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2014年11月

2014年11月28日 (金)

下請法の「業として」と有償性

下請法運用基準では、

「この法律で『業として』とは、

事業者が、

ある行為を反復継続的に行っており、

社会通念上、事業の遂行とみることができる場合

を指す

(修理委託、情報成果物作成委託及び役務提供委託においても同様である。)。」

(第2-1(2))

とされています。

これだけみると、下請法上の「業として」というのは、反復継続と同義であり、有償無償を問わないかのように見えます。

ところがややこしいのは、下請法運用基準には「業として」の説明とは別に「業として行う提供」の説明もあり、

「『業として行う提供』とは、反復継続的に社会通念上、事業の遂行とみることができる程度に行っている提供のことをいい、純粋に無償の提供であれば、これに当たらない。」(第2-3(3)情報成果物作成委託)

「『業として行う提供の目的たる役務』のうち『業として行う提供』とは、反復継続的に社会通念上事業の遂行とみることができる程度に行っている提供のことをいい、純粋に無償の提供であればこれに当たらない。」(第2-4(2)役務提供委託)

ということになっています。

同様の説明は下請違法講習テキストにもあり、

「『業として行う提供』とは、反復継続的に社会通念上、事業の遂行とみることができる程度に行っている提供のことをいい、純粋に無償の提供であれば、これに当たらない。」(情報成果物作成委託についてp10、役務提供委託についてp13)

とか、

「Q11: 景品の製造を委託した場合も本法の対象となるか。

A: いわゆる景品は、商品に添付されて提供される場合、有償で提供している商品の一部として提供がなされているため製造委託(類型1)に該当する。また、純粋に無償で提供している景品であっても、自家使用物品として当該景品を自社で業として製造している場合には、製造委託(類型4)に該当する。」(p18)

などとされていて、親事業者が純粋に無償で提供する景品は「業として行う提供(正確には「業として行う販売」)には含まれない)と考えられていることが分かります。

つまり、「業として」は有償無償を問わないけれど、「業として行う提供」は有償に限る、ということです。

もちろん、「業として行う提供」と似たような書きぶりになっている、製造委託類型1の「業として行う販売」、類型2の「業として請け負う製造」、類型3の「業として行う物品の修理」、も、「業として行う提供」と同様、有償に限ると解釈するものと思われます。

別の言い方をすると、

親事業者が顧客に対して行う事業の業務性(「業として行う提供」)は有償に限る

のに対して、

親事業者の自己使用目的の物品等の委託の要件である業務性(「業として」)は有償無償問わない(というか、自ら製造等するので無償に決まってます)、

ということです。

ちなみに、運用基準やテキストの「業として行う提供」が無償であるとの説明が情報成果物作成委託と役務提供委託だけにあるのは、

製造委託の「業として行う販売」、「業として請け負う製造」、「業として行う物品の修理」

とか、

修理委託の「業として請け負う

とかが、「販売」、「請け負う」などとあるので、有償であることが明らかであるから、という理由ではないかと想像します(「物品の修理」も、業として行うといえば有償だ、ということなのでしょう)。それでもちょっと不親切な印象は残ります。

ともあれ、「業として」は無償も含む(と明言はしていないけれど社内でやっている以上無償に決まっている)けれど、「業として行う提供」などは有償に限る、という説明は、「業として行う提供」の中にも「業として」という言葉があるので、非常に分かりにくいと思います。

下請法のこういった条文の「ノイズ」は、立法技術的に見れば未熟だということなのかもしれませんが、私などは、いかにもコピペしまくりで作った平成の会社法に比べれば、手作り感と言いますか、人肌の温もりを感じて、案外、嫌いではなかったりします。

デジタルな平成の会社法と、アナログな昭和の下請法の違い、というところでしょうか。

2014年11月27日 (木)

