施に関する事項

ア 原則として不公正な取引方法に該当しないと認められる事項(白条項)

①研究開発の目的、期間、分担等(業務分担、費用負担等)を取り決めること

②共同研究開発のために必要な技術等の情報を参加者間で開示する義務を課すこと

③ ②で他の参加者から開示された技術等の情報に関する秘密を保持する義務を課すこと

④ ②の技術等の情報以外に共同研究開発に関して他の参加者から得た情報のうち特に秘密とされているものの秘密を保持する義務を課すこと

⑤分担した研究の進捗状況を参加者間で報告する義務を課すこと

⑥ ②で他の参加者から開示された技術等を共同研究開発のテーマ以外に流用することを制限すること((1)イ①の場合〔技術等の流用防止のために必要な範囲を超えて共同研究開発以外のテーマに使用することを制限すること〕を除く。)

⑦共同研究開発のテーマと同一のテーマの独自の又は第三者との研究開発を共同研究開発実施期間中について制限すること

⑧共同研究開発の成果について争いが生じることを防止するため又は参加者を共同研究開発に専念させるために必要と認められる場合に、共同研究開発のテーマと極めて密接に関連するテーマの第三者との研究開発を共同研究開発実施期間中について制限すること((1)ウ①〔共同研究開発のテーマ以外のテーマの研究開発を制限すること〕参照)

⑨共同研究開発の成果について争いが生じることを防止するため又は参加者を共同研究開発に専念させるために必要と認められる場合に、共同研究開発終了後の合理的期間に限って、共同研究開発のテーマと同一又は極めて密接に関連するテーマの第三者との研究開発を制限すること((1)ウ①〔共同研究開発のテーマ以外のテーマの研究開発を制限すること〕及び②〔共同研究開発のテーマと同一のテーマの研究開発を共同研究開発終了後について制限すること〕参照) 

○ ただし、共同研究開発終了後の合理的期間に限って、同一又は極めて密接に関連するテーマの第三者との研究開発を制限することは、背信行為の防止又は権利の帰属の確定のために必要と認められる場合には、原則として公正競争阻害性がない。

⑩参加者を共同研究開発に専念させるために必要と認められる場合に、共同研究開発実施期間中において、共同研究開発の目的とする技術と同種の技術を他から導入することを制限すること((1)イ①〔技術等の流用防止のために必要な範囲を超えて、共同研究開発に際して他の参加者から開示された技術等を共同研究開発以外のテーマに使用することを制限すること〕の場合を除く。)

⑪共同研究開発への他の事業者の参加を制限すること

○ 共同研究開発への他の事業者の参加を制限すること自体は、原則として問題とはならないが、他の事業者の参加を制限する行為が、例外的に、不公正な取引方法(独占禁止法第二条第九項第一号又は一般指定第一項(共同の取引拒絶)、第二項(その他の取引拒絶)等)、私的独占等の問題となることがある(第一-2(2)参照)。

イ 不公正な取引方法に該当するおそれがある事項(灰条項)

①技術等の流用防止のために必要な範囲を超えて、共同研究開発に際して他の参加者から開示された技術等を共同研究開発以外のテーマに使用することを制限すること((1)ア⑥〔他の参加者から開示された技術等を共同研究開発のテーマ以外に流用することを制限すること〕参照)

○ 開示された技術等をそのまま流用するのではなく、それから着想を得て全く別の技術を開発することまで制限するような場合には、当該研究開発活動の制限は、技術等の流用防止のために必要な範囲を超えて参加者の事業活動を不当に拘束するものであり、公正な競争を阻害するおそれがあるものと考えられる(一般指定第一二項(拘束条件付取引))。

②共同研究開発の実施のために必要な範囲を超えて、共同研究開発の目的とする技術と同種の技術を他から導入することを制限すること((1)ア⑩〔参加者を共同研究開発に専念させるために必要と認められる場合に、共同研究開発実施期間中において、共同研究開発の目的とする技術と同種の技術を他から導入することを制限すること〕参照)

ウ 不公正な取引方法に該当するおそれが強い事項(黒条項)

