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2014年7月18日 (金)

1円未満の消費税切り捨てと代金減額

6月27日に出された(株)ヒマラヤに対する下請法違反の勧告で、

「ヒマラヤは,

平成24年3月から平成26年1月までの間,

下請事業者から受領した給付について,

複数の伝票に分けて消費税相当額を計算し,

その際,伝票ごとに1円未満の端数を切り捨てていた。」

というのが違反行為として認定されています。

しかし、これがどうして違反になるのかは、ちょっと考えてみる必要があります。

というのは、平成25年版の下請法講習テキストp46では、

「下請代金の支払に際し、端数が生じた場合、端数を1円以上の単位で切り捨てて支払うこと」

というのが減額に該当するとされているからです。

これをみると、「1円以上」の切り捨てがいけないのだから、「1円未満」の切り捨ては構わないように見えます。

同様に、Q76では、

「下請代金の支払に際し端数が生じた場合、当該端数を四捨五入の方法によって処理することは問題ないか。」

という質問に対して、

「支払時点において、円未満を四捨五入することは問題ない。

また、支払うべき下請代金の額に円未満の端数があった場合、これを切り捨てて支払ったとしても、下請代金の額を減ずる行為とはみなされない。」

と回答されています。

つまり講習テキストでは、切り捨てが円未満かどうかが判断の分かれ目になっています。

ところが前記ヒマラヤの事例では、切り捨てていたのは1円未満だったようです。

とすると、なぜ違法とされたのかといえば、「複数の伝票に分けて消費税相当額を計算し」としたことがいけないと判断されたのだろう、と推測されます。

つまり、例えば本体価格10万円の下請代金について、そのまま消費税を支払えば、総額は10万8000円ですが、これを7枚の伝票に分ければ、

①1万4285円の伝票が2枚と

②1万4286円の伝票が5枚

できあがり、それぞれに消費税8%を上乗せすると、

①’1万5427.8円の伝票が2枚と

②’1万5428.88円の伝票が5枚

できあがり、これから1円未満を切り捨てると、

①’’ 1万5427円の伝票が2枚と

②’’ 1万5428円の伝票が5枚

できあがり、合計10万7994円ということになり、10万8000円から6円減額した、という理屈です。

でも本当に、こんなものを下請違反に問わないといけないものでしょうか?

そもそも講習テキストでは1円未満の切り捨ては許されるとされており、別に減額したいからという理由ではなく(6円惜しさに手間をかけて伝票を分けるとは思えないので。)、何らかの別の経理上の理由で伝票を2枚以上に分けたいということはありそうな話で、こういうのを全部代金減額に当たると言われたら親事業者はたまらないのではないでしょうか?

伝票1枚あたり10円とか、よっぽど極端なことをしない限り、伝票をN枚に分けて節約できる消費税は(N-1)円に過ぎないわけです。

ともかく親事業者としては、経理上の理由で伝票を分けるときには減額(消費税分に限りません!)されていないか注意が必要になります。

それに、そもそも論ですが、1円以上の切り捨ては代金減額に該当するという理屈も、今一つよくわかりません。

3条書面に端数処理について明記していなくても1円未満の切り捨ては大目に見る、というならわかりますが、もしそういうルールなら、3条書面に、

「代金の10円未満の端数(消費税に限りません)は切り捨てます。」

と明記されていれば、何ら減額には該当しないように思います(3条書面通り払っているので)。

(ちなみに、ヒマラヤの件は消費税分を満額払っていないということなので消費税転嫁法が優先適用されそうですが、減額対象が今年1月まで(つまり4月の増税前)なので、転嫁法の適用はありません。)

ともあれ、この事例も担当官が解説を書くでしょうから、注目しておきたいと思います。

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