下請法の「業として」

下請法の自己使用の類型(製造委託の類型4など)では、親事業者が「業として」製造等している場合に限って、下請法の適用があります。

製造委託の条文(2条1項)で確認すると、

「事業者がその使用し又は消費する物品の製造を業として行う場合」

の部分です。

この「業として」というのは、下請法講習テキストでは、

「事業者が、ある行為を反復継続的に行っており、社会通念上、事業の遂行とみることができる場合を指す。」

と、何度も紋切り型の同じ説明が繰り返されています。

下請法運用基準第2-1(2)でも、

「この法律で『業として』とは、事業者が、ある行為を反復継続的に行っており、社会通念上、事業の遂行とみることができる場合を指す(修理委託、情報成果物作成委託及び役務提供委託においても同様である。)。」

と、同じ説明がなされています。

では、どれくらいやれば「反復継続的」なのか、「事業の遂行とみることができる」のか、という肝心な点については、説明がありません。

ところが、私が知る限り、下請法テキストに1か所だけ、やや具体的に説明されているところがあります。

それは12頁(情報成果物の類型3)のところで、

「例えば、事業者が、自らの事業のために用いる広告宣伝物、社内で使用する会計用ソフトウェア、自社のホームページ等の情報成果物の作成を社内にシステム部門を設けるなど業務の遂行とみることができる程度に行っている場合に、その情報成果物の作成の行為の全部又は一部を他の事業者に委託する場合が該当する。」

と説明されています。

つまり、何となくですが、社内に特定の部門を設けて行うような場合が「業として」と想定されているのだろうな、ということが分かります。

これは、下請テキストの一般論や運用基準における、「反復継続」や、「社会通念上、事業の遂行」というのに比べると、少なくとも私の目には、かなり絞っているように見えます。

つまり、雑用的に、単純な業務をいくつかの部門で何となく繰り返し行われているような場合には、「業として」に当たらないとする余地があるように思われます。

ちょっと脱線しますが、「事業の遂行」というのを、「お金儲け」、あるいは、「本業」という意味でとらえると、例えば社員運動会のためのパンフレットの作成を外部に委託する、というのは、仮に同じようなパンフレットを社内で作っていても、「業として」には該当しない、と見る余地もあるように思います(ただし、そのようにはっきり言っている文献は知りません)。

ここでも、「社内にシステム部門を設けるなど」というのが例示されているのは、そのような、「本業」、「お金儲け」というのを連想させ、単に毎年社員運動会をやっていても、それは「業として」には該当しない、というニュアンスを含んでいるように、私には思えます。

実質論として言えば、なぜ自己使用物の類型に反復継続性が要求されているのかといえば、親事業者が下請事業者に対して強い立場に類型的に立つといえるように絞っているわけで、そうすると、お金儲けとは関係のない社員運動会に関するものまで下請法でカバーする必要はないような気がします。

実際にはこんな微妙なケースは公取委の検査でも問題視されないかもしれませんが、講習テキストの前記記載は、理論武装をしておくことには役立つかもしれません。

2014年11月24日 (月)

景表法の「課徴金対象期間」について

課徴金導入に関する2014年11月改正景表法では、「課徴金対象期間」という概念が用いられており、その間の売上が課徴金の基礎になります。

「課徴金対象期間」の定義は、8条2項にあり、

「課徴金対象行為をした期間

(課徴金対象行為をやめた後

そのやめた日から六月を経過する日

(同日前に、

当該事業者が

当該課徴金対象行為に係る表示が不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれを解消するための措置として内閣府令で定める措置

をとつたときは、その日)

までの間に

当該事業者が

当該課徴金対象行為に係る商品又は役務の取引をしたときは、

当該課徴金対象行為をやめてから

最後に当該取引をした日

までの期間を加えた期間とし、

当該期間が三年を超えるときは、当該期間の末日から遡つて三年間とする。)