①共同研究開発のテーマ以外のテーマの研究開発を制限すること((1)ア⑧〔共同研究開発の成果について争いが生じることを防止するため又は参加者を共同研究開発に専念させるために必要と認められる場合に、共同研究開発のテーマと極めて密接に関連するテーマの第三者との研究開発を共同研究開発実施期間中について制限すること〕及び⑨〔共同研究開発の成果について争いが生じることを防止するため又は参加者を共同研究開発に専念させるために必要と認められる場合に、共同研究開発終了後の合理的期間に限って、共同研究開発のテーマと同一又は極めて密接に関連するテーマの第三者との研究開発を制限すること〕の場合を除く。)

②共同研究開発のテーマと同一のテーマの研究開発を共同研究開発終了後について制限すること((1)ア⑨〔共同研究開発の成果について争いが生じることを防止するため又は参加者を共同研究開発に専念させるために必要と認められる場合に、共同研究開発終了後の合理的期間に限って、共同研究開発のテーマと同一又は極めて密接に関連するテーマの第三者との研究開発を制限すること〕の場合を除く。)

③既有の技術の自らの使用、第三者への実施許諾等を制限すること

④共同研究開発の成果に基づく製品以外の競合する製品等について、参加者の生産又は販売活動を制限すること

(2) 共同研究開発の成果である技術に関する事項

ア 白条項

①成果の定義又は帰属を取り決めること

②成果の第三者への実施許諾を制限すること

③成果の第三者への実施許諾に係る実施料の分配等を取り決めること

④成果に係る秘密を保持する義務を課すこと

⑤成果の改良発明等を他の参加者へ開示する義務を課すこと又は他の参加者へ非独占的に実施許諾する義務を課すこと

イ 黒条項

①成果を利用した研究開発を制限すること

②成果の改良発明等を他の参加者へ譲渡する義務を課すこと又は他の参加者へ独占的に実施許諾する義務を課すこと

(3) 共同研究開発の成果である技術を利用した製品に関する事項

ア 白条項

①成果であるノウハウの秘密性を保持するために必要な場合に、合理的な期間に限って、成果に基づく製品の販売先について、他の参加者又はその指定する事業者に制限すること((3)イ③〔成果に基づく製品の販売先を制限すること〕参照)

②成果であるノウハウの秘密性を保持するために必要な場合又は成果に基づく製品の品質を確保することが必要な場合に、合理的な期間に限って、成果に基づく製品の原材料又は部品の購入先について、他の参加者又はその指定する事業者に制限すること((3)イ④〔成果に基づく製品の原材料又は部品の購入先を制限すること〕参照)

○ ①②の「合理的な期間」は、リバース・エンジニアリング等によりその分野における技術水準からみてノウハウの取引価値がなくなるまでの期間、同等の原材料又は部品が他から入手できるまでの期間等により判断される。

 

③成果に基づく製品について他の参加者から供給を受ける場合に、成果である技術の効用を確保するために必要な範囲で、その供給を受ける製品について一定以上の品質又は規格を維持する義務を課すこと((3)イ⑤〔成果に基づく製品の品質又は規格を制限すること〕参照)

イ 灰条項

①成果に基づく製品の生産又は販売地域を制限すること

②成果に基づく製品の生産又は販売数量を制限すること

③成果に基づく製品の販売先を制限すること((3)ア①〔成果であるノウハウの秘密性を保持するために必要な場合に、合理的な期間に限って、成果に基づく製品の販売先について、他の参加者又はその指定する事業者に制限すること〕の場合を除く。)

④成果に基づく製品の原材料又は部品の購入先を制限すること((3)ア②〔成果であるノウハウの秘密性を保持するために必要な場合又は成果に基づく製品の品質を確保することが必要な場合に、合理的な期間に限って、成果に基づく製品の原材料又は部品の購入先について、他の参加者又はその指定する事業者に制限すること〕の場合を除く。)

⑤成果に基づく製品の品質又は規格を制限すること((3)ア③〔成果に基づく製品について他の参加者から供給を受ける場合に、成果である技術の効用を確保するために必要な範囲で、その供給を受ける製品について一定以上の品質又は規格を維持する義務を課すこと〕の場合を除く。)

ウ 黒条項

①成果に基づく製品の第三者への販売価格を制限すること

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