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2014年8月21日 (木)

振込手数料の値下げと下請代金の減額

平成26年8月20日付で勧告された「北雄ラッキー株式会社に対する勧告について」で、

「北雄ラッキーは,下請代金を下請事業者の金融機関口座に振り込む際の振込手数料を下請代金から差し引くこととしていたところ,インターネットバンキングを利用することによって振込手数料が下がった後も,従来どおりの振込手数料を差し引いていたことにより,平成24年10月から平成26年4月までの間に,実際の振込手数料を超える額を差し引いていた。」

という行為が代金減額であると認定されています。

下請法講習テキストp48では、

「Q77: 下請事業者の了解を得たうえで、下請代金を下請事業者の銀行口座委に振り込む際の振込手数料を下請代金の額から差し引いて支払うことは問題ないか。

A: 発注前に当該手数料を下請事業者が負担する旨の書面での合意がある場合には、親事業者が負担した実費の範囲内で当該手数料を差し引いて下請代金を支払うことが認められる。

なお、実費の範囲内とは、振込手数料として銀行等に支払っている額の範囲内のことであって、インターネットバンキングやFB(ファームバンキング)等の方法を利用している場合においても同様である。」

と解説されています。

つまり、振込手数料を下請代金から差し引くためには、

①事前の書面による合意があること、

②実費の範囲内であること、

という2つの要件を満たす必要があります。

なお、下請事業者が書面で「合意」したことが必要なので、3条書面(発注書)に一方的に記載しただけでは足りません

北雄ラッキーの件では、振込手数料が下がったのにそれを控除額に反映させていなかった、ということが問題視されました。

これを最初に見たときは、振込手数料の引き下げがあったときに振込金額に反映させなかったうっかりミスなのかなぁと思ったのですが、よく考えてみると、どうしてこういうことになったのか、若干不可解なところがあります。

つまり、通常、受取人(下請事業者)が振込手数料を負担する合意の下で振込みをする場合、下請代金(例えば10万8000円)を振り込めば、振込手数料(例えば108円)が控除されて、下請事業者の口座には残額(10万7892円)が着金になる、ということで、機械的に振込手数料の引下げが着金額に反映するように思われるのです。

ということは、北雄ラッキーのケースではこういう機械的に差し引かれるようなやり方ではなくて、例えば振込手数料は複数の取引(下請取引以外の取引も含む)の分を一括して銀行に支払い、それを按分して振込額から予め差し引いていた、というようなやり方をしていたのではないか、と推測されます。

ともあれ、機械的に振込手数料を差し引かれるのではない形で差し引いている場合には、振込手数料の引下げには十分に注意しておく必要があります。

ついでに言うと、5条書類の保存期間は2年間ですが、振込手数料に関する合意の書面は振込手数料を控除する限り保存しておく必要があると解されるので(そうしないと、書面での合理を立証できないのに差し引くことになるので)、この点も注意が必要でしょう。

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コメント

逆に親事業者側の口座変更などで、振込手数料が
上がってしまい、下請け会社への着金額が
減ってしまう場合、下請け会社に
事前の通知や同意が必要なのでしょうか。

下請代金が減ってしまう以上、事前に下請事業者の同意が必要だと思います。通知では足りないでしょう。

確認ありがとうございます。
既に契約時に、振込手数料を差し引くことには
同意を得ている場合でも、
上記理由で、下請代金が減る場合にはさらなる同意が必要、
ということでしょうか。

はい、そうだと思います。

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