をいう。」

とされています。

なお、

「課徴金対象行為」

というのは、8条1項で、

「第五条の規定に違反する行為(同条第三号に該当する表示に係るものを除く。・・・)」

と定義されており、要するに不当表示をした期間です。

かなり複雑ですが、要するに、

①原則として、課徴金は不当表示が終了してから6か月以内の最後の売上までにかかる、

②ただし、不当表示終了後、誤認解消措置を講じれば、誤認解消措置の採られた日までの最後の売上にまでかかる、

③いずれの場合でも、課徴金対象期間は最長3年間(独禁法と同じ)、

ということです。

不当表示発覚後ただちに(例えば同日)不当表示も販売もやめ、誤認解消措置もとる、という理想的なケースでは、不当表示をやめた日が課徴金対象期間の末日になります。

仮に不当表示をやめた日の前の数か月間売上がなかったとしても、課徴金対象期間が数か月間遡ることはありません。

解消措置の具体的内容は内閣府令で今後定められることになっていますが、形式的に算定する課徴金の期間の終期を定めるものなので、かなり形式的な内容になるのではないかと予想されます。

(さすがに、「全国紙2紙以上に広告に限る」とかは、お金がかかりすぎて、ないと思いますけど。

逆に、「自社ホームページでの告知でも足りる」というのは、きっと無理でしょう。)

ちょっと気になるのは、例えばメニュー表示の不当表示のような場合だと、発覚したらメニュー名を変更するのは簡単そうですが、メニュー名を変更したのに6か月間は効果が残存しているとして課徴金の対象とするというのは、ちょっと厳しすぎるような気がします。

誤認解消措置を採ればいいのでしょうけれど、レストランの場合、お客さんはその日のメニューで誘引されるのであって、6か月前のメニューに誘引されるということはないでしょうから、6か月もお客さんに不当表示の説明をし続けないといけないというのも、ちょっと格好が悪いなぁと思うわけです(誤認解消措置で何が求められるか次第ですが)。

不当表示発覚後、料理の中身の方を変えて、バナメイエビではなくてちゃんと芝エビを使うようにした場合、同じメニュー名でもそれは別の商品だということになるのでしょう。そうしないと、6か月間は芝エビにまで課徴金がかかってしまいます。

条文解釈としては、芝エビは8条1項ないし2項の「当該課徴金対象行為に係る商品又は役務」に該当しない、ということなのでしょう。

それと、今の措置命令でも不当表示の内容は媒体とともに特定されていますが、課徴金納付命令でも不当表示の内容・媒体は特定されるでしょうから、そこで特定された以外の媒体で不当表示が残っていても(うっかりミスかどうかにかかわらず)、課徴金対象行為は終わっていると認めるのでしょう。

逆に、課徴金納付命令で特定された媒体にうっかり不当表示が残っていた場合(例えば、古いチラシを間違って配ってしまったような場合)、課徴金対象行為は終了していないということになるのでしょう。

あと、不当表示の効果が原則6か月続き、しかも課徴金対象期間は常に3年という制度だと、課徴金の額を減らすために、例えば不当表示発覚後直ちに販売も表示も止めるけど、6か月ぎりぎりのところで売上をちょこっと上げて、約3年前の6か月分売上を対象外にしてしまう、というような対象期間の操作ができてしまうような気がします。

とすると、直ちに誤認解消措置を採ることがためらわれるかもしれません。

レピュテーションを気にするまともな企業ならそんなことは考えないのかもしれませんが、景表法に違反するのはまともでない企業も(が?)多いですから、けっこう現実的な問題だと思います。

2014年11月15日 (土)

景表法の課徴金算定における商品役務の同一性

景表法改正法案8条では、

「事業者が、

第五条〔不当な表示〕の規定に違反する行為(・・・以下「課徴金対象行為」という。)をしたときは、

内閣総理大臣は、当該事業者に対し、

当該課徴金対象行為に係る課徴金対象期間に取引をした当該課徴金対象行為に係る商品又は役務の政令で定める方法により算定した売上額

に百分の三を乗じて得た額に相当する額の課徴金を

国庫に納付することを命じなければならない。」

とされています。

ここで、どの範囲の商品役務の売上額が課徴金算定基礎に含まれるのか、ということが問題になるケースがあるように思われます。

条文でいえば、

「当該課徴金対象行為に係る商品又は役務」

とは何か、ということです。

例えば、旅館が温泉でないものを温泉と称していた「いち豆」の措置命令では、不当表示の対象役務(「本件役務」)は、

「貸切浴場利用役務を含む宿泊プラン

及び

同役務を含む日帰りプラン」

となっています。

つまり、対象役務はあくまで、「宿泊プラン」または「日帰りプラン」であって、温泉利用役務はそれに含まれるものに過ぎない、ということですね。

とすると、課徴金の対象売上高は、温泉の入浴料ではなく、(温泉入浴を含む)宿泊料ということになりそうです。

ところがこの事件ではもう一つ、料理のメニューについても不当表示がなされていて、そこでの対象役務は、

「『トラフグ会席』と称する料理を含む宿泊プラン

又は

『知多牛のステーキ』と称する料理を含む宿泊プラン」

となっています。

つまり、こちらも役務はあくまで「宿泊プラン」であって、料理はそれに含まれるものである、という位置づけです。

このような対象役務の認定を前提にすると、課徴金の対象になるのは料理の代金だけではなく、宿泊プランまたは日帰りプランの料金全体、ということになりそうです。

前述のように、課徴金算定の基礎になる「売上額」というのは何の「売上」かといえば、

「当該課徴金対象行為に係る商品又は役務」

の売上額です。

では、「課徴金対象行為に係る商品又は役務」の、「課徴金対象行為」とは何かといえば、改正法案8条1項に、

「第5条に違反する行為」

とあります(現行4条が5条に繰り下がっています)。

そこで、「第5条に違反する行為」とは何かといえば、優良誤認の部分を抜き出すと、

「自己の供給する商品又は役務取引について」、

「商品又は役務の品質、規格その他の内容について・・・実際のものよりも著しく優良であると示」すこと

です。

なので、「いち豆」のケースでは、温泉(に入浴させるという役務)あるいは料理(を提供するという役務)も、宿泊を提供するという役務の「内容」である、という解釈になるのでしょう。

しかし、商品役務のうちのほんの一部について不当表示がなされたに過ぎない場合には、全体の商品役務の売上額を課徴金の対象にしてよいのか疑問が生じる場合が出てきそうです。

例えば、結婚式で出すコース料理のスパークリングワインをシャンパーニュ地方産でないのに「シャンパン」と称して提供していた場合に、結婚式代全部が課徴金の対象になるというのは、いくらなんでも常識に反するでしょう。

ではスパークリングワイン代だけに課徴金がかかるのか、というと、そもそもコース料理の中でスパークリングワイン代だけを特定して金額設定していない場合が多いのではないかという問題はさておき、コース料理代全部に課徴金を課すというのも、どうもバランスが悪いような気がします。

しかし考えてみると、「いち豆」のケースでは宿泊料全体に対して課徴金がかかりそうだ、と考えたわけで、なのにどうしてシャンパンの不当表示の場合にはコース料理代あるいは結婚式代に課徴金を課してはいけないのか、という疑問がわいてきそうです。

実務上は、何となく収まりの良い形で(常識に従って)課徴金を課すことになるのでしょうけれど、理屈の上では何となく割り切れないものがあります。

理屈の上では、シャンパンの不当表示でコース料理の「内容」や、結婚式の「内容」を著しく優良と誤認させたことになるのか、というところで議論するのが筋のようにも思いますが(ほかの文言にひっかける方法もあるかもしれませんが)、そういう条文に忠実な解釈を試みると、そもそもシャンパンの不当表示ではコース料理の不当表示にはならないのではないか?という、実体法の解釈にまで影響しそうな問題に発展しそうです。

景表法の課徴金も、エンフォースメントの設計が実体法の解釈に影響を及ぼす例の一つになるかもしれません。

あるいは、課徴金の算定に争いが生じそうな事例では、措置命令は打たずに注意や警告で済ませる(措置命令だけ出て課徴金納付命令がでないとカッコ悪いので)、という処理がなされるようになるかもしれません。

元来景表法は、独禁法と比べて、注意でも警告でも法目的は達成できることが多いので、それで構わないように思います。

2014年11月11日 (火)

景品表示の管理上の措置と有利誤認(平成26年景表法改正)

平成26年改正後の景表法7条1項では、

「事業者は、自己の供給する商品又は役務の取引について、〔対象取引〕

景品類の提供又は表示により不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害することのないよう、〔究極の目的〕

景品類の価額の最高額、総額その他の景品類の提供に関する事項

及び

商品又は役務の品質、規格その他の内容に係る表示に関する事項〔管理対象〕

を適正に管理するため〔措置の目的〕

に必要な体制の整備その他の必要な措置〔なすべき行為〕

を講じなければならない。」

とされています。

これを素直に読む限り、景品と、商品役務の内容の表示に関する事項つまり優良誤認だけが管理すべき対象であり、取引条件についての有利誤認は対象外と読めます。

おかしいなぁと思っていたら、国会審議でこの点が議論されていました(平成26年4月22日衆院消費者問題特別委)。

政府答弁は、優良誤認は例示であって有利誤認も指定告示も含むということのようです。

以下、長いですが議事録の該当箇所を引用しておきます。私は、政府答弁は相当無茶な解釈で、結いの党の井坂議員のおっしゃることが非常に説得力があり、これ以上付け加える必要はないと思います。

「○井坂委員 結いの党の井坂信彦です。

本日は、景品表示法の第七条について、それから、先週の金曜日に発表されました総務省の消費者取引に関する政策評価の内容について主にお伺いをしたいというふうに思います。

まず、今回の法改正の一つの目玉というか肝であります景品表示法第七条について伺います。

今回、七条の改正というよりは、七条が丸ごと新たに新設をされたというような形になっております。どういう内容かといいますと、この第七条で、事業者が、自己が供給する商品、役務、取引について、これこれこういうことをやらないように管理体制を整えなければいけない、こういう七条の内容でありますが、よく見ますと、七条の前にある第四条、以下の表示をしてはならないと、やってはいけない表示が第四条に三つ並べて書かれております。いわゆる優良の話、それからあと有利誤認の話、そして三つ目に、そのほか総理大臣が指定した内容、この三つがやってはいけない表示として並んで列挙されて四条にはあるわけであります。

一方で、七条の方には、この優良誤認のことしか法文上は書かれていないように見えます。私は、この七条にも、四条一項に記載してある有利誤認表示と、それから総理大臣による指定告示事項、これを七条にも追加をするべきだというふうに考えますが、恐らく御答弁は、その他に含まれていますということではないかと思います。しかし、ここは、本当によくよく見ると、やはり入れなければおかしいというふうに思うわけでありますが、その点について大臣の見解を伺います。

○森国務大臣 七条第一項に基づいて事業者が講ずべき措置は、「景品類の提供又は表示により不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害すること」を防止するために「必要な体制の整備その他の必要な措置」でありまして、これは、優良誤認表示のみならず、有利誤認表示、指定告示事項等、景品表示法で規制される事項全般、全てが当てはまるものとして規定をされております。

前段で、景品表示法全体に係る目的規定の文言を引用することによって、後段の「必要な措置」には、法の目的を達成するために必要な措置として法に規定されるものは全て含まれるということを想定させた上で、禁止される過大な景品類の提供と不当な表示のについて、条文上、それぞれ簡潔に示すこととしております。

本規定の趣旨については、今後、第七条二項に基づく指針の策定等において明確に示していくとともに、事業者等に対して丁寧に説明して、広く周知してまいりたいと思います。

○井坂委員 七条の「その他」に入るんだろうなということで、ただ、実際、事が起こって、最後の最後、裁判などになったときに、では、そういうときに、「その他」の中に本当に有利誤認とか指定告示が入るのかどうかというのが曖昧になるのではないかという指摘を、私も地元の法律家から受けまして、議論をさせていただいているわけであります。

これは、七条をやはりよく見ますと、少なくとも、「その他」には、有利誤認あるいは指定告示は入らないというふうに思うわけでありますが、どういうことかといいますと、四条の一項の一でどう書いてあるかというと、商品または役務の品質、規格その他の内容について、実際より優良な表示はだめですよ、こういうふうに書いてあるわけです。四条一項二には、また別建てで、商品や役務の価格その他の取引条件について有利なものはだめですよというふうに書いてあります。

こういうふうに、同じ「その他」でも、「品質、規格その他の内容」、「その他の内容」となっているのが四条の一項の一で、四条の一項の二は「価格その他の取引条件」ということで、「その他の取引条件」、「その他の内容」ということで、「その他の内容」を全然違うふうに書き分けてあるわけであります。

ところが、七条の方にはどう書いてあるかというと、「商品又は役務の品質、規格その他の内容に係る表示に関する事項を適正に管理するため」の体制を整えなさいということで、少なくとも、この「その他」の中には有利誤認や指定告示は入らないというふうに思うわけでありますが、その点、私はやはり三つここに、コンパクトでもいいんですけれども、併記すべきだと思いますが、いかがでしょうか。

○菅久政府参考人 お答え申し上げます。

少し繰り返しになってしまうかもしれませんが、七条では、「事業者は、自己の供給する商品又は役務の取引について、景品類の提供又は表示により不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害することのないよう、」「必要な措置を講じなければならない。」というのが全体でございまして、その例として、その間に「景品類の価額の最高額、」云々「その他の」というのが入っているというふうにこの条文はつくったということでございまして、そういう意味で、この規定でございましても、先ほど大臣から御答弁がございましたように、景品表示法上の対象となる全てのものについての必要な措置ということを講じなければならないというふうな意味というふうに考えているものでございます。

○井坂委員 全部入る、ただ、いわゆる優良誤認だけをここに例として表示したんだということでありますが、もしそうであれば、私はやはり、せめて、本当に書かないとしても、では、七条の中に、「商品又は役務の品質、規格その他の内容に係る表示」の後に、その他なのか表示等なのか、何かその辺が入らないと、何か本当に限定され過ぎているような気がするんですけれども、これは大丈夫なんでしょうか。

○森国務大臣 「その他」という文言が七条一項の中に二カ所ございますね。委員の方が前半の方の「その他」の内容を引いて今御質問なさっていますけれども、私が一番最初の答弁でお答えしたのは最後のところにある「その他の必要な措置」の部分でございまして、こちらで全部読めるというふうに御答弁を申し上げているところでございます。

○井坂委員 何かちょっと最初の「その他」は対象に係る「その他」だと思うんですね。最後の「その他」はやることに対する「その他」だと思うんですけれども、何か、普通に素直に読むと、最後の「その他」には、「体制の整備その他の必要な措置」ということであって、対象が何かそこの「その他」で拡大されるようには読めないんじゃないかと思うんですけれども、どうなんでしょうか。

○森国務大臣 いいえ、そういうことではございませんで、対象も含みます。

○井坂委員 地元の法律家の方からは、なかなか出た法案は変わらないだろうから、しつこく聞いて、そうではないということぐらいは最悪確認をしてくれ、こういうことでありましたので、では、最後の「その他」の方で対象も、あくまで、最初に列挙されているもの以外も全部含まれるということで、ちょっと不満ではありますけれども、時間もありますので、以上とさせていただきたいというふうに思います。」

それでもあえて若干補足しますと、7条1項の条文では、

「講じなければならない」

のは、

「・・・景品類の提供に関する事項及び商品又は役務の・・・内容に係る表示に関する事項を適正に管理するために必要」

な、

「体制の整備その他の必要な措置」

であると、普通は読めるわけです。

これに対して政府答弁は、7条1項を、

「事業者は、

自己の供給する商品又は役務の取引について、景品類の提供又は表示により不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害することのないよう、

・・・

必要な措置を講じなければならない。」

と読むんだと、間の、「・・・」の部分、つまり、

「景品類の価額の最高額、総額その他の景品類の提供に関する事項及び商品又は役務の品質、規格その他の内容に係る表示に関する事項を適正に管理するために必要な体制の整備その他の」

