弘文堂(新版)『条解独占禁止法』の気になる記述
村上他編著『条解独占禁止法』p54の支配型私的独占の解説に、
「垂直的制限については共同行為として規制することが一般的なルールである。」
という記述がありました。
びっくりしました。
確かに、米国のシャーマン法や、それを下敷きにした欧州のTFEUでは、垂直的制限は共同行為として整理されています。
なぜなら条文がそうなっているからです。
たとえばシャーマン法1条では、
「Every contract, combination in the form of trust or otherwise, or conspiracy, in restraint of trade or commerce among the several States, or with foreign nations, is declared to be illegal.」
というように、複数の当事者を要する表現が並んでいますし、TFEU101条でも、
「The following shall be prohibited as incompatible with the internal market: all agreements between undertakings, decisions by associations of undertakings and concerted practices which may affect trade between Member States and which have as their object or effect the prevention, restriction or distortion of competition within the internal market, and in particular those which:...」
と、同様です。
しかし、日本の独禁法では、条文はそうなっていません。
たとえば再販に関する2条9項4号イでは、
「相手方に対しその販売する当該商品の販売価格を定めてこれを維持させることその他相手方の当該商品の販売価格の自由な決定を拘束すること」
というふうに、「拘束する」ことが違反行為とされていて、拘束されることや、拘束されることに合意したことが違反だとはされていません。
なので、「一般的なルールである」というのは、日本の独禁法のコンメンタールの解説としてはいかがなものかと思います。
ちなみに、『条解』をみても、「一般的なルールである」という根拠は、よくわかりませんでした。
ところで、この『条解』には、旧版に相当する同名の書籍があり、だいぶ以前にこのブログでも、独禁法実務の必携図書として、手に入るうちに古本を手に入れることをお勧めしました。
私は今でも旧版(と便宜的に呼びますが)を折に触れて参考にしていますが、今回の本には「新版」とか、「第2版」とかいう文字がタイトルに見当たりません。
きっと執筆陣も総入れ替えで、出版社も別の書籍と位置づけたのでしょうね。
iPadが第2世代から第3世代になったときに、名前が「iPad 2」から、ただの「iPad」に変わって、何と呼んで第1世代と区別するのかが話題になったことが思い出されます(笑)。
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