« 流動化物件の賃借と消費税転嫁法 | トップページ | 「事業者が講ずべき景品類の提供及び表示の管理上の措置についての指針(案)」について »

2014年8月29日 (金)

景表法への課徴金導入に関するパブコメ

景表法への課徴金導入に関するパブコメが募集されています。

被害者に被害弁償すると課徴金を免除するというのが売りですが、参考資料をみると、措置命令が確定してから、課徴金納付命令についての弁明の機会の付与と返金手続、という流れになるようです。

でもそすうると、(実体法違反については既に措置命令の方の手続で決着がついているという前提なのでいいのですが)課徴金の要件を争おうという事業者は、返金手続が事実上できないことにならないのでしょうか。

つまり、表示が不当表示であったことは決着しているとしても、違反行為の終期については、「概要」によると、

「違反行為により一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められなくなる日」

が終期のようなので(形式上は3年間の違反期間の最終日ですが)、けっこう微妙な問題があるのではないでしょうか。

あと、課徴金の対象売上についても、例えば、

ネットショップだけで不当表示があった場合にはネットショップでの売り上げだけが対象売上じゃないのか、

とか、

一店舗だけで不当表示があった場合には当該店舗の売上だけが対象売上じゃないのか(いやいや、その店舗で見た人が別の店舗で買う可能性もあるじゃないか)

とか、

さまざまな反論がありうるような気がします。

もうちょっと現実的な例では、例えば、

「車海老」と表示していたけど実はバナメイエビだったけれど、バナメイエビを使ったのは車海老が手に入らなかったほんの数週間のことだけで(あるいは、「車海老」と表示しないバナメイエビ料理もあって)、「車海老」と表示したバナメイエビを使った料理の売上高が特定できない、

なんていう場合もありそうです。

さらに過去の例にヒントを得て起こりそうな問題を考えてみると、

携帯電話の通信速度について不当表示があった場合、課徴金対象の売り上げは、不当表示期間中の(既存の契約者からの売り上げも含む)同種サービス全部の売り上げなのか、それとも、不当表示期間中に契約した契約者に対する売上だけなのか、

とか、

「翌日配達」という宅配サービスの表示が北海道については事実と異なり2日かかっていた場合、課徴金対象売上は北海道発着の荷物からだけの売り上げなのか、それとも全国の同種サービスなのか(たぶん、北海道発着分だけでしょう)、

とか、

携帯電話の通信速度に地方によってばらつきがあり、一地方では広告通りの通信速度が達成できていなかった場合、課徴金対象売上は当該一地方の契約者のみなのか、それとも全国の契約者からの売り上げなのか(何となく全国の売り上げのような気がしますが、ほんの一部だけで通信速度が広告に達していなかった場合に全国の売り上げに課すのが妥当なのか?上記宅配便のケースとの整合性は?)

とか、いろいろありそうです。

これらのシミュレーションは消費者庁でも現在一生懸命やっていると想像されますが、ぜひ、その成果を条文に反映させていただきたいものです。不公正な取引方法の課徴金の定め方はカルテルの条文のコピペなので、大雑把すぎます(細かい条文にすると、それはそれで計算が大変で、執行コストが大きくなりすぎることを懸念したのかもしれませんが)。

いずれにせよ条文が出たらこの課徴金算定基礎の問題はきちんと考えてみたいと思います。

だいぶ話が逸れたので話を戻すと、以上のような課徴金算定額を意識した細かい認定は措置命令では書かれるはずもないでしょうから、争うとしたら課徴金納付命令の方で争うしかないわけです。

でも、現行案だと、返金手続は課徴金納付命令が出る前に行うことになっているようで、課徴金納付命令が出たあとにそれを争って、負けた後に返金するということは予定されていないようです。

とすると、「不当表示だったことは争わないけど課徴金額は争いたい」という場合には、返金制度を利用することが事実上できないことになります。

課徴金制度は抑止力が目的で、被害回復は一義的な目的ではないのだと割り切るならこれでもいいのかもしれませんが、争ったあとでも返金の道がある方が被害回復に資することは間違いないので、ここまで割り切らなくてもいいような気がします。

この返金制度は極めて複雑で、担当者のみなさんは一生懸命考えて作っているのでしょうけれど、細かく見ていくといろいろな問題が出てくるような気がしてなりません。

あと、返金制度の問題ではなく課徴金制度そのものの問題ですが、(条文の作り方次第ですが)仮に不当表示があったとしても、不当表示があろうがなかろうが買った人(その表示については無頓着だった人)、あるいは、不当表示を見ずに買った人、というのも一定数必ずいるはず(場合によってはそういう人の方が多数派)で、それでも全売り上げが課徴金の対象売上なのか?という疑問もあります。(きっとそういうケースは、消費者庁は取り上げないか、そもそも「著しく誤認」の要件を満たさないかもしれません。)

今後の展開に注目です。

« 流動化物件の賃借と消費税転嫁法 | トップページ | 「事業者が講ずべき景品類の提供及び表示の管理上の措置についての指針(案)」について »

景表法」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/1240660/57221402

この記事へのトラックバック一覧です: 景表法への課徴金導入に関するパブコメ:

« 流動化物件の賃借と消費税転嫁法 | トップページ | 「事業者が講ずべき景品類の提供及び表示の管理上の措置についての指針(案)」について »