の部分は例示なんだと、いうふうにいうわけです。

まあ、有利誤認をあえて管理措置の対象から除く合理的理由はないわけですから、結論は誰も争わないのでしょうけれど(争う実益も普通はないですし)、いかにも稚拙な条文の造りではあります。

でも、森まさ子大臣が、

「景品表示法で規制される事項全般、全てが当てはまる」

と答弁されている部分は、二重の意味で難があります。

まず、もし、7条1項が、

「自己の供給する商品又は役務の取引について、景品類の提供又は表示により不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害することのないよう」

にするための措置をすべて含む(政府答弁による文言解釈に忠実な解釈)とすると、7条の規制は、対象が景表法違反に限られなくなってくるように思います。

というのは、ここでの「表示」は、優良誤認表示や有利誤認表示、あるいは指定告示に基づく表示に限るとの限定はないからです。

なので、例えばJAS法違反の表示も「一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害」しないかといえばするわけで、7条は景表法の中にありながら実は景表法を超えた体制の整備を義務付けている、ということになってしまいそうです。(そこは法律の体系的解釈ということで、乗り切るのでしょうけれど。)

ほかには、指定告示で指定されてもよさそうだけれど指定されていない不当な表示、なんていうのも、景表法違反には(有利誤認や優良誤認に該当しない限り)ならないけれど管理措置の対象にはなる、ということになってしまいそうです。

たとえば、優良誤認に該当するかどうかかなり微妙な、いわゆるステルスマーケティング(口コミサイトのなりすまし投稿など)などが、例として考えられるかもしれません。

つまり、条文からは、

「景品表示法で規制される事項全般、全てが当てはまる」

というのは不正確で、政府答弁のような区切り方をする条文の読み方に従ったとしても、

「表示により不当に顧客を誘引し一般消費者の自主的かつ合理的な選択を阻害する事項全般、全てが当てはまる」

と答弁すべきであった、ということになるわけです。

もう一つの難点は(こちらは大したことないですが)、もし景表法で規制されている事項全般というのを文字通りに解釈すると、例えば検査妨害罪(現行法15条)が起きないようにする措置も講じないといけなくなりそうです。(こちらは、検査妨害そのものが消費者の選択を阻害するわけではないと説明するのでしょうか。)

重箱の隅をつつくようなことばかり申し上げて何ですが、条文を作るというのはまさに重箱の隅をつつく作業ですから、もう少ししっかりやってもらいたいと思います。

【11月12日追記】

私の周りでは、これは確信犯ではないか(消費者庁は、意図的に景表法以外もカバーしようとしているのではないか)という説が上がっております。

そうだとしたら、消費者庁おそるべし!ですね。

2014年11月10日 (月)

課徴金に関する改正景表法案について

不当表示に対する課徴金についての景表法改正案が閣議決定されて国会に提出されました

そこで改正案について気が付いたことを述べておきます。

8条では、「課徴金対象期間」という概念を用いています。

これは単に不当表示をした期間ということではなくて、「課徴金対象行為」(要するに不当表示行為のこと。後述)が終了してから原則6か月の期間ということになっています(8条2項)。

不当表示が終了しても、しばらくは消費者の誤認が続くので、6か月延ばしたのでしょう。

なので、誤認を解消するための措置(内閣府令で具体化されます)を採れば、その日で、「課徴金対象期間」は終わります。

なお細かくいうと、6か月当然に延びるわけではなく、課徴金対象行為終了後に取引を最後にした日が末日になります。

これは、売上もないのに当然に6か月延びると、課徴金対象期間は最長3年である関係上、売上のない最後の6か月がカウントされてしまって、本来カウントされるべき最初の6か月がカウントされなくなってしまう、という事態を避けようとしたものでしょう。

表示者が不当表示であることを知らず、かつ、相当な注意を尽くしていた場合には課徴金がかかりません(8条1項柱書ただし書)。

ですが、不当表示をした「期間を通じて」知らず、かつ相当な注意を尽くしていることが免除の要件なので、表示をしている途中で知ってしまった場合には、全期間について課徴金がかかってしまいます。

なので、例えば、消費者庁や公取の立入調査を受けて違反を初めて知った、という場合でも(それまでは相当な注意は尽くしていたことが前提)、課徴金対象期間中に知ったことになるので、「期間を通じて」知らないという要件を満たさず、課徴金の免除は受けられないことになりそうです。

文言上はこのように解するほかありませんが、消費者庁の実際の運用がどうなるのか注目です。

でも本来であれば、無過失だった期間は課徴金がかからないようにする(途中で不当表示であることを知った場合は、知った後も不当表示を続けていた期間だけ課徴金がかかるようにする)ような条文にすべきだったのではないでしょうか。

課徴金免除の要件の、「相当の注意」というのは、要は無過失という意味です(民法715条など参照)。

さて、改正法案では、「課徴金対象行為」(8条1項柱書)という用語を、

「第5条〔不当な表示の禁止〕の規定に違反する行為」

という意味で使っています。

そして、5条では、「〔同条各号に該当する〕表示をしてはならない。」と規定されているので、「第5条の規定に違反する行為」というのは、「5条各号に該当する表示をすること」であると読み取れます。

そして、上述のように8条2項では、

「課徴金対象期間」≒「課徴金対象行為」をした期間+その後の6か月(原則)

であるとされています。

独禁法の課徴金との関係で興味深いのは、独禁法(例えば不当な取引制限)の課徴金対象期間は、

「当該行為の実行としての事業活動を行つた日から当該行為の実行としての事業活動がなくなる日までの期間」(「実行期間」(独禁法7条の2第1項柱書)

であるとされているのと対比すると、いろいろ興味深いものがあります(長くなるので割愛します)。

9条は景表法版リニエンシーとでもいうべきもので、

「その報告が、当該課徴金対象行為についての調査があったことにより当該課徴金対象行為について課徴金納付命令があるべきことを予知してなされたものであるとき」

を除き、違反者が自主的に不当表示を内閣総理大臣に申告した場合には、課徴金の額が半額になります。

「予知して」という見慣れない用語に面喰いますが、同じ用語は例えば国税通則法61条1項(延滞税の計算の基礎となる期間の特例)でも使われています。

ここで「調査」の定義はないので、任意の調査も含まれると解する余地がありますが、きっと、改正法案29条(現行法9条)の、法律上の正式な調査を指すのではないでしょうか。

そうしないと、例えば景表法では正式処分に至らないような不当表示に対して当局が電話やメールで注意しているような場合もありますが、そのような電話やメールですら「調査」には該当して、課徴金減額の利益が失われる、ということになり、不都合であるように思われます。

また、「当該課徴金対象行為についての調査」というように、「予知」した原因を特定しているので、例えばある商品について立入検査があったので社内調査をしたら別の商品でも不当表示が見つかった、という場合、当該別の商品については減額の利益は失われないと考えられます。

改正法施行後は、このような芋づる式の申告が増えるかもしれません。

10条と11条は返金措置による課徴金の減額についてです。

自主的に消費者に返金した分、課徴金の額が減額される、という、言っていることは単純なのですが、条文は非常に長大なものになっています。

細かく見出すときりがないので今回は割愛しますが、同様の制度が他の法律にも将来導入される場合には、改正景表法案の制度はきっと参考にされることでしょう。

【2014年12月18日追記】

上で、景表法版リニエンシーの予知事由(?)としての「調査」は強制調査に限るんではないか、と書きましたが、『公正取引』12月号の消費者庁の方の論文では、

「この『調査』は、いわゆる間接強制に係る調査(第29条)のみならず、間接強制調査権限を行使せずに相手方の協力の下で報告を求めるなどのいわゆる任意調査も含まれる。」(p12)

とされており、任意調査も含むそうです。

任意の調査だと、それだけで常に「課徴金納付命令があるべきことを予知」できるのか、本当に、「ちょっとお話聞かせてください」的な連絡もあるような気もしますが、ともあれ、実務的には、消費者庁から問い合わせの電話が一本かかってきただけで、リニエンシーの可能性はなくなる運用になりそうです